借り換えローン年収に対して限度額はどれくらい?
- 執筆者の情報
- 名前:馬沢結愛(30歳)
職歴:平成18年4月より信用金庫勤務
目次
借り換えローンの審査は厳しい
銀行や消費者金融などからお金を借りる場合には必ず審査を受けます。
この審査において通ることができればお金を借りることができますが、審査では「信用」が重要となります。
信用を構築する要素はさまざまありますが、その中の一つとして「年収」があります。
もちろん年収は高いほど信用は高くなりますが、いくら年収が高くてもその年収に対する借入金額が多ければ信用は低くなってしまいます。
また、消費者金融などの貸金業者からの借入であれば貸金業法の総量規制によって年収の1/3までが借入できる上限であり、銀行の自主規制においても総量規制と同等またはそれ以上の規制としている銀行もあります。
このような状況の中、すでに借入しているローンを別のローンで借り換えする「借り換えローン」の審査は通常のカードローンと比べると厳しいものとなります。
審査においては年収はもちろん大事なのですが、その他の要素においても高い信用がなくてはならず、年収が高いというだけでは借りることができないこともあります。
借り換えローンでは返済実績が重要となる
借り換えローンの審査に限ったことではありませんが、特に借り換えローンにおいては重要となるのが「返済実績」です。
返済実績とは、現在借入しているローンの返済履歴のことをいい、毎月きちんと返済ができているのかということをいいます。
今現在での返済実績が延滞もなくきちんと返済できているようであれば特に問題はなく、審査においてはプラス要素となります。
ですが、度々延滞を繰り返しているなどのように返済実績が悪いようであれば審査においてマイナス要素となり、審査に通ることができないことも多いです。
返済実績というのは実際に返済できているかの情報であり、今の返済能力を見極めるための重要な情報です。
ですので、年収が高くて借入金の額もそれほど多くないという状況であっても返済実績が悪ければ返済以外の別の支払などにお金を使っている、または返済に対する意識が低いというような印象を受けます。
貸す側にしてみれば貸したお金はきちんと返済してもらわなければなりませんので、返済能力が低い人や返済に対する意識の低い人には貸すことはなく、そういったことを見極められるのも返済実績となります。
完済実績も審査のプラス要素となる
信用情報の中には返済実績の他に、完済実績というものもあります。
完済実績とは、きちんと返済をし続けたことですべて返済し終えたローンがあるという情報であり、この情報があれば審査のプラス要素となります。
人によっては完済実績がないという人もいるかとは思いますが、完済実績がないというだけでは審査のマイナス要素とはならず、実績がある人であればプラス要素となるというだけです。
ですので、少額のローンであれば完済してしまうことで完済実績を作り、それによって残っているローンを借り換えするということでも審査の通りやすさは違います。
カードローンの借換先と限度額
「少しでも金利を安くしたい」という気持ちで借り換えする人も多いと思います。実際に借り換える場合にどこのカードローンを選べばいいのか見ていきましょう。
金利が安く限度額も高い銀行のカードローン
銀行のカードローンといえば、とにかく金利が安い上に、最高限度額が高く設定されています。最高限度額で借りると、金利を非常に安くすることができます。
金融機関 | 最大限度額 | 実質年率 |
みずほ銀行カードローン | 800万円 | ※年2.0~14.0% |
住信SBIネット銀行「Mr.カードローン プレミアム」 | 1,200万円 | 0.99%~7.99% |
りそな銀行「りそなカードローン」 | 800万円 | 3.5%~12.475% |
イオン銀行カードローン | 800万円 | 3.8%~13.8% |
※ みずほ銀行住宅ローンを利用すればみずほ銀行カードローンは金利が年0.5%引き下げられます。引き下げ適用後の金利は年1.5%~13.5%です。
しかし、最初から最高限度額の金利を設定されることは余りありません。そのため、最高限度額での金利だけに注目していると、かえって金利が高くなる場合があります。
したがって、銀行のカードローンの金利を比較するときには、最低金利を目安にすることをおすすめします。
また、収入が低い、借入件数が多い、延滞がある、パート・アルバイトである、などといった条件の場合、利用限度額が下げられる可能性があります。最悪の場合は、延滞などの理由で審査に通過しないこともありますので注意をしましょう。
消費者金融のカードローンの金利は高い?
