年金を前借りする方法と注意点

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すでに高齢者社会となっている今の日本では、年金受給者の生活苦も社会的問題となっています。

しかも、年金を受給している高齢者は仕事に就くこともできず、年金収入以外の給与所得もない場合がほとんどのため、一般的なローンも利用できません。

そのような背景もあり、「年金を前借り」する高齢者が増えています。

そこで、今回は「年金の前借り」というキーワードにスポットをあてて、年金前借りの仕組みや注意点について紹介します。

年金での前借りを検討しているかたへの情報です

この記事は以下の人におすすめです。

  • 年金を前借りしたいと検討している人
  • 年金の前借りの条件や手続きが知りたい人
  • 年金受給者でお金に困っている人

年金前借り制度と、利用条件


年金は公的な給付を受ける保険制度であるため、前借りができる印象を持っている人は少ないです。


そこで、年金の前借り制度とはどのような制度なのか?

また、その制度を利用できる条件について、詳しく説明していきます。

ちなみに、私立学校の教職員や地方公務員などが被保険者になる共済年金は、2015年10月から厚生年金に統一されていることを覚えておきましょう。

年金前借り制度とは

年金の前借り制度は、正式に「年金担保融資制度」と言われ、年金受給者を対象に一時的な生活費などのために借り入れができる公的な制度となっています。

年金担保融資制度は福祉医療機構によって運営される貸付事業です。

年金支給機関から福祉医療機構が貸付事業の利用者の年金を受け取ることで、借り入れの返済をする仕組みです。

簡単に説明すればローンや借金と同じようなイメージで、これから支払われる年金を担保にして、一時的にお金を借りる仕組みと言えるでしょう。

このため、年金前借り制度を利用してお金を借り入れると、借入の日数に応じて利息の支払を行う必要があります。

なお、年金前借り制度は、生活費に困窮した高齢者が、法外な利息を貪る闇金業者などの被害に遭わないために作られた制度です。

どのような人が年金担保融資制度を利用でき、借り入れ条件の内容はどうなっているのか、次の章で詳しく説明していきます。

前借りできる対象者

次に、年金担保融資制度を利用できる人の条件について説明します。

項目条件
基本条件65歳以上で、厚生年金・国民年金などの公的年金を受給していること
融資金額
  1. 10万円~200万円の範囲内
    (1万円単位。ただし、資金使途が「生活必需物品の購入」の場合は、10万円~80万円の範囲内)
  2. 受給している年金の0.8倍以内
    (年額。年金から源泉徴収されている所得税額に相当する額を除く)
  3. 1回あたりの返済額の15倍以内
    (融資金額の元金相当額を約2年6か月以内で返済することが条件)
    以上の3条件を満たすこと。
返済方法支給される年金から相殺
保証人基本的に連帯保証人が必要。
または信用保証機関による信用保証制度(保証料が必要)を利用する方法もある。
融資利率年金担保融資:2.8% (平成30年10月3日現在)
労災年金担保融資:2.1% (平成30年10月3日現在)
利用用途保健・医療 介護・福祉 住宅改修・教育・冠婚葬祭・事業の維持費用・債務の一括清算・生活必需物品の購入

以上の通り、年金前借り制度は現役世代の人は利用できないことや、返済についても年金支給額から自動的に返済額が相殺されることを考えると、高齢者が「一時的に必要な分だけ利用すべき支援制度」である、ということがよく分かります。

自分の年金受給額を大きく超える借入はできませんし、資金の使い道によっては借入限度額を低く設定されていることもあります。

自分に受給資格があるかどうかを、事前に把握しておく必要があるでしょう。

例えば、次のような人は年金担保融資制度を利用できないので注意してください。

  • 生活保護受給者
  • 生活保護の受給後から5年経っていない人
  • 定期報告書や現状届を提出していない人
  • 年金が全額支給停止されている人
  • 反社会的勢力と関係がある人

前借りの金利はいくら?

