借金返済のためには保険解約すべき?
カードローンなどの借入が膨らんで、借金返済が苦しくなって来た時に考えるべき1つが、「保険解約した方が良いか?」です。
保険で損もしたくないけど、支出も大きいので、保険解約するかどうかは悩みどころです。
今回は保険解約について説明します。
- 執筆者の情報
- 名前: 芦田春馬
年齢:39歳
性別:男性
職歴: 平成13年に都市銀行に就職。その後、ノンバンクに転職
保険の見直しは大切
借金返済額が大きくなって、支払が困難になってきた時には、家計を見直しして、返済余力を高めることが必要です。
つまり、減らせる支出を減らして、借金返済に充てられるお金を増やすということです。
その対象となる支出の1つに、保険があげられます。
保険料支払の無駄というのは意外に多いので、見直すと、保険料が大幅に減るということがあります。
友人・知人や、職場にくる保険の外交員などに頼まれて、保険に入ったけど、内容を良く解っていないという方も少なくありません。
本当にご自身に必要な保険かどうかを見直してみるのが良いでしょう。
例えば、単身世帯であるにも関わらず、多額の生命保険・死亡保険に加入していたり、怪我や病気に対する不安から、医療保険に何口も加入している場合があります。
また、家族構成や、家族の年齢の変化によって、必要な保障が変わるということもありますので、借金返済に困った時には、加入している保険の内容や、量が適切かを確認して、必要がないものは保険解約することも必要です。
以降では、その際に気をつけたい点や、特に保険解約時に注意すべきポイントを解解説いたします。
解約返戻金は確認
保険解約する効果は、毎月の保険料支払を減らすだけではありません。
「解約返戻金」のある保険であれば、解約返戻金を借金返済にあてることができます。
解約返戻金というのは、保険契約者が払い込みを行った保険料の一部が、解約時に返戻金として戻ってくることがあるのです。
終身保険や、養老保険といった保険に多いですが、なかには解約返戻金の無い保険もありますので、保険約款で確認するか、保険会社に問い合わせてみるのが良いでしょう。
もし、現在加入している保険に解約返戻金があるのなら、保険を解約して借金返済にあてるのも良いでしょう。
カードローンで借入している場合、銀行でも14%程度、消費者金融では18%程度の金利を支払っていることが多いでしょう。
解約返戻金も保険会社で運用されて、将来的には払い込み額を上回る解約返戻金を受け取れる可能性もありますが、借入の金利を上回る可能性は低いでしょう。
もし、ご自身の加入されている保険に解約返戻金があるなら、有効に活用されることをおすすめします。
解約しない方が良い保険は?
一方、解約しないほうが良い保険というものもあります。
借金返済が厳しいからといって、全ての方が保険を解約した方が良いというわけではありません。
例えば、生命保険や、医療保険では、一定の年齢を超えて再加入すると、保険料が高額になってしまったり、過去にかかった病歴によっては、あらたに生命保険に加入できなくなってしまうこともあります。
保険加入する際に「告知事項」を記載したことのある方は多いでしょう。
こういった方は、「一旦」保険解約して、借金返済が終わってから再度加入しようとして思っていても、簡単ではありませんので、保険解約は慎重に判断しなければいけません。
中高年齢以上の方や、告知対象となる病歴のある方は、最低限度の保険については解約せず、継続した方が良いこともあります。
また、それ以外の理由として、現在加入している保険の満期が近い場合には、満期を待って解約した方が良いこともあります。
通常、保険を途中解約すると、解約返戻金が減額されてしまいます。
満期が近いのであれば、待って解約した方が解約返戻金が増加することもありますので、解約前に条件を確認しておきましょう。
一時的な理由なら契約者貸付もある
借金返済の必要から保険解約を考える場合においては、「契約者貸付」の制度も知っておいたほうが良いでしょう。
契約者貸付とは、保険契約者が保険会社からお金を借入できる制度です。
但し、保険に加入している全ての方が利用できるわけではありません。
「解約返戻金」のある保険を契約している方が利用できる制度です。
先ほどのご説明で、「満期が近い」場合には、解約しないほうが良い事もあるとご説明しました。
また、それ以外にも、借金返済でお金に困っているのが一時的な要因であって、しばらくすれば、収支が正常に戻ると言う場合には、保険解約をせずに、契約者貸付を利用した方が良い事もあります。
契約者貸付の詳細な条件は、契約している保険内容や、保険会社に拠って異なりますが、多くは解約返戻金の7~9割程度の金額を、2~3%程度の金利で借入することができます。
カードローンなどの借入に比べれば大幅に低金利となりますし、解約返戻金があれば、実質無審査で借入できるのも契約者貸付の特徴です。
「今解約してしまうと損」、「もったいない」という場合には、契約者貸付を利用することも検討されてみるのが良いでしょう。
債務整理が必要なら
もし、債務整理を検討されている場合には、保険解約に関して疑問を持たれる方もいると思います。
例えば、「自己破産した場合、現在加入している保険は、強制的に解約しなければいけないのか?」という疑問があるでしょう。
保険解約が必要なケース
年齢や、過去の病歴などの関係で保険に新規加入することが難しい方にとって、強制的に保険解約が必要となるなら、自己破産を躊躇してしまうこともあるかもしれません。
結論を言えば、自己破産時に保険解約が必要となるケースもありますが、それぞれの破産事件の状況や、裁判所の判断もあり、ケースバイケースというのが答えとなってしまいます。
保険には、積立型の保険と、掛け捨て型の保険があります。
前述の解約返戻金があるタイプが積立型です。
毎月の保険料支払いはあるけど、解約しても返ってくるお金が無い生命保険や医療保険などは掛け捨て型の保険になります。
自己破産の際に保険解約の対象となるのは、解約返戻金のある積立型の保険です。
解約返戻金が20万円以上あれば、自己破産でも返済にあてるべき資産と見なされて、保険解約が必要となることがあります。
自己破産において、現金化して借金返済にあてるべきかどうかの判断基準の1つは、20万円を超えるかどうかなのです。
但し、20万円未満であっても、自己破産時の自由財産として手元に残せる資産の上限(99万円)を超える現預金や、その他の資産がある場合、複数の保険契約があり、合計して20万円以上の解約返戻金がある場合には、保険解約を求められることもあります。
保険解約が不要なケース
生命保険や、医療保険、自動車保険などの掛け捨て型の保険の場合、原則として保険解約は必要ありません。
自己破産では、申立て時点の「資産」を現金化して返済にあてます。
解約しても、返戻金の無い保険の場合、現金化することができませんので、保険を解約するかどうかで、自己破産において債権者に支払う額は変化しません。
そのため、掛け捨て型の保険解約は必要ありません。
まとめ
借金返済が厳しくなった場合には、保険の見直しを行うことは大切です。
友人・知人に頼まれたり、将来への不安から過度に保険に加入しているのであれば、必要以上の保険は解約して、毎月の費用を減少させることは大切です。
また、解約返戻金のある保険であれば、返済に充当して、借金自体を減少させたり、支払い利息を減らす効果も期待できます。
解約返戻金のある保険は、金額によっては、自己破産時にも保険解約を求められることもあります。