銀行融資を左右する企業の格付け(スコアリング)やランキングはどうやって決まる?

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決定

銀行は企業の格付けというものを決定し、格付けに基づいて融資方針や、金利などが決定します。

格付けが高い企業ほど銀行にとって優良な顧客ということができ、融資が出やすくなりますし、低い金利でお金を借りることも可能です。

では、銀行の格付けはどのようにして決定し、どのようにして下落するのでしょうか?

この記事では、銀行からの融資を左右する企業の格付けについて徹底解説を行っていきます。

執筆者の情報
名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当

格付けと債務者区分は繋がっている

銀行は融資方針を決定する企業の格付けと、貸倒引当金を計上する際に使用する債務者区分という2つの評価を融資先企業に対して行っています。

格付けと債務者区分はそれぞれ用途は異なりますが、この2つは同じ決算書などを元に決定するため、明確にリンクしています。

つまり、債務者区分が高ければ格付けも高くなりますし、債務者区分が低ければ格付けも低いものになります。

それでは、双方の違いはどのような点にあるのかを解説していきます。

債務者区分とは?

銀行は融資を行っている企業が急に倒産しないように、融資先企業の債務者区分というものを決めて、その区分に見合った貸倒引当金というものを計上しなければなりません。

これは、バブル崩壊期に銀行が融資先企業の突然の倒産によって、多くの損失を被り、中には倒産してしまった銀行があったことなどの反省に立っています。

債務者区分は上から、正常先、要注意先、要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先という6段階に区分されており、債務者区分が下になればなるほど多くの貸倒引当金を積み立てておく必要があります。

格付けは10〜12段階

格付けとは、債務者区分をさらに10〜12段階に区切ったもので、上からA、B、C1、C2、C3、E1、E2、E3、E4、X1、X2、Zなどと言うように分かれています。

債務者区分が上の企業ほど低金利で融資を受けやすく、問題なく融資を受けることができるのはE1くらいまでとなっていることが一般的です。

債務者区分も格付けも、後述する定量評価、定性評価などをもとに決定し、基本的に決定プロセスは変わりません。

つまり、債務者区分と格付けは連動しています。

債務者区分は引当金を決定

先ほど述べたように、債務者区分は貸倒引当金を計上する際の、決定の基準となるものです。

格付けは融資方針や金利を決定

債務者区分が貸倒引当金計上の根拠になるのに対して、格付けは融資方針を決定するために使用されます。

格付けが高い企業は、積極的融資方針などと融資方針が決定さて、より多くの融資を行い、さらに業務を拡大してもらおうと銀行は方針を固めます。

一方、格付けが低い企業に対しては、融資を行わないと言う方針を固めて、業績の推移を見守るなどの方針を固めます。

債務者区分が融資先の管理に対して使われる指標であるのに対して、格付けは営業推進面で使用される指標とも言えるでしょう。

格付けは3段階の評価で決定する

格付けや債務者区分はどのようにして決定するのでしょうか?

大まかに分けて決定するプロセスは3つに別れています。

第1段階:定量評価

定量評価とは、決算書から企業を評価することです。

貸借対照表、損益計算書などから経営分析を行い、財務的・収益的に問題のない企業ほど格付けは高くなります。

定量評価の際にどのような指標の評価を行い、どのようは配点があるのかは銀行ごとに異なり、公表されていませんが、具体的には以下の指標が分析されていると言われています。

安全性

  • 流動比率 (流動資産÷流動負債)
  • 自己資本比率 (資本金÷総資産)
  • ギアリング比率 (有利子負債÷自己資本)

収益性

  • 売上高経常利益率 (経常利益÷売上高)
  • 総資本経常利益率 (経常利益÷総資産)
  • 当期利益

成長性

  • 経常利益増加率 (当期経常利益÷前期経常利益)
  • 売上高

債務返済能力

  • 債務償還年数 ((有利子負債-運転資金)÷キャッシュフロー)
  • キャッシュフロー (営業利益+減価償却費)
  • インタレストカバレッジレシオ ((営業利益+受取利息・配当)÷支払利息と割引料)

