お金に困ったときは「お金がない馬」

保険を選ぶ視点、人を視る

保険選びや保険を見直す際に商品内容と保険料で比較するのはデータ化しやすく、分かりやすく、大衆受けするのでテレビや雑誌やインターネットで情報が氾濫しています。

もちろん、保険料と商品内容で比較検討することは重要です。

しかし、その2つの要素だけで比較検討していいのでしょうか?

私は人という要素が抜けていると考えています。

人とは保険を販売する人のことです。どのような人達なのでしょうか。

生命保険業界では戦後未亡人対策として多くの女性が保険会社に社員として雇用されました。

1973年以降はアリコやアフラック等の外資系保険会社が参入し、税制・社会保障等の関連知識を備えたライフプランナーによるコンサルティング営業が始まりました。

その後、金融ビッグバン時の1995年の保険業法全面改正により従来の保険外交員とは異なる販売チャンネルである乗合代理店(複数の保険会社の商品を扱う代理店)、銀行窓販、ネット生保が生まれました。

また、1996年には生損保相互参入が解禁となりました。

ちなみにこの乗合代理店が2000年以降に急増したほけんの窓口等の来店型保険ショップです。

一方、損害保険業界は保険会社の社員ではなく、代理店が主に保険を販売しています。

ただ、その代理店はバラエティーに富んでいて、保険を専門に販売する代理店から兼業で自動車販売、自動車整備工場、不動産業、酒屋等様々な職種の兼業で保険を販売する代理店がいます。

また、複数社に所属している乗合代理店もいます。

損保業界も生保業界と同じく金融ビッグバンを経て、銀行窓販、ネット販売が生まれ、生命保険も扱うようになりました。

以上の様々な販売チャネルの中でネット販売では人は介在しません。

その分保険料は他のチャネルより安くなります。

生保では国内生保社の商品の多くが複数の商品を組み合わせたもので、社員が販売し、人件費も高くなるので保険料は平均的に高くなります。

その中間の保険料水準が代理店販売される生保商品です。

損保業界では各社によって保険料は違いますが、代理店によっては保険料の差は原則的にはありません。

以上の様な様々な販売チャネルの保険販売人、専門用語で保険募集人の中で、あるセールスレディは東日本大震災の時に自分も被害にあっているのに契約者の安否確認し、混乱の中で保険金が早く支払われるように奔走しました。

ある損害保険専業代理店は契約者が自動車事故の際にすぐに現場に駆け付けられるように携帯電話を枕元に置き、好きな酒も飲みません。

ある来店型保険ショップの従業員は提案した死亡保険を検討していた見込客が事故で死亡した時にもっと強く勧めなかったことを悔いていました。

保険募集人の中にはお客様のため、という熱い思いで顧客に接している人がいます。

さらに保険販売の際に意向把握や情報提供等の態勢を整備する2016年5月29日に施行された「改正保険業法」、2017年3月30日に公表された保険募集人を含む金融事業者が自分達の利益でなく、顧客の利益を最優先させることに取り組む「顧客本位の業務運営に関する原則」に取り組む姿勢に募集人間で大きな差が出ています。

血のにじむ思いでコストをかけ、努力し、自己改革に努めている募集人がいる一方でそんなことには無関心で従来通りのやり方を貫いている募集人も多くいます。

募集人間の顧客対応力や専門性等の質はますます広がっています。

選ぶ募集人によって受けるサービスの量や質は大きな差が出てきます。

それなのに保険を選ぶ要素に人を入れないというのはおかしくないですか?

保険を選ぶ際には商品内容と保険料とともに募集人も検討材料に含めることを提唱します。

それでは、質の高い募集人を捜すのにはどのような方法があるのでしょうか?これといった方法はありません。

質の高い募集人の名簿があるわけでもありません。手探りで捜すしかありません。

知人に相談して評判のいい募集人を紹介してもらったり、近くの来店型保険ショップを回って対応のいい募集人を捜したり、近くの代理店のホームページを検索して比較検討したり、等でしょう。

ただ、損害保険代理店では主に専業代理店の団体で損害保険代理業協会、略して代協という団体があり、全国で1万店以上の会員が所属してい
ます。

また、県ごとにも下部組織があり「○○県代協」と検索すれば各県の代協のホームページがあります。

その中には会員の名簿が掲載されている県代協も多いのでその名簿で近くの代理店を捜し、ホームページ等で比較検討する方法もあります。

専門性の高い代理店の団体ですので質の高い損保代理店を捜せる可能性が高いです。

商品内容と保険料のデータを基にAIによる保険の見直しや保険選びが始まっています。

人ではなく機械が選び、それに人が従うのではなく、人が人を選ぶことを忘れてしまってはいけないのではないでしょうか。

人の要素を加えた視点によってより付加価値の高い保険商品を選ぶことができます。

ファイナンシャルプランナー
田中 嘉理(よしみち)

FP事務所 ビジネス&ライフサポート代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級FP技能士、宅地建物取引士、証券外務員一種。

大手損害保険会社に30年間勤務、地元福岡にU ターンして大手来店型保険ショップ本社に3年間勤務、独立後も生損保事業者の団体に所属しながら保険事業者に対してコンサルタント等を行っている。

FPとしてはセミナーや相談業務等を行いながら消費者のニーズを吸い取り、保険を販売しない中立的な立場で保険事業者と消費者の最良の関係を築くことを目標に活動している。

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