旦那や妻と離婚したいけどお金がない!そんな不安を払拭する解説書
「長年連れ添ったけど旦那・妻にはもうウンザリ!すぐにでも離婚したい!!」
このように、近年、熟年離婚を希望する人が増えています。
しかし、いざ離婚となるとお金の問題がでてきます。
特に生活にかかるお金を相手に多く頼り切っていた場合、「離婚後はどうすればいいのか?」という不安があります。
この記事では、そんな「熟年離婚したいけどお金がない!」という人へのアドバイスをしていますので、是非参考にしてください。
記事の目次
そもそも熟年離婚とは何歳から?
始めに熟年離婚の定義を知っておきましょう。
50歳や60歳以降になってから離婚をすることが熟年離婚という、イメージがある人も多いのではないでしょうか?
しかし、それは正確ではなく、一般的に結婚して20年以上の夫婦が離婚することを熟年離婚と言います。
決して年齢で判断されるわけではなく、「結婚してからどれくらいで離婚したか?」という部分で判断されるのです。
このため、40代であっても熟年離婚と呼ばれるケースはありますし、逆に60歳以降でも熟年離婚とは呼ばないケースもあります。
このように、熟年離婚とは結婚してから20年以上の夫婦が離婚することを指すのです。
高齢離婚との違い
高齢離婚とは、婚姻生活が何年であろうと離婚した年が高齢であれば、そう呼ばれます。
何歳からと言う定義はありませんが、60歳~70歳で離婚するケースが多いようです。
高齢離婚を決定づけるケースとして多いのは、夫が定年退職した後の夫婦ふたりだけの生活のつらさと言われています。
単に一緒にいて嫌悪感を抱くだけではなく、心身ともに不調となる「夫原病」を発症し、離婚を考えるというケースも現実としてあるのです。
熟年離婚を考える理由や原因
続いて、熟年離婚の原因となるものについても知っておくと良いでしょう。
熟年離婚の原因となるのは以下のようなものです。
- 性格の不一致(価値観の違い)
- モラハラ
- 暴力(DV)
- 浮気・不倫
- お金の問題
- 親族との仲が悪い
- セックスレス
もっとも多いのが「性格の不一致(価値観の違い)」とされています。
夫婦となったことで、恋人時代には気づかなかった部分が見えてくるものです。
ひとつひとつは僅かなことかも知れませんが、長年積み重なると我慢ができなくなってしまう人が多いようです。
また、多くの場合はひとつ屋根の下で配偶者といつも顔を合わせているため、余計にフラストレーションがたまり、離婚にまで発展してしまうことがあるのです。
熟年離婚の準備に必要なお金は?
ここからは、熟年離婚の準備に必要なお金について解説していきます。
女性が熟年離婚する際に必要となる費用は、主に「弁護士費用」と「離婚後の生活費用」です。
弁護士への相談費用
自身から離婚をする場合、弁護士に相談や手続の依頼をしなくてはいけないケースがあります。
その際は当然、弁護士費用が発生します。
費用は弁護士事務所によって異なりますが、数十万円単位のお金が必要になるケースも珍しくありません。
お金がないなら法テラスに相談する
離婚の相談や手続を弁護士に相談するなら、「法テラス(日本司法支援センター)」を利用するのがおすすめです。
法テラスとは、国が設立した法的トラブル解決の案内所です。
この法テラスでは、お金がない人への弁護士の無料相談や弁護士費用の立替えを行っています。
通常、弁護士に依頼すると相談料が発生しますが、法テラスなら無料で弁護士に相談できます。
また、「民事法律扶助」という弁護士費用の立替えサービスも魅力的です。
民事法律扶助を利用すれば、かかる弁護士費用が相場よりも安くなり、その費用も法テラスが立て替えてくれますので、依頼者は弁護士事務所に直接支払わなくても良くなります。
立て替えてもらった費用は分割で返済していけば良く、返済額も5,000円~10,000円で手数料も発生しないため良心的です。
そのため、「お金がなくて弁護士費用が用意できない・・・」といった人でも、利用しやすくなっています。
法テラスにはこうしたメリットがあるため、お金がないときに弁護士を利用するなら、是非活用するのがおすすめです。
離婚後の生活費用
離婚後の生活費用も用意しておかなくてはいけません。
特に新居へ移る場合、引っ越し代や敷金礼金、家具や電化製品などの生活必需品の購入費用も必要になってきます。
これだけでも数十万円単位はかかるかと思います。
このように、熟年離婚する際には弁護士費用とひとり暮らしの費用が必要になってくることがあり、どちらも数十万円単位のお金が必要となるケースが多いです。
離婚するときにお金はかかる?