これらの指標でまんべんなく良い数値であると格付けが高くなると言われています。

なお、格付けの決定においては70〜90%が定量評価のウェイトが占めると言われています。

銀行は決算書の内容を審査システムに反映され、上記の計算はコンピューターが行います。

したがって、定量評価はコンピューターが行います。

第2段階:定性評価

定性評価とは、数字では見えない、企業の同業他社との優位性、特別な技術力、経営者の資質、従業員の熟練度、従業員の意識、社会の評価などを銀行員が評価する部分です。

定性評価のウェイトは10〜30%程度と低いものですが、金融庁は定性評価を重視して企業の将来性について融資を行うようにという方針を示しているため、今後は定性評価のウェイトが上がっていく可能性があります。

第3段階:実態評価

決算書の内容を実態に近いものに直す作業です。

決算書の内容は必ずしも企業の実態を反映させているものではありません。

例えば、長期間「役員借入金」という勘定が決算書に計上されている場合、この借入金は返済する意思のないお金でしかも役員からお金を借りていますので、実態としては資本金です。

このため、この役員借入金を資本金に振り替える作業などを行います。

また、1つの取引先への売掛金が長期間動かない場合などは、実際には不良債権化していますので、このような売掛金は損失処理を行い、本来の企業の実態へと決算書を修正する作業です。

粉飾決算がないかどうかもここで判定します。

定量評価、定性評価を行い、最後は銀行員が決算書が実態をしっかりと反映させているかどうかの審査を行い、企業の格付けは決定します。

それではそれぞれの格付けはどのような基準で区分されていくのでしょうか?

正常先とは?

業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる企業は正常先に分類されます。

具体的には「黒字」であり、「債務超過でない」ということが条件になります。

正常先の定義とは

基本的には黒字かつ債務超過でないということが正常先に用件とされていますが、しかし、赤字であっても十分に自己資本があるような場合には正常先に分類されることもあります。

このため、順調な企業が突然の不景気によって一過性の赤字に転落した場合、自己資本さえ充実していれば、正常先のままでいることができるのです。

正常先の格付け

正常先はいくつかの格付けに分類されます。

格付けの分類は銀行によって異なりますが、上からA、B、C1、C2、C3などというように分類されます。

Aの企業は自己資本が充実しており、何期も連続して黒字を計上している財務的にも収益的にも全く問題のない企業が分類され、地方銀行の場合、格付けAという企業は支店に1社あるかないか程度です。

なお、C1くらいまでの企業は銀行はプロパー融資でも積極的に融資を行います。

要注意先とは?

財務内容に問題があったり、軽微な延滞がある企業は要注意先に分類されます。

要注意先の評価とは?

要注意先は具体的に以下のいずれかに該当すると分類されます。

「延滞がある」、「当期利益赤字」、「債務超過」

このような状況であっても業務改善がある場合には要注意先として分類し、銀行は業況の推移を見ながら融資によって支援を継続していくというスタンスになります。

要注意先の格付け

筆者が勤務していた銀行では、要注意先の格付けはE1、E2、E3というように分類されていました。

E1程度であれば、C3と同じような条件で融資を受けることができます。

ただし、要注意先はプロパー融資を受けることは難しくなります。

要注意先は融資が出にくい

要注意先でも信用保証協会付きに融資であれば融資に応じてもらえる可能性は十分にあります。

財務内容に問題があると言っても十分に正常先へと復活することができる見込みがあるのが要注意先であるためです。

基本的には信用保証協会の保証付融資がメインですが、経営改善計画書などがある場合には、プロパー融資によって経営再建を図るというようなケースもあります。

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要管理先とは?

要管理先とは、要注意先のさらに悪いバージョンであると言えます。

経営再建の見込み以上に、破綻の恐れがあるとみなされる企業です。

要注意先の企業の中でも破綻に近い企業が要管理先に分類されると考えたほうがよいでしょう。

なお、要管理先は具体的に以下の条件のいずれかに該当すると分類されてしまう可能性が高くなります。

「3ヶ月以上の延滞がある」

「リスケ(期限延長などの返済条件の緩和)を行なった」

要管理先の格付け

筆者が勤務していた銀行は要管理先はE4というように分類されていました。

要管理先は何も対策を講じずに新規の融資を受けることはほぼ不可能です。

要管理先は経営再建計画が求められる

要管理先がリスケを行う場合や、融資を受ける場合には、基本的に経営改善計画書の提出が求められます。

経営改善計画書とは10年以内に達成可能と見込める経営改善のための計画書です。

つまり、抜本的に経営を改善しなければ自立での再建は不可能であると考えられているのが要管理先です。

この経営改善計画書が銀行から認められればリスケや借り換えや新規に融資に応じて、経営再建を銀行とともに行っていくことになるのです。

破綻懸念先とは?

