遅延損害金とは
遅延損害金とは何なのか、カードローンやクレジットカードのキャッシングを利用している人は、必ず知っておいたほうが良い知識です。
お金を借りたら利息をつけて返済するのが一般的な習わしですが、返済期日までに返済しなければ、返済期日の翌日から遅延損害金が発生します。
今回は遅延損害金について、わかりやすくご説明するとしましょう。
この記事はこんな人におすすめ
今回ご紹介するのは、以下の人におすすめの内容になります。
- 遅延損害金について詳しく知りたい人
- 遅延損害金を発生させないための注意点を知りたい人
- 執筆者の情報
- 名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
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目次
遅延損害金とは
遅延損害金とは、簡単な言葉で言えば延滞金のことです。
お金を借りた側が返済期日までに利息を含めた元金を返済できなかった場合(履行遅滞と言います)、銀行や消費者金融など金融機関は、本来利用できるはずの元金を利用できなくなりますね。
融資を受けた人からの返済が未払いのままだと、金融機関は本来返ってくるはずだったお金を用いた新規の融資が行えないなど、元金を利用できないことによる損害が発生します。
専門的な言葉で言うと、遅延損害金が発生する法的根拠は、借主の債務不履行に基づく損害賠償請求権です。
そのため、遅延損害金のことを賠償額の予定として、貸付条件表や商品説明の欄で明らかにしています。
遅延損害金と通常利息の違い
遅延損害金と通常利息の違いは、返済期日までに支払うのが通常の利息であって、返済期日の翌日以降に発生するのが遅延損害金です。
利息は返済期日で計算がストップになりますが、遅延損害金は返済期日の翌日から発生するため、借主が借金返済を行うまで遅延損害金はどんどん膨れ上がっていきます。
利息は上記のご説明の通り、返済期日以降は発生しません。
したがって、いくら約定利率が高かろうが、通常利息が雪だるま式に膨れ上がることはありません。
つまり、通常利息と遅延損害金は同時に発生しないということです。
それぞれの役割が決まっていますので、とくにお金を借りる人は、通常利息と遅延損害金の違いを知っておいたほうが良いでしょう。
遅延損害金の利率は高い
遅延損害金は罰則料金の性質を持っていることから、返済額の計算を行う通常の借り入れ金利よりも、高い金利で支払わなければなりません。
利息制限法によって、遅延損害金の上限金利は契約上の金利の1.46倍までと制限されています。
具体的には以下をご覧下さい。
- 元本10万円未満:損害金利率年29.2%
- 元本100万円未満:損害金利率年26.28%
- 元本100万円以上:損害金利率年21.9%
以上の利率が遅延損害金の上限金利となりますが、お金を貸し付けることを営業的に生業としている金融機関の遅延損害金の上限は、年20.0%までとなっています。
契約上の金利の1.46倍まで有効とされるのは個人間融資のみであって、銀行や消費者金融などの金融機関は、出資法の上限金利である年20.0%を超えることはできません。
遅延損害金は支払う義務がある
遅延損害金の上限金利が年20.0%だとしても、借り入れ金利よりも高いことには変わりはありません。
返済期日から遅れれば遅れるほど、遅延損害金は加算されていきます。
利息を返済することさえやっとなのに、遅延損害金まで支払わなければならないのは無理だと拒否したいところですが、それはできません。
利息制限法によって営業的貸付(つまり金融機関からの借り入れのことです)契約の特則として、債務者が債権者に支払う返済金の充当の順番が定められているからです。
①費用(ATM手数料など)
②利息
③遅延損害金
④元本(借り入れした金額)
遅延損害金の定めは、遅延損害金を支払うことに同意する条項が記載されている契約書でなければなりませんが、ほとんどの金融機関では遅延損害金の規定が書いてあるはずです。
返済の滞納によっていくら遅延損害金が高額になったとしても、契約している以上免れることはできません。
そのためにも、返済期日までに支払うことがとても重要になるのです。
遅延日数の数えかた
借り入れを行っている人は、利息の計算方法に関しては熟知していると思いますが、遅延損害金の計算までしっかり把握しているという人はあまりいないのではないでしょうか。
遅延損害金での遅延日数の数えかたに関して、今一度しっかり把握しておきましょう。
遅延日数は「返済期日の翌日」から「延滞解消日」まで
遅延日数の計算の仕方は、「返済期日の翌日」からスタートして、「延滞解消日」で終わります。
仮に、返済期日を20日として、計算しやすいように1カ月は30日で考えることとしましょう。
通常の利息は、前回支払い日の翌日が日数の起算日になりますので、先月21日から今月20日までの30日間です。
遅延損害金の起算日は、利息と同じように返済期日の翌日が起算日です。
そのため、返済日は遅延損害金の起算日には含めません。
つまり、今月21日からが起算日となり返済されるまでの日数が日割りで計算されます。
また、通常の利息と遅延損害金は同時には発生しないので、上記のように返済日が20日だとして30日に支払ったとすると、遅延損害金は10日分です。
翌月の通常の利息はどうなるかと言うと、遅延損害金を支払った翌日が通常の利息の起算日となるため、翌月の通常の利息は遅延を解消した30日の翌日から20日までの間、つまり20日分として計算します。
したがって遅延損害金を支払って、なおかつ翌月の通常の利息が1カ月分かかると言うことはありません。
遅延損害金の最大利率は?
遅延損害金の最大利率は銀行や消費者金融など、お金の貸付を営利目的で行う生業の場合は、利息制限法によって年20.0%が上限利率となっています。
年20.0%以上の遅延損害金を取ってしまうと、法定利率を超過しているため無効になるばかりか、出資法違反として刑事罰対象となります。
- 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、及びその併科
ただし、お金を貸し付けている業者が法人の場合の罰金は、3,000万円です。
しかし、個人間融資の場合の遅延損害金の最大利率は前項でご説明してある通り、貸してある金額が10万円未満の場合は、年29.2%です。
しかしながら既にご説明のように、個人間融資でも貸付元本額によって遅延損害金の利率が変動しますので、注意が必要です。
遅延損害金の計算具体例
遅延損害金がどれだけ高いものになるのか、計算してみましょう。
なお、計算方法は利息の計算と変わることはなく、返済されるまでの日割りで計算されます。
- 遅延損害金=借り入れ残高x遅延損害金年率/365日x延滞日数
たとえば借り入れ残高50万円で、遅延損害金の年率が20.0%、延滞日数を10日として計算してみます。
それぞれの数字を上記の式に代入するだけで、簡単に計算ができますよ。
なお年率20.0%は、小数点に変換し0.2とすると計算しやすくなります。
- 遅延損害金=50万円x0.2/365×10日
以上の計算式で求められた遅延損害金は、2,739円です。
返済の滞納を解消するためには、遅延損害金にプラスして通常の利息も支払わなければなりません。
利用日数を30日として、通常の利息を計算してみましょう。
なお、借り入れ金利は年18.0%とします。
- 利息=50万円x0.18/365×30日
以上の計算式で求められた通常の利息は7,397円となりますので、返済期日から10日遅れて返済した場合の利息相当額は、7,397円+2,739円=1万136円です。
仮に30日間滞納したとすると、遅延損害金はなんと8,219円まで膨れ上がってしまいます。
通常の利息は返済期日で止まったままですので7,397円はそのままですが、遅延損害金が加算されることによって、支払わなければならない合計金額は1万5,616円と大きく増えてしまいますね。
個人の遅延損害金はいくらまで有効?
ところが出資法による個人間融資の上限金利は、年109.5%(うるう年は109.8%)が上限金利です。
出資法による上限金利を超えなければ、刑事罰対象として処分されることはないのです。
個人の貸付の場合、利息制限法以上の遅延損害金の金利を取っても、個人間融資の場合は罰則規定がありません。
ただし、出資法の上限金利である年109.5%(うるう年は109.8%)の遅延損害金を取った場合は、出資法の上限金利x1.46倍の規定は適用されませんので、これも注意が必要ですね。
個人でも出資法の上限金利を超えてしまうと、刑事罰対象となります。
つまり、個人間融資の場合出資法によって遅延損害金は、年109.5%までが有効です。
しかし、お金を貸し付けた相手が民事訴訟を起こすことや、弁護士や司法書士といった法律の専門家に借金の整理を依頼する場合もあります。
その場合は、利息制限法の貸付金利で引き直し計算されてしまうこと、および遅延損害金の利率も利息制限法に準じた利率に引き下げられることを、覚悟しておかなければなりません。
2カ月以上の返済滞納は気をつけたい
返済期日から2カ月以上滞納すると、遅延損害金の金額が大きく膨らむだけではなく、借金を完済するまでの金利計算が遅延損害金の金利になってしまうこともあります。
厳しい金融機関だと1カ月以上の滞納でも、借金を完済するまでの金利計算として、遅延損害金の金利が適用されることもあります。
しかし社会通念上考えると、返済遅滞が1カ月でその後の金利計算を遅延損害金の計算になってしまうのは、あまりにも妥当性を欠きます。
そのため、遅延損害金の金利で利息が計算されるのは、返済滞納が2カ月以上になった場合と考えておけば良いでしょう。
遅延損害金の発生で借金一括返済?
なお、返済期日から3カ月以上の滞納は長期滞納として金融事故情報に登録されることから、借り入れ先が銀行や消費者金融などの場合は、返済期日から3カ月以上の滞納には気を付けたいところです。
難しい言葉で言うと「期限の利益が喪失した」ために、遅延損害金の金利が借金を完済するまで適用されることになるわけです。
期限の利益とは、お金を借りても返済期日までなら借主が自由にお金を利用できることを言います。
しかし、2カ月以上の長期滞納をしてしまうと期限の利益を失ってしまうため、金融機関側から借り入れ残金の一括返済を求められてしまいます。
借主と金融機関との話し合いによって、返済スケジュールを改めて作り直した場合でも、すでに期限の利益がありませんので遅延損害金の高い金利がそのまま借金返済するまでずっと続きます。
信用情報の悪化で起こりうる影響
長期滞納をして金融事故情報が登録されてしまった場合、あまり好ましくない影響が出ることになります。
金融事故情報は、ローンやクレジットカードの審査を行う場合に非常に大きなマイナス要因なので、金融事故情報が登録されていると、ローンやクレジットカードの審査に非常に通りにくくなります。
また、一度登録されてしまった金融事故情報は、一定の年数(たいていの場合5年)が経過しなければ信用情報上からなくならないので、その間はずっと新たな金融取引を行いにくい状態のままです。
クレジットカードを発行できなかったり、住宅ローンを組めなかったりすることがどれほど不便かは、想像に難くないでしょう。
また、現在利用しているローンやクレジットカードがあったとしても、更新のタイミングで利用限度額が減額されることがありますし、最悪の場合は解約されてしまう可能性すらあります。
信用情報が悪化するとマイナスの影響しかないので、金融事故情報が登録されてしまわないように、ローンの返済はできるだけきちんと行うことを心がけましょう。
遅延損害金のお金が足りない場合は?
たとえば通常の利息が5,000円で、遅延損害金が3,000円だとしましょう。
金融機関から督促されて至急支払うように催促されても、手元にある金額が7,000円しかない場合はどうなるのでしょうか。
借主が支払う返済金の充当順番は、①ATM手数料、②通常の利息、③遅延損害金、④元金充当の順番です。
ATM手数料がかからないとしても、通常の利息と遅延損害金の合計は8,000円ですから手持ちにある7,000円では足りません。
しかし少しでも返済しておかないと、遅延損害金がどんどん加算されていきますので、なんとか7,000円だけでも支払っておきたいですね。
そうなると7,000円の内訳は、まず通常の利息5,000円が差し引かれ、残りの2,000円を遅延損害金に充当しますが、あと1,000円足りませんね。
この場合、返済期日の翌日から起算して、日割り計算によって2,000円分の遅延損害金を充当します。
たとえば遅延損害金が20日分だったのに、遅延損害金のお金が足りず15日分しか充当できなかったとなった場合は、やむを得ず遅延損害金の起算日を後方にずらすことによって調節します。
なお、次回の支払期日が到来するまでに遅延損害金を支払うことができなかった場合は、通常の利息は計算されません。
遅延損害金の金利は高いために、遅れれば遅れるほど返済するのが難しくなってしまいます。
返済期日から3カ月遅れても遅延損害金を全額返済できなければ、長期滞納として金融事故情報に登録されてしまいます。
遅延損害金を支払うと金融事故?
遅延損害金が発生したからといって、直ちに金融事故となるわけではありません。
遅延損害金は、支払い期日から1日でも遅れれば発生する性格です。
金融事故として登録されるのは、返済期日から3カ月以上滞納した場合です。
だからといって、返済期日から3カ月放置しても良いとはなりませんよ。
そのときには遅延損害金の金額も増えていることでしょうからね。
遅延損害金を支払わないために
遅延損害金を支払わないようにするには、返済期日までにきちんと支払うことです。
これ以外に、遅延損害金を支払わない方法はありません。
たとえ返済期日に間に合わないことを金融機関側に連絡しても、遅延損害金の発生を食い止められるわけではありません。
遅延損害金を他のものに例えれば、レンタカーを借りる契約を行い、契約に記載されているレンタカーの返却日や時間に遅れると、一定の割合で延滞料金が発生しますよね。
遅延損害金はまさしくお金を借りて、返済期日までに返済ができなかった場合に発生する延滞料金と同じです。
つまり、「借りる」契約にはほとんどの場合、延滞料についての契約条項があります。
カードローンでお金を借りた場合に、返済期日までに返済できなかった場合や、クレジットカードの利用料金が返済期日に口座から引き落としされなかった場合でも、同じように延滞料が発生します。
公共料金の支払いについても携帯電話料金の支払いについても、返済期日までにきちんと支払わないと、延滞金が加算されることが請求書に記載されていますね。
ということは、遅延損害金とは約束通りに返済できなかった罰金のようなものですね。
ちなみに遅延損害金は、金融機関によって延滞金や延滞利息と言う場合もあります。
遅延損害金は上記でご説明したように、金融機関の損害賠償請求権に基づくものですから、金融機関が借主に請求するものとして損害金と名付けています。
遅延損害金が発生した場合は、通常の利息に加算して支払わなければなりません。
遅延損害金を免除してもらう方法
どうしても遅延損害金の支払いが行えない場合、遅延損害金を免除してもらう方法はないのでしょうか。
利息のみを支払う
金融機関によっては、毎月の返済期日までに支払いができなさそうな場合、あらかじめ返済期日までに相談しておくことによって、利息のみの支払いでOKとしてくれる場合もあります。
本来であれば、返済期日には元本に利息を上乗せして返済しなければならないわけですから、利息のみの返済でOKとしてもらえれば、支払わなければならない金額は大幅に減少されます。
どれだけ家計が厳しくて手元にお金がなかろうとも、利息分の支払いを行えるくらいのお金ならあるはずです。
ただ、利息のみの支払いでOKとしてもらえるかは、金融機関の判断次第です。
利用者のこれまでの利用状況や返済状況次第では、利息のみの支払いを認めてもらえない可能性もあるので、その点には気をつけておいてください。
専門家に相談する
遅延損害金を支払わなければならない状況はすでに返済能力がない場合が多いですから、遅延損害金を免除してもらう方法として可能性が高いのが、任意整理等の債務整理です。
弁護士や司法書士など金融問題に詳しい法律の専門家に相談することで、遅延損害金の免除だけではなく、借金の軽減を含めた将来支払う利息をカットできる可能性があります。
しかし、法律の専門家による債務整理は法的強制力がないため、交渉が失敗に終われば直ちに滞納した利息と遅延損害金の支払いをしなければならなくなってしまいます。
そういった事態に陥ってしまうことを避けるためにも、金融問題に詳しい法律の専門家に依頼すれば、遅延損害金を免除してもらうこともできるでしょう。
確実に遅延損害金を支払わないようにするためには、債務整理方法の中でも、法的強制力のある特定調停や自己破産、個人再生を行うしかありません。
ただ、法律の専門家による債務整理にしても、裁判所による自己破産や個人再生にしても、重大な金融事故として信用にキズがついてしまいます。
最低でも5年から10年は、お金に関する契約はできなくなると覚悟しなければなりませんね。
まとめ
遅延損害金は、借り入れに対する返済が遅れてしまう場合に発生する、ペナルティ的なお金のことです。
毎回きちんと期日までに返済を行えていれば、遅延損害金がどのようなものであるかを知る必要はありませんが、万が一の場合に備えて遅延損害金の仕組みや計算方法などは、一応頭に入れておくべきでしょう。
遅延損害金で適用される金利は通常金利よりも高いので、すみやかに支払わなければ金額がどんどん膨らんでいってしまいます。
万が一支払えなさそうな場合は、あらかじめその旨を金融機関に連絡したり債務整理を検討したりといったことも、忘れないようにしてくださいね。
タグ:お金の知識