年収400万円の女性割合が低い理由と対処法
男性よりも女性の方が低年収なのは、皆さん周知のとおりです。
そこで今回はサラリーマンの最初の目標とも言われる、年収400万円を稼ぐ女性がなぜ少ないのか、その原因を解明していきながら、対処法について検討していくことにします。
女性の平均年収と年収別構成比
それではまずは女性の平均年収がいくらなのか、年収別構成比がどうなっているのかを見ていきながら、女性の年収の実態を検証していくことにします。
結果から申しますと平均年収は400万円に達しておらず、300万円以下の年収が全体の約63%を占める結果となっています。
この点からも女性の年収400万円が、女性にとってかなり高い山であることは一目瞭然です。
女性で400万円の年収はごく一部だけ
数年前の結果ではありますが、2016年に国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」では、女性の平均年収は約280万円と、400万円よりもかなり低い数値となっています。
男性の平均年収が約520万円ですから、女性が得ている年収は男性よりも、かなり低いことが見て取れます。
そして気になる年収400万円を得ている女性がどれだけいるのかを、先程と同じように2016年に国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」で確認してみると、下記のような結果でした。
金額 | 割合 | 人数 |
---|---|---|
100万円以下 | 16.49% | 333万9000人 |
100万円超え~200万円以下 | 25.07% | 503万人 |
200万円超え~300万円以下 | 21.50% | 431万4000人 |
300万円超え~400万円以下 | 16.51% | 331万4000人 |
400万円超え~500万円以下 | 9.68% | 194万3000人 |
500万円超え~600万円以下 | 4.97% | 99万7000人 |
600万円超え~700万円以下 | 2.34% | 47万人 |
700万円超え~800万円以下 | 1.35% | 27万1000人 |
800万円超え~900万円以下 | 0.72% | 14万5000人 |
900万円超え~1,000万円以下 | 0.40% | 7万2000人 |
1,000万円超え~1,500万円以下 | 0.70% | 12万5000人 |
1,500万円超え~2,000万円以下 | 0.10% | 2万5000人 |
2,000万円超え~2,500万円以下 | 0.10% | 1万人 |
2,500万円超え | 0.00% | 0人 |
分類区分が「300万円超え~400万円以下」、「400万円超え~500万円以下」となっているため400万円以下がどれくらいを占めるのか、明確な数値は確認できませんでしたが、確実に400万円を超えているという点において、9.68%のほうが確実性のある数値とします。
となればこの9.68%という数値から、女性で400万円台の年収を得ているかたは、決して多くなく、ごく一部の人間だけなのはわかりましたが、この数値が高いのか低いのか、それとも普通なのかは、これだけのデータでは判断がつきませんよね。
そこで次は男性で年収400万円を得ているかたが、どれくらいいるのかを見ていきながら、その結果と比較してみることにしましょう。
男性で年収400万円はどれくらいいるの?
女性の平均年収は約280万円と400万円には大きく足りませんでしたが、男性の平均年収は約520万円と目標の400万円をクリアしています。
となれば男性の年収400万円の割合は、女性よりも期待ができそうです。
それでは早速、2016年に国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」で確認してみましょう。
その結果は下記のとおりです。
金額 | 割合 | 人数 |
---|---|---|
100万円以下 | 3.20% | 91万人 |
100万円超え~200万円以下 | 7.30% | 207万4000人 |
200万円超え~300万円以下 | 12.70% | 364万6000人 |
300万円超え~400万円以下 | 18.20% | 522万2000人 |
400万円超え~500万円以下 | 17.50% | 500万8000人 |
500万円超え~600万円以下 | 12.80% | 366万6000人 |
600万円超え~700万円以下 | 8.50% | 243万3000人 |
700万円超え~800万円以下 | 6.10% | 175万人 |
800万円超え~900万円以下 | 4.20% | 120万人 |
900万円超え~1,000万円以下 | 2.90% | 82万2000人 |
1,000万円超え~1,500万円以下 | 4.80% | 137万8000人 |
1,500万円超え~2,000万円以下 | 1.10% | 30万4000人 |
2,000万円超え~2,500万円以下 | 0.30% | 9万7000人 |
2,500万円超え | 0.40% | 11万2000人 |
400万円超えから500万円以下が女性の9.68%を大きく上回る、17.5%という結果でした。
この8%ほどの違いであれば、両者に驚くほどの違いは感じられません。