経営破綻の状況にはないが、今後、経営破綻になる可能性が大きいと認められる企業のことです。

具体的には経営改善計画を作成しているが、その進捗が悪く債務超過や赤字を解消できる見込みが立たない企業がこれに該当します。

破綻懸念先の格付け

筆者のいた銀行では破綻懸念先はX1、X2などのように格付けされていました。

破綻懸念先は融資はほぼ不可能

破綻懸念先までなってしまうと、新規で融資を受けることはほぼ不可能です。

むしろ貸したお金の早期回収の方向性へと銀行か舵を切る可能性のほうが高くなってしまいます。

実質破綻先とは?

法的には破綻の手続きを行なっていないものの、経営再建は不可能で、実質的には財務的に破綻状態にある会社です。

実質破綻先の格付け

銀行では実質破綻先をX3などと格付けします。

融資方針である格付けはここまで債務者区分が低い場合には何も意味をなしません。

実質破綻先以下は融資は不可能

実質破綻先は既に実質的には破綻している状態であるため、融資を受けることは確実に不可能です。

このため、誰かにお金を借りて財務状態が立て治れば再び企業が復活して、融資を受けることも可能ですが、銀行主導で、融資を行うことによって経営再建は行いません。

破綻先とは?

破綻先とは、法的に倒産の手続きが完了している会社です。

実質破綻先との違いは法的な手続きを経ているか経ていないのかの違いだけになります。

このため、破綻先も実質破綻先と同様に融資を受けることは不可能です。

破綻先の格付け

融資方針を決定する格付けですので、破綻先の格付けなど何も意味はありませんが、一応、破綻先の格付けはZとして表記している銀行がほとんどです。

スコアリングをアップさせるには

それでは、融資の審査通過率のアップ、また好条件で融資を受けるためにも、スコアリング結果をアップさせるためには、どのような方法が考えられるのでしょうか?

単純に売上を上昇させ、コストを削減し、利益率を高くし、自己資本を充実させれば評価は自ずと上がりますが、これは一朝一夕に実現できることではありませんし、簡単にできることではありません。

多大な経営努力と、何年もの月日が必要になってくるでしょう。

ここでは、それ以外の方法でスコアリングを良化させる方法について検討していきます。

先に説明したように、スコアリングの評価基準は安全性、収益性、成長性、債務返済能力の4つとなるのですから、ここの評価を上げれば直接スコアリングアップにつながるということになります。

よって、この中で短期間で評価を上げられものを検討して、その改善を実施すれば、スコアリング評価は確実に上がってくるでしょう。

それではこれら4つの評価基準の中で短期改善できるもの挙げて、その改善方法について説明していくことにします。

安全性を高める

安全性の高さを判断する指標は下記の3つです。

  • 流動比率を上げる
  • 自己資本比率を上げる
  • ギアリング比率を上げる

よってこの3つを改善することで、企業の安全性におけるスコアリング評価を上げることができます。

しかし、自己資本比率は下記のどちらかを上げる必要があるので、短期改善は見込めません。

  • 資本金
  • 借入ではなく自己資金で資金調達する

ですが、残りの2つは短期改善も可能です。

短期改善に着手するためには、売却可能な固定資産を所有している企業に限定されますが、間違いなく短期的な改善効果を発揮します。

それではこれら2つに対してどのような改善対策を講じることができるのか、さっそく見ていくことにしましょう。

流動比率を上げる

流動比率を高くすることは経営努力によって行うことができます。

流動資産を多くして、流動負債を少なくすれば流動比率を高めることができます。

しかし、流動負債を減らす方法は下記いずれかとなるので、短期改善には向きません。

  • 短期借入金を長期借入金に借り換えする
  • 借入ではなく自己資金で資金調達する

借り換えは銀行の意向が影響してきますし、自己資金で資金調達するには資本金の増資か、利益を上げて内部留保の金額を上げるしかないからです。

他にも仕入原価を交渉して、流動負債に当たる買掛金を減額すという手もありますが、全ての仕入先が応じてくれるわけではありませんし、その減額幅によってはあまり効果が出ない可能性が高いのが実情です。

