公的機関から法人が受けられる公的融資制度にはどんなものがある?

中小法人や個人事業主が是非活用したい融資として、公的機関が取り扱う公的融資制度があります。

制度の対象となる方には、様々なメリットの多い融資となりますので、最大限活用したいところです。

公的融資制度についてご紹介しましょう。

執筆者の情報
名前: 芦田春馬(39歳)
職歴: 銀行と消費者金融,計15年勤務

公的機関とは?

そもそも「公的機関」というのが、どういったところかご存知でしょうか。

公的機関には、国や、地方自治体など、直接的に「公」と言えるような機関もありますが、それ以外にも、政府が出資して設立している法人などがあります。

代表的なものとしては、日本政策金融公庫や、商工中金、沖縄振興開発金融公庫といったものがあげられます。

それぞれ、特定の「政府方針・目標」や、「政策」を実現することを目的として設立されています。

例えば、日本政策金融公庫の目的は、個人、中小企業、農林漁業従事者などへの事業資金融資を円滑に行うため、民間金融機関を補完することです。

経済発展のために必要な事業者向け融資だけど、民間金融機関だけでは十分に対応できないものを行うことを目的にしています。

次に、商工中金に関してはどうでしょうか。

商工中金は、「商工組合中央公庫」のことであり、中小企業に安定的に事業資金を供給することを目的としています。

日本政策金融公庫と同様に、民間金融機関の補完を目的としますが、特に、「中小企業団体とその構成員」に対する融資を主な対象としています。

沖縄振興開発金融公庫は、沖縄県内の国民居住者、農林漁業者、中小企業者、病院その他医療施設の開設者、生活衛生関係の営業者等に対し、資金を融資しています。

融資を行う目的は、返還後の沖縄県の経済発展を支援することとなっています。

沖縄県に特化した、日本政策金融公庫のような位置づけと考えれば良いでしょう。

公的融資制度とは?

前述のような公的機関が行う融資のことを、「公的融資制度」と呼びます。

特に、中小法人や、個人事業者など、経営基盤が弱く、民間銀行が融資に対して消極的になりがちな事業者を対象とする融資制度が多く見られます。

公的融資制度を活用するメリットは、制度毎に多少異なりますが、総じて言えば「低金利」で、長期間の安定した資金を、比較的通りやすい審査で受けられることでしょう。

特に、公的融資制度は、対象となる事業者を細かく特定し、支援することを目的にしているため、制度に該当する方は、審査に通りやすく、利用しやすくなっています。

公的融資制度は通年募集されているものと、期間限定で募集されるものがありますので、ご自身にあった公的融資制度が実施されていないかは、定期的に確認して、見逃さないようにしたいところです。

新創業融資制度

それでは、中小法人や、個人事業主が知っておきたい「公的融資制度」について、いくつかご紹介していきましょう。

最初に取り上げるのは、日本政策金融公庫が行っている「新創業融資制度」です。

新創業融資制度では、新規で開業する方が、最大3,000万円(運転資金は1,500万円)までの融資を、無担保・無保証人で借入することができます。

そのため、融資を受けた後、仮に事業に失敗したとしても、経営者個人に返済責任が及ばず、新規開業する方にとって、非常にリスクが低く、安心して利用できる融資制度となります。

開業前でも借入可能

新創業融資制度は、日本政策金融公庫が行う融資制度のなかでも代表的な融資制度です。

新規開業する個人や法人経営者、業歴の浅い法人などに、開業資金を融資してくれる、民間銀行では難しい貴重な融資制度となります。

開業資金融資は、一般的にリスクが高く、それ程利益も見込めないため、民間銀行では取り扱いが難しいためです。

新創業融資制度のメリットは、開業後の事業者だけでなく、これから開業予定の方も融資の対象になることです。

開業前の事業者の場合、決算書などの事業に関する実績がないのが通常ですが、日本政策金融公庫では、事業計画を作成していれば、計画をもとに審査してもらうことができます。

申込できる方の条件は?

事業を開始している方の場合、事業開始後、税務申告を2期終えていない法人や個人事業主であれば、借入申込することができます。

もちろん、事業開始前の法人や、個人事業主も対象になります。

また、業歴以外にも、申込の要件がありますので、以下で確認しておきましょう。

①雇用創出に関する要件

新創業融資制度の対象となる方は、「雇用の創出を伴う事業を始める方」になります。

この要件を満たせない場合、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援事業を受けて事業を始める方」、又は「民間金融機関と公庫による協調融資を受けて事業を始める方」等の要件のうち、いずれかを満たすか、申込金額を1,000万円未満にして申込する必要があります。

②自己資金に関する要件

新創業融資制度では、開業資金総額のうち、10分の1以上を自己資金で賄う必要があります。

ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業」を始める方の場合、もしくは、「産業競争力強化法に定める認知特定創業支援事業を受けて事業を始める方」の場合には、自己資金要件を満たしていなくても借入申込が可能です。

マル経融資

次にご紹介するのは、同じく日本政策金融公庫で取り扱っている、「マル経融資」と呼ばれる融資制度です。

マル経融資は、正式な名称を「小規模事業者経営改善資金」と言います。

その名の通り、小規模事業者が、経営改善に取り組む際に活用できる融資制度となります。

マル経融資を利用するためには、事業を営む地域を管轄する「商工会」、もしくは「商工会議所」で経営指導を受ける必要があります。

経営指導を行った商工会、もしくは商工会議所の指導員が、「経営改善の可能性が高い」と認めた事業者に対して、マル経融資を受けるための推薦状を発行してくれます。

推薦状がもらえないと、マル経融資を申込ことはできません。

なお、商工会、商工会議所の経営指導は、原則6ヶ月以上必要とされていますので、急な資金繰りに対応するような融資としては適していません。

マル経融資では、無担保・無保証で、最大2,000万円までの融資を受けることができます。

商工会・商工会議所の経営指導を受けられる方は、是非、活用されてみても良いでしょう。

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事業再生支援貸付

次に、商工中金が行う融資制度をご紹介します。

商工中金では、国の施策と連携して、独自の融資制度を取り扱っています。

その中で代表的な融資制度として、「事業再生」を目的とした貸付を行っています。

具体的な制度としては、「事業再生支援貸付」や、「企業再建支援貸出制度」といった公的融資制度になります。

一般的に、事業再生を必要とする法人への融資は、リスクが高くなります。

赤字であったり、過剰な負債を抱えてしまっているなど、破綻して返済できなくなってしまう可能性も高くなります。

そのため、民間銀行では、事業再生の対象となる融資は、積極的に行いません。

商工中金では、法的手続きや、私的整理によって事業再生を図る法人や、リストラによる再建を図る事業者に対して、運転資金や、設備資金などの融資を行っています。

まとめ

公的機関と呼ばれる金融機関や、公的融資制度についてご紹介してきました。

公的融資制度は、日本経済の発展のために必要でありながら、民間銀行では行いにくい融資などを行うための制度です。

具体的には、新規開業者に対する融資や、経営改善、事業再生などを目的とする融資などが該当します。

公的融資制度には、それぞれ対象となる方の条件が定められており、あてはまる方は審査に通りやすく、様々なメリットのある融資を利用できるのが特徴です。

中小法人や、個人事業主だからこそ利用しやすい融資制度がありますので、積極的に活用されてみてはいかがでしょうか。

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