銀行融資は相続税対策になることを覚えよう!
相続税は、相続される資産の価値によっては、すごく大きな金額となりますが、銀行融資を活用することで節税できます。
相続がまだ発生していない人も、相続が終わってこれから相続税を納める人も、銀行融資を受け取ることで様々なメリットがありますので紹介します。
目次
相続税って何?納めるときのルール
相続税は、被相続人(なくなった人)から相続した財産が大きいと必要になる税金で、原則として、「相続の開始があったことをしった日の翌日から10か月以内」に、現金で納税する必要があります。
ここで注意したい点として、相続の開始というのは、「相続手続きの開始」という意味でなく、「被相続人がなくなった瞬間から開始される」という意味ですので納税期限はそれほど猶予がありません。
相続税の納税資金をあらかじめ準備されていたり、資産を現金という形で相続できたりすれば問題ないのですが、資産の処分に時間がかかるときには、納税期限までに相続税を納められないケースもあり得ます。
では、どういったケースですぐに相続税を納められないのか、具体的に示したいと思います。
まず考えられるのが、突然の事故で急に相続となったので、資産の把握に時間がかかるということです。
この場合は、まさか被相続人がなくなるとは本人も考えていないでしょうから、資産の整理ができていません。
相続人が資産を把握するには、それなりの時間が必要になり、いくらの相続税になるのか把握できないこともあるでしょう。
そして、かなりのケースで多いのが、身内ともめていて相続の遺産分割が終わらないということです。
100万円や数十万円の相続であっても、兄弟でもめることもあります。
また、相続財産が不動産や国債なので、すぐにお金に換えられないこともよくあります。
相続税は現金で納めなければいけません。
ものの価値がいくら高くても、現金が不足していれば資産を売却しなければ納税できなくなります。
このようなときに、相続税を納税する方法を、紹介していきますので見ていきましょう。
役立つ4つの支払い方法
先にも話をしたように相続を受けた人は、換金性の低い資産を相続した場合や、相続手続きに時間がかかる場合は、納税期限までに相続税を納められないかもしれません。
そのような場合でも、幾つかの代替処置や納税資金の調達方法がありますので、しっかりとおさえておきましょう。
延納で分割払
延納とは、相続税を最長20年で、一年に一回ずつ分割して支払う方法です。
延納をするには担保が必要であり、不動産や、国債や社債といった有価証券でも担保として差し入れるのは可能です。
また、延納をする場合は利子税といって、銀行利息のようなものが必要であり、一般的な相続による利子税率は3.6%~6.0%程度になります。
このように、普通に相続税を納めるよりも、若干ではありますが不利な取扱いとなっています。
物納もできる
物納とは相続税の支払いが延納の方法をとっても払えないときに、お金の代わりに不動産や有価証券を持って支払う方法です。
物納する資産の価値は一般的な価格より低めになるほか、物納する順番も不動産から行うというようなことも決められている点に注意しましょう。
不動産を売る
相続税の資金を、相続された不動産を売ることにより現金化する方法です。
物納する場合の資産価値は、一般価格より低くなるケースが多いので、不動産を売却した方が手許(てもと)にお金が残りやすいというメリットがあります。
しかし、売買に時間がかかれば、相続税の納税期限に間に合わない場合もありますので注意をしましょう。
銀行から融資を受ける
相続税の納税資金は、銀行融資で確保する方法があります。
銀行融資では、原則として、相続した財産を担保に差し出すほか、保証人を要求される場合も多いです。
お金を借りて納めるメリットとは?
