独立行政法人も民間から借入している?

独立行政法人というのは、公共性の高い事業を行う、法律に基づいて設立された法人です。

独立行政法人も、一般の企業と同様に、実は民間から資金を借入して事業を行っています。

独立行政法人が行う借入についてご紹介いたします。

執筆者の情報
名前: 芦田春馬(39歳)
職歴: 銀行と消費者金融,計15年勤務

独立行政法人ってどんな組織?

独立行政法人ってどんな組織?

独立行政法人というのは、法人のうち、「独立行政法人通則法」という法律に基づいて設立される法人です。

法律上は、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であり、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものを、効率的、効果的に行わせるために設立される法人」と規定されています。

法律上の規程だと解りづらいですが、簡単に言えば、「確実に実施しないといけない重要な事務・事業で、国が直接行う必要のないものを、行わせることを目的とした法人」という意味です。

直接、警察などのように、国が直接運営するようなものではないけども、民間に任せてしまって頓挫すると困る、重要で、公共性の高い事業を行う法人となります。

例えば、造幣局も独立行政法人ですが、民間に任せて、お札の発行がストップしてしまったり、管理がいい加減で、増刷したお札を盗まれてしまうようでは困りますよね。

独立行政法人は、国が直接運営している訳ではなく、あくまで独立した法人です。

しかし、公共性の高い事業を行う法人であるため、事業計画に対して、国がチェックする必要があるなど、運営に関して完全に独立しているとは言えません。

なお、代表的な独立行政法人の例としては、先ほどの造幣局以外にも、国民生活センター、大学入試センターなど数多く存在しています。

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独立行政法人も借入できる?

独立行政法人も借入できる?

独立行政法人は、国からは独立した立場にありますが、公共性の高い法人です。

こういった公共性の高い独立行政法人が、お金を借入するなんてことはできるのでしょうか。

独立行政法人の借入可否については、「独立行政法人通則法」という、独立行政法人を規定する法律内で詳細が決められています。

法律上は、「独立行政法人は、個別法に規定がある場合に限り、主務大臣の認可を受けて、長期借入金及び債券発行をすることができる」とされています。

つまり、それぞれの独立行政法人を規定する法律で許可されていて、かつ、主務大臣の許可(つまり政府の許可)を受ければ、独立行政法人も借入することができます。

独立行政法人が借入する理由

独立行政法人が借入する理由

独立行政法人の資金調達としては、国からの借入金と、民間からの借入金があります。

国からの借入金は圧縮

独立行政法人が国から借入するものに、「財政融資資金からの借入金」があります。

財政投資資金というのは、税金を直接拠出するのではなくて、国債(正式には財投債)を発行して、調達した資金を重要な事業に資金拠出するものです。

簡単に言えば、国が借入して、その借入金から、独立行政法人がさらに借入するということです。

独立行政法人の事業内容とは関係なく、国の信用力でお金を借りることになります。

しかし、財政投融資は、政府として資金を供給することが「真に必要な分野に限定する」方針となっています。

そのため、最近では、財政投融資から貸付する事業は厳選され、独立行政法人に対する貸出金の額も減少しています。

民間からの借入が増加

国からの借入金が減少する一方で、「政府保証のない」公募債券である財投機関債を発行して、民間から借入する方法が導入されています。

「政府保証がない」ということは、独立行政法人が借入金の返済を出来なくなっても、国は変わりに支払ってはくれないということです。

そのため、独立行政法人は、独自の信用力に基づいて借入を行う必要があります。

こういった財投機関債を活用したり、一般の金融機関から、独立行政法人が借入する方法が増加しています。

独立行政法人の運営効率化が目的

独立行政法人が民間から借入する目的は、税金に依存せずに事業を行うということだけでなく、政府の信用に依存せずに借入することで、独立行政法人自体が、「市場の評価」に晒されることがあります。

通常、企業が銀行から借入する場合には、事業の採算や、財務状態など、借入を返済できるかどうかを審査されます。

独立行政法人も同様に、国の保証の無い借入をするためには、市場から「貸出をしても良い」、「返済が確実に見込まれる」先として認められることが必要です。

そして、認められるためには、独立行政法人として黒字で運営できるようになるなど、独立行政法人自体が自発的に、運営効率を高めたり、経営の効率化に努めるといった効果が期待されています。

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独立行政法人の借入の具体例

独立行政法人の借入の具体例

ここからは独立行政法人が実際に借入している例をあげていきます。

高速道路に関する借入

高速道路に深くかかわる独立行政法人に「日本高速道路保有・債務返済機構債権」があります。

この独立行政法人は、高速道路にかかわる道路資産の保有・貸付け、債務の早期・確実な返済等を事業の目的としています。

つまり、高速道路を整備、保有して、各高速道路会社から受け取る使用料をもとに、高速道路建設に関する借入を返済するための独立行政法人です。

この独立行政法人も、高速道路関係で負った借入等の返済を目的に借入を行っています。

実際に、政府保証が付与された政府保証債と、保証の無い財投機関債で民間から借入を行っています。

平成28年度末時点で、政府保証債19兆、財投機関債で5兆円ほど、民間からの長期借入金としても、7千億円を借入しています。

独立行政法人国立病院機構

次に、独立行政法人の1つとして、「国立病院機構」をとりあげます。

国立病院機構は、「医療の提供、医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより、国民の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政策として機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的」としています。

つまり、医療の発達のために調査、研究などを行っているということです。

そして、独立行政法人国立病院機構でも、この事業を遂行するうえで必要な、「病院の更新など、設備の維持」に必要な資金を、 財政融資資金による借入れで賄っています。

福祉医療機構の借入

さらに、借入を実施している独立行政法人の例として、福祉医療機構があります。

福祉医療機構というのは、福祉医療の基盤を整備することを目的とする独立行政法人です。

福祉医療機構では、具体的に以下の事業を行っています。

  • 社会福祉施設及び医療施設の整備のための貸付事業
  • 施設の安定経営をバックアップするための経営診断・指導事業
  • 社会福祉を振興するための事業に対する助成事業
  • 社会福祉施設職員などのための退職手当共済事業
  • 障害のある方の生活の安定を図るための心身障害者扶養保険事業
  • 福祉保健医療情報を提供する事業
  • 年金受給者の生活支援のための資金を融資する事業及び年金資金運用基金から承継した年金住宅融資等債権の管理・回収業務

この福祉医療機構でも、特に貸付事業を行うための資金源として、民間金融機関からの借入を行っています。

平成26年度には、政府保証の無い財投機関債で約4,000億円、民間金融機関からの長期借入金として約460億円を借入しています。

まとめ

独立行政法人というのは、国から独立した立場にある法人ですが、確実に実行される必要のある、公共性の強い事業を行い、かつ事業計画に政府の確認を要するなど、実態として国に近い法人です。

独立行政法人は、経営・運営の効率化を図ることを目的に、運営に必要な資金を税金や、政府からの借入金に依存する体制から、民間から借入を行う体制に代わってきています。

独立行政法人が民間から借入するにおいては、財投機関債を発行して市場から借入するものと、民間の金融機関から長期借入金として借入するものがあります。

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