消費者金融は金利が高いというイメージが強く、躊躇(ちゅうちょ)してしまうという人もいるのではないでしょうか。
しかし、消費者金融側、特に大手4社(アイフル、SMBCモビット、プロミス、アコム)に優良顧客だと認められれば、金利を下げてもらえたり、利用限度額の増額などの連絡がきたりすることもあります。
優良顧客としての条件は、取引期間が長い、滞納せずにきちんと返済している、利用額が大きいなどが該当します。
大手消費者金融は審査も早く、初めての利用時に30日間利息ゼロのサービスもあり(SMBCモビットを除く)、初心者でも利用しやすくなっています。
おまとめローンは規制対象とならない
消費者金融において借り換えローンといえば、既に認知度も高い「おまとめローン」です。
このおまとめローンは総量規制の例外にあたる「利用者に一方的に有利となる借入」という条件に該当しますので、年収の1/3を超える場合であっても借りることができます。
ですので、おまとめローンにおいては年収に対する規制がありませんが、審査において年収を度外視した審査をしているというわけではありません。
当然のように年収が重要な審査要素となり、やはり年収が高い方が信用は高いというのが一般的です。
しかし、そもそもおまとめローンは基本的に貸金業者からの借入しているもの借り換えするものですので、借り換えするローンも年収の1/3以内またはそれから少し超えている程度の金額であることが多いです。
先ほどもお話ししましたように、借り換えを目的とするローンの審査では返済実績が重要となり、それは消費者金融のおまとめローンでも同じことがいえます。
大手よりも中堅の方が審査は通りやすい
おまとめローンは一部の消費者金融において提供されており、提供しているのは大手だけでなく中堅の消費者金融でも借りることができます。
大手消費者金融はその規模や知名度から比較的低い金利で安心して借りることができます。
これに対して中堅の消費者金融では借りられる金額は少なく、金利も高くなってしまいます。
ですが、審査の通りやすさは中堅消費者金融の方が通りやすく、大手では貸すことができない人でも中堅では貸すことができることもあります。
中堅消費者金融の金利が高いというのも規模によるところもありますが、大手では貸すことができない人にも貸すことができるような金利としているということもあり、中堅ならではの柔軟な対応が期待できます。
もちろん大手では借りられない人すべてが借りられるというわけではありませんが、少額の借入金額で審査の通りやすさを重視するのであれば中堅消費者金融に申し込みすることも一つの方法です。
自主規制で銀行によって規制が異なる
冒頭でも少し触れましたが、消費者金融などの貸金業者は総量規制によって年収に対する貸付上限を定められています。
それに対して銀行が守らなければならない銀行法では総量規制のような年収に対する貸付上限を定めているものはありません。
しかし、これでは銀行はいくらでも貸付できてしまいますので、それぞれが独自のルールによって規制をする「自主規制」を定めることになりました。
これにより銀行でも規制をしたうえで貸付を行うことになりましたが、あくまでも独自のルールですので銀行によってその規制内容は異なります。
ですので、同じ人が同じ内容の申し込みをしたとしても、自主規制の内容によって片方では審査は通り、もう片方では審査に通らないということもあります。
公表している自主規制内容
銀行が行っている自主規制は2017年4月から強化されており、それぞれの銀行はそれまでの規制内容よりも厳しい規制を行っています。
ですが、自主規制の内容を公表している銀行は少なく、多くの銀行ではその内容を公表していないまま現在も営業をしています。
そうした中で自主規制の内容を公表しているのは「みずほ銀行」「三菱UFJ銀行」「三井住友銀行」の大手3銀行であり、それぞれの規制内容は以下のようになっております。
- みずほ銀行・・・年収の1/2までであった融資上限を1/3に引き下げ
- 三菱UFJ銀行・・・融資上限の引き下げ
- 三井住友銀行・・・融資審査を厳しくする