そこで上記の年種別構成比で注目してもらいたいのが、年収400円超えの人の割合です。
女性のその数値は20.26%なのに対して、なんと、男性はその倍以上の過半数を上回る55.7%という数値を記録しています。
男性のうち半数以上が、確実に年収400万円をクリアしているわけです。
野球で言うと2割0分2厘の打者と5割5分7厘の打者を、比較しているようなものですから、女性は非力な打者ということになります。
となれば年収400万円という数値は女性にとっては簡単なものではありませんが、男性にとってはさほど厳しくない年収であると言えるでしょう。
それでは男女間の年収傾向になぜこのような大きな開きが出てしまったのでしょうか。
次はその原因について検証していくことにします。
男女の年収は30代に入ると差が開く
男性のように高額年収を得られる機会さえ増えれば、女性の年収400万円は今よりも確実に、クリアしやすい状況にすることができるでしょう。
ではなぜ、男女間にこれほどまでの年収差がついてしまうのでしょうか。
厚生労働省が発表した2017年度の「賃金構造基本統計調査結果の概況」で発表された、男女の初任給は下記のとおりほとんど差が見られません。
最終学歴 | 初任給の金額 | |
---|---|---|
男性 | 女性 | |
大学院修士課程修了 | 233,600円 | 232,400円 |
大学卒 | 207,800円 | 204,100円 |
高専、短大卒 | 180,600円 | 178,400円 |
高校卒 | 164,200円 | 158,400円 |
そこで問題となってくるのが、この同じ初任給がなぜ差が出てくることになるのかという点です。
現代の日本企業において、課長職以上の女性管理職が全体の6.6%と圧倒的に少ないことからも、決して男女が同等の評価を得られる労働環境でないことは明らかです。
大手企業であれば課長職以上なら年収700万円以上が期待できますが、それでもその年収をクリアしている女性はたったの2.57%でしかありません。
この昇進の違いも女性の年収が男性より、大きく引き離されてしまう原因と言えるでしょう。
しかし、原因はこれだけではありません。
それは男女間の年収に差がではじめる年齢を見れば明らかなのです。
男女の年齢別年収差
それでは男女間にいつから年収の差が生まれているのか、国税庁が2016年に発表した「民間給与実態統計調査」から確認してみましょう。
その結果は下記のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
19歳以下 | 157,000円 | 106,000円 |
20歳以上~24歳以下 | 275,000円 | 241,000円 |
25歳以上~29歳以下 | 383,000円 | 309,000円 |
30歳以上~34歳以下 | 457,000円 | 315,000円 |
35歳以上~39歳以下 | 512,000円 | 300,000円 |
40歳以上~44歳以下 | 563,000円 | 302,000円 |
45歳以上~49歳以下 | 633,000円 | 299,000円 |
50歳以上~54歳以下 | 661,000円 | 296,000円 |
55歳以上~59歳以下 | 649,000円 | 288,000円 |
60歳以上~64歳以下 | 479,000円 | 228,000円 |
65歳以上~69歳以下 | 387,000円 | 195,000円 |
70歳以上 | 368,000円 | 207,000円 |
上記の年齢別の年収差で注目してもらたいのが、30代に突入すると明らかに男女間に大きな年収差が出ていることがお分かりいただけるかと思います。
30歳未満でも男性の方が女性よりも年収は高いですが、その差は微々たるもので、男女間の平均年収の違いにさほど影響するものではありません。
しかし、30代に突入すると年々20万円程の差が出てきており、45歳以上になると男性の年収は女性の2倍以上の状態で推移しています。
つまり、女性の年収が男性よりも格段に低くなる原因を探るためには、この30歳という年齢がひとつの鍵となってくるのです。
30代に入って年収差が出る理由
それではなぜ30歳に突入すると、男女間の年収に驚くような差が出てしまうのでしょうか。
その原因として考えられるのが下記の2点です。
- 結婚、出産による退職や休職
- 非正規紅葉者の増加
近年は女性の結婚年齢が高くなっており、結婚せずに生涯独身を貫くなんて言うかたも増えています。
事実、国勢調査の発表データを見ると、1980年には30歳から34歳の女性の未婚率は10%を切っていましたが、2015年時点では30%と大幅に増加しているのは事実です。
しかし、急増したといっても、残りの70%という多くの女性が結婚していることから、女性の結婚・出産が年収アップの阻害原因であることは否めないでしょう。
結婚、出産による退職や休職
結婚しても退職せずに男性と同じ一線で活躍している女性も見られますが、結婚を機に退職するという女性も未だ少なくありません。
また結婚後に退職しなくても、いざ妊娠・出産となれば休職、もしくはその後の育児を考慮して退職という形をとうかたもいることでしょう。
いずれの場合も結果的に職場から離れてしまうことは回避できないため、職場で重職を任せられることはなくなってしまいます。
よって、妊娠・出産後も退職せずに産休を利用したとしても、結婚後も重職を任される可能性が高い男性と、そうでない女性という図式が成り立つざるを得ない形となってしまうのです。