熟年離婚した後のことを考える前に、そもそも離婚するときに何かしらのお金は必要なのでしょうか。
基本的に離婚というのは妻と夫の話合いによって行われるため、そこに費用が発生するようなことはありません。
しかし、財産分与等で話がこじれて弁護士の先生にお願いするような必要がでてきた場合には、弁護士費用として数十万円が必要になる可能性があります。
仮に専業主婦であったとしても、夫婦であった以上、それまでに貯めた貯金(財産)は夫婦共有とみなされますから、基本的には現在の貯金額の50%程度をもらうことは可能です。
しかし離婚に応じない理由として、財産分与を拒否することも珍しくはありません。
そうなると個人間での話合いではどうにもならないので、専門の弁護士などに介入してもらう必要があるのです。
お金をどう分けるかという問題を解決するためにお金を使うのは、どこか本末転倒のような気もしますので、財産分与ではお互いにある程度妥協する姿勢が必要かも知れません。
慰謝料等が発生するのであれば話は別
しかし、円満離婚ではなくどちらかがどちらかに慰謝料を支払わなければならないような状態なのであれば話は別です。
財産分与の段階で慰謝料分として多くもらったり、逆に支払ったりすることもあるでしょう。
慰謝料支払いに関しては、これまで積み上げてきたものが原因となっていることが多いため、離婚を目前にして気をつけてみてもどうしようもありませんが、離婚の際に不利になるような言動はしないように日頃から気をつけておくといいでしょう。
また配偶者からのDVやモラハラが離婚の原因である場合には、その証拠を提出することで、適正な金額の慰謝料をもらえる可能性があるため、物的証拠となる日記や暴力を受けたときの写真などをこまめに保管しておくことも重要になってきます。
熟年離婚して手に入るお金
ここまで解説してきたように、熟年離婚には何かとお金がかかります。
そのため、「今一歩離婚に踏み切れない・・・」という人も多いのも事実です。
しかし、安心してください。
以下の対処法を参考にしてもらえば、何とかなる可能性があります。
始めに離婚時に得られるお金を知っておくことが大切です。
女性の場合、離婚時に得られるお金があることが多いです。
そのお金とは以下のようなものです。
- 財産分与
- 年金分割
- 慰謝料
- 養育費
- 退職金
よく聞く言葉ではありますが、具体的にどのような内容になっているのかを見てみましょう。
①財産分与
財産分与とは、結婚期間に夫婦間で築いた財産はふたりのものという考えによるものです。
よって、先に話したように夫婦で築いた財産の半分は妻が受け取れます。
対象は結婚してからの貯金や保険など、すべての夫婦名義の財産になりますので、事前にどれくらいの財産があるのかを確認しておきましょう。
②年金分割
年金分割とは、夫婦間で支払った「厚生年金保険料」を決められた割合で分割する制度です。
対象となる年金は「結婚していた期間に支払った分のみ」となります。
そのため、婚姻期間が20年なら20年分の年金が年金分割の対象です。
③慰謝料
相手の不法行為(浮気や不倫・DV・暴力など)が原因で、離婚する際は「慰謝料」を請求できます。
慰謝料がどれくらいもらえるのかは状況によりますし、日本は「協議離婚(家庭裁判所を通さずに当事者で話し合う離婚方法)」がほとんどのため、何とも言えません。
家庭裁判所を通す場合ですと、一般の夫婦の場合、50万円~300万円が相場とされています。
ただし、浮気で慰謝料を請求する場合は「時効」に注意が必要です。
配偶者の浮気の事実を知ってから3年、浮気の事実があってから20年で時効となるため、時効が成立していると慰謝料を請求できません。
④養育費
未成人のお子さんがいてかつ、親権者になった場合は「養育費」を得ることができます。
養育費がもらえる期間はお子さんが20歳になるまでで、養育費は夫婦双方の年収をもとに、家庭裁判所が定める基準に基づいて金額が決まるのです。
ただし協議離婚でも調停離婚でも、養育費を支払わないケースは年々増加しています。
仮に支払いがなかった場合、家庭裁判所に訴え出て支払うように勧告を出してもらうことは可能です。
勧告にも応じなかった場合には、給与差押えなどの強制執行に踏み切ることもありますが、そもそも勧告書を送る住所などが不明であれば、裁判所に依頼をしてもなかなか動いてくれないのが現状です。
そのため養育費に関しては、確実に子供が成人するまでもらえるお金ではないと認識しておきましょう。
⑤退職金
退職金も貯金と同じく夫婦で作った財産とみなされます。
婚姻関係にあった年数分で計算を行い、財産分与をすることは可能です。
また、まだ退職金をもらってはいないという場合も、婚姻年数で算出し受け取ることもできます。
しかし余りにも遠い将来の話であれば、現在の勤務先で働いている確証がないこと、本当に退職金が支払われるのかも不明であることから、話合いは困難になることが多くなってきます。
年金はどのように取り扱われる?