先ほども紹介したように、年金の前借りをすると毎月利息の支払を行う必要があります。

年金の前借りの金利は、年率2.8%です。(労災年金の場合は、年率2.1%)

金額にもよりますが、消費者金融や銀行のカードローンを利用すると、金利が14~18%前後となることがあります。

したがって、年金の前借り利用時の金利2.8%は、非常に低金利であると言えます。

ただし、年金の前借りの金利は定期的に改定が行われますので、実際に前借りを行う前に、現在の金利が何%であるか確認しておいた方が良いでしょう。

融資利率は利息額はもちろん、総返済額に大きな影響を与えるので慎重にチェックすることが大切です。

借り入れできる金額は?

借入ができる金額の上限は、基本的には受給している年金の金額と前借りのお金の使い道によって決まります。

まず、年金の前借りは10万円~200万円以内で借入を行えます。

ただし、借入の目的が生活必需品の場合、融資限度額は10万円~80万円以内となるため気を付けてください。

年金を前借りする目的に関わらず、1万円単位で融資金額の指定ができます。

次に、受給している年金受給額の年額に対して、8割以上の借入はできません。

したがって、年間の年金受給額が100万円を例にすると、年金の借入上限金額は80万円までとなります。

また、1回あたりの返済金額に対して15倍以上の借入もできないため、返済額と調整しながら借入金額を決めてください。

前借りしたらどのように返済すればいいの?

年金の前借りをするときに気になることに、前借りをした金額をどのようにして返済するかがあります。

先に少し触れましたが、前借りしたお金は毎回の年金受給から天引きされるため、返済に出向く必要はありません。

返済する定額返済額は1万円以上であれば基本的に自由に設定できるため、返済の幅が広く融通が利きやすいです。

ただし、振り込みなどその他の返済方式を、選ぶことはできないため気を付けてください。

年金前借りの手続き方法


次に手続きの流れについて確認していきましょう。

年金前借り制度を申し込んでから融資実行されるまでは、下記の通り1か月以上かかりますので、緊急の資金には不向きであることが分かります。

審査にこれほどまでに時間がかかる理由には、福祉医療機構で厳正な審査が実施されることが原因です。

審査には4週間~5週間程度かかるとされています。

手続きの流れ

手続の流れを紹介していきます。

また、申込に関しては金融機関の窓口で行う必要があるため、必要書類の準備など済ませておきましょう。

相談独立行政法人福祉医療機構年金貸付課、または取扱い金融機関にて相談
申込手続
  • 取扱い金融機関にて申込手続き
  • 必要書類
    1.借入申込書(年金担保)
    2.年金証書
    3.年金振込通知書などの年金を証明する書類
    4.実印及び印鑑登録証明書
    5.運転免許証などの本人確認書類
    6.使用用途を証明する書類(医療費の領収書など)
審査4~5週間の審査期間が必要
決定金融機関から融資決定の連絡が入る
融資実行指定口座に入金

