SBI新生銀行の法人向け融資の特徴を解説します
資金調達を希望する法人が、調達先の候補として加えておきたい金融機関に「SBI新生銀行」があります。
SBI新生銀行は、融資を希望する法人ごとの状況にあわせ、最適な融資をアレンジしてくれます。
SBI新生銀行の融資商品の特徴についてご紹介します。
- 執筆者の情報
- 名前: 芦田春馬(39歳)
職歴: 銀行と消費者金融,計15年勤務
目次
SBI新生銀行ってどんな銀行?
SBI新生銀行というのは、東京都中央区に本店を置く大手銀行です。
SBI新生銀行は、元々は、「日本長期信用銀行」という名称で営業しており、割引金融債、利付金融債などを発行して、一般から資金調達していたこともあり、「長銀」と呼ばれて親しまれていた銀行です。
融資業務としては、主に大企業を中心とする法人向けに、設備投資などの長期資金を専門とする貸付業務を行っていました。
その後、バブル崩壊後の不況で経営破たんし、一時的に国有化された後、現在は、「SBI新生銀行」と名称を変更して営業しています。
元々、日本長期信用銀行として、大企業を中心に、設備投資向けの融資を行ってきましたが、SBI新生銀行になってからは、個人向けカードローンや、住宅ローン、運用商品など、リテールと呼ばれる分野に力を入れています。
その一環として、現在は、中小法人も利用できる融資商品を数多く用意しています。
以降では、SBI新生銀行が行っている融資商品の特徴についてご紹介していきます。
コーポレートローン
SBI新生銀行の融資商品のうち、主要となるものには、コーポレートローン・シンジケートローン・ローンアレンジの3つがあります。
それぞれの融資の特徴をご説明していきます。
1つ目の融資商品として、SBI新生銀行が行う「コーポレートローン」から始めましょう。
「コーポレートローン」とは、SBI新生銀行が、これまでに金融分野において培ってきた経験と実績を最大限に活かし、法人や個人事業主の資金ニーズに対応するための融資商品です。
コーポレートローンでは、資金を調達する法人の希望や状況に応じ、短期、長期、外貨建てローンなど、さまざまな形態での融資で対応してくれます。
さらに、金利形態も、固定金利、変動金利、キャップ付きなど、さまざまな方法から選択することができます。
なお、キャップ付というのは、変動金利のように、経済環境に応じて金利は変動しますが、一定水準以上に上昇しないよう、制限を設けた契約です。
コーポレートローンは、資金調達を希望する法人や、個人事業主の状況に合わせ、「柔軟」に対応することを前提とした融資であり、「オーダーメイド型」融資と言っても良いでしょう。
ローンアレンジ
次に、SBI新生銀行独自の融資制度として、「ローンアレンジ」のご紹介です。
「ローンアレンジ」は、他の金融機関では見られない、珍しいタイプの融資商品です。
SBI新生銀行では、資金調達を希望する方と業務委託契約を締結し、希望する条件で融資を行う「貸出人候補者」を探し出し、ローンを成立させる業務を行っています。
つまり、直接、SBI新生銀行が融資する前提ではなく、他の金融機関から融資を得るための「アドバイザー」や、調整役になるという制度です。
ローンアレンジを利用する場合、貸し出し人となる金融機関は、「地域金融機関(地方銀行など)」がメインとなります。
SBI新生銀行は、全国の地方銀行をはじめとして、その他にもさまざまな金融機関と密接なネットワークを持っており、そのネットワークを最大限に活用して、全国の地域金融機関と、資金調達希望者をマッチさせる業務を行っているというわけです。
SBI新生銀行は、各地域金融機関と、資金調達希望者の条件を調整するコーディネーターとなり、調達希望者のために、借入額の極大化や、調達コストの抑制などを図ってくれます。
実際に、「貸し出しを行うプロ」の金融機関の立場から、資金調達を希望する法人のサポートを行ったり、金融機関の調整役を担ってくれますので、「円滑な資金調達」、「条件の改善」などが期待できます。
