共済でお金を借りるメリットは?公務員がお得にお金を借りる術
公務員は、加入している共済組合からお金を借りることができます。この制度を共済貸付といい、銀行借入に比べて様々なメリットがあります。
共済貸付の存在は知っていても、具体的なメリットを知らずに銀行借り入れをしている人もいるのではないでしょうか。
そこで、そのメリットや特徴をまとめましたので参考にして下さい。
記事の目次
共済貸付って何?
共済貸付とは国家公務員や地方公務員が加入している、共済組合が貸し手となる融資制度です。
共済貸付のメリットは後で詳しく話しますが、まずはその仕組みを知っておきましょう。
借入対象は公務員
公務員は、所属している共済組合からお金を借りることができます。
例えば警察官であれば警察共済組合から、また教職員であれば公立学校共済組合からお金を借りることができるように、その人が所属している共済組合の貸付制度を利用できるのです。
また、公務員以外でも私立学校職員や郵便局員など、職種によっては共済貸付を利用できますので覚えておきましょう。
普通貸付制度は資金使途自由!
共済貸付の種類は、住宅購入資金としての住宅貸付、また教育資金としての入学(修学)貸付、さらに結婚資金や医療費用の貸付など様々です。
その中でも普通貸付は、事業性資金とギャンブル資金以外には何にでも利用できる銀行のフリーローンのような便利な商品です。
共済貸付の細かい内容は共済組合によって異なりますので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。
知らなきゃ損する!共済でお金を借りるメリットは?
公務員の共済貸付を知らずに銀行からお金を借りている人は、損をしているかもしれません。
それほど共済貸付のメリットは大きいので、その詳しい内容を押さえておきましょう。
貸付利率が他の金融機関より低い
共済貸付の魅力は何といっても金利の低さです。
例えば共済組合の普通貸付と、同じ内容であるフリーローン(カードローン)と比べてみましょう。
一般的な消費者金融のフリーローンの金利は15.0~18.0%、また銀行のフリーローンの金利は10.0%~15.0%程度ですが、普通貸付の金利は4.0%前後です。
また、共済によっては3.0%を切るところもありますので、一般的な金融機関よりかなり低いといえるでしょう。
返済方法は給料天引き
共済貸付のメリットは、金利だけでなく返済方法にもあります。
それは、返済は原則として給料天引きになるため支払が遅れる心配がないからです。
したがって、返済口座に入金するのをついうっかり忘れてしまったり、高い延滞利息を払ったりすることを防ぐことができます。
繰上げ手数料が不要
一般的な銀行ローンは、通常返済以外で繰上げ返済するときに手数料や違約金が発生します。
しかし、共済貸付は繰上げ返済手数料が無料です。
手元の余裕資金をその都度返済することで、もともと低めの利息負担をさらに下げることができるでしょう。
職場で手続きを済ませられる
共済貸付の手続きは共済組合の貸付事業部が行うため、金融機関に出向く必要がありません。
具体的には共済組合が用意した書類を、記入及び郵送することで申込ができます。
ただし借入申込には毎月の締め日があり、その日を超えて申込すると借り入れに時間がかかる可能性がありますので注意してください。
審査は甘い?多重債務者でも通る?
共済貸付の貸し手である共済組合は、個人信用情報機関に加入していません。
したがって、いわゆるブラック情報を調べることができないのです。
そのため共済貸付の審査は緩いと思う人もいるでしょう。
ただし、返済状況は申込書で自己申告するようになってあり、虚偽の記載がばれると後で一括返済を求められます。
また、いくら身内といっても、厳格な審査基準はありますので、共済貸付だからといって審査が緩いと思わないほうが無難です。
住宅貸付制度と住宅ローンはどちらがお得?
共済貸付は一般的な銀行ローンより金利が低いのですが、住宅貸付は銀行の住宅ローンより若干金利が高くなります。
例えば地方共済組合の住宅貸付の金利は2.66%ですが、銀行の住宅ローンは1.0%を切るとこもめずらしくありません。
ただし、住宅貸付は固定金利で将来上がる心配がありませんし、保証人や保証会社を用意したり担保を差し入れたりする必要もありません。
したがって、住宅資金としてどちらが得であるかは総合的に判断することをおすすめします。
共済組合よりも好条件のローン
共済組合の進学貸付は、進学するためにかかる費用に対して融資してくれます。
限度額は200万円で金利2.66%です。
この共済組合の進学貸付よりも、金利や限度額で有利な条件で借りられるのが、国の教育ローンです。
日本政策金融公庫が提供している教育ローンは、最高350万円まで借りることができ、金利は年1.76%となっています。
共済組合は金利が安いと考えがちですが、色々と探してみればもっと低金利のローンが見つかる場合もあります。
支払までに余り時間がないのであれば、色々な教育ローンを比較する余裕はないかもしれません。
しかし、進学に関する費用についてあらかじめローンを利用すると決めていれば、どこからお金を借りるかを検討することは重要です。
子供が生まれてから、実際に教育ローンを利用することになるまでは十分に時間があります。
その間に、夫婦でゆっくり検討してみてはいかがでしょうか。
共済貸付のデメリットは?