当然、やらなくてはいいという話ではありませんが、短期的な効果を求めるには無理があるでしょう。

よって、短期間で流動比率を上げる方法は、流動資産を増やすことに限定されることになってきます。

流動資産を上げるためにはできるだけ固定資産を減らして、それを流動資産化するという方法が挙げられます。

最も簡単な方法は、不要な固定資産を売却するという方法です。

例えば、会社に不要な土地があり、これを売却する場合には以下のような仕分けになります。

例)会社の土地1,000万円を売却した。

借 方貸 方
現金 1,000万円(流動資産)土地 1,000万円(固定資産)

土地は固定資産で現金や預金は流動資産です。

そのため、土地を売却して現金化すれば、その分、流動資産は増えることになります。

それによって、流動比率が上昇し、スコアリング評価も高くなってくというわけです。

しかし、この方法は売却できる不要な固定資産がなければ着手できないため、短期で流動比率をアップすることはできますが、実施できる企業は限定されるという点は残念なところですね。

ギアリング比率を上げる

このギアリング比率は下記のような他人資本を、返済義務のない自己資本でどれくらいカバーできるのかを測る指標ですから、これら2つを減らすことで上げることができます。

  • 金融機関からの借入
  • 社債

自己資本でまかなえないから借入してるんだと反論する人もいるでしょうが、先ほど流動比率を上げる方法として挙げた、固定資産の売却益を利用するのです。

先ほどの固定資産売却益を使って、金融機関からの借入を一部返済、または一括返済すれば、流動比率とギアリング比率を同時に改善することができます。

まさに一挙両得の改善方法というわけです。

この改善方法も流動比率と同様に、売却できる固定資産がなければ取り組むことができませんが、おすすめの改善方法と言えるでしょう。

債務返済能力を向上させる

債務返済能力は下記3つの指標をもとにスコアリング評価が行われています。

  • 債務償還年数 ((有利子負債-経常運転資金)÷営業キャッシュフロー)
  • 営業キャッシュフロー (営業利益+減価償却費)
  • インタレストカバレッジレシオ ((営業利益+受取利息・配当)÷支払利息と割引料)

よって、この3つを改善できれば、スコアリング評価を上げることができるのですが、営業キャッシュフローは周知のとおり簡単に上げられるものではありません。

設備投資をして減価償却費を上げることはできますが、固定資産を増やしてしまい、流動比率を上げてしまうことになるので、現実的な改善方法とは言えません。

よって、ここで短期的改善が望めるのは、残りの2つになってきます。

それではこれら2つに対してどのような改善対策を講じることができるのか、さっそく見ていくことにしましょう。

債務償還年数を下げる

債務償還年数を引き下げるのには、下記の2つだけです。

  • 金融機関からの借入金残高を減らす
  • 営業キャッシュフローを増やす

短期で営業キャッシュフローを増やすのは無理ですが、借入残高を減らすことはできます。

先に説明した、固定資産売却益を使い、金融機関からの借入を一部返済、または一括返済する方法です。

安全性を高めるために流動比率をこの方法で上げれば、ギアリング比率だけでなく、この債務償還年数も同時に改善することができるというわけです。

となれば、売却する固定資産を持っている企業は、同時に3つの改善効果があるこの方法をとらない手はありませんよね。

インタレストカバレッジレシオを上げる

また債務返済能力はインタレストカバレッジレシオを向上させることでも改善することができます。

インタレストカバレッジレシオ=(営業利益+受取利息・配当)÷支払利息と割引料

インタレストカバレッジレシオは上記の計算式から求めることができます。

よって、インタレストカバレッジレシオを上げるためには、下記いずれかの方法が考えられます。

  • 営業利益を上げる
  • 受取利息や配当を上げる
  • 支払利息を減らす
  • 手形割引をしない

営業利益は短期間で上げることはできませんし、受取利息や配当を上げるというのは運任せとなるので、現実的な改善方法とは言えません。

よって、インタレストカバレッジレシオを上げるには、支払利息を下げるか、手形割引をしないようにするかになってくるでしょう。

金利の高いローンを借り換える、できるだけ手形の割引は行わないなどの方法で債務返済能力の評価は高くなります。

また、察しのいい読者ならもうお気づきかと思いますが、ここでも固定資産売却益を使い、金融機関からの借入を一部返済、または一括返済すことで支払利息を減らすことができるのです。

