永住権なしの外国人・留学生がカードローンを銀行借入するには
外国人でも日本に長く住むほど、日本人と同じようにお金を借入したい場面が増えてきます。しかしお金を借りる大前提として、日本の銀行から借入は可能なのでしょうか。
また借入可能だとしても何かしら面倒な手続きが必要であったりするのか不安になることもあるでしょう。そこで、具体的な例をあげながら見ていきましょう。
目次
銀行での借り入れは「永住権」がないと厳しい
外国人が銀行で借入を希望するときに、必ず必要となるのが「永住権」です。銀行では永住権を所有していない人には、審査にすら回してもらうことができません。
永住権とは
永住権とは、国籍が違っていてもその国に永住できる権利のことです。ビザと異なり滞留することの期限もありませんし、社会的信用も大きくなります。
しかしメリットが大きい分、永住権を所有するためには幾つかの条件をクリアする必要がありますので要注意です。
・今まで社会的に反する行為をしておらず、納税など義務を果たしていること
・安定した収入が見込めること
・10年以上日本に在留し、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留すること
上に記した条件の他にも細かな規定が存在します。この厳しい条件をクリアした人に対して与えられるのが永住権ですので、その権利を所有していることで、国籍は違えど異国の銀行で借入の審査を受けることができるようになるのです。
永住権さえ所有していれば大丈夫?
借入審査に必要なものは永住権のみではありません。当たり前ですが日常会話とビジネス用語も理解できる日本語力が必要となります。
いざ契約となっても書面に記載されている日本語が、理解できないと銀行側も困ってしまいます。契約書には取引に関する重要事項が多く並んでいますので、そこを根本的に理解できない状態で融資はできない訳です。
日本人でも少し難しいと感じる言いまわしになっていますので、上級者レベルの日本語理解力が求められます。
中長期滞留者であれば「外国人登録証明書」や「在留カード」でもOKな場合もある
永住権を所有はしていないけれども、中長期滞留者であり外国人登録証明書や在留カードならば保持していることもあります。このような場合は申込先の銀行によっては、受付がOKの場合もあります。
申し込みにおいて何を基準にするかは各銀行で異なります。ただ先に述べたように、基本は永住権を保持していることが条件ですので、銀行の代わりとなると銀行本体ではなく銀行が管理している消費者金融であればOKというような条件がつく可能性が高いです。
外国人でも融資OKな銀行・銀行系消費者金融はどこ?
外国人でも融資が可能な、主な銀行や消費者金融をあげてみます。
銀行
- みずほ銀行
- 三菱UFJ銀行
- スルガ銀行
- 三井住友銀行
- イオン銀行
- 楽天銀行
- じぶん銀行
- 東京スター銀行
- SBI新生銀行
銀行傘下資本系消費者金融
- プロミス(三井住友銀行)
- アコム(三菱UFJ銀行)
- SMBCモビット(SMBCグループ)
探せばもっとあるのですが、誰しも耳にしたことのある代表的な銀行や銀行傘下の消費者金融は、上に記したところになるでしょう。
銀行によっては外国人専用窓口を設けてることもありしますし、銀行傘下の消費者金融であれば金利は銀行よりも高くはなりますが条件さえ揃えば借入自体は可能です。
用途に合わせて検討するといいですね。
永住権がなくても申し込み可能なカードローンの詳細
外国人がカードローンを申し込むためには、申込みに当たって永住権を持っていた方が審査にとおる可能性はあがります。
しかし申込み条件に「永住権を持っていること」と記載されていない場合、状況によっては永住権なしでカードローンが利用できることも期待できます。
永住権は持っていなくても、中長期在留カードなどがあれば、申込み可能な場合もありますが、90日以内の短期滞在ビザでは、どこに申込みをしてもなかなか厳しいと思っておいた方がいいでしょう。
カードローンはお金を貸す商品です。
いつ母国に帰るのか分からない短期滞在ビザでは、余りに金融機関にリスクが大きすぎますし、そもそも審査の条件である「安定した収入」をその期間で得ることは不可能に近いためです。
永住権はなくても、ある程度長く日本で働き収入を得ている外国人であれば、申し込みできる間口が広がってきます。
ただし、大企業などの場合は企業でメインバンクとしている銀行であれば、勤務先を通じてカードローンの申し込みができることもあります。
りそな銀行カードローン
りそな銀行クイックローンの申込み条件は以下のとおりです。
- 日本国内に住んでいること
- 申込時の年齢が満20歳以上満66歳未満の人
- 継続安定した収入を得ていること
- 保証会社の保証を受けられること
外国人への明記事項はありませんので、申込みをすることは可能です。
申込みもWEBで行うことができますので、まずは申込みだけでもしてみる価値があるのではないでしょうか。
三井住友銀行カードローン
三井住友銀行カードローンの申込み条件は以下のとおりです。
- 申込時の年齢が満20歳以上満69歳以下の人
- 継続安定した収入を得ていること
- 保証会社の保証を受けられること
- 使い道が事業資金ではないこと
こちらも、りそな銀行同様に、外国人への明記事項はありませんから申し込み可能です。
三井住友銀行カードローンは三井住友銀行の普通預金口座がなくても借入可能ですし、月の返済金額も最低2,000円から(※毎月のご返済は、返済時点でのお借入残高によって約定返済金額が設定されます。)と利用しやすい設定になっているのが魅力です。
