オリックス銀行の強みと弱みとは?
今回は、ネット専業銀行の中では比較的評価の高い「オリックス銀行」について、その強みや弱みをご紹介したいと思います。
銀行を選ぶ際には、どうしても検討している銀行のHPや口コミなどを鵜呑みにしてしまい「後々後悔した…」というケースも少なくありません。
この記事では、客観的な立場でオリックス銀行を評価してみましたので、銀行選びの参考にして頂ければ幸いです。
記事の目次
オリックス銀行の強み
まず、オリックス銀行の強みからご紹介していきます。
定期預金利率が高い
オリックス銀行で最も評価が高いのは、その「定期預金金利の高さ」です。
例えば、eダイレクト預金を利用している人なら、税引き前で0.20%もの金利が適用されます。
ちなみに、メガバンクなどの一般的な定期預金の金利は「0.01%」の所が殆どですから、実にメガバンクの「20倍」もの利息を受け取る事が出来るという事になります。
財務基盤など、金融機関としての安心材料が多い
銀行選びの最低条件として「破綻しない銀行」という点は当たり前の話だと思います。
その点で言うと、オリックス銀行は格付け会社からも比較的高評価を得ていますので、特に問題はないと言えます。
例えば、格付け会社の一つ「株式会社格付投資情報センター」の評価は、「発行体格付でA+」となっています。
格付投資情報センターの場合、「A」という評価は、“信用力は高く、部分的に優れた要素がある”という事になっていますから、財務基盤や自社が抱えている債務を履行する力については、特に問題ないと考えても大丈夫です。
銀行によっては、「BBB」(※信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある…)という評価が付けられている銀行もありますので、オリックス銀行の信用度は特に問題ないと言えます。
不動産融資などの専門分野に強い
オリックス銀行は、預入資産の8割が「個人の預金者」、そして融資については「不動産向け融資」を得意としています。
つまり、お金を預け入れている個人は企業のように倒産のリスクがない為「安定度が高く」、お金を融資している相手は「不動産の担保がある」という事になり、どちらも安心度という面で考えれば申し分ない得意分野を持っている事になります。
先ほど、オリックス銀行の格付け評価は高いとお伝えしましたが、高評価を得ている背景にはこのような点があると考えられます。
ローコスト経営
この点は、後の弱みにも共通してくるのですが、オリックス銀行はキャッシュカードの発行を行わず、自社のATMも展開していない為、カードの発行・管理コストやATMの手数料負担などのコストが一切発生しない仕組みをとっています。
一般的な銀行では、キャッシュカードを発行してコンビニなどのATMでも利用できるのが当たり前になっていますが、提携ATMで利用者がお金を引き出した場合、提携先にはその銀行が手数料を支払わないといけない仕組みになっています。
オリックス銀行の場合、そのようなコストを出来るだけ抑え、その分の利益を定期預金の金利などで還元しているという事になります。
■気になるオリックス銀行の格付けは!?ネット銀行の信用度を図る指標
オリックス銀行の弱み
次に、オリックス銀行の弱みについてです。
利用者のステージアップ制度がない
一つ目はオリックス銀行には「ステージアップ制度がない」という点が挙げられます。
先ほども触れましたが、ネット銀行によっては「取り扱い件数」や「預金残高」に応じて利用ステージが上がる仕組みを設けている銀行が多く、その銀行を利用すればするほど、振込手数料やATMの手数料無料回数が増えるようになっています。
例えば、楽天銀行の場合は以下のようなステージアップ制度が設けられています。
楽天銀行ハッピープログラム
利用ステージ | 適用条件 | 振込手数料無料回数 | ATM利用無料回数 | 楽天スーパーポイント獲得倍率 |
---|---|---|---|---|
スーパーVIP | 資産残高300万円以上、又は取引件数30件以上 | 7回/月 | 5回/月 | 3倍 |
VIP | 資産残高100万円以上、又は取引件数20件以上 | 5回/月 | 3回/月 | 3倍 |
プレミアム | 資産残高50万円以上、取引件数10件以上 | 2回/月 | 2回/月 | 1倍 |
アドバンスト | 資産残高10万円以上、取引件数5件以上 | 1回/月 | 1回/月 | 1倍 |
ベーシック | エントリーのみ | 無 し | 無 し | 1倍 |
キャッシュカードが発行されない
先ほども触れた通り、オリックス銀行はキャッシュカードが発行されない為、資金の移動はすべて振込にて行う必要があります。
したがって、「夜間に急にお金が必要になった…」という場合には、すぐにはお金が用意できないというデメリットがあります。
また、その振込についても無料回数は「1ヶ月に2回まで※eダイレクト預金の場合」と決まっていますので、それを超えると432円の手数料を負担しなくてはいけません。