この改善方法は一挙両得どころか、一挙四得となる改善効果効果を発揮するのです。

金融機関からの借入を減らすことで、多種にわたった改善効果を発揮するのですから、企業にとって金融機関の借入が、いかに企業評価にマイナスとなっているのか実感させられますね。

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収益性を向上させる

収益性を測る指標は下記のの3つの指標ですから、これら数値を改善することでスコアリング評価を上げることがで可能になります。

  • 売上高経常利益率 (経常利益÷売上高×100)
  • 総資本経常利益率 (経常利益÷総資産×100)
  • 当期利益

これら数値を改善するためには、どれも売上高を上げて、利益を上げる、つまりは増収増益が必須条件となります。

よって、短期間で収益性を向上させることは無理そうに思えますが、総資産を圧縮することで総資本経常利益率を改善することは可能です。

例えば、手元に経常運転資金以外の余剰の現金が手元にある場合には、借入金を返済することで総資産は小さくなります。

例)現金500万円で、借入金500万円を返済した。

借 方貸 方
 借入金500万円(負債の減少)現金500万円(資産の減少)

このように、借入金を返済すれば、その分、総資産は減少します。

今は、できる限り貸借対照表を小さくして、不要な資産も負債も持たないという貸借対照表のオフバランス化ということが求められているので、借金の返済で総資産を少なくした(貸借対照表を小さくした)というだけでも銀行の評価は高くなります。

さらに、総資本経常利益率が高くなることで、小さな資産で大きな利益を生み出すことができる収益性の高い企業という評価を受けることもでき、スコアリング評価のだけでなく、最後に行われる実態把握時の評価上昇にもつながります。

成長性を高める

成長性を測る際の指標は下記の3つです。

  • 経常利益増加率 (当期経常利益 ÷ 前期経常利益)
  • 自己資本額
  • 売上高

よって、成長性を高めるには、売上を拡大するか、利益を多く出すしかありません。

そのため、基本的には短期で改善できるものではありませんが、役員報酬が多い企業ならば、役員報酬の見直しなどを行い、経費の圧縮に努めることで、収益力の向上につなげることができるでしょう。

スコアリング以外で銀行から融資を引き出すために

申し込んだときの審査内容でも判断される

銀行の格付けは決算書を元にしたスコアリング審査の結果内容で80%以上が決定されると言われていますが、残りの20%で高い評価を得られれば、確実に格付け決定にに良い影響を及ぼすことは言うまでもありません。

よって、スコアリング審査でいい結果を得るための努力もさることながら、定量評価以降に行われる定性評価や実態把握といった、残り20%で高評価を得るための努力も必要になってくるのです。

ここでは、そのためにどんなことをすればいいのかを説明します。

しっかりと目を通してもらって、格付けアップとなる参考にしてください。

企業の将来設計を銀行に説明する

企業の将来設計を明確にすれば、銀行はその企業の経営戦略を知ることができ、計画的な経営を行っていると評価します。

そこで忘れてはならないのが事業計画書の提出です。

決算書に添えて必ず提出するようにしましょう。

また事業計画書よりも広範囲な視点で会社経営を示すことができる経営計画書を併せて提出するのもおすすめです。

短期だけでなく中期、長期のものも出せば、さらに効果は高くなってくるでしょう。

銀行が融資を行う際にどんなことを考えているのか、自分に置き換えて考えてみてください。

銀行が融資を行う際に一番気にするのが貸し倒れリスクです。

よって、事業性資金の融資では、どんなことに利用するのか、融資して回収できるだけの売上効果がえられるのかを検討します。

銀行家からの融資によって、営業力や財務力を引き上げたいと考えているならば、それを口頭で説明するだけではなく、明確に数値化して相手を納得させなければなりません。

となれば企業の将来設計を明確に表すことができる事業計画書の重要性はお判りいただけるかと思います。

融資申込時には必ず必要とされる事業計画書ですが、決算後に決算書の提出を求められた際も、忘れず提出するようにしてください。

会社の強みをアピールする

定量評価は決算書だけで行われますが、それ以降の定量評価や企業実態評価では数字からは見えないところで企業評価を見直すことになるので、銀行員は評価を高くするために説明資料の作成を行います。