このような内容となっており、さらに三井住友銀行ではそれまで年収を証明する資料の提出基準を「借入額300万円超」としていたものを「借入額50万円超」とし、三菱UFJ銀行とみずほ銀行も基準を下げる方針としました。
フリーローンは年収と同額が目安
銀行が提供するローンで借り換えをする場合にはカードローンの他にもフリーローン(多目的ローン)でも行うことができます。
この場合にも年収は特に重要となり、フリーローンを申し込みするための条件として「年収○○万円以上」というような基準を設けているものもあります。
このフリーローンを借りるときの年収に対する借入限度額の目安は「年収と同額」であり、カードローンのように年収の1/3などというような金額とはなりません。
先ほどの自主規制の強化は主にカードローン事業に関わる規制のことであり、同じ自由な資金に使うことができるフリーローンには適用されません。
というのも、フリーローンは元々厳しい審査をしたうえで貸付していますし、商品性もカードローンのようにいつでも追加融資を受けられるというわけでもありません。
ですので、フリーローンの年収に対する貸付上限は規制強化されていないと思われ、借入限度額はこれまでのように「年収と同額」が目安であるといえます。
住宅ローン借り換えのメリット・デメリット
長引く低金利の時代に、住宅ローンの借り換えを検討する人も多いのではないでしょうか。そこで、住宅ローンを借り替えた時のメリットと注意点を調べてみました。
うまくいけば、返済額が大幅に減額できる
ほとんどの方が、返済額の削減のために借り換えをするのではないでしょうか。住信SBIネット銀行に借り換えた方の例です。
・借り換え前
借入残高2,500万円 借入期間33年 金利 年1.9% 固定金利 毎月返済額 85,026円
・借り換え後
金利 年0.588% 変動金利 毎月返済額 69,469円
借入期間は同じままで、月々の返済額が1.5万円も削減されました。年間で186,684円の削減になり、総返済額で616万円も変わってきます。
借り換えの諸費用は、75万円程度になりますので、541万円程度の差が出てきますので大きいですね。
(住信SBIネット銀行:https://contents.netbk.co.jp/pc/campaign/lp_homeloan_ca.html)
金利タイプの変更をすることができる
将来の金利上昇リスクを避けるため、変動金利から固定金利に変更すること人も多くいます。
また、固定金利から金利の低い変動金利に変更することもできますが、この先このままの低金利が続くとは限らないため、リスクを考えなければなりません。
リスクをなるべく避けたい人は、借入期間中の金利変動がない全期間固定金利も選択肢の一つです。
なお、金利の低いうちに変動金利にしておき、元金をどんどん返済してしまうという方法もありますので、一概に固定金利がいいとか、変動金利がいいとはいえませんので熟考しましょう。
意外と高い借換時の諸費用に注意!
住宅ローンの借換時には様々な費用がかかります。
一番大きいのが、保証料、手数料、団体信用生命保険料です。
他にも、印紙代、登録免許税、司法書士報酬、火災保険・地震保険料など、融資額が大きいほど費用も高くなります。
借り換え諸費用は金融機関によって違うので、借り換えがお得になるかどうかの計算に、借り換え費用を含めて考える必要があります。
借り換えでお得になると思っていたら、かえって損をしたということもありえますので注意が必要です。
まとめ
借り換えローンにおいても年収は重要な審査の要素であり、基本的には年収が高いほど審査は通りやすくなります。
しかし、何度も言いますが返済実績も重要でありますので、年収だけが高くても返済実績が悪ければ審査には通りません。
年収に対する借入上限を気にすることも大事なのですが、借りることにおいて一番大事なのはやはり「信用」でありますので、信用を低くしてしまうような延滞などはしないようにしましょう。
信用があって初めて年収に対する借入上限となりますので、まずは信用を高めることが重要です。
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