一方、SBI新生銀行に対する「業務委託料」が発生しますので、資金調達の規模次第では、むしろ手数料が発生する分、割高になってしまう可能性があります。
ある程度規模の大きい資金調達を行う方や、業種などの条件から、融資審査に通り難く、資金調達が難しい法人の方などに適した調達方法と考えられます。
シンジケートローン
3つ目の融資として、「シンジケートローン」があります。
シンジケートローンとは、「協調融資」と呼ばれることもあり、複数の金融機関が共同して、1つの融資を行う方法です。
シンジケートローンでは、「シンジケート団」と呼ばれる、複数の銀行が共同して融資するためのグループをつくり、単一の融資契約書に基づき、同一条件で融資を行ないます。
資金調達金額が大きかったり、リスクが高い融資などで、単独の銀行で融資を行うのに適さない場合などに利用される融資方法です。
資金調達する法人にとっては、単独の銀行毎に相談しても話がまとまらなかったり、融資の承認が得難い場合に、資金調達が行いやすくなるメリットがあります。
SBI新生銀行は、融資を行ってくれる銀行を募ったり、条件交渉を行うなど、シンジケート団の組成や、融資実行に向けて準備を行ってくれるなど、資金調達を行う法人の代理人としての立場からも調整を行ってくれます。
また、シンジケートローンでは、1つの融資に対して、複数の銀行が加わりますので、資金する法人は、取引銀行を増やし、資金調達を安定化させるというメリットも生まれます。
一方、シンジケートローンは、複数の金融機関が共同で融資を行う方法ですので、ある程度規模が大きく、まとまった金額の融資で無ければ利用ができません。
そのため、小口の融資には利用しづらいというデメリットもあります。
その他の融資商品
SBI新生銀行が取り扱う、主だった融資は以上の3つとなりますが、それ以外にも様々な融資を行っていますので簡単にご紹介します。
不動産ノンリコースファイナンス
ノンリコースファイナンスとは、「非遡及型融資」とも呼ばれる融資方法です。
収益を生む不動産の購入や、不動産開発に利用されることが多く、融資に対する返済原資を、その不動産から生まれる収益の範囲内でのみ行う方法です。
仮に、不動産の収益力が低下して、返済が出来なくなったとしても、借入人の他の資産や、その他事業から返済を求めないという特徴があります。
そのため、対象となる不動産を売却すれば、それ以上に請求(遡及)されずに済みます。
ノンリコースファイナンスの対象となる不動産は、賃貸物件や、商業施設、店舗などであり、不動産から収益が生まれるものとなります。
SBI新生銀行は、ノンリコースファイナンスを、他行に先駆けて2000年から開始しており、豊富な実績や、経験を有しています。
ベンチャー企業向けファイナンス
SBI新生銀行では、成長意欲や成長ニーズの高い「ベンチャー企業」に対して、投融資等のファイナンスだけでなく、成長に向けて、融資以外のサポートも行ってくれます。
ベンチャー企業の資金調達においては、業歴や、担保不動産、成長性など、通常のパッケージ型の融資商品では利用しづらいということもあり、SBI新生銀行ではオーダーメイドにて融資対応を行ってくれます。
今後の成長性は見込めるけども、現時点の資金調達に問題があるという法人は、SBI新生銀行に相談されてみるのが良いでしょう。
まとめ
SBI新生銀行は、他の地方銀行などと比べ、少し違った方法で資金調達ができる銀行です。
完全にパッケージ化された「ビジネスローン」などは用意されていませんが、資金調達を希望する法人や、個人事業主ごとにオーダーメイドで融資してくれたり、他の地域金融機関を調整してくれるなどのサポートを行ってくれます。
さらに、シンジケートローンなど、金額規模の大きい融資に対応してくれますし、資金調達が難しくなりがちなベンチャー企業にも融資してくれます。
これから資金調達を希望する法人の方は、SBI新生銀行も検討に加えられることをおすすめします。
タグ:銀行カードローン