定年退職後の主な収入源は年金となりますが、離婚するとなるとその年金をどのように取り扱うのかも気になるポイントでしょう。
以前までは例えば夫が働いて妻が専業主婦であったような場合には、年金はすべて実際に働いていた夫のものととらえられていました。
しかし夫が働くことができていたのは妻の支えがあったからこそだという根強い意見にも推される形で、2007年から年金分割制度が始まりました。
この制度があるおかげで、仮に熟年離婚をしたとしても、収入が全くなくなってしまうという心配はありません。
しかし注意しておかなければならない点は幾つかあり、例えば夫が年金を受給できる年齢に達していたとしても妻が年金を受給できる年齢に達していなければ、妻は分割された年金を受け取ることができないことを覚えておきましょう。
また、この分割制度が適用されるのは厚生年金と共済年金だけであり国民年金は適用対象ではないので、妻若しくは夫が自営業で生計を立てていたという場合には、離婚後に年金を受け取ることはできません。
離婚後のお金に問題がある人の救済措置
「離婚後もらえるお金があっても生活していける金額ではない」など、離婚後のお金問題に頭を悩ませてしまうこともあるでしょう。
慰謝料や養育費ももらわない条件で離婚したのならば、なおさらです。
しかし離婚後も生活をしていくだけのお金はどうしても必要になってきます。
離婚後に生活に困る可能性がある人の救済措置にはどのようなものがあるのか見てみましょう。
離婚時に離婚後扶養を取り決める
例えば今まで専業主婦で、すぐに就職できる目途が立たない状態である人や、高齢者のため再就職先がない、という状況ならば離婚後扶養を取り決めておくといいです。
離婚後扶養とは、通常、籍を抜いたならばその相手に対し、何の扶養義務もありません。
しかし、明らかに離婚後の生活が困窮することは分かっている場合には、社会的な自立ができるまでの期間、生活費を支払ってもらったりできるのです。
実際の扶養からは外れますが、落ち着くまで生活費の保証をするという点で、扶養目的の財産分与として権利があります。
ただしこれも養育費と同じで、口頭だけの約束では、いずれ支払いが止まってしまう可能性は多いにあります。
そのため事前に公正証書を作成しておくといいでしょう。
母子家庭なら助成金を申請する
離婚後に母子家庭となる人の場合、以下のような助成金等を受け取れる可能性があります。
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離婚時には上記のようなお金を受け取れる可能性がありますので、そのお金で離婚後の生活の不安を払拭することも可能です。
離婚準備中の別居の生活費について
離婚をする前に、互いの冷却期間として別居を選択する夫婦も珍しくはありません。
しかしここでもお金の問題がでてきます。
出ていかれたものからすれば「勝手に嫌になって出ていったのだから、生活費なんて渡す必要なんてない」と考えてしまいますが、別居中の生活費も夫婦である以上、支払ってもらうことは可能です。
もちろん夫婦の話合いで決まれば、わざわざ裁判までしなくてもいいのですが、恐らくこの話を聞いて「分かった」と快諾する人は少ないでしょう。
そのため裁判所を活用するのですが、支払わなかったからと言って、何か罪に問われるような効力はありません。
そのため事前に家庭裁判所で別居中の生活費について申立てを行う必要があります。
熟年離婚した専業主婦の末路
今まで長年我慢をしてきたのですから、多少生活の不便があってもやはり自由を取り戻したいものです。
しかし、今までパートなどで何かしらの収入を得ていた主婦が離婚するのと、長年専業主婦だった人が離婚するのとでは、大きく変わることは事前に知っておいて損はないでしょう。
離婚後、考えられるデメリットを事前に把握して「それでも離婚したい」と思えるほどの気持ちがあるのかを一度ここで自問自答してください。
女一人暮らしの生活費にも欠く毎日
離婚後、ひとり暮らしを選択するのならば、何時に帰ってこようと誰からも口うるさく言われることがない自由な生活がそこにあります。
しかしある程度貯金や財産があったとしても、収入が増えなければお金が減っていく一方です。
就職活動をしても、簡単に就職先が決まる年齢ではありません。
ひとり暮らしとなれば家賃の他に水道光熱費や食費なども発生しますから、日々生活していくのでやっとという生活になってしまうのは避けられないことだと認識しておきましょう。
生活保護のお世話になる
生活が立ち行かなくなれば、生活保護のお世話になることも検討しておかなくてはなりません。
生活保護を申請する際には、なぜ働けない状態になっているのか、頼れる親族はいないのかなど、触れてほしくない傷を触れらます。
無事生活保護の申請にとおったとしても、月々何にどのくらいの金額を使ったのかなど申告しなくてはなりません。
