ディーラーローンは借り換え可能?
自動車を購入するときに、メーカーのディーラーや中古自動車屋さんからローンを勧められることがあります。
「手続きが簡単だから」などの理由で、自動車屋さんを窓口にこのようなローンを借りると、金利が高いことが一般的です。
銀行の自動車ローンの低い金利を見て「失敗したなぁ」と思っている人も少なくないのではないでしょうか?
このようなディーラーローンは銀行の自動車ローンで借り換えることが可能です。
しかし、例え金利の低い銀行ローンに借り換えたとしてもメリットが出ないばかりが損をしてしまう場合もあります。
この記事ではディーラーローンの概要や、ディーラーローンを銀行ローンへ借り換える際の注意点などについて解説していきます。
- 執筆者の情報
- 名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当
目次
ディーラーローンとは
そもそもディーラーローンとはどのようなローンなのでしょうか?
簡単に言えば、銀行や信用金庫以外の貸金業者から借りる自動車購入のためのローンです。
自動車ディーラーの自動車ローン
自動車メーカーは子会社にクレジット会社を持っています。
トヨタもホンダも日産も全て傘下にこのような会社を抱えています。
メーカーは車を買う人にお金を貸し付けることができればさらに利息で収益をあげることができるため、ディーラーの担当者はローンのノルマを持っています。
このため、車を購入する際にディーラーの営業担当者がローンを勧めてくることが多いのです。
ディーラーローンで割引も
ディーラーローンを利用することで、車両の価格が割引になったり、オプションが無料になったりすることがあります。
メーカーからすると、ローンを利用してもらうことによって、利息収入を得ることができるため、その一部を割引やオプションによって還元しているのです。
割引やオプションが付くからディーラーローンの方が必ずしも得になるわけではありません。
数万円のオプションを付けてもらうために高い金利を払うのか、銀行のローンを利用したほうが得になるのかをよく勘案してディーラーローンを利用したほうがよいでしょう。
ディーラーローンの金利は高い
一般的にディーラーローンの金利は高く設定されています。
会社や時期によって違いはあるものの、5%〜8%程度というのが相場でしょうか?
キャンペーン時にはこの金利が半分程度になることがあります。
200万円を5年ローンで金利6%で借りた場合の利息負担額は総額で約32万円にもなります。
このため、ディーラーは数万円のオプションを無料でつけても十分に利益を出すことができる構造になっているのです。
信販系のローンはさらに高金利
中古自動車屋さんで自動車を購入する場合には、オリコなどの信販会社のローンを勧められることが少なくありません。
しかし、このようなローンはディーラーローンよりもさらに高金利になっており、基本的には10%を超える金利になることがほとんどです。
上記と同条件で金利10%のローンを借りた場合の利息負担額は約55万円にもなります。
利息負担だけでさらに他の車に手を出せそうなくらいの金額になりますので、自動車屋さんに勧められたからといって、最初から信販会社のローンに手を出すことはおすすめできません。
こちらもローンを利用すると高級ナビ無料などのキャンペーンを行っていますが、信販会社がこれだけの利益を出すことができ、販売店にはバックがあることを鑑みればオプションを無料付帯しても十分にお釣りが来る構造になっているのです。
銀行ローンに借り換え可能?
割引が受けられるとか、オプションをつけられるなどの理由でディーラーローンを借りてしまった人が、後から銀行のローンに借り換えることはできるのでしょうか?
