約束手形とは

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約束手形という言葉だけを聞いたことがある人は多いかも知れませんが、商売をしている人でもない限り約束手形の意味をちゃんと理解している人は意外に少ないものです。

約束手形とは、〇月〇日にお金を支払うという約束をした有価証券です。

と言っても、何のことだかよくわかない、小切手との違いが分からないという人も多いのではないでしょうか?

会社員でも約束手形に全く遭遇しないということはほとんどありませんので、約束手形について理解をしておいて損はありません。

また、商売をしている人はしっかりと理解をしておかないと不測の損失を被る可能性もあり、バブル期は手形を信頼しすぎた余りに連鎖倒産などが相次ぎました。

約束手形とは何か、どのように振り出すのか、換金の際にはどうするのか、リスクはあるのかなどについて詳しく解説を行っていきます。

執筆者の情報
名前:手塚 龍馬(36歳)
職歴:過去7年,地銀の貸付業務担当

約束手形とは?知っておきたい基礎知識!

約束手形とは特定の期日に一定金額の支払いを約束した有価証券のことです。

約束しただけで、まだ現金ではありませんが、有価証券として資産計上されます。

手形は誰でも受け取ることができますし、一定条件を満たせば自分で発行することが可能です。

また、有価証券であるため、支払期日にならなくても現金化することができます。

期日にお金を支払う約束の有価証券

約束手形とはその名のとおり、お金の支払期限を約束した有価証券です。

有価証券ですので約束手形には財産権があり、例えば、1,000万円の約束手形を持っている人や会社は1,000万円分の資産を持っていることとされ、企業の場合には貸借対照表に資産として計上されます。

売掛金や買掛金などの掛けよりも、一般的に長い期間を設定することができます。

そのため、3か月先とか、半年先へ資金の支払いを先延ばしにすることができ、手元に資金がないときにも支払いを行うことができるというメリットがあります。

約束手形を受け取った人は支払期日に銀行に行き、手形の取立てを行うことで口座へ手形代金が入金となります。

また、約束手形を発行した人は、手形期日までに手形金額を当座預金に入金しておくことで、口座から手形金額が引き落としになります。

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受取手形と支払手形

手形を売上先から受け取った際には、その約束手形は「受取手形」として貸借対照表の資産の部へ計上します。

また、支払先に約束手形で代金を支払った際には「支払手形」として貸借対照表の負債の欄に計上します。

振出人と受取人

約束手形を発行した人を「振出人」、約束手形を受け取った人を「受取人」と言います。

例えばA社が仕入代金1,000万円をB社に約束手形を振り出した場合には、A社が振出人、B社が受取人となります。

期日前でも現金化可能

詳しくは後述しますが、受取手形は資金の支払いを期日までに支払うことを約束した有価証券ですので、期日にならないと現金化されないのが基本です。

しかし、期日前でも銀行で手形割引という方法で現金化(受取手形を担保としてお金を借りる)することもできますし、自身の支払先に裏書譲渡して支払代金の決済に充てることも可能です。

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約束手形・為替手形・小切手の違い

約束手形が現金化することができる有価証券という点は、小切手と変わりません。

また、同じような名前である為替手形と違いがどのようになっているのでしょうか?

為替手形との違いは2者か3者か

約束手形は振出人であるA社、受取人であるB社しか登場しません。しかし、為替手形にはC社が登場し、3者間でのやり取りになります。

例えば、A社への代金の支払いを行うB社は、自身の売上先であるC社からの入金後にA社に支払いを行うことがあります。

C社→B社→A社という流れでお金が動いていくことになります。

この場合、C社から直接A社に支払いを行っても同じことですし、その方が手間も省けることになります。

そこで、B社がC社に対して「A社に代金を払ってくれ」、A社に対しては「C社から代金を受け取ってくれ」という手形を、銀行を介して発行する手形が為替手形です。

しかし、実際に日本の商取引の場面で為替手形が使用される場面はほとんどありません。

為替手形が使用される場面と言えば、輸出入や資金の取立てで使われることくらいです。

小切手との違いは期日

小切手も、現金の代わりに支払いの手段に使うことができるという点は約束手形と共通しています。しかし、約束手形との最大の違いは、小切手は「即現金化」できるという点です。

約束手形は期日まで振出人に支払義務がないのに対して、小切手は振り出したらすぐに現金化でき、銀行で現金に換えてもらうことができます。

なぜ、小切手が必要なのかと言えば、小切手は高額の現金を授受する際のデメリットを排除することができるためです。

支払代金を現金で渡す場合には、

  1. その場で現金を相当立ち合いの元確認しなければならない
  2. 現金を持ち歩くと紛失と盗難の恐れがある
  3. 数億円規模の現金は持ち運びが困難

などのデメリットがあります。しかし、その現金を小切手1枚としてしまえばこれらのデメリットを排除することができます。

仮に小切手を紛失しても銀行に「小切手を紛失した」と言えば小切手の換金を止めることも可能です。

なお、小切手を現金化できる期間は小切手の振出日の翌日から数えて10日以内と決められています。

一見似たような性格を持つ小切手と約束手形ですが、現金に換えるものという性格である小切手と、支払義務を先延ばしにできる約束手形では本質は全く異なります。

約束手形は手元に現金がなくても振り出すことができますが、小切手は当座預金にお金が入っていなければ振り出すことはできません。

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小切手を換金するには?

小切手は、簿記上現金扱いされるということもあり、すぐに換金できると思う人もいるようです。

しかし、小切手を換金する方法は、小切手の種類によって異なりますので、それぞれ解説していきます。

【持参人払式小切手】

小切手の受取人を記名せず、持参人に支払う旨が記載されている小切手です。

持参人払式小切手を持っているだけで、その金額の現金を持っているのと同じ効果があり、
銀行で換金依頼をすれば換金できます。

しかし、例えば小切手を拾った人が銀行に持って行った場合でも、換金できてしまうことになりますので、取扱いには十分注意が必要です。

【線引小切手】

線引小切手は、小切手の上部に二本平行線が引かれているもので、受取人を特定することができるので、紛失・盗難時の不正が発覚しやすいです。

支払銀行は、取立ての依頼をされた銀行か、支払銀行と取引のある人にしか支払えない仕組みになっており、持参人の口座への振り込みが原則となっています。

線引小切手には、一般線引小切手、取立て委任、特定線引小切手がありますので簡単に説明します。

  • 一般線引小切手
    二本の平行線が引かれている小切手や、二本の平行線の線内に「銀行」又は「BANK」という文字が記載されている小切手を言い、持参人の銀行口座に支払われます。
  • 取立て委任
    振出人の口座のある銀行に受取人の口座がある場合、すぐに入金処理されます。
    受取人の別銀行の口座へ入金することもでき、これを取り立て委任と言い、通常入金されるまで2~3日を要します。
  • 特定線引小切手
    二本の平行線内に銀行名が記載されているもので、その指定してある銀行に口座を開設していない場合は入金してもらうことができません。

【先日付小切手】

小切手の振出人側の都合ですが、振出時には口座に預金がないけれど、数日後には資金調達の目途が立っている場合、入金されるその日に換金してもらうようにするため、振出日を本来の振出日よりも後の日付で振り出す小切手を言います。

持参人は、その日付に入金することができます。

ところで、小切手の換金には有効期限があるということをご存じですか?

小切手を進行に支払い請求できる期間は、「振出日の翌日から10日間」と小切手法で定められています。

請求期間は短期間なので、銀行に用があるときに現金化しようと考えていると、いつのまにか期限切れとなってしまいます。

なお、10日間とは10営業日ではないので、土日も含まれますので注意が必要です。

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約束手形の目的

約束手形が使用される目的は、昔からの日本の商慣習である「支払いは数か月先」という点に起因し、お金がない状態でも取引先への支払いが可能という点にあります。

入金前でも支払いが可能

約束手形を振り出す最大の目的は、入金前であっても支払を先に行うことができるという点にあります。

企業活動においてはサービス業や飲食業以外は通常売上の入金が後、仕入れの支払いが先にきます。

そのため、売上金の入金があるまでの資金決済手段として、入金後の期日まで支払いを先延ばしにできる有価証券である約束手形が有用に活用できるのです。

一般的に売掛金や買掛金は1か月程度以内に支払義務が発生するものですが、約束手形であれば数か月先まで支払を先延ばしとすることができます。

以前は商慣行だった

バブル崩壊以前は、日本企業は建設業をはじめとして、約束手形で決済して資金サイトが3か月先程度というのが慣習化していました。

このため、仕入れも約束手形で支払うことが一般的で、その約束手形を受け取った企業も手形で仕入れ代金の決済を行われていました。

約束手形で決済だけを行い、実際の現金の決済は数か月先というように、約束手形で売上と支払いが決済されるということが当たり前でした。

約束手形の振出方法

約束手形は自身でも振り出すことができます。ただし誰でも振り出すことができるわけではなく、銀行で行われる当座預金口座開設の審査に通過しなければなりません。

信用のない人や、実際には約束手形の期日にお金が用意できないような人が約束手形を発行してしまったら経済が混乱してしまいます。

また、そのような約束手形を受け取った企業は多大な損失を被ることになります。

そのため、手形を振り出すことができるようになるためには、銀行が企業の財務分析を行い、経営状態をしっかりと把握する必要があります。

継続的に売上の入金があり、約束手形を発行しても問題のない企業であるという判断がなされないと約束手形を発行できるようにはなりません。

当座預金口座開設

約束手形の振出しを行うことができるようになるためには、約束手形の資金決済用の口座である当座預金を銀行で開設する必要があります。

ここで当座預金を作る際には審査が行われます。この審査に通過するということが約束手形を振り出すことができる審査に通過したと言えます。

申込は銀行窓口に行けば問題ありません。その際には、決算書の提出などを要求されます。

基本的にはふだんから取引を行っている銀行でないと当座預金を作ることは難しいでしょう。

手形帳の購入

当座預金口座を作成したら、手形帳を銀行から購入することができます。

手形の振り出し

当座預金口座を作成し、手形帳を購入したら、いよいよ支払先に約束手形を振り出すことができます。

約束手形は、

  1. 手形の金額
  2. 支払期日
  3. 受取人
  4. 振出日
  5. 振出人の署名
  6. 収入印紙の貼付と割り印

を行うことで有効な手形としての条件が具備され、約束手形を発行することができます。

しかし、取引先によっては約束手形での支払いを嫌がることもありますが、その理由は後述します。

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約束手形を受け取ったら?

約束手形を受け取ったら、まず約束手形に「不備がないかどうか」をしっかりとチェックすることが大切です。

具体的なチェック項目は後ほど詳しく説明します。

手形を間違いなく現金化するためにも、現金化する方法を確認し、手形のメリットについてもしっかりと理解しておきましょう。

現金化の方法を知っておく

約束手形を現金化する方法には、「手形割引」と「手形貸付」のふたつがあります。

【手形割引】

手形割引とは金融機関又は業者に手形を、支払期日前に買い取ってもらうことで現金化する方法を言います。

手形の支払期日までに現金化してもらうため、その手形の期日までの金利(割引料)を支払わなければなりません。

割引された手形は、期日に金融機関に取立てされ決済されることにより、資金が回収されます。

【手形貸付】

手形貸付とは、受け取った手形の発行を受けて金融機関や、ノンバンクからお金を借りる金銭消費貸借のことを言います。

融資実行までのスピードが比較的速いというメリットがある一方、期日までに返済できないと金融機関からの信用を失ってしまうので十分に注意が必要です。

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手形のメリットを知っておく

手形を受け取ると、無事に現金化できるのか不安に思う人もいるでしょう。

手形のデメリットによるリスクが大きいため、手形について余り良い印象を持てない人もいると思いますが、手形にはメリットもありますので解説していきます。

【小切手よりも余裕を持って換金できる】

小切手の換金期間については既に解説しましたが、小切手の振出日翌日から10日間となっていますので、早急に換金する必要があります。

しかし、手形の支払期日は通常2~3か月後位に設定されているため、余裕を持って換金手続きをすることができます。

【手形を振り出した相手と交渉がしやすくなる】

手形振出人は、「支払いを先延ばしにしたい」という状況のために手形を振り出していることが多いので、多少なりとも引け目を感じているところがあり、受取人は話合いや交渉を自分のペースですすめやすくなります。

【資金繰りに困ったら手形を利用して資金調達できる】

支払期日前に、どうしても資金繰りに困った場合は、手形割引や手形貸付で資金調達することもできるので、資金調達の幅が広がるというメリットがあります。

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手形の記載項目に不備がないか確認する

手形を受け取ったら、記載されている内容に不備がないかしっかりと確認することが大切です。

確認項目については次のとおりです。

  • 「約束手形」と印字されているか
  • 金額は正しいか
    チェックライターの場合:金額を「\」と「*」で挟んであるか
    手書きの場合:金額を「金」と「円」で挟んであるか
  • 支払約束についての文言が記載されているか
  • 支払期日は正しいか(暦上ない日付、振出日よりも前になっていないか)
  • 受取人の名前に間違いがないか
  • 回し手形の場合、受取人と第一裏書人が同じになっているか
  • 支払場所の金融機関名が正しく記載されているか
  • 振出人住所に、会社又は支店などが実在するか
  • 振出人名欄に自署やゴム印などが押印してあるか
  • 振出人の印は銀行届出印か(届出印鑑票の写しで確認する)

このように、チェック項目はたくさんありますが、不備があると現金化できなくなるため、細かいところまでしっかりと確認しましょう。

約束手形の換金方法

受け取った手形は期日になればもちろん換金できますし、期日前でも手形割引という方法で換金することができ、裏書譲渡という形で取引先に支払うことも可能です。

銀行で現金化

手形は支払期間内に取引銀行へ呈示することで、普通預金や当座預金に入金を行ってくれます。

なお、手形の支払銀行が近くになく、自分の取引銀行に手形を呈示できない場合は、手形の呈示を受けた銀行が支払銀行へ取立てを行ってくれます。

この際には800円程度の取立て手数料が発生します。

また、手形の現金化は手形に記載されている期日を含めて、3営業日までに銀行に呈示を行う必要があります。

この期限が過ぎてしまうと、現金化は非常に面倒になってしまうため、くれぐれも期日を経過しないように注意しましょう。

約束手形の呈示を銀行に行う際には手形の裏書欄に裏書を行う必要がありますが、その際には以下の点に注意しましょう。

  1. 裏書日
  2. 住所
  3. 法人であれば法人格と商号
  4. 代表者氏名押印
  5. 個人なら屋号と代表者氏名捺印
  6. 被裏書人

これらの記載を行えば銀行が支払い(取立て)に応じてくれますが、基本的には印鑑を持参すれば窓口で手形の裏書が有効かどうかをチェックしてくれます。

手形割引

手形割引とは期日前の手形を裏書譲渡して、銀行が手形金額の融資を行ってくれる融資の方法です。

手形割引には所定の手数料(利息)が発生し、自社についてと手形振出人についての審査が行われ、場合によっては手形割引を断られることもあります。

返済は手形期日に銀行が支払銀行へ取立てを行いますので、約束手形が正常に決済される場合には何もする必要はありません。

ただし、手形が不渡りとなってしまった場合には、自身に返済義務が生じるため注意が必要です。

手形貸付

手形貸付とは、受け取った手形を基に融資を受けることを言い、一般的な融資に比べて「手形」という担保があるため、スピーディに融資を受けることができます。

手形貸付は、銀行でも対応していますが、専門の業者にも申し込むことができます。

銀行の方が安心というイメージがありますが、専門の業者は手続きがスピーディで審査も柔軟になる傾向があります。

したがって、「なるべく早く現金化したい」、「銀行の審査が心配」という人は専門の業者に申し込んでみるのもひとつの方法です。

ただし、手形貸付を利用する場合は、利息について注意が必要です。

手形貸付の平均利息は1%~4%程度ですが、業者によっては高い利息を支払わなければならないところもあるため、申込前に必ず実質年率を確認しておきましょう。

裏書譲渡

手形の裏書譲渡とは自社が持っている受取手形を、取引先への支払手段として支払いを行うことです。

手形には流通性がありますので、裏書譲渡によって受け取った手形をさらに他社へ譲渡することも可能です。

手形の振出人は手形期日になったら当座預金から手形金額が支払われますので、手形期日にどこに裏書譲渡されていようと、手形を持っている企業が取立てを依頼すれば銀行が自動的に決済してくれます。

ただし、手形が不渡りとなった場合には、最終的な手形の所持人に対して、裏書人が連帯して手形の支払い義務を負うことになります。

A社が振り出した手形がB社→C社→D社→E社と流通し、期日となった際にA社の当座預金が資金不足で不渡りとなった場合には、手形所持人であるE社はA~D社のどこに請求をしても問題ありません。

これを訴求権(そきゅうけん)と言います

A社にはお金がないため、通常は裏書人であるB、C、D社に請求を行います。

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手形割引の基礎知識

受け取った手形は、期日にならないと現金化することができませんが、事情によりどうしても期日前に現金化したいというときがあります。

そのようなときに利用できるのが「手形割引」で、期日前の手形を金融機関や専門業者に買い取ってもらうことで資金化することができます。

手形割引を利用する場合に知っておきたい、金融機関と専門業者を利用した場合の違いや、違法業者の見極め方について解説していきます。

手形割引の事業者がある

手形割引は金融機関だけでなく、専門業者に依頼することもできます。

金融機関と専門業者のそれぞれに申し込んだ場合、どのような違いがあるのかまとめてみました。

【金融機関と専門業者の違い】

 金融機関専門業者
取引可否基準手形割引を融資と捉え、利用者の信用状況から判断する手形振出人の信用状況から判断する
割引率一律。一般的には安い傾向手形の銘柄による
割引枠ありなし
担保定期預金、不動産への抵当権設定などなし
保証料保証協会付融資の場合、割引枠総額に対して保証料が掛かるなし
現金化スピード23即時
手続き手形取引約定書裏書
(場合によっては取引約定書)
取立て料600800円(+税)600800円(+税)

金融機関では、担保や保証料が必要になり、現金化スピードも数日掛かりますが、割引率が安いというメリットがあります。

一方、専門業者では、割引率は申込み後でないとはっきりと分からないという面がありますが、担保・保証料が不要で、即時に現金化できるというメリットがあります。

状況に応じてどちらを利用するか判断するようにしましょう。

違法な手形割引事業者に引っかからないための重要なポイント

手形割引業者の中には、もちろん優良な業者もありますが、中には違法な業者も存在しています。

違法業者に引っかからないために、ポイントを押さえて業者選びをする必要があります。

  1. 高い専門性を持つ業者を選ぶ
    手形割引に関する情報や経験が豊富にあり、大手興信所とつながりのある業者であれば、低金利でスピーディな資金化ができます。
  2. 手取り金額を明示できる業者を選ぶ
    見積りの段階で、割引料などを差し引いた手取り金額をきちんとした説明とともに明示できる業者であれば安心できます。
  3. 担当者の対応が適切である業者を選ぶ
    手形割引の申し込みをしたにもかかわらず、他のローンを勧誘したり、必要のない書類や証明書の呈示を求めてきたりする業者には注意が必要です。

これら3つのポイントの他にも、コンプライアンスが徹底されていること、Web上で悪い評判がないことなど、違法業者を見極める方法がありますので、できる限りのリサーチが必要です。

手形が現金化できないのはこんな時!

受け取った手形が現金化できないということがあります。

「どうして?!」と慌てないために、手形が現金化できないのはどのようなケースなのか、しっかりと確認しておきましょう。

  • 支払期日が訂正してある
  • 取引金融機関以外から振り出されている
  • 月商と比較して金額が高額すぎる
  • 印鑑やゴム印が不鮮明
  • 印紙が添付されていない。若しくは複数枚添付されている

これらのケースに該当する場合は、手形が現金化できない可能性が高いです。

また、手形割引の場合ですが、受取人や振出人の会社の業績によっては断られることもあります。

約束手形にはリスクもある

手元にお金がなくても支払いを行うことができ、有価証券として流通や現金化も可能な約束手形はとても便利です。

しかし、期日前に支払い可能であるからこそ、大きなリスクも伴い、そのため、今は手形での決済を嫌がる企業も多くいます。手形のリスクには以下の4点を挙げることができます。

振出人に不渡り

手形の現金化や取立てを期日になっていたとしても、振出人が現金不足で手形が決済できない場合には手形は不渡りとなってしまいます。

こうなってしまうと、実質的には回収することは不可能です。

ちなみに半年以内に2回の不渡りとなると銀行取引停止処分となり、融資が受けられないことから実質的には倒産になります。

よほど信用のある企業からでないと、初回の取引で手形を利用して決済を受けるのは心配ですので、いきなり「約束手形で支払う」と取引先に言っても断られてしまうこともあります。

裏書譲渡時のリスク

先ほど述べたように、裏書譲渡を行った場合に、期日になって譲渡した約束手形が不渡りとなった場合には自社に支払義務が生じることになります。

印紙代が必要になる

約束手形には収入印紙を貼付しなければなりません。

少額であれば数百円程度ですが、手形金額が高額になるとバカにできない金額になります。

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印紙代は以下のとおりです。

金額印紙代
10万円未満非課税
100万円以下200円
100万円以上~200万円以下400円
200万円以上~300万円以下600円
300万円以上~500万円以下1,000円
500万円以上~1,000万円以下2,000円
1,000万円以上~2,000万円以下4,000円
2,000万円以上~3,000万円以下6,000円
3,000万円以上~5,000万円以下10,000円
5,000万円以上~1億円以下20,000円
1億円以上~2億円以下40,000円
2億円以上~3億円以下60,000円
3億円以上~5億円以下100,000円
5億円以上~10億円以下150,000円
10億円以上200,000円

連鎖倒産は約束手形が介在する?

バブル崩壊時に多発した連鎖倒産は、約束手形が不渡りとなったことが起因しています。

A社が振り出した約束手形がB社→C社→D社→E社と流通していた場合に、A社が倒産したらB~E社も資金繰りが困難となり、資金力のない会社は倒産することになってしまいます。

また、バブル崩壊前は日本の商慣習が約束手形による決済でしたので、裏書をしていなくても得意先の手形が不渡りとなれば、入金がなくなり自社の振り出した手形も不渡りとなってしまいます。

自社が振り出した手形を受け取った企業が、振り出した手形も不渡りとなってしまうと、資金不足が連鎖することになります。

このため、バブル崩壊時に約束手形で痛い思いをした企業は約束手形での決済を嫌がり、今は少しずつ小切手や現金決済による支払いへシフトしています。

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約束手形の仕訳例

約束手形は受け取ったものから見れば受取手形という資産、振り出すものから見れば支払手形という負債勘定に分類されます。

振出しや受け取りの際や現金で手形の決済があった場合の仕訳は以下のようになります。なお、約束手形という勘定科目はありませんので注意してください。

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手形を振り出したとき

手形を振り出したときの仕訳は以下のようになります。

仕入代金1,000万円支払いのために約束手形1,000万円を振り出した。

借方貸方
仕入1,000万円(←費用)支払手形1,000万円(←負債の増加)

手形を受け取ったとき

手形の受取人の仕訳は以下のようになります。

借方貸方
受取手形1,000万円(←資産の増加) 売上1,000万円(←収益)

手形が現金化したとき

手形が期日となった際の振出人、受取人の仕訳はそれぞれ以下のようになります。

振出人の仕訳

借方貸方
支払手形1,000万円(←負債の減少)当座預金1,000万円(←資産の減少)

小切手での決済時の仕訳

小切手で支払いを行った(売上を受け取った)場合の仕訳も参考までに載せておきます。

小切手で仕入代金1,000万円を支払った際の振出人の仕訳

借方貸方
仕入1,000万円当座預金(現金)1,000万円

売上金1,000万円を小切手で受け取った場合

借方貸方
当座預金(現金)1,000万円売上1,000万円

小切手は即現金化できますので、わざわざ小切手という勘定科目を使用しません。当座預金への入金若しくは現金を受け取ったという認識で仕訳を行います。

為替手形での決済時の仕訳

為替手形を発行した場合の仕訳も参考までに載せておきます。

B社が仕入先A社に対する買掛金1,000万円の支払をするため、得意先C社の引受(了承)を受けて、得意先宛ての為替手形を振り出した場合のB社の仕訳

借方貸方
買掛金1,000万円売掛金1,000万円

仕入先A社に対する支払い義務である買掛金を、売上先C社から売上金を受け取る権利である売掛金で相殺したという仕訳になります。

為替手形を受け取ったものの仕訳

借方貸方
受取手形1,000万円売掛金1,000万円

為替手形を受け取ったA社はB社から支払いを受ける権利である売掛金を、C社からの受取手形で相殺するという仕訳になります。

為替手形を引き受けたものの仕訳

借方貸方
買掛金1,000万円支払手形1,000万円

C社はB社に対しての支払義務である買掛金の代わりに、A社に対する支払手形で支払い義務を負うことになります。

最近では新たな金銭債権「でんさい」が流通

手形に代わる決済手段として、「でんさい」というものがあります。

経営者や経理担当の人であれば知っているかも知れませんが、まだまだ普及段階にあるものなので知らない人もいるようです。

でんさいとは、「でんさいネット内で流通する電子記録債権」のことを言います。

そして、「電子記録債権」とは、これまでの指名債権や手形債権とは異なるもので、電子的に記録されることにより発生する金銭債権のことを言います。

でんさいを利用すると、次のようなメリットがあります。

  • 手形の盗難・紛失リスクを回避できる
  • 債権を必要な分だけ譲渡や割引できる
  • 電子データとして多くの情報を記録できる
  • 指名債権の二重譲渡リスクを回避できる

これまでの手形では、発行人にとっては書面を作成・交付する必要があり、受取人も保管しておく必要があり手間が掛かる上、紙媒体なので盗難や紛失のリスクもありました。

しかし、電子的に記録されれば、紛失・盗難リスクが回避でき、多くの情報を記録しておくこともできます。

利便性が高いペーパーレス

でんさいは「利便性が高い」とよく言われますが、それは「ペーパーレス」である点によるものです。

日々の取引における決済すべき内容を電子記録債権である「でんさいネット」の記録原簿に記録すると、債権や債務を発生させたり、譲渡できたりします。

利用者は、PCやFAXで手続きを行えますので、簡単・安全・スピーディに債権・債務の発生や譲渡ができます。

でんさいネットには全国の多くの金融機関が参加していますので、興味のある人はメインバンクに確認してみるといいでしょう。

電子手形

電子記録債権のひとつに「電子手形」があります。

電子手形を取り扱っている金融機関と契約した人が、Web画面上で手形の振出し、割引、裏書譲渡と同様の手続きをすることができます。

他の取引者や金融機関との間で信用取引、決済取引、割引取引を行うシステムのことを「電子手形」と言います。

電子手形なので、手形の保管、郵送、取立てなどの事務負担がなく、紛失・盗難のリスクもないため、事務の合理化や効率化を図ることができます。

まとめ

約束手形とは○○円を〇月〇日に支払いますという有価証券で、支払いの手段として利用することができます。

また、期日前であっても裏書や手形割引によって支払いの手段に代えることができたり、現金化したりすることが可能です。

しかし、手形の振出人が資金不足となり、不渡りとなった場合には資金化できないばかりか、裏書や割引を行った場合には自身に支払い義務が生じることとなります。

また、手形が不渡りになると手形振出企業は銀行取引停止処分となり、実質的に倒産になってしまいます。

手元に現金がなくても支払いを行うことができる便利な約束手形ですが、リスクもあるということは十分に認識して引受や振出しを行いましょう。

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