これが原因となり評価も大きく違ってくることから、年収アップに深刻な影響を落とすことになります。
事実、日本における女性管理職のうち、約70%が子供を持っていないことから、特に妊娠・出産が与える企業への評価が年収アップを妨げる大きな原因であることは否めないでしょう。
よって、女性の年収アップにおいては、この結婚、妊娠・出産後の女性の企業での立ち位置改善が、まず必要になってくと考えられます。
非正規紅葉者の増加
2015年に労働省が発表した「人口減少社会を考える」という労働白書の中の、2000年から2014までの共働き世帯と妻が専業主婦の割合を見ると、2000年時点ではほぼ同じ数値を示していましたが、2014年には下記のように共働き世帯が増加しています。
- 共働き世帯 37.2%
- 妻が専業主婦の世帯 24.9%
ここで重要なポイントとなってくるのが、主婦の雇用形態です。
国税庁の「民間給与実態統計調査」で正規・非正規雇用者の平均給与を確認すると、女性の間でも下記のように顕著な給与差が見られます。
- 正規雇用者 373,300円
- 非正規雇用者 148,100円
また統計長のHPを見ると非正規雇用者の約70%を女性が占めており、先ほど年収差が大きく生じると説明した30歳以降女性の正規雇用者割合が30%強であることからも、正規雇用者よりも確実に低年収となる非正規故障者に女性が多いことが、女性の平均年収を下げる原因となっていることは明らかです。
共働きが増えている原因として、主婦に働く原因をアンケート調査してみると、下記のように家計を維持するためという理由に回答が集まっています。
- 生計維持のため 60.1%
- 家計補助のため 55.2%
- 将来に備えた貯蓄のため 34.9%
*内閣府「都市と地方における子育て環境に関する調査」より(複数回答あり)
家事や育児の合間に家計の足しとなるよう、時間に自由が利くパートやアルバイトなどの非正規雇用者として働くざるを得ない状況が大きく関係していることは理解できます。
しかし、先に説明した正規雇用者であっても昇進の違いが、年収増加の妨げとなっていることに併せて、非正規雇用者に女性が多いことも原因のひとつとなっているのは疑う余地のない事実です。
これは簡単に改善できるものではないため、社会全体が一貫となて考えていくべき問題となってくるでしょう。
女性が年収400万円を稼ぐには?
それでは女性の年収が男性に比べて低くなる原因を理解してもらったところで、最後に女性が年収400万円を稼ぐには、どうすればいいのかについて考えていくことにします。
年収400万円超えの女性が男性に比べて圧倒的に少ないのは事実ですが、それをクリアしている女性は約20.0%いるので無理な話ではありません。
そこでそんな女性たちはどんな職業に就いて、そんな特徴を持つのかを検証すれば、年収400万円超えを実現するための手立ても見えてくるでしょう。
年収400万円を稼いでいる女性の職業は?
女性の求人転職サイト「とらばーゆ」が発表している「年収の高かった職業ランキング!」によると、400万円を超える年収を得ている職業は下記のとおりです。
順位 | 職業 | 年収 |
---|---|---|
1位 | 特許事務、法律事務 | 6,500,000円 |
2位 | 助産師、保健師 | 6,000,000円 |
3位 | 商品企画 | 4,425,000円 |
4位 | プログラマー、SE、エンジニア | 4,422,000円 |
5位 | 薬剤師 | 4,300,000円 |
6位 | ユーザー・サポート、カスタマー・サポート | 4,100,000円 |
7位 | キャリアカウンセラー、派遣コーディネーター | 4,000,000円 |
やはり資格業務が高額年収となるようです。
資格を持っていない女性が急に始められるものではありませんが、職場の女性人数が50%を超え、なおかつ平均年収が400万円を超える下記の医療業務は、再就職できる可能性が高いため、結婚や妊娠・出産後の再就職先にもおすすめの職業と言えます。
- 薬剤師
- 看護師
- 准看護師
- 臨床検査技師
女性が高額年収を得るためには、早い時期にそれが可能な職業を目指すのも、重要なポイントとなってくるでしょう。
収400万円女性の特徴を知ろう!
結婚、妊娠・出産後も年収400万円を目指す女性は少なくありません。
しかも子育てをしながら仕事をセーブして年収400万円を、というのが女性の利用のようです。
ですが、仕事をセーブしながら年収400万円はまず無理でしょう。
一番確実なのは先に紹介した高額年収が可能な職業に再就職し、規定の労働時間をこなすことが一番の近道です。
しかし、一番おすすめなのは結婚や妊娠、出産後に絶対に退職せずに働き続けることでしょう。
今回説明したように男性並みの昇給を得ることは簡単ではありませんが、それでも退社せずに正規雇用者のまま勤務し続ければ、35歳以上の3人に1人が400万円を超える年収を得ています。
きちんと勤務し続ければ確実に昇給していくので、年収400万円も夢ではないというわけです。
年収400万円を超える女性に下記のような特徴が見られることからも、年収400万円には勤務し続けられる環境があることが大きな要因であることは疑う余地はありません。
- 子供がいない
- 未婚
退職を検討する際にはこの点をよく理解して、じっくりと検討するようにしましょう。