銀行員がよほど企業について熟知していれば話は別ですが、そうでなければ、実際にその企業に隠れた強みがあったとしても、それが評価に影響することはありません。

そこで、できるだけ高評価をなるように、自分の企業の強みをまとめて書面で提出しましょう。

この書面でまとめてもらいたいのは下記のような事柄です。

  • 土地や有価証券などの固定資産の含み益
  • 経営者からの借入を資本と同一とみなせる旨
  • 経営者が持つ具体的資産
  • 販売力を示すため、独自の営業ルートや他社の参入が厳しい商圏であることを示す資料
  • 経営者の事業経験
  • 経営者の経歴
  • 経常社の経営方針
  • 経営者の過去実績
  • 企業が持つ特許権をはじめとする知的財産権
  • 法律等に基づき技術力や販売力を勘案して承認された計画等(新たな事業活動の促進開拓計画等)
  • 市場の将来性や成長性を示す資料
  • マスコミ等に取り上げられた掲載記事

常に会社の状況を銀行と共有しておく

銀行と企業が経営状況の共有しておけば、担当銀行員が会社状況を熟知しやすいので、格付け時の説明資料作成しやすくなりますし、銀行との信頼関係が築けることで、融資申込時にもいい影響を及ぼします。

どういう経営状況であるかを知っていれば、融資も進めやすいからです。

よって、できれば四半期ごとに決算書を摘出するようにしましょう。

その決算書の中でも、銀行が特に重要視するのが営業キャッシュフローの推移です。

このキャッシュフローが長期的にプラスで推移していれば、その企業が順調に利益を上げ続けている証となるので、銀行も融資をしやすくなるので、資金融資を申し込んでも断られることはないでしょう。

また決算書の作成機会を増やすことで、経営者も経営状態をより詳細に把握することができます。

決算期以外に銀行が融資を敬遠するケース


中小企業の場合には、決算を終えたら銀行に決算書を提出しなければならず、決算の3ヶ月以内に企業審査が行われ、格付けが決定します。

そのため、基本的に格付けが行われるのは年に1回です。

しかし、銀行が悪い事象である考える下記事象が起きた際には、緊急に企業審査を行い、格付けが見直されることがあります。

  • 延滞
  • 条件変更
  • 取引先の破綻や経営悪化

それではこれら格付けが見直される現認について見ていきましょう。

延滞

借入金の返済に遅れると、銀行は正常な取引先とは見なしてくれません。

延滞を起こしたということは、急に経営状態が悪化した恐れがあるためです。

このような場合には、緊急で企業審査を行い、格付けが下落することがあります。

たまたま返済を忘れてしまっただけというような場合には、格付けはダウンしないこともありますが、銀行からンの印象が悪くなる可能性が高いので注意しましょう。

条件変更

資金繰りの悪化などによって、毎月の返済が厳しくなった場合には、借入期間の延長、複数債務の1本化、元金返済の据え置きなどの条件変更手続きを行うことがあります。

これをリスケジュール(リスケ)と言います。

この場合は確実に格付けがダウンされます。

また、銀行は金融庁からリスケジュールの申し込みがあれば、前向きに検討するようによのお達しが出ていますが、全ての申し込みにたいしてOKとするわけではありません。

この場合には格付けは破綻懸念先となり、それ以降の追加融資を受けることができなくなります。

このように、リスケジュールを申し込んだ場合には、必ず緊急の企業審査が行われ、格付けは確実にダウンすることになるので、よく覚えておきましょう。

取引先の破綻や経営悪化

企業のメイン取引先企業の経営が悪化したり、破綻した場合には受注が少なくなるため、経営悪化が懸念されます。

このような情報が入ってきた場合にも緊急で企業審査を行います。

最近では、東芝の経営不振によって日本中の東芝の下請けや孫請け企業などが緊急で企業審査を行ったことなどが話題になりました。

影響がほとんどないというような場合には格付けが据え置かれることになりますが、取引先の破綻や経営悪化による影響が大きい場合には格付けはダウンすることになるでしょう。

