建設業の融資審査はここが見られる!ポイントを徹底解説

建設業は他業種に比べてより多くの運転資金が必要といわれています。それは、多額の外注費や材料仕入れが必要であり、売上げも掛け売りが多いからです。

しかしながら、建設業に対する融資の審査は厳しく見られるのが現状です。今回は建設業が少しでも融資を受けやすくするポイントを、まとめましたので参考にしてください。

建設業が融資を受けにくい理由は?

建設業は銀行から、融資を受けにくい業種といわれています。銀行の審査対策のためにも、まずはその原因を確認してみましょう。

資金繰りが安定しない

建設業は他業種に比べて資金繰りが安定しません。その理由は、売上げが掛け売りであったり、公共工事の前払中間金があったりするため、何か月も現金が入ってこない可能性があるからです。

このような状態にも関わらず、外注業者や材料仕入れ業者からは毎月の請求が来ますので、結果的に資金繰りが悪化して銀行からは厳しく見られます。

売掛金や手形の価値が落ちている

建設業の売掛金や、受取手形は昔ほど担保価値がありません。それは、不動産バブルがはじけた後は、中小ゼネコンの倒産や工事の断念が相次いだからです。

大手建設会社や公共工事からの売掛金ならまだしも、二次下請や三次下請からの売掛金は、銀行にとっての担保価値が低くなってしまいます。

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下請はゼネコンや景気の影響を受けやすい

銀行が建設業への融資を厳しく見る理由として、建設業者が景気に左右されやすいという点も挙げられます。特に大手建設業の専属下請業者は、元請の判断ひとつで売上げが大きく下がる可能性があります。

したがって小規模の建設業者は現在の業況が良かったとしても、将来的に赤字になる可能性が高いと銀行に判断されるのです。

不動産会社と連鎖倒産する?

中小建設業者が影響を受けるのは、大手ゼネコンだけではありません。例えば不動産会社が倒産すると、プロジェクト自体が白紙になりますのでその影響を受けてしまいます。

このように建設業は自助努力だけで経営改善しにくいことも、銀行が厳しく見る原因のひとつでしょう。

建設業が融資の審査に可決するポイントは?

ここまで話ししたように、建設業は銀行から審査を厳しく見られる業種のひとつです。ただし、幾つかのポイントを押さえれば、融資を受けるのは難しくありませんので順番に確認していきましょう。

必要運転資金はどうやって計算される?

銀行融資の交渉で最も重要なのは、何に対していくら借りたいのかということです。なぜならば、銀行はどんなに業況の良い会社であっても、利用目的が不明であったり金額があやふやであったりすると、絶対に融資をしないからです。

建設業の場合は資金目的を工事の立替金として問題ありませんが、必要借入額は次のように計算できますので覚えておきましょう。

必要借入額=売掛債権(売掛金、受取手形)+在庫(材料)-買掛債務(買掛金、支払手形)

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工事の特徴と融資の種類を押さえよう!

銀行は、融資期間が短いほど融資をしやすくなります。利息が多く取れるから期間が長い方が良いのではありません、少しでも早く回収できる方が銀行にとってメリットになるのです。

したがって、建設業は工事立替金を長期の証書貸付(しょうしょかしつけ)でなく短期の手形貸付(てがたかしつけ)で交渉すると、融資を受けやすくなる可能性があります。

特に銀行との取引経験がない建設業者は、まず手形貸付を利用して返済実績を重ねることで、今後の借り入れが有利になるでしょう。

プロパーは難易度が高い?保証協会付融資はどう?

先ほど話しした手形貸付は、返済期日に一括返済しなければならないため、資金繰りの管理が大変です。したがって、手形貸付の返済実績がある程度できたら、証書貸付の交渉もしてみましょう。

ただし、銀行が独自で融資するプロパー融資は、よほど業績が良くなければ受けられません。保証料が必要となりますが、まずは審査の敷居が低い保証協会付き融資で取引実績をつくっていくことをおすすめします。

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赤字でも利用できる?制度融資とは

赤字の建設業者は、制度融資の利用を検討しましょう。制度融資とは、国や地方自治体が主体となって銀行や保証協会と連携して融資をする制度です。

また、制度融資の中には緊急経営安定対策特別融資といって赤字の会社でも利用できるものもあります。制度融資を利用することで、手形貸付や保証協会付融資を利用するより金利や、保証料が少なくなりますので覚えておいてください。

また、利子補給制度などもありますので、利息を節約できる可能性があります。制度融資の内容は主体となる国や自治体によって異なりますので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

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手形割引は審査が緩い?

大手建設会社の受取手形を持っている建設業者は手形割引を検討しましょう。それは、一般的な融資に比べて手形割引は審査の敷居が低く、融資までの期間も短いからです。

さらに、手形の発行元の信用力が高ければ、受け取った会社が多少は業績が悪くても割引してくれます。ただし、どんなに手形の信用力があっても業績が著しく悪ければ割引料(金利)が高くなりますし、割引を断られる可能性もありますので注意しましょう。

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融資以外の資金調達方法は?

建設業の資金調達は銀行融資だけではなく、ノンバンクのビジネスローンやファクタリングという方法もあります。

これらの方法は調達コストが高いため常用するのは好ましくありませんが、銀行融資を断られたときや緊急に資金が必要になったときのために知っておきましょう。

ノンバンクはどう?

消費者金融や信販会社でも、ビジネスローンという事業性融資商品を取扱いしています。ビジネスローンとは、あらかじめ決められた借入枠の範囲内であればATMで自由にお金を出し入れできる便利な商品です。

ただし、金利は10.0%を超えるところもあり、銀行融資の金利より高いです。したがって、余裕資金を都度返済することで、利息負担を抑えるようにしましょう。

ファクタリングの仕組みは?

ファクタリングとは、売掛金をファクタリング業者に買い取ってもらうことで現金化する方法です。一見すると便利なように見えますが、中小建設業が利用できるファクタリングの手数料は高く、年利に直すと何十パーセントになる可能性もあります。

また、銀行融資に落ちたブラックの人でも借り入れできるとうたった悪徳業者もいますので、ファクタリングの利用には十分注意してください。

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まとめ

建設業の融資は、まずは手形割引か制度融資を検討しましょう。また、手形を持っていなかったり制度融資の条件に当てはまらなかったりする業者は、保証協会付き融資や短期の手形貸付を利用することで、銀行審査の敷居がぐっと低くなります。

さらに利用実績を重ねていくと自然と銀行から融資相談に来るようになるでしょう。

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