コールセンターの対応時間が短い
ネット専業銀行の場合、店舗もなくスタッフも居ない為、不明な点はすべてコールセンターに電話をして聞くことになります。
しかし、オリックス銀行の場合は、平日の夕方以降と土日祝日はコールセンターが休みになっていますので、仕事が終わった後や休日にお金の相談をしたくても出来ないという事になります。
■オリックス銀行の評判は大丈夫? コールセンターの対応時間もまとめてみた。
オリックス銀行の金融サービス
オリックス銀行の強みと弱みについては、以上の通りなのですが、ここでオリックス銀行にはどんな金融商品があるのか?いくつかご紹介しておきたいと思います。
カードローン
オリックス銀行のカードローンは、金利が実質年率1.7%~17.8%、そして最高限度額が800万円と、比較的低利で大きな限度額が利用できるカードローンです。
また、最大の特徴として「提携ATMでの利用手数料がかからない」という事になっていますので、場合によってはオリックス銀行で432円を負担して振り込むよりは、金利手数料のほうが安くつくというケースもあります。
eダイレクト預金 2週間定期
次の金融商品は「2週間定期」という定期預金です。
この定期預金はその名の通り満期が2週間でやってくる預金ですが、金利も0.20%(年・税引き前)となっていますので、一般的なメガバンクの定期預金利率と比較して約20倍もの金利が付く計算になります。
ただし、この定期預金の最低預入金額は50万円~となっていますので、その点だけは覚えておくようにしましょう。
証書が発行される定期預金もある
ネット専業銀行の場合、殆どの手続きがWEBで完了してしまいますので、「本当に預金されているのか不安になる…」という方も居ると思います。
その点では、オリックス銀行の場合「ダイレクト預金(自動継続自由金利型定期預金(M型))」という、預入証書が発行される定期預金がある為、安心です。
この商品のスーパー定期300の場合、最低預入金額は300万円となりますが、「自動継続自由金利型定期預金証書(M型)」という書類がきちんと発行され、さらに3年満期の定期ならeダイレクト定期預金と同じく、年0.20%(税引き前)という高金利が適用されますので、ネット取引に不慣れな方にはお勧めの定期預金と言えます。
他ネット銀行との比較
次に、オリックス銀行以外のネット専業銀行との比較についても、いくつかの視点で触れておきたいと思います。
他行はステージアップ制度がある
ステージアップ制度とは、その銀行の利用件数が増えたり貯蓄残高が増えたりする場合に、ポイントが貯まったり振込手数料の無料回数が増えたりする制度の事を指します。
楽天銀行やじぶん銀行などは、この制度を採用していますが、オリックス銀行ではどんなに利用しても、どんなに貯金しても「利用者の特典は同じ」という事になります。
例えば、楽天銀行の場合、取引件数が30件に到達すると、ATMの手数料が最大7回無料、そして他行への振込も最大3回まで無料となるサービス「ハッピープログラム」という制度があります。
このような点を考えると、オリックス銀行は個人向けの顧客が多い割には、サービス性で少し劣ると言わざるを得ません。
銀行を選ぶポイント
ここまで、いくつかの情報をお届けしてきましたが、結局のところ銀行選びはどんな基準で行うのが正解なのでしょうか?
いくつかのポイントをお伝えしておきます。
少額の預金なら金利は殆ど同じ
資産が数千万…数億円あるという場合は話は別ですが、数百万までの資産の場合、どこのネット銀行に預けても今や金利はほぼ同じとなっていますので、金利面で銀行に優劣をつけるのは難しいと言えます。
ただし、メガバンクや信用金庫よりは、ネット専業銀行のほうが店舗コストがかからない分、金利は高めになっていますので、特にお店に行って相談するようなこともないという方は、ネット専業銀行を選ばれる事をおすすめします。
ステージアップ制度がある銀行を選ぶ
次のポイントは先ほどもご紹介した、「ステージアップ制度」についてです。
今のところ「楽天銀行」「じぶん銀行」「ソニー銀行」「住信SBI銀行」などは、ステージアップ制度を採用しています。
また、じぶん銀行はKDDIが出資した銀行ですので、au契約者はWalletカードチャージ時の優遇があったり、じぶん銀行カードローンの金利優遇サービスもありますので、要チェックです。
口座開設キャンペーンの最大活用する
銀行によっては、口座開設キャンペーンを実施している場合もありますので、銀行選びの際にはそのようなキャンペーンを最大限活用する事も忘れないでおきましょう。
例えば、ソニー銀行の場合は「紹介キャンペーン」というものをやっていて、知人や家族にソニー銀行を紹介して、口座開設に至れば、紹介者に1,500円・非紹介者に3,000円が支給されるようになっています。
詳しくは参考URLを掲載しておきますので、参考にして頂ければと思います。
銀行の安心度はどうやってはかる?