銀行自動車ローンは借り換えにも利用することができますが、銀行のローンには金利以外にも保証料が発生することが多いため注意が必要です。
銀行ローンの金利
銀行の自動車ローンの金利は2%〜4%程度というのが相場です。
先ほどと同条件で金利3%でお金を借りた場合の利息負担額は約16万円ですので、ディーラーローンや信販会社のローンと比較した場合の利息負担額の違いは一目瞭然です。
このため、自動車購入時にはまず銀行に審査を上げた方がよいと言われるのです。
保証料に注意
銀行のローンには保証料が別途必要になる場合があります。
保証料は0.5%~2%程度必要になり、原則的には借入時に一括で支払う必要があります。
先ほどと同条件で保証料が1%の場合には、約51,000円の保証料が必要になります。
利息負担額との合計で約21万円程度ですので、保証料を含めても銀行の自動車ローンに分があります。
この費用は借り換え時にも発生するため注意してください。
銀行自動車ローンは借り換え可能
ほとんどの銀行の自動車ローンで他社の自動車ローンを借り換えることができます。
このため、ディーラーローンや信販会社の自動車ローンや他の銀行などの自動車ローンも借り換え可能です。
借り換えには返済予定表が必要になりますので、借り換えを検討している人は返済予定表を持参して銀行へ相談に行きましょう。
残価設定は借り換え不可
ディーラーローンには残価設定ローンも存在しますが、残価設定ローンの場合には銀行の自動車ローンでの借り換えは不可能です。
残価設定ローンは車の名義がディーラーやリース会社となっているため、本人名義の車を購入するための銀行ローンでは借り換え不可能なのです。
借り換えの注意点
ディーラーローンや他のローン会社の自動車ローンを銀行のローンに借り換える際にはいくつか注意点があります。
場合によっては借り換えをしたことによって損をしてしまうこともあります。
以下の注意点をしっかりと踏まえて、損をしない借り換えを行いましょう。
アドオン金利に注意
ディーラーローンや信販会社のローンを借り換える際に最も注意すべき点はここです。
アドオン金利とは将来払う予定の利息まで、元金に乗せられていることです。
アドオン金利の計算方法は非常にシンプルです。
100万円を借りて金利が10%であるならば、100万円×10%=10万円が利息の支払総額です。
実際にお金を借りる場合には100万円+10万円=110万円が借入額となり、この金額を返済回数に合わせて分割していくことになります。
10回返済であれば毎月11万円ずつ返済していきます。
1回返済が終わった段階で、借り換えを検討した場合には、残高は110万円−11万円=99万円ですので、この99万円を借り換えることになります。
つまり、未払いの将来の利息分まで乗った金額を、金利をつけて借り換えることになりますので、借り換えをすることによって利息に対して利息が発生してしまうのです。
このため、アドオン金利は借り換え後のローンの金利が何%であろうと、借り換えを行う意味は全くありません。
一括返済額はいくらか確認
借り換えを検討する場合には、一括返済額がいくらになるのかを確認しましょう。
将来払う予定の利息まで一括返済しなければならない場合には、借り換えのメリットは全くありませんので、借り換えを諦めるしかありません。
保証料を計算
次に借り換えを行う銀行に問い合わせを行い、一括返済額に対して発生する保証料はいくらになるのかを確認しましょう。
銀行の中には審査によって保証料が変動するという商品もありますので、とりあえず仮審査を上げて、保証料が決定してから借り換えを検討するというのも1つの方法です。
総額で安ければ借り換えを
現在支払っているローンの返済額×残り返済回数>借り換え後のローンの毎月返済額×残り返済回数+保証料となっていた場合には、借り換えによってメリットを得ることができます。
この場合には借り換えを検討しましょう。
アドオンや保証料のために、借り換えを行うことによってむしろ損失が発生することもあるため、借り換えの検討は慎重なシミュレーションを行うことを忘れないようにしてください。
なお、このようなシミュレーションは銀行へ現在借りているローンの返済予定表を持参した上で相談すれば、銀行員が行ってくれます。
まとめ
ディーラーローンや信販会社のローンは金利が高く設定されていることが一般的です。
このようなローンを利用すると、車の割引やオプションの無料付帯などを受けることができます。
しかし、ほとんどの場合、膨大な利息負担に比べて少しの特典しか得られませんので、できれば最初から銀行の自動車ローンを利用するに越したことはありません。
すでに、金利の高いディーラーや信販会社のローンを組んでしまったという人は銀行の自動車ローンで借り換えを行うことができます。
借り換えの際には①アドオン金利か否か②借り換え後の自動車ローンの保証料はいくらになるのかを入念に調べ、メリットが出る場合には借り換えを実行しましょう。
安易な金利の比較だけで借り換えをしても損をすることもあるため注意が必要です。
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