再婚しても幸せになるとは限らない
婚姻中に他に好きな人ができ、その人とこれからの人生を歩みたいと考えて離婚をしたという場合には、離婚後にどうするのか考えておかなければいけません。
離婚したとしても必ずその交際相手と再婚できる確証はありませんし、仮に再婚までしたとしても罪悪感などでなかなか精神的に安定しないことも考えられます。
また子連れ再婚をした場合には、新たに家族となる人と子供の相性が最優先になってきます。
いくら好きであったとしても子供の反対を押し切ってまで再婚すれば、いずれ家族間でまたひずみが生まれてきます。
離婚後に生活苦に陥らないためには
離婚してからも、うまくいけば年金分割制度などでお金が入ってくることは分かりましたが、それだけでは離婚後の生活は心もとないです。
離婚後に生活苦に陥らないためには、どのようなことを心がけておけばいいのか見ていきましょう。
アルバイトやパートの当てをつけておく
熟年離婚を行おうと思う場合、突発的にそう思うのではなく前々から考えていてちょうどいいタイミングを見計らって実行するというケースが大半だと思います。
そのため、離婚後のお金をどうしようかということを考える時間はたっぷりあるはずです。
そこで、離婚後にすぐに働くことができるように、アルバイトやパートの当てをあらかじめつけておくといいでしょう。
離婚する直前に働き始めてしまうと、「何を急に」と思われて怪しまれてしまう可能性が高いので、実際に働くのは離婚してからをおすすめします。
ただし、貯金や養育費などの当てがあって離婚してからすぐにお金に困るという状況でない人はいいですが、離婚後すぐにお金に困る状況だという人は離婚前から働き始めておくといいかも知れません。
へそくりなどを貯めておく
収入を得る手段を確保したとしても年金はもらえる年数が決まっていますし、アルバイトやパートもずっと働き続けられるわけではないため、蓄えがなければ心もとないものです。
今まで家族として貯めてきた貯金は、双方にどれぐらいの比率で分配されることになるか分からないので、自分独自の蓄えを少しずつ貯めておくといいでしょう。
配偶者に秘密の自分だけの蓄えと聞くと真っ先に「へそくり」が思い浮かぶと思いますが、そのように古典的な形でお金を貯めておいてもいいですし、株式などに資産を投資しておいてもいいので、いろいろな形で蓄えを確保しておきましょう。
お金のかからない生活スタイルにする
収入や蓄えを確保しておきたいのは、生活していくためにはお金が必要だからに他なりませんが、生活スタイルによっては余りお金を必要とせずに過ごしていくことも可能です。
結婚している間は都会に住んでいたとしても、離婚を期に田舎に移住して自給自足に近いような生活を始めれば、お金はそこまで必要ないかも知れません。
引っ越しなどで一時的にお金が出ていくことにはなると思いますが、その後の生活費を抑えられることを考えれば決して高くはない出費です。
老後を住み慣れた場所で過ごすことができないということをデメリットに感じるかも知れませんが、「老後」ととらえるのではなく「第二の人生のスタート」ととらえることによって、心機一転新しい場所での生活をスタートすることも考えてみてください。
リバースモーゲージが活用できるかも
最近日本の銀行でも少しずつ取り扱うところが増えてきているリバースモーゲージというローンが、熟年離婚をした後のお金の問題を解決することに活用できるかも知れません。
リバースモーゲージでは、持家を担保にして融資を受けることができるのですが、その返済は借主が亡くなったときに担保に入れていた住宅を売却する形で行うという特徴があります。
自宅を継ぐ人がいない高齢者の人にとっては、自宅を売却することなく老後に必要なお金を得ることができる方法として人気を集めているのですが、リバースモーゲージで借り入れたお金を離婚の際に分割すればしばらくは生活が安泰な状態が続くでしょう。
リバースモーゲージは住宅を担保にして受ける融資なので、数千万円単位のかなりまとまった金額のお金を借り入れることができます。
そのため、円満離婚でないと借り入れたお金の分割割合でもめかねないことには、注意しておく必要があるでしょう。
また、不動産価格が下落して融資限度額を割り込んでしまうと、借主が存命であるにも関わらず一括返済を求められてしまうというリスクもあります。
非常に特殊なローンなので、実際に利用する場合には特徴やメリット・デメリットをしっかり把握したうえで、決断するようにしましょう。
まとめ
離婚を考えるときに用意しなくてはいけないお金は、主に「弁護士費用」と「離婚後の生活費用」です。
これらは数十万円単位になるケースも多いため、用意するのは簡単ではありません。
しかし、法テラスをうまく利用することや、離婚後にもらえるお金や利用できる制度を把握しておけば、どうにかできる可能性があるので諦める必要はありません。