オリックス銀行の安全性をお伝えする前に、まずは「銀行の信用度はどうやって測るのか…?」という点からお伝えします。
銀行の信用度を「見た目」や「広告」、そして「口コミ」等で判断する方も居ますが、基本的にそのような客観的な情報は信用できない為、確固たる第三者機関の評価を見るのが、最も信頼できる要素となります。
では、どの第三者機関の評価が信用できるのか…という事になりますが、銀行に対しては民間の「格付け機関」が様々な視点から評価(格付け)をしている為、その情報を参考にするのが、最も賢明と言えます。
銀行の格付け制度
先ほどご紹介した「民間の格付け機関」は、信用格付け会社とも言われ、金融庁が認めた会社だけが銀行などの財務基盤などを調査し、各々の信用度に応じてランク付けを行っています。
ちなみに、現在金融庁に許可された信用格付け会社は、以下の5社となっています。
信用格付け会社名 | |
---|---|
1. | 株式会社日本格付研究所 |
2. | ムーディーズ・ジャパン株式会社 |
3. | ムーディーズSFジャパン株式会社 |
4. | スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社 |
5. | 株式会社格付投資情報センター |
格付け会社の判断基準とは
次に、上記の信用格付け会社は、どんなポイントで銀行などを評価しているのか?
今回は格付投資情報センターを例に、4つのポイントをご紹介したいと思います。
発行体格付
一つ目は、“発行体格付”という評価軸です。
「発行体」とは、投資法人を含め、国や地方自治体や金融機関など、債券を発行して事業に必要な資金調達を行う法人や事業体などの事を指します。
そして発行体格付けとは、その事業体が背負った借金をきちんと支払える能力があるかどうか…という点が評価されます。
長期個別債務格付
二つ目は“長期個別債務格付”という評価軸です。
この点も、金融機関などの借金がきちんと支払えるかどうかの能力がはかられますが、この評価軸では債務が履行されないリスクに加え、借金が払えなかった場合の損失の可能性も評価されます。
短期格付
三つ目は“短期格付”です。
これは短期の金融債務がきちんと履行されるかどうか…という点についての評価です。
保険金支払能力
最後は“保険金支払能力に対する信用格付”となります。
この評価軸は、その名の通り保険会社の保険債務がきちんと履行されるかどうかが、評価のポイントです。
オリックス銀行の格付けは悪くない
少々難しい話が続きましたが、オリックス銀行の場合、上記の格付けではどんな評価を得ているのか?各々の格付け会社のサイトから見ていく事にしましょう。
ちなみに、下記はオリックス銀行のHPからの抜粋ですが、このデータをもとに解説していきたいと思います。
格付投資情報センターの評価
まず、格付投資情報センターの評価から見ていきますが、この機関では先ほどご紹介した「発行体格付」では「A+」(※信用力は高く、部分的に優れた要素がある)、そして短期格付では「a-1」(※短期債務履行の確実性は高い)という評価が付けられています。
尚、これらの評価記号の最上位はAAA(※信用力は最も高く、多くの優れた要素がある。)となっており、その評価を受けている金融機関もありますが、評価が悪くなるとC(債務不履行に陥っており、債権の回収もほとんど見込めない)という場合もあり得ますので、オリックス銀行の評価は特に問題ないと言えます。
スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社
次にスタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社の評価についても見ていきます。
この格付け会社については、オリックス銀行の発行体格付けを「A-」と位置付けています。
「A-」…と聞くと若干不安になるかもしれませんが、評価定義としては「債務者がその金融債務を履行する能力は高いが、上位2つの格付けに比べ、事業環境や経済状況の悪化の影響をやや受けやすい。」となっていますので、特に問題はないと言えます。
◆スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社公式サイト:「評価定義」
万一オリックス銀行が倒産した時は
では、最後に万一オリックス銀行が破綻した場合、自分が預けている預金はどうなるのか?確認しておきたいと思います。
預金保険機構で守られる資金は基本的に1,000万円まで
今の日本では、金融機関の破綻などに備える為、政府や民間金融機関の出資により設立された預金保険機構という機関が公的に運営されています。
この機関は、万一の事態になると一定の基準まで預け入れた資金を預金者に保証します。
ちなみに、現在一部の利息が付かない決済資金以外は、1,000万円までが保障の範囲内という事になっています。
ただ、外貨預金、元本補てんのない金銭信託(ヒットなど)、金融債(保護預かり専用商品以外のもの)などは保障の対象外となりますので、注意が必要です。
したがって、例えばオリックス銀行の定期預金に3,000万円を預け入れていて、万一オリックス銀行が破綻した場合は、定期預金の1,000万円とその利息は保障されますが、それ以上はお金がかえって来ないケースもあり得るという事になります。
まとめ
今回、オリックス銀行の強みや弱みについて、いくつかの情報をお届けしました。
ネット銀行を選ぶ場合、利便性や利率など迷う部分がたくさんあると思います。
しかし、多少のサービス面での差はありますが、今や殆どの銀行では横並びのサービスが提供されています。
したがって、銀行選びで迷った際には、最初から「これだけは譲れない」というポイントを決めておいて、その条件にマッチするかどうか…、そしてその銀行が行っているキャンペーン内容も考えて、シンプルに判断するのが一番賢い選び方かもしれませんね。