お金を借りるということが意味すること
昨今、銀行カードローンの過剰貸付などが社会問題化していますが、お金を借りるということがどういうことなのか、どういう意味を持つのか理解しないままお金を借りている側にも、少なからず責任がありますね。
お金がなければ借りれば良いと言う発想はあまり褒められたものではありません。
お金を借りるとはすなわち借金です。
借金すること自体は悪いことではありませんが、安易な借金だけは避けたいものです。
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
目次
お金を借りることの意味とは
お金を借りる相手が銀行カードローンや消費者金融でも、個人からお金を借りる場合でも、お金を借りるということはすなわち借金をすることであると認識しなければなりません。
浪費してしまったお金を借金で穴埋めすることは、非常に危険なことです。
借金は返済しなければならない
なぜなら、お金を借りれば必ず返済しなければならないからです。
あなたが給料をいくらもらっているのかは分かりませんが、平均的なサラリーマンからすれば、借金額が30万円を超えるとなかなか返済できませんよ。
誰もが、30万円くらいの借金ならボーナスが入れば一括返済すれば良いのさ、と借りるときには思います。
しかし、いざボーナスが入ってみると、欲しいものが他にあり、借金返済を後回しにしてしまうのが実態ではないでしょうか。
給料が入ったら返済すれば良い、ボーナスが入ったら返済しようというのは、言うは易く行うは難しなのです。
お金さえ出せば何でも買える物余りの時代にあって、新しいパソコンや携帯端末、洋服や靴など欲しいものが次から次へと出てきますからね。
カードローンでお金を借りても返済できないのが、物欲にとらわれた人間の悲しい性ということでしょう。
確かにカードローンやクレジットカードは、現代生活において欠かせない便利なアイテムです。
有料道路を通るためのETCカードも、クレジットカードがなければ簡単に作ることはできません。
カードローンを利用すれば、必要な金額だけ利用限度額範囲内でコンビニATMからお金を借りることができますし、24時間365日いつでも利用できてしまいます。
今日の飲み会にちょっと財布が寂しいよね、と数万円簡単に借りることができてしまうのが、カードローンの便利さでもあり怖いところでもあるのです。
お金を借りるとは便利な反面、大きなリスクを含んでいるということもきちんと理解しながら利用しないと、とんでもない目にあってしまいます。
借り入れすると利息も払う必要がある
親や友人からお金を借りた場合は、たとえば3万円借りたのであれば3万円をそのまま返済すればいいですが、カードローン等を利用した場合には、そこに「利息」を上乗せしなければなりません。
この利息が、返済時に大きな負担となるケースが多々あります。
消費者金融で借り入れを行うと、上限金利はほぼ18.0%となるので、100万円借り入れた場合は、1年間で18万円もの利息が付くことになります。
元本の返済だけで青息吐息の人にとっては、利息を上乗せして返済することは非常にしんどいことだと思います。
銀行や消費者金融といったところから借り入れを行う場合には、利息分の負担のことまで考慮に入れておかなければならないことに、注意しておきたいですね。
キャッシングの意味も借金
「借り入れ」や「借金」と聞くと、気が滅入ってしまうかもしれませんが、最近では「キャッシング」という横文字が多用されるようになってきています。
しかし、「キャッシング」というのは、「借金・借り入れ」をただ英語で言い換えただけの言葉であり、「借金をする」も「キャッシングをする」も、本質的には何ら違いがありません。
「キャッシングでワンランク上の生活を楽しもう!」というようなフレーズを見ると、とても軽快で好印象を受けるかもしれませんが、結局のところ「借金して背伸びした生活をしよう」と言っているのと同じなのです。
利用者の心理的ハードルを下げるために、我々がよく知っている言葉を英語や別の言語で言い換えて訴求するという方法は、単純ではありますが非常に効果がある方法でもあります。
耳慣れない単語でよく分からないけど、何となく便利そうだなと感じるような場合は、それらの単語を一度日本語に直して意味を咀嚼したほうがいいかもしれませんよ。
クレジットカードは借金ではない?