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粉飾は絶対にバレる


スコアリングは決算書を元に審査を行うため、決算書の内容を虚飾すればスコアリングは上昇します。

実際に先に話したように新銀行東京は、粉飾決算書をスコアリングだけで判断して融資を行い、多くの融資が不良債権化したということがありました。

このようなことがあったことから、銀行は決算書にはある程度の粉飾決算があるものとして見ていますし、銀行員は初歩的な会計知識は学んでいます。

粉飾決算は絶対にバレると考えておいたほうがよいでしょう。

格付けには実態把握作業がある

企業審査には最後に、銀行員による実態把握という工程があります。

この工程は、長期間塩漬けになっている売掛金を不良債権処理をしたり、役員借入金を資本金に振り替えるなど、企業の実態にあった内容に決算書を修正していく作業です。

銀行は提出された決算書を、実際の状態に引き直しているというわけです。

銀行は貸借対照表を下記の点において修正を加えています。

  • 回収不能な資産があれば、回収可能額へ修正
  • 時価評価資産を時価評価へ修正
  • 粉飾された流動資産を修正

企業が提出した決算書に粉飾がないかをチェックしています。

銀行員はただ決算書の内容をスコアリングシステムに反映されただけの定量評価だけで格付けを行っている訳ではないため、粉飾決算は絶対にバレてしまうでしょう。

粉飾が発覚してしまうと、自社の評価はさらに悪くなってしまい、お金を借りることができる可能性は著しく低くなると理解しておきましょう。

粉飾は百害あって一利なしです。

絶対にやらないようにしてください。

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銀行の融資に関してよくある質問

それでは最後に銀行の融資に関してよくある質問を挙げて、簡単に回答しておきましょう。

Q.カードローンやフリーローンは都市銀行よりも地方銀行の方が借りやすい?

関係ありません。一次審査は保証会社で行われるので、保証会社の審査基準が影響するからです。

Q.住宅ローン審査の結果は銀行間で共有されるのでしょうか?

銀行間で直接のやり取りはありませんが、銀行が加入している信用情報機関で記録として共有されています。

Q.住宅ローンの申し込み名義人は母などの方が良いのでしょうか?

関係ありません。申し込み名義人は、実際にローン支払いする人でなければなりません。

Q.教育ローンやマイカーローンを組んでいる場合は住宅ローン実施されないのでしょうか?

関係ありませんが、そのローン残金が高額であれば審査に影響が出てくることも考えられます。

Q.クレジットカードの審査で保証人になっていることはマイナス評価になりますか?

マイナス評価とはなりません。しかし、保証人となれば実際の利用者と同じ債務を負うことになります。よって、キャッシングやローン残金がある場合は注意が必要です。

Q.銀行の審査は勤務先から予定されている年収で受けることはできますか?

できます。しかし、住宅ローンの場合、勤続年数が条件となっているので、新入社員や転職したばかりだと申込自体を断られるでしょう。

Q.銀行で行わえれる事前審査でその人の信用情報はチェックされますか?

チェックされています。

Q.日本の銀行で本審査前に面談することはありますか?

基本的にはありません。一般的には本審査で行われます。

まとめ

銀行の格付けは定量評価がメインになって決定します。

定量評価は決算書を元に決定するため、業績をよくする、財務内容をよくする以外に上昇させることは不可能です。

しかし、今後、企業の評価は定性評価へウェイトがおかれる方向性へと変わってきています。

定性評価は銀行から経営者としての高い評価を受けることで、上昇できる項目ですので、銀行とこまめにコミュニケーションをとる、銀行の依頼には快く応じる、技術力を磨くなどといった努力で上昇します。

格付けは融資を受けるか受けられないか、良い条件でお金を借りられるかどうかの元となる企業にとっては非常に重要な指標ですので、少しでもよい評価を受けられるように、簡単に努力できる部分については、評価を得られるように努めましょう。

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