年金前借りで注意しておきたいこと

年金の前借りができることは、非常に魅力的なサービスで一時的な資金の調達にうってつけと言えます。

しかし、年金を前借りするときには、幾つか注意しておかなければいけないポイントがありますので、失敗しないためにも詳しく確認しておきましょう。

年金受給していない人は借りられない

年金の前借りを行うためには、年金の受給を現在受けていることが条件になります。

したがって、現役世代の人は将来の年金を前借りすることはできませんので、他の方法でお金を借りる必要があります。

なお、年金の繰上げ受給や繰下げ受給を行っている場合、年金の前借りが可能になるタイミングも変更されるため注意が必要です。

返済が終わるまで年金額が減る

年金の前借りを行った場合、返済方法は毎回の年金支給から天引きされることになります。

したがって、返済が完了するまでは、事実上受給される年金額が減少してしまうのです。

返済額の上限が決まっているため、年金受給額の3分の1以上は年金額が減らないようになっています。

しかし、毎月の生活が苦しい人は安易に前借りをすると、さらに生活を苦しめる可能性が出るため、慎重に借入を行ってください。

借主が死亡した場合は連帯保証人が肩代わりする

年金を前借りした借主が返済期間中に死亡すると、借入時に指定した連帯保証人が肩代わりしなければいけません。

連帯保証人を設定せずに、信用保証機関である公益財団法人年金融資福祉に肩代わりをお願いする方法もあります。

ただし、信用保証機関の保証を得るためには、保証料を支払う必要があります。

保証料は年2.8%かかるので、年金の前借りをするときは保証をどうするかをきちんと考えることが大切です。

年金前借りの現状


冒頭でも触れましたが、現在年金の受給金額が少しずつ下がってきており、高齢者の生活が苦しくなっています。

そこで、高齢者の収入と支出の状況について、簡単に触れておきます。

高齢者の二人世帯の生活費

下記は、住宅ローンを終えた自己所有の物件に住む、高齢者(二人世帯)の生活費例です。

住宅ローンを抱えていない状態でも、月々24万円程度の出費が必要となっており、賃貸マンションなどに暮らす高齢者は、さらに生活費は高く付くことが予想できます。

65歳以上夫婦二人の生活費例

65歳以上の夫婦がふたりで生活する場合の費用をシミュレーションすると、次の表の通りになります。

支出項目毎月の出費額
食費60,000円
住居費
(メンテナンス費用など)
15,000円
水道光熱費20,000円
自動車経費
(ガソリン代・保険・車検など)
20,000円
夫婦小遣い50,000円
衣類・雑費15,000円
医療費・薬代など15,000円
生命保険・医療保険20,000円
税金
(固定資産税・自動車税・健康保険)
25,000円
合計240,000円

平均的な年金収入例

一方で65歳以上の二人世帯での年金受給額は、平均で22万円程度となっています。

ただ、この平均も夫側が厚生年金に40年間加入していた場合の平均額となっていますので、夫婦二人とも国民年金だけだった場合や、途中で年金の未加入期間がある場合は、年金の手取り額が20万円を切ってしまう場合もあります。

以上のデータを見る限り、年金だけで生活していくには、かなり生活を切り詰める必要があり、場合によっては貯金を切り崩したり、借金をしないと生活ができなかったりという現状もかいま見られます。

そのような背景もあり、この後詳しく説明する「年金前借り制度」においては多数の利用者があり、その中では100万円前後の前借りをしている人が最も多いという調査結果が出ています。

◆独立行政法人福祉医療機構公式サイト:「年金担保貸付利用者に関する基礎調査(平成18年度)」

年金前借り以外でお金を工面する3つの方法


上記でも触れた通り、年金の前借り制度においては、申込み~審査~融資決定まで非常に時間がかかり、急にお金が必要になった場合などは、他の手段でお金を工面することが必要になります。

しかし、年金で生活をしている人は、カードローンなど一般的なローンの審査に通ることが難しいです。

では、高齢者が年金前借り制度以外で、現金を用意するにはどのような方法があるのか?幾つか紹介します。

①質屋や不要品買取り

高齢者の場合は収入が年金しかないため、できるだけ返済などのリスクは抱えないようにお金を工面することがポイントとなります。

そういう意味では、自宅に不要品がある場合には、質屋や不要品買取りショップで物品を買い取ってもらう方法が最適です。

返済の目途が立たずに、物品を手放すつもりでいるのであれば、質屋よりも、不用品買取りショップの方が、全体的に高値で買取りをしてくれるためおすすめです。

特にブランド品などの不要品が自宅にある場合は、想定以上の値段で買い取ってもらえるケースもあります。

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②高齢者が利用できるローンで借りる

先ほど紹介した年金前借り制度よりも、一般的な消費者金融カードローンや銀行カードローンの方が、申込みから融資までのスピードは速くて便利です。

また、以下で紹介しているような高齢者でも、利用できるカードローンやフリーローンも幾つかあります。

しかし、それらのカードローンやフリーローンは、年金以外の定期収入があることが条件となっているため、年金収入だけの場合では審査通過が難しいのが現状です。

ただし、不動産などの担保がある場合は、東京スター銀行の不動産担保ローンなどが利用可能ですが、このローンの場合、年齢は69歳までとなっており完済時も84歳までとなっていますので、ある程度利用できる人は限定されます。

