総量規制違反の業者からの借入は危険
消費者金融やカード会社などの預金業務を行わず、融資を行う業者を貸金業者といいます。
貸金業者には総額で年収の3分の1を超える貸付を行うことができない総量規制という決まりがありますが、この総量規制に違反して年収の3分の1の融資をしてしまった場合にはどのような罰則があるのでしょうか?
また、借りてしまった場合には借りた側にも何かの処分が下るのでしょうか?
この記事では総量規制違反の罰則や、総量規制違反の業者からお金を借りる危険性などについて解説していきます。
- 執筆者の情報
- 名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当
目次
総量規制違反貸し手の罰則
総量規制に違反した場合には貸し手側に行政処分が下されることになります。
具体的には以下の罰則が科せられます。
営業停止
総量規制に違反した貸金貸金業者は、営業停止処分となることがあります。
営業停止処分は、一定期間経過後、改善策が金融庁に認められない限りは、再度お金を貸す業務を行うことができません。
登録の取消
貸金業は金融庁に登録が必要な業種です。
悪質な総量規制違反の場合には、金融庁から貸金業者としての登録を取り消される処分が下されることとなります。
こうなってしまうと、貸金業を営むことができません。
登録を取り消された後に貸金業を営んでいた場合には、無許可営業となり、無許可営業には、5年以下の懲役または1千万円(法人の場合1億円)以下の罰金が科せられることとなります。
罰金
悪質な取り立てや、無許可での営業を行っていた場合には2年以下の懲役、3百万円以下の罰金が科せられることとなります。
いずれにせよ、総量規制対象外の貸付を行っている業者には、重い行政処分が科せられることとなります。
借り手には罰則がない
総量規制に違反して融資を受けた場合には、お金を借りた側には特に罰則はありません。
総量規制を取り決めた貸金業法は、あくまでも貸金業者の業務内容を規制する法律ですので、総量規制に違反したからとって、借りた側に罰則を設けてはいません。
違法貸付でも返済義務がある
違法貸付でお金を借りたとしても、総量規制対象外の借入がなくなるわけではありません。
お金を貸した側がたとえ罰せられた後でも、借りたものは返さなければならないため、返済義務が残ります。
返済していく相手は、総量規制という法律上のルールを守らない違法業者で、限りなく闇金に近い業者です。
一般人が取引をする相手として、決して好ましい相手ではありません。
自分の身を守るためにも例え金融庁登録の貸金業者であったとしても、総量規制以上のお金を借りることはないようにしましょう。
金融庁登録の貸金業者の中には、闇金に近い、暴力団絡みの業者も少なくありません。
総量規制以上の貸付に応じてくれる業者はすべてそのたぐいだと思って問題ありません。
闇金に騙されないために
総量規制違反の業者はすべて闇金であると思って間違いありません。
闇金は暴力団と関係している場合がほとんどですので、絶対に取引してはいけませんが、闇金と取引を行わないためには、以下の2つの点に事前に注意する必要があります。
聞いたことがない業者と取引しない
テレビCMなどでおなじみの消費者金融は、金融庁登録の貸金業者の中のほんの一握りの業者にすぎません。
平成29年末で、金融庁登録の貸金業者は1,865社もあります。
先ほど述べたように、この中には、黒に近いグレーの業者も存在します。
この中には総量規制以上の融資に応じる業者もいます。
また、登録貸金業者を装っている闇金も存在します。
基本的には、アイフル、アコム、プロミス、SMBCモビットなどの名前の聞いたことがない業者とは取引を行わないようにしましょう。
このような大手消費者金融は法令順守で貸金業を営んでいるため、総量規制対象外の貸付は絶対に行っていません。
金融庁HPで検索
名前の聞いたことがない業者と取引する前には必ず金融庁ホームページの「登録貸金業者検索サービス」で、取引を行おうとしている業者が金融庁登録の業者か否かを確認してから取引を行ってください。
金融庁の登録貸金業者検索サービスで名前がヒットしない業者はすべて闇金ですので、絶対に取引をしないとともに、問い合わせすら行ってはいけません。
闇金から借りてしまうと
「闇金は怖い」と漠然を考えている人も少なくないかと思います。
では、闇金からお金を借りてしまうと、どのような事態が待っているのでしょうか?