相続税の納税資金がない場合、銀行融資を活用することで、融資の金利が、相続税を延納する場合の利子税より低くなる可能性があります。
理由としては、銀行側としては、相続財産を担保に取り、審査のときに相続人の給与収入や他の資産も考慮するので、そこまで高い金利を取らなくてもリスクはないだろうという考え方があるからです。
したがって、延納するときの利子税が、一般的に3.6%~6.0%であるのに対し、銀行ではより引きくい金利で納税資金を調達することも可能です。
不動産売却を前提とした融資もある
相続税の納税資金を銀行融資で調達する方法として、相続した財産を売却する前提で融資を受ける方法もあります。
つまり、相続人は相続された不動産等を担保に銀行から借入し、不動産の売却が決まればそのお金で一括返済するといった「つなぎ融資」を受けるのです。
銀行としては、不動産の売却が決まるまでの短期融資となるため、リスクが少ないので、相続人にとっては金利等の融資条件が良くなる可能性があります。
ただし、不動産の立地条件が悪い場合は、売却がなかなか決まらない可能性もあるため注意が必要です。
不動産の条件がいい場合は、この方法も検討してみるといいでしょう。
融資の前に確認したいこと
相続税の納税資金が足りない場合、銀行融資を検討することはひとつの手段ですが、相続が発生する前に生命保険に加入することで、相続税の金額自体を減らすこともできます。
この仕組みとしては、生命保険の死亡保険金は、みなし相続財産といって、不動産や有価証券とは別枠で相続税が計算されるため、相続する側(がわ)が被保険者とする生命保険を利用することで相続税額を減らせるというものです。
不慮の事故ではなく、しっかりと相続の準備ができるときには、このような商品も検討をしましょう。
相続税を融資してもらうときのコツ
相続税の納税資金を銀行から有利に融資を受ける方法は、担保以外のアピールポイントをいかに集められるかです。
相続税の納税資金の融資では、ほとんどの場合で相続財産を担保に入れます。
しかし、納税額が相続財産の価値より高くなるというのは、相続税の計算上あり得ませんので、納税資金として融資する額に対して、担保を差し入れるものは資産価値が十分にあるからです。
したがって、相続人の給与収入、相続人が保有している預金や有価証券、また資産のある保証人といった、担保以外の強みをアピールすることで、銀行融資をより有利に受けることが可能となるでしょう。
資産家必見!相続税を少なくする方法
相続税を納税する人は銀行融資を活用することで様々なメリットがありますが、まだ相続が発生していない資産家にとっても、銀行融資を受けることで相続税の節税になるということがありますので紹介します。
アパート経営をして相続税を減らす
大きな土地を持っている資産家は、あえて銀行融資を受けてアパートを建てることで、相続税を減らすことができます。
それは、自分が持っている土地(自用地)にアパートを建てることで、貸家建付地という分類になるため、相続財産の評価額が減るからです。
相続税の評価額は賃貸割合や、借地権割合により変わりますが、一般的にアパートを建てることで8割程度まで減りますので、1億円の土地の場合は8,000万円程度になります。
また、建物の相続財産の評価額は、その建物を建てた実費より低くなります。
例えば、1億円のアパートを建てた場合、評価額は7割程度で、賃貸割合と借地権割合で、さらに7割かけしますので、相続税の評価額は半分の5,000万円程度になります。
さらに土地、建物といった相続財産の評価額は、負債額を控除することができます。
したがって、土地を持っている人は、あえて銀行融資を受けて、アパートを建てることで、土地や建物の評価額が減るだけでなく、負債額を控除して、トータルの評価額を減らすことができます。
このように、相続資産の価値を大きく引き下げることによって、相続税を節税できる効果があります。
なお、ここで話したことを整理すると、次のとおりとなります。
- 土地だけを持ち続ける場合
1億円の土地に対して、まるまる相続税がかかってくるため、例えば相続人が子1人の場合は、1,000万円以上の相続税がかかる可能性もあります。
- 銀行融資を受けて、土地にアパートを建てる場合
土地が1億円から8,000万円に評価が下がり、建物は実費が1億円だとすると、5,000万円まで評価が下がります。
アパートを建てた土地+建物の評価は1億3,000万円となり、建物の実費を全額銀行で借入したら、1億円を控除できるのでトータルの評価は差し引き3,000万円となります。
そして、3,000万円というのは相続税の基礎控除の範囲内となりますので、他の資産がなければ、相続税は0円となります。
したがって、土地だけ相続する場合と、アパートローンをして相続する場合で1,000万円もの納税額が変わる可能性があります。
※細かい金額は、家族構成やアパートの内容によって異なりますので、必ず専門の税理士に相談をしましょう。
アパートローンの注意事項
土地を持っている資産家は、アパートローンを利用することで、相続税の節税メリットがありますが注意点もありますので見ていきましょう。
注意点としては、土地にアパートを建てて目先の相続税が減ったとしても、その後の不動産収入がないと銀行の負債を返済できません。
したがって、人が入りやすいアパートにするのはもちろん、空室保証といった、建設会社の保証も上手に利用しましょう。
不動産収入は積み重なれば相続財産となりますので、アパートを建てることで、土地や建物の評価額を減らしても、相続が発生するまでに不動産収入を持ち続けると結局相続税がかかります。
アパートローンをする人は、年間110万円までなら贈与税がかかりませんので、不動産収入で得たお金を子や孫に贈与していくことをおすすめします。
まとめ
相続が済んでこれから相続税を納める人も、まだ相続が発生していない人も、銀行融資を活用することで様々なメリットがあります。
ただし、融資する銀行側は、金融のプロではありますが、税務は専門分野ではありませんので、まずは税理士に相談した上で銀行融資を検討しましょう。
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