累積赤字と社長借入金|銀行融資との関係は?相続税対策は?

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中小企業で赤字が続いている会社は、社長借入金が多額になっている傾向があります。

ただし、この状態は銀行融資が不利になったり、また社長に相続税が発生したりする可能性があり好ましくありません。

節税目的で安易に赤字経営をすると、思わぬ落とし穴にひっかかりますので、その理由と対策について覚えておきましょう。

そもそも赤字とは

当たり前の話ですが、赤字とは会社の利益がマイナスとなり損失が出ている状態です。

ただし、ここで注意したいのが、お金の赤字と帳簿上の赤字は違うということです。

経営者はこの違いについてしっかり押さえておくことで、より堅実な経営計画ができます。

実際の赤字と帳簿上の赤字の違い

話ししたとおり、実際にお金があるかどうかの赤字と、帳簿上の赤字は異なります。

それは、お金の収支と損益計算書の収支は別だからです。

例えば、借入金の返済はお金が減りますが、決算書上では現金と負債が共に減って損失にはなりません。

また、逆に減価償却費はお金が減りませんが、損益決算書上で経費となって損失となります。

このような、勘定科目の損益算入の違いにより、実際の赤字と帳簿上の赤字に違いが出てくるのです。

ただし、このふたつの収支は経営上どちらも大事な指標ですので、経営者は両方の数字を把握しておくことをおすすめします。

次に、赤字が会社に及ぼす影響について話します。

赤字決算と銀行融資

多くの経営者が知っているとおり、会社の決算が赤字であると、銀行融資が厳しくなります。

ただしここで注意したいのは、銀行が重視する赤字は先ほど話した損益の赤字でなく、お金の赤字だということです。

それは、銀行にとって返済力をはかるのは、帳面上の黒字か赤字かではなくお金の収支による手持ちのお金が重視するからです。

したがって銀行は、どんなに黒字が出ていても既存の借入返済だけで、お金がなくなるような会社には融資はしません。

また逆に赤字であっても、その理由が一時的なものであり手許(てもと)にお金がある会社には、融資を検討しますので覚えておきましょう。

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社長借入金とは

役員借入金とは、会社が社長やその親族から借入したお金であり、その中でも社長から借り入れしているものを社長借入金ともよんでいます。

経営者にとって、社長借入金は銀行借入のようにその都度契約書を交わさないため、貸付した実感がない場合があるようです。

したがって、これから話しする社長借入金ができる仕組みについて、しっかりとポイントを押さえておきましょう。

社長借入金が生じる原因

社長借入金が生じる主な原因としては、社長の立替払があります。

これは資金力が十分でない中小企業に多く見られるのですが、経営者が会社の支払いを自分の財布から立替え払いするケースです。

このような立替金は、会社の社長借入金として会計処理されますので注意が必要です。

また、役員報酬の未払金についても、社長借入金となる可能性があります。

経営状況が良くなかったり、また節税のために過度な役員報酬を設定していたりする会社は、役員報酬を支払いできない可能性がでてきます。

そして、このような役員報酬の未払金についても、実質的には社長がお金を貸している状態と同じであり、会社にとって社長借入金となりますので注意しましょう。

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同族会社への貸付金は被相続人の財産として課税

社長借入金に相続税が課税される問題点のひとつとして、社長自身に貸付した自覚がないということが考えられます。

それは、先ほど話したとおり会社の社長借入金は、日々の何げない立替えや役員報酬の未払で発生するからです。

また、自分が代表を勤める会社だけでなく、同族会社の立替金や役員報酬の未払金も、全て貸付金となり相続税の課税対象資産となります。

したがって、蓋を開けてみると大きな金額になっていた、ということにならないよう経営者は日ごろから会社への貸付金を意識するようにしましょう。

返済見込みがなくても課税対象

社長借入金は、話したとおり社長の立替払によって発生しますので、その返済についても催促なしのある時払いという任意返済となります。

したがって、会社が赤字の場合は無理に返済する必要はありません。

ただし、その場合でも社長借入金は相続税の課税対象資産となることに注意しましょう。

なぜなら、会社の収支と負債の免除は別問題であり、社長借入金は銀行借入と同じように、会社が返済できなかったとしても負債として残るからです。

このように、経営者はお金がない状態であるにも関わらず相続税を払わなければならないといった、理不尽な状況にもなりかねません。

したがって、これから話しする相続税の対策についてしっかり覚えておきましょう。

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累積赤字と社長借入金

赤字が会社に及ぼす影響として、会社の社長借入金が増えるということも考えられます。

それは、赤字が続く会社は手許(てもと)のお金が少ないため、社長個人の財布から立替えするケースが増えるからです。

社長借入金は原則的に返済する必要がないため、金額が増えてもリスクはないと考える経営者も中にはいるでしょう。

しかし社長借入金が増えることで、これから話しする相続税が発生する可能性がありますので注意しましょう。

社長借入金と相続税

社長借入金は社長が会社に貸し付けたお金なので、社長にとっては資産となります。

したがって、多額の社長借入金を残したまま社長が亡くなると、相続税が発生する可能性があります。

このことに関しては、「社長が会社の赤字を補てんしているだけなのに資産となるのはおかしい」と裁判を起こした例がありますが結果的に棄却されてます。

判例から判断すると相続税として見ることになりますので、安易に社長借入金を膨らませることは避けましょう。

また社長借入金の額によっては、これまで節税した法人税以上の相続税を支払う可能性もありますので、経営者はこれから話しする社長借入金を減らす方法を覚えておきましょう。

社長借入金を返済するのはいつ?