共済貸付は、先ほど話したメリットだけでなくデメリットもあります。
これから話しする注意点を理解した上で、共済貸付の申込を検討するようにしましょう。
民間から共済貸付に借換できない
共済貸付は、金利が低いからといって既に借りている銀行ローンを借換することは原則としてできません。
例えば銀行の自動車ローンから共済の自動車貸付への借換などです。
ただし、複数の借入返済が生活を圧迫している場合などは、低金利で一本化してくれる共済組合もありますので、自分の加入している組合に一度確認をしてみましょう。
退職金が減る?
共済貸付は、退職時に残高を全て返済しなければなりません。
退職金がある場合はもちろん天引きされますし、退職金で返済しきれない場合は退職後に返済していくことになります。
したがって、金利が低いからといってむやみに借り過ぎないように注意しましょう。
公務員は債務整理できる?自己破産は?
共済貸付に限りませんが、返済しきれないローンを組むと債務整理をすることになります。
債務整理の種類は任意整理、個人再生、また自己破産ですが、公務員の場合は個人再生と自己破産ができません。
なぜならば、個人再生と自己破産をすると一時的に職業制限がかかるため、公務員の職を解かなければならないからです。
また、この内容は官報に記載されるため、黙って済ますことも不可能です。
したがって、債務整理をしなくて済むように返済計画をきちんと立てることはもちろんのことですが、最悪の場合は任意整理で借金を圧縮するようにしましょう。
生活費などで困った場合には?
共済組合の貸付事業で提供しているのは、いわゆる目的ローンと呼ばれるものです。
多目的ローンは借りたお金の使用範囲が限定されています。
お金が必要な理由によっては、共済組合からお金を借りることはできません。
例えば、自分が結婚する場合には結婚貸付が利用できますが、友人の結婚式に招待され、出席するためにかかる費用を借りようと思っても借りることはできません。
複数の冠婚葬祭が短期間に重り資金が不足した場合でも、共済組合からはお金を借りられません。
このように目的ローンで対応できないケースでは、フリーローンやカードローンを使ってお金を借りることになります。
目的ローンと違って金利が高く設定されていますが、事業性の資金以外には使うことができるカードローンには利便性の高さがあります。
公務員はカードローンの審査を通過しやすい?
どの金融機関が提供しているカードローンであっても、利用するための条件となっているのが「安定した収入」です。
公務員の収入は他の職業と比較しても安定しています。
公務員だから必ず審査に通過するということではありませんが、審査の通過率は高いでしょう。
なお、借入限度額に関しては各金融機関の審査結果によって決まります。
消費者金融のカードローンに関しては、2010年6月に導入された総量規制によって、借入額は年収の3分の1までと定められています。
また、どれくらいの金額を借りることができるかは、審査結果によって決まります。
希望する金額を融資してもらえるかは審査によって決まりますが、審査に通過する可能性は高いといえます。
公務員専用のカードローンがある
収入が安定している公務員だけが利用できるカードローンがあります。
どの金融機関でも取り扱っているわけではありませんので、公務員であっても利用できないことはあります。
ただし、利用できるのであれば、金利の面で優遇されているため検討する価値があります。
公務員の方専用カードローン「セレクト」を提供しているさがみ信用金庫では、通常の信金カードローンの金利が年13%であるのに対して、年7%となっています。
自分が住む地域で公務員専用のカードローンがある場合は、利用を検討してみることをおすすめします。
11の共済貸付
地方公務員共済には以下の11の融資制度が用意されています。
おそらく、この11の融資制度で人生の中で借入を必要とする場面は全てカバーできる非常に充実した内容となっています。
以下、それぞれの融資制度について解説するとともに、銀行の同種の融資との比較も行っていきます。
なお、貸付限度額の表は地方公務員共済組合ホームページから転載したものになります。
一般貸付
- 貸付事由:組合員が臨時に資金を必要とするとき
- 融資限度額:給料月額の6倍の範囲内(限度額200万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:1.26%
一般貸付は銀行で言えば何に使っても自由なフリーローンです。
銀行フリーローンの金利は6%〜10%程度ですので、1.26%という金利は銀行と比較して驚異的な低さと言えます。
住宅貸付
貸付事由:加入年数1年以上の組合員が自宅を新築・改築・増築および自宅の用に供する土地を購入するとき
融資限度額:限度額は1,800万円を限度として以下の表によって算出します。
- 返済期間:360ヶ月
- 金利:1.26%
全期間固定で1.26%という金利自体も銀行と比較しても低いのですが、それ以上に担保の設定がない分諸経費がからないとい点が大きなメリットです。
一般災害貸付
- 貸付事由:災害によって組合員が被害を受け資金を必要とするとき
- 融資限度額:給料月額の6倍の範囲内(限度額200万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:0.93%
銀行では災害に特化した資金はないため、フリーローンで対応するような形になることが一般的ですので、0.93%という金利は圧倒的に低金利と言えます。
住宅災害新規貸付
- 貸付事由:災害によって住宅が損傷を受け資金を必要とする場合
- 融資限度額:融資限度額は1,800万円を限度として以下の表から決定されます。
- 返済期間:360ヶ月
- 金利:0.93%
普通の住宅貸付よりもさらに金利は優遇されます。
銀行には災害に特化しても金利優遇を受けることができませんので、こちらも金利的なメリットが非常に大きいと言えます。
住宅災害再貸付
- 貸付事由:すでに住宅ローンを借りている組合員が災害によって住宅に損傷を受け資金を必要とするとき
- 融資限度額:融資限度額は1,800万円を限度として以下の表から決定されます。
- 返済期間:360ヶ月
- 金利:0.93%
こちらも住宅災害貸付同様に大きな金利的なメリットがあります。
医療貸付
- 貸付事由:組合員とその扶養者が療養のための資金を必要とするとき
- 融資限度額:一つの貸付事由毎に給料月額の6倍の範囲内(限度額100万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:1.26%
銀行の融資で言えばメディカルローンのようなものに該当します。
メディカルローンの金利が3%〜5%程度ですので、金利的にはこちらも大きなメリットがあります。
また、複数本の借入をすることができるという点も銀行のローンと比較して大きないメリットです。
入学貸付
- 貸付事由:組合員とその扶養者が進学のための資金を必要とするとき
- 融資限度額:一つの貸付事由毎に給料月額の6倍の範囲内(限度額100万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:1.26%
銀行の教育ローンの金利が2%〜4%程度ですのでこちらも金利的に大きなメリットがあります。
修学貸付
- 貸付事由:組合員とその扶養者が修学のための資金を必要とするとき
- 融資限度額:修業年限を限度として1月につき15万円の範囲内
- 返済期間:150ヶ月
- 金利:1.26%
こちらも銀行の教育ローンと比較して1.26%の金利は大きなメリットです。
結婚貸付
- 貸付事由:組合員本人、扶養者、孫兄弟姉妹などが結婚によって資金が必要なとき
- 融資限度額:一つの貸付事由毎に給料月額の6倍の範囲内(限度額200万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:1.26%
銀行で言えばブライダルローンに該当します。
銀行の金利は3%〜6%程度ですのでこちらも金利的なメリットは圧倒的と言えます。
葬祭貸付
- 貸付事由:合員本人、扶養者、孫兄弟姉妹、配偶者の父母の葬祭によって資金が必要なとき
- 融資限度額:一つの貸付事由毎に給料月額の6倍の範囲内(限度額200万円)
- 返済期間:120ヶ月
- 金利:1.26%
銀行で言えばフリーローンで対応する資金ですので、1.26%の金利は圧倒的にメリットがあると言えます。
高額医療貸付
- 貸付事由:組合員とその扶養者が高額医療の支給の対象となる療養費支払いのための資金を必要とするとき
- 融資限度額:高額療養費相当額の範囲内
- 返済期間:高額医療費が支給されるとき
- 金利:無利息
こちらは共済貸付独自のメリットです。
高額医療費が支給されるまでの期間に必要な資金を無利息で貸し出しを行ってくれます。
出産貸付
- 貸付事由:組合員とその扶養者が出産により臨時に資金を必要とするとき。
- 融資限度額:出産費等相当額の範囲内
- 返済期間:出産費等を支給されたとき
- 金利:無利息
こちらも共済貸付独自のメリットです。
出産費が支給されるまでの期間に必要な資金を無利息で貸し出しを行ってくれます。
共済貸付で銀行融資も有利になる
共済貸付を利用することで、銀行から融資を受けようとする場合にも有利な条件でお金を借りることができるようになります。
理由として、担保を設定しないことと、信用情報に記録されないという点をあげることができます。
銀行融資と協調するメリット
共済貸付は①担保不要②信用情報への記録なしというメリットがあります。
これは銀行からすると、他債務がないということと同じです。
このため、銀行融資においても自己資金があることと同じようにみなされて、住宅ローンなどでは低い金利や低い保証料で融資を受けることができる可能性が高くなるのです。
住宅貸付の融資限度額は1,800万円ですので、共済から借りられるだけ借りて、足りない分は銀行からという融資を受けることができます。
しかも、担保設定がないため、金利的なメリットを大きく受けることができます。
まとめ
今回は公務員が利用できる共済貸付について話ししました。
共済貸付は一般的な銀行ローンよりメリットが大きく、言わば公務員の特権のようなものです。
公務員の人は、せっかく組合費を毎月支払っていますので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、今回話したデメリットに関しては十分に注意しておいてください。
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