高齢者が利用できるローンの一例

高齢者でも利用できる可能性があるのは、次のようなローン商品です。

お金のやり繰りが上手くいかなくなったときのために、チェックしておくことをおすすめします。

◆レイク公式サイト:「カードローン(年齢条件:20歳~70歳)」
◆セゾンファンデックス公式サイト:「かんたん安心フリーローン (年齢条件:60~80歳)」
◆東京スター銀行公式サイト:「スター不動産担保ローン」

③生活福祉金貸付制度で借りる

65歳以上の高齢者や、生活保護を受けている低所得者世帯等の場合は、生活福祉貸付制度を利用できます。

使用用途の一例は以下の通りです。

なお、これら貸付制度を利用する場合で、保証人を立てることができる場合は無利子での融資が可能です。

保証人無しの場合は年率1.5%の金利負担が必要です。

生活支援費生活再建までの間に必要な生活費用
住宅入居費敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用
 一時生活再建費
  • 生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費
  • 就職・転職を前提とした技能習得に要する経費
  • 滞納している公共料金等の立替え費用
  • 債務整理をするために必要な経費

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年金担保融資している違法貸金業者の存在

先に少し触れましたが、年金担保融資は独立行政法人福祉医療機構のみが行っているサービスです。

つまり、一般的な金融機関や貸金業者が、年金の前借りを行っていることは基本的にありません。

しかし、悪徳業者や闇金の中には、「年金を担保にして借入ができる」、「年金の前借りをしている」などと広告をしているところもあります。

これらは基本的に、違法貸金業者が行っている非合法な融資です。

間違って利用してしまうと、高額な利息を請求されたり、個人情報が流出してしまったりする危険性が非常に高いです。

独立行政法人福祉医療機構以外の年金の前借りは、決して利用しないように気を付けてください。

なお、共済年金を受給している場合は、日本政策金融公庫から借入を行うことができます。

日本政策金融公庫は公的な金融機関であるため、問題なく利用してください。

年金前借り制度は廃止の方向へ

昭和48年頃から創設されたこの制度ですが、実は2010年の行政刷新会議の事業仕分けにより、2022年3月末を目途に廃止されることが決まっています。

2022年3月末までに年金の前借り制度の申し込みを完了させれば、これまでと同様に借り入れができます。

しかし、現在利用している人も、これから利用を予定している人も、いつ制度がなくなってもいいように、この制度以外で生活費を賄う方法を考えておく必要はあるでしょう。

年金の前借り制度がなくなると家計の維持が難しくなる人は、居住地の自立相談支援機関に相談することをおすすめします。

具体的な支援制度・サービスを紹介してもらえたり、家計改善支援事業の支援を受けれたりなどのサポートが受けられます。

◆厚生労働省公式サイト:「年金担保貸付制度廃止計画」

年金前借りできないは生活保護の検討を

年金の前借りができずに、生活資金に困っている場合は早めに生活保護の受給を検討しましょう。

生活保護は各地域の福祉事務所が対応に当たっているので、一度相談してみることをおすすめします。

生活保護制度は一般的な生活を送るのが金銭的に難しく困窮している場合に、健康で文化的な生活ができる支援を受けられる制度です。

利用するためには一定の要件を満たす必要がありますが、高齢者であっても年齢にかかわらず生活保護の受給ができます。

取り返しのつかないことになる前に、しっかりとした制度を利用することが大切です。

まとめ

今回は年金の前借り制度について、説明しましたが、参考になったでしょうか?

この記事では、年金だけでは足らなくなった場合の対処方法について紹介しましたが、そもそもそのような事態に陥らないようにするためには、現役時代から将来に備えてしっかりとした準備をしておくことがとても重要です。

国民年金や厚生年金をきちんと支払っておくことはもちろん、個人年金や確定拠出年金などについても、公的年金とは別の備えとして加入しておくことをおすすめします。

いずれにせよ、これからの日本は超高齢社会に突入します。

自分の生活は自分で守るしかありませんので、今回の記事も含め、年金世代のやりくり術については、様々な知識を蓄えておきたいところです。