社長借入金が多い会社はそもそも赤字であるケースが多く、社長借入金を返済するお金がないと考えられますので、これから話しする返済方法を検討してみましょう。

まずは、債務免除といって社長が貸付金自体を放棄して相続財産をなくす方法です。

ただしこの方法は、会社側で債務免除益といった利益が出るため、それを相殺できる経費がないと多額の法人税がかかってしまいますので注意しましょう。

債務免除益が出たら困るという会社は、役員報酬や接待交際費を減らして、その分を社長借入金の返済に充てる方法も検討してください。

この方法だと多少の使える経費は減りますが、少しずつでも確実に社長借入金を減らすことが可能です。

このように社長借入を減らす方法の一部を紹介しましたが、いずれにしても社長借入を返済する方法や、タイミングは会社の決算状況によって異なります。

したがって、いつどのように返済するのが一番であるかは、必ず顧問税理士に確認するようにしましょう。

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社長借入金の相続税対策は?

先ほど話したとおり、儲(もう)かっていない会社の経営者でも、社長借入金に対する多額の相続税を払わなければならない可能性があります。

ただし、これから話すことで相続税を対策することができますので覚えておきましょう。

増資に当てる方法

社長借入金の相続税を少なくする方法として、社長借入金を増資に充てる方法があります。

それは、中小企業の社長借入金は、実質的には社長が現物出資したことと同じであるため、社長借入金を資本金の勘定に振り替えるという方法です。

この方法により社長にとっては貸付金という資産から、評価額の低い会社の株式という資産に変わりますので相続税が軽減される可能性があります。

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債務を放棄する方法

社長が債権を放棄することで、相続税が軽減される可能性があります。

それは、社長が貸付金の返済を免除することで、社長の資産と相続税が減るからです。

ただし、社長が債権の放棄をすると、会社にとっては債務免除益という利益が発生するので注意が必要です。

社長の相続税を軽減で来しても、会社の法人税が上がってしまえば意味がありません。

したがって、経営者は債務免除益と相殺できる赤字や繰越欠損がないか、また売却損や除却損を出せるような資産はないかについて事前に確認するようにしましょう。

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債務放棄しても贈与税がかかる場合

先ほど債務放棄をして社長の相続税を軽減する方法を話しましたが、このような場合でも贈与税がかかる可能性がありますので、その理由を確認していきましょう。

まず、社長借入金を債務免除することで、会社の価値が上がるため株式の評価額が高くなります。

ただし、相続税を払いたくないからといってあやふやな評価額で株式を相続すると、税務署はみなし贈与といって、もっと価値のあるものをもらったのではないかと贈与税の対象とするのです。

また、株式のみなし贈与は、相続するより税率が高くなる可能性がある点にも注意が必要です。

したがって、経営者はこれまで話したことを踏まえて、どの方法が一番良いかについて必ず税理士に確認するようにしましょう。

減資―累積赤字の補てん

赤字の累積である繰越欠損金がある会社は、銀行審査にとおるのが厳しくなります。

そこで有効なのが減資といって、会社の資本金を繰越欠損金と相殺する方法です。

この方法により決算書から繰越欠損金を消すことが可能ですが、デメリットもありますので注意しましょう。

減資のメリット

会社が減資するメリットとしては、先ほど話したとおり繰越欠損金がなくなることによって銀行審査での印象が良くなる点が挙げられます。

また、減資による節税効果も期待できます。

それは、会社の資本金も役員借入金と同様に社長の資産となりますので、減資をすることで社長の相続財産が減るからです。

また規模が大きい会社の場合は、会社の資本金が減ることで税法上の中小企業となり、税金が優遇される可能性があります。

例えば資本金が1,000万円未満となれば、法人税の均等割りという税金も半分程度まで減りますので覚えておきましょう。

減資のデメリット

会社が減資をするときには、これから話しするデメリットにも注意したいところです。

それは、資本金が減ることで会社の信用力がなくなるということです。

決算の開示義務がない中小企業でも、業者との取引や従業員の募集において資本金を開示するケースは多いと考えられます。

そのようなときに、減資によって余りにも資本金が少なくなると、会社に信用がないと判断されかねません。

減資によって銀行借入が有利になったり節税ができたりしても、会社本業の取引に影響しては逆効果ですので、経営者はバランスを踏まえた上で減資を検討しましょう。

まとめ

ここまで話したとおり、会社が赤字になることで銀行借入や相続税に影響する可能性があります。

特に故意に赤字にする場合は、それによって手許(てもと)のお金が減って資金調達の余力がなくならないか、また社長が万が一のときに多額の相続税が発生しないかについて、税理士に確認することをおすすめします。

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