「カードローンでお金を借りること」には抵抗感を示しても、「クレジットカードを利用してショッピングを行うこと」には抵抗がないという人もいます。
クレジットカードを利用するのは、今後お金が入ってくる予定をしっかり踏まえたうえでのことだから大丈夫なんだ、という考えでクレジットカードを利用している人は、確かにそのような考えになるでしょう。
しかしその一方で、そういった人の中には「クレジットカードの利用は借金ではない」と考えている人も、一定数いるのかもしれません。
クレジットカード払いも借金と同じ
ただ、「商品を購入するのに一時的にとは言え、自分のお金を支払わずに他者に立て替えてもらうこと」は、借金以外の何物でもないはずですよね。
クレジットカードの利用料金を翌月一括で返済すれば利息はかからない、だからクレジットカードでショッピングをしても借金ではない、と考えるのは甘いですよ。
現金で支払わない限り借金なのです。
ましてクレジットカードの利用料金を翌月一括ではなく、分割返済やリボ払いにすれば毎月金利手数料がかかるわけですから、それこそ銀行カードローンや消費者金融からお金を借りるのと全く変わらないわけですよね。
とくにリボ払いは、ショッピング利用枠をどんどん食いつぶしても返済額は毎月一定となるため、金銭感覚が麻痺してしまい、気がついてみたらショッピング利用枠がなくなってしまうことも珍しくはないのです。
使い方によっては、カードローンでお金を借りるよりもひどい窮地に陥ってしまう可能性があるということは、しっかり認識しておきたいですね。
クレジットカードと信用情報
クレジットカードでは、毎月決められた日に利用料金が引き落とされますが、その日に引き落としができなければ支払いを遅延したことになり、信用情報にキズが付いてしまうことになります。
信用情報は、カードローンやクレジットカードの新規申し込みや増額申請・途上与信の際にチェックされる情報です。
そのため、信用情報にキズが付いてしまうと、審査落ちになってしまったり増額が認められなかったり、継続しての契約ができなくなったりしてしまいます。
支払いを遅延してしまうと、遅延損害金というペナルティ的なお金を支払うだけでなく、将来的なローン契約等に悪影響を与えてしまう可能性があることにも注意しておきましょう。
カードローンは原則少額短期の利用
カードローンは、利用限度額の範囲内であれば何度でも繰り返し利用できるというのが、1つのメリットではあります。
しかし本来カードローンは、原則として少額短期の利用を目的としているものであり、必要な分だけ借り入れを行って後はすぐに返済するというのが、理想的です。
カードローンを長期で利用する場合には、以下のような点に注意しておかなければなりません。
消費者金融の金利は高い
カードローンの中でも、特に消費者金融が取り扱っているものは、他のカードローンと比べても金利が高めに設定されています。
そのため、長く利用すればするほど、金利による利息負担が重くのしかかってきやすいのです。
消費者金融は大手になると、初回利用者限定として30日間無利息サービスを取り扱っています。
適用金利が高い消費者金融とは言え、このサービスの適用期間中に完済(もしくは大部分を返済)できるのであれば、利息のことを心配する必要はあまりありません。
しかし冒頭でもご説明しましたように、一度お金を借りてしまうとなかなか返済できないのが人間というものです。
当初の計画通りに返済を進められなかった場合は、多少の利息負担は覚悟しておかなければならないでしょう。
借金が借金を呼び込む悪循環に
利息負担が重いとは言え、それでも自分の収入の範囲内で返済を進めていけるのであれば、まだ問題はありません。
しかし、事態が悪化していって自分の収入の範囲内で返済を行えないようになってしまうと、他のカードローンを契約して、そこで借りたお金で元の借金の返済をするような状態に陥ってしまいます。
そこで借りたお金にも利息を上乗せした返済義務がある、ということを考えると…この先どうなるかは想像に難くないでしょう。
次第にカードローン契約数も増えてしまい、多重債務となってしまう人も多いです。
多重債務になってしまうと、借金を借金で返す自転車操業が半永久的に続くことになってしまうと考える人も多いのではないでしょうか。
しかし実際のところは、遅かれ早かれ借金をしてもそのお金では元の借金を返済できないようになってしまい、自転車操業すら継続できないようになってしまうのです。
そして最終的には、自己破産や個人再生といった債務整理をしなければどうしようもない状態に、追い込まれてしまうんですね。
そうならないためには、自己管理をして返済能力を超えた借金をしなければ良いと思ったとしても、それを実際に行動に移すことはなかなか難しいものです。
そもそも、自己管理できる人は(不必要な)借金をしません。
収入の範囲内で生活することに慣れていますので、クレジットカードで借金することもなければ、カードローンでお金を借りることもないのです。
自分が自己管理できる人間かどうかを客観的に判断したうえで、借金との付き合い方をよく考える必要があるでしょう。