J.Score(ジェイスコア)レンディング
みずほ銀行とソフトバンクが共同開発した、日本発のAIでの数値化による貸付けです。
J.Score(ジェイスコア)は外国人にも対応していて、申込み条件は以下のとおりです。
- 日本国内に居住
- 国内で就労し安定した収入を得ていること
- 満20歳以上満70歳以下の場合、永住権がなくても申し込み可能
- 外国籍の場合在留カード若しくは特別永住者証明書の提出が必要
J.Score(ジェイスコア)であれば永住権がなくても、国内で居住そして収入を得ている場合は申込み可能と明記されています。
SMBCモビットカードローン
申込み条件は以下のとおりです。
- 20歳以上74歳以下
- 安定した定期収入があること
条件は上記の2点だけですので、申込みをすることは可能です。
SMBCモビットの特徴として審査結果が出るまで早いことがあげられますので、急ぎの人は検討の余地に入るのではないでしょうか。
またTカードと一体型になった「Tカードプラス(SMBCモビットネクスト)」も新しく展開されていますので、効率よくポイントをためることも可能です。
外国人の審査
外国人の審査は、日本人の一般的なスコアリング審査に加えて、日本人にはない審査項目がいくつかあります。
日本人への審査をともっとも大きな違いは「日本に来てどのくらいか」「あとどれだけ日本にいるのか」という点です。
それでは細かく説明していきましょう。
日本での居住年数
日本にどのくらいの期間居住しているのかということが外国人への審査の際は重要になります。
なぜ、日本への居住期間が重要になるのかと言えば、単純に「借りたお金を持って母国へ逃げてしまわないかどうか」を知るための重要なポイントだからです。
生活基盤がほとんど日本にない、外国から来たばかりの外国人は、借りたお金を持って母国に逃げてしまっても、ほとんど不都合は生じません。
また、消費者金融としても、外国に逃げられてしまった場合には、99.9%回収は不可能になります。
そのため、日本に、住居や、仕事や、家庭などの生活インフラがしっかりと構築されている外国人かどうかを慎重に精査しています。
外国人の場合には、個人信用情報を見てもその人のお金に対する人となりを知ることはできません。
信用情報に記録されているのは、あくまでも、日本国内のクレジットカードや借入に関する情報だけです。
借りる外国人が母国でカード破産をしていたとしても、それを日本の審査で知ることは不可能なのです。
このため、日本にどのくらい居住し、生活はしっかりとしている外国人かどうかということが外国人への審査の際には重要になるのです。
在留期間内に完済可能か
外国人への審査は「あとどのくらい日本に居住することができるのか」という視点も非常に重要になります。
これは、「今までどのくらいに日本に居住していたのか」と同じくらい重要です。
あと1ヶ月で滞在資格が切れてしまう人は審査に通過できないでしょう。
なぜなら、お金を貸しても完済されることなく、母国に帰国してしまう可能性が高いためです。
先ほども述べたように、一度在留資格が切れて母国に戻ってしまったら、そのお金を取り返すことはほぼ不可能です。
このため、「あとどのくらい日本に滞在するのか」も審査の際には非常に重要です。
外国人も在籍確認は必要
カードローン審査の際には、申し込みの際に、深刻した勤務先に本当に勤務しているかどうかを確認する在籍確認は必ず行います。
これは外国人の審査の際にはさらに重要になります。
勤務先がある人は、日本においてしっかりと生活基盤を築いている人と、みなすことができるためです。
このため、勤続年数も審査の際には非常に重要です。
勤続年数が長ければ長いほど、日本で生活の基盤をしっかりと築いていると看做せるためです。
日本人の場合には勤続年数1ヶ月程度で審査に通過できることもあるのが消費者金融のカードローンですが、外国人の場合は1年以上は勤続年数があった方が良いでしょう。
また、審査の際は、審査担当者から、勤務先に「〇〇さまいらっしゃいますか」という電話がかかって来ます。
勤務先の人も外国人あてに、会社の固定電話で電話があることは想定していないことがほとんどですので、「自分宛に電話がある」ということを一言会社の人へ伝えておきましょう。
お金を借りるということを知られたくない場合には、クレジットカードの審査で在籍確認があると伝えれば問題ないでしょう。
外国人でも総量規制対象に
外国人であっても、消費者金融から融資を受ける場合には、総額で年収の3分の1を超える借入ができない総量規制の対象となります。
なお、母国からの仕送りは収入にカウントされませんので注意してください。
毎月安定した収入があること
消費者金融は日本人、外国人に関係なく毎月安定した収入がないと申し込むことができません。
毎月安定した収入とは給料のことです。給料が毎月もらえていれば安定した収入となります。
お金を借りたら利息をつけて返済しなければなりませんし、返済期日をきちんと守ってもらわないと困ります。外国人だから返済滞納してもどうってことない、と甘く考えると審査に落ちてしまいますよ。
仕事をしている期間は最低でも6カ月以上、そして同じ勤務先で働いていると審査に有利になりますね。
日本人が消費者金融の審査に通るには勤続年数が審査基準の重要なポイントとなり、勤続年数が短いと審査に落ちることもあるのです。
それに加えて住民票を登録し、同じ地域に長く住んでいることも重要視されますよ。
同じアパートやマンションに長期間住んