法人が利用できる金貸し
- 執筆者の情報
- 名前:馬沢結愛(30歳)
職歴:平成18年4月より信用金庫勤務
目次
金貸しとは
金貸しとは、個人や法人などにお金を貸し付けて貸したお金の元金と共に利息を返済してもらうことを事業としている人または業者のことをいい、貸し付けたお金につく利息によって利益を得ています。
この定義からいきますと、銀行、信用金庫、信用組合、農協、漁協、クレジット会社、証券会社、保険会社などが金貸しとなり、金貸しを本業としているか事業の一部かは問わず貸付によって利益を得ていれば金貸しとなります。
また、上記のような金貸し以外でも消費者金融や事業者金融、ヤミ金も金貸しとなりますので、金貸しを行っているところとなると広範囲にさまざまなものがあります。
法律で決まっている上限金利がある
貸したお金につける利息によって利益を得ている金貸しですが、利息を計算するための金利は法律によって設定することができる上限金利が決められています。
この金貸しの上限金利を決めている法律のことを「利息制限法」といい、利息制限法では通常の金利の上限だけでなく延滞損害金の上限金利や保証料の上限料率などの金貸しが行ううえで重要な事項について定めている法律です。
この法律により決められている金利の上限は、元金の額が10万円未満の場合は20%までを上限とし、元本の額が10万円以上100万円未満の場合18%まで、元本の額が100万円以上の場合は15%までを上限としています。
延滞損害金の上限金利は通常の金利の上限で決められているそれぞれの上限に1.46倍を乗じた割合までを上限とし、さらに損害金の元本に対する割合が20%までを上限としています。
利息制限法で決められている上限金利を超える金利は違法金利となり、違法金利によって貸付を行っている業者は違法業者となり、上限金利を超えた部分に関しては無効となります。
法人が利用することができる金貸し
法人がお金を借りる際に利用することができる金貸しは、銀行、信用金庫、信用組合、農協、漁協、保険会社、事業者金融などによってお金を借りることができます。
消費者金融はいわゆる「サラリーマン金融」と呼ばれるものですので、主にサラリーマンなどの個人を貸し付けの対象としていることから消費者金融において法人はお金を借りることができません。
消費者金融を除けば、個人がお金を借りることができる金貸しとさほど変わりはありませんが、銀行などの金融機関や法人の場合は事業者金融という個人でいうところの消費者金融でお金を借入することができます。
事業者金融というのは、割引手形を主に取り扱う事業者を対象とした「商工ローン」が転換して事業者金融となりました。
事業者金融は審査の甘さや貸付までのスピードが速い金貸しですが、非常に高金利であることが特徴です。
個人向け商品は利用できない
銀行など融資種類において、個人向けの商品では法人は借入することができません。
個人向け商品には個人向けカードローン、フリーローン、住宅ローン、自動車ローンなどの商品がありますが、これらの商品で共通していることが資金の使い道が「事業性資金を除く」となっています。
あくまでも個人が資金の使い道に合わせてお金を借りるための商品ですので、事務所を新築するための住宅ローンや、事業専用のダンプなどで自動車ローンを借りることができません。
ですので、法人が借入しようとした場合には個人向けの商品ではなく法人向けの商品において借入しなければなりません。
法人向けの借入商品としては、銀行などにより名称が異なりますが中には期間限定として年末運転資金などのキャンペーン商品を取り扱っている金融機関もあります。
金融機関以外での法人借入
金融機関の他にも法人向けに貸付している金貸しもあります。
クレジット会社では、法人向けのクレジットカードにおいてキャッシングをすることができ、個人のキャッシングと同様にATMを利用してお金を借りることや電話やインターネットで申し込みをすることによって振込で借りることができます。
この場合も経営者が個人で利用している個人向けのクレジットカードでキャッシングをしたものを事業用の資金として利用することはできません。
生命保険では、貯蓄性のある保険商品において契約者貸付によってお金を借りることができます。
貯蓄性のある商品とは、終身保険、定期保険、逓増定期保険などが貯蓄性のある商品として解約返戻金に対して一定の割合までを上限としてお金を借りることができます。
保険商品での借入については、契約者が法人名義でなければならず経営者個人が契約者となる個人契約の場合は事業性の資金としては利用することができません。
法人が利用できる借入制度
- 銀行
- 日本政策金融公庫
- 事業性ローン
上記が法人が利用できる金貸しの代表例です。
金融機関において法人が借入することができる商品の中には、制度を利用してお金を借りることができるものがあります。
その制度とは、全国にある信用保証協会が保証する保証制度のもので、全国で統一の保証制度や各都道府県の保証制度、各市町村の保証制度などのことです。
信用保証協会とは、信用保証協会法(昭和28年8月10日法律第196号)に基づき、中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。
事業を営んでいる方が金融機関から事業資金を調達される際、信用保証協会は「信用保証」を通じて、資金調達をサポートします。※一般社団法人全国信用保証協会連合会公式サイトより引用
この信用保証協会を利用することによって、融資枠の拡大を図ることができることやさまざまな保証制度が利用できる、担保がなくても利用することができるなどのメリットがあり、法人が借入しやすいようにサポートしてくれます。
また、保証制度によっては本来借りる側の法人が負担する必要がある利子や保証料の一部を県や市町村が補助することによって借りる側である法人の負担軽減を図っているものもありますし、条件によっては保証料などの負担がないものもあります。
まとめ
一言で金貸しといっても、お金を貸してその利息で利益を得ている業者はたくさんあり、その形態もさまざまなものがあります。
法人がお金を借りる場合、個人が借入しているような借入はほとんどすることができませんが、その分個人が借りる場合よりも多くのお金の借り方が存在しています。
しかし、個人がお金を借りるときと同様に法人の場合でも違法な金利で貸付を行ってくる違法業者には注意が必要です。
違法業者からお金を借りてしまうと、経営の安定を図るために借りたはずの資金が最悪の場合には会社を潰されてしまうことにもなりかねませんし、そうなってしまうとそれまで築いてきた会社に信用も崩れ、従業員までも路頭に迷わせてしまいます。
そのようなことがないように、さまざまな金貸しが存在している中でどこの金貸しがその法人にとってメリットとなるかをきちんと見極めてお金を借りることをおすすめします。
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