使い方次第で借りる意味のある借金もある
ここまで、借金に対してはどちらかといえば否定的な目線から説明をしてきましたが、使い方次第で借りる意味のある借金もあることは、間違いありません。
たとえば、「○日までに購入いただいたお客様は××%オフ!」というようなキャンペーンがあったとしましょう。
給料日になってお金が入ってからだと、キャンペーンの締め切りに間に合わないというような場合には、借金をしてでもそのタイミングで購入することに意味はあります。
このような場合には、借金をすることで利息を上乗せして返済しなければならないことを鑑みても、キャンペーンでの割り引き分が勝ることを、しっかり確認しておく必要があります。
また、将来への先行投資としてセミナー等に通いたい場合に、その分の費用を借金で捻出することも、意味のある借金と言えるでしょう。
セミナーに通い始めるのが遅くなるほど、チャンスをつかめる機会も少なくなっていくと考えているのであれば、なるべく早くスタートを切ることが重要ですからね。
ただしこの場合は、あくまでも自分の将来への「投資」なので、思ったようなリターンが得られない場合もあることは、考慮に入れておく必要があるでしょう。
個人間でお金を貸す・借りる意味
お金を借りる場合、消費者金融や銀行といった、事業として融資を行っているところから借りるのが一般的ですが、人によっては親や友人といった周囲の人から借りようとする場合もあるでしょう。
個人間でお金を貸す・借りることには、どのような意味があるのでしょうか。
信頼関係にひびが入る危険
親や友人からお金を借りたり、逆に貸したりすることは、金融機関から融資を受ける場合ほど単純ではありません。
そもそも血縁関係にある人や知人から、「お金を貸して」とお願いされること自体に、猛烈な抵抗感を感じる人もいるでしょう。
親から「友達からは絶対にお金を借りないように」という教育を受けてきた人であれば、「俺のことをどう思ってるんだ」と感じても不思議ではありません。
また、お金の貸し借りがあった後に返済が滞ってしまった場合にも、人間関係にひびが入ってしまう可能性があります。
貸した側が、「あいつ返済日になっても全然返済しない…ナメられてるのかな?」と感じるのはごく自然なことです。
逆に借りた側も、貸した側からしつこく催促を受ければ、「あいつ俺のこと信用してないんじゃないか?」と感じるようになるかもしれません(この場合は返済していないほうが悪いのですが)。
このようにお金の貸し借りの問題は、これまで築き上げてきた信頼関係を、簡単に壊してしまうだけの力を持っています。
誠実に頼んできちんと返済するという最低限のルールを守ったとしても、なにか些細なきっかけで、今までの人間関係をダメにしてしまう可能性があるということは、きちんと受け止めておかなければなりません。
物を借りるほど気軽ではない
「友人からゲームのソフトやノートを借りたりすることはよくあるんだから、お金を借りるのもそれと同じような感覚なのではないか」と考えている人がいたとすれば、一度自分に置き換えて考えてみるといいでしょう。
ゲームのソフトやノートは、貸した後に最悪返ってこなかったとしても、「まぁしょうがないか」で終わるケースが多いでしょう(実際筆者も、小学校の同級生にスーパーファミコンのソフトを貸したままです)。
しかし、貸したお金が返ってこなければ、「まぁしょうがないか」ではなかなか済ませられないですよね。
お金は生活必需品(この表現が正しいかどうかは分かりませんが)なので、なくなってしまっても大丈夫な物と同列に考えることは難しいことです。
お金というのはそれだけ大切なものであるということを、今一度心に刻んでおきたいですね。
お金を借りれるのは信用があるから
そもそもお金を借りれるのは、信用があるからです。
無担保無保証でクレジットカードを利用する、無担保無保証のカードローンでお金を借りるためには、その人に信用がなければなりません。
信用とは、お金を借りたら返済期日までにきちんと返済するということです。
返済期日までに返済できなければ、返済できなかった情報が信用情報機関に登録されてしまい、各種ローンの契約に少なからず影響を与えます。
もちろん長期滞納となれば金融事故扱いされてしまい、クレジットカードを契約することもできなければ、カードローンでお金を借りることもできなくなってしまいます。
つまり金融事故を起こしてしまうと、信用をすべて失うわけです。
一度失った信用を回復させるのは、なかなか難しいですよ。
金融事故情報は少なくとも5年から10年は信用情報機関に登録されますので、長期滞納をしたがためにクレジットカードが使えない、ETCカードも使えないのでは、利便性が悪くなってしまいますよね。
もちろん自動車ローンや住宅ローンにも、金融事故情報は悪い影響を与えてしまいます。
お金を借りるとはどれほどの責任を負わなくてはならないことなのか、お金を借りることのリスクも考えなければなりませんね。
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