以下、闇金のオーソドックスな手口を解説していきます。
利払いだけしかできない金利設定
闇金は利息の支払いだけで精一杯の金利を設定してきます。
例えば金利40%で100万円借りてしまった場合の年間の利息支払額は40万円で、毎月の利息は33,000円以上にもなります。
ただでさえお金のない人ですので、利息だけで毎月33,000円以上も支払うことはかなり大変です。
このため闇金は「利息だけは支払え」と要求してくることになります。
元金が1円も返済できないので、元金を返済しない限りは永遠に毎月33,000円以上の支払い義務が生じます。
このように、元金の返済が不可能な金利を設定し、半永久的に利息だけを支払わせようというのが基本的な闇金の手口です。
もちろん、100万円の融資で40%もの金利を設定することは完全な違法金利です。
過剰な取り立て
登録貸金業者について法律で、深夜の自宅への訪問や電話での取り立てや、勤務先への取り立てなど公共の秩序を満たす取り立ては禁止されています。
しかし、闇金はそもそも貸金業者でない違法な業者ですので、取り立てに関するこのようなルールも順守するはずがありません。
深夜の取り立て、実家や勤務先への取り立てを行い、精神的に追い込み、何とかお金を払わせようとするもの闇金の手口です。
このような借入自体が違法ですので、警察や弁護士などにまずは相談してみましょう。
総量規制対象外の貸付
総量規制は貸金業者のカードローンなどの融資を規制する法律上の決まりです。
そのため、以下の3つのような融資は総量規制の対象外となります。
銀行融資
銀行からの借入は総量規制対象外ですので、年収の3分の1を超える融資も違法ではありません。
カードローンから住宅ローンまですべての融資が総量規制対象外で、融資金額は銀行独自の審査基準にゆだねられています。
貸金業者のおまとめローン
消費者金融には貸金業法に基づくおまとめローンという商品があります。
この商品は、貸金業者からの借入だけを1本にまとめることができるローンです。
新規の貸し出しは1円もできずに、返済専用のローンで、消費者にメリットがある貸付であるため、こちらは消費者金融からの借入であっても合法的に総量規制対象外とされています。
不動産担保や自動車ローン
消費者金融には不動産を担保としてお金を借りる「不動産担保ローン」という商品があります。
こちらも総量規制対象外となっています。
また、クレジットカード会社も貸金業者に該当しますが、自動車を買うときのディーラーローンも貸金業者からの借入となります。
車を購入するためのディーラーローンも総量規制対象外です。
総量規制とは、使い道が自由で無担保の貸金業者の融資に関して適用される決まりであると覚えておきましょう。
これ以外の融資で総量規制以上の融資に応じる業者は、かなりグレーな業者か最初から闇金かどちからですので絶対に取引をしてはいけません。
まとめ
総量規制対象外の融資は違法です。
違法の融資を行うと、お金を貸した側は営業停止や登録の取り消しや罰金などの行政処分が科せられますが、お金を借りた側には何も罰則はありません。
しかし、そもそも総量規制以上の融資を行う時点で、限りなく闇金に近い業者であることは間違いないため、総量規制以上の借入をするということは闇金と取引をしてしまうと同義となってしまいます。
闇金からお金を借りてしまうと、法外な利息の支払いに苦しめられ、元金も減りません。
絶対に闇金とは取引しないよう、名前を聞いたことがない業者と取引する前には金融庁HPで登録貸金業者か確認すること、また、総量規制以上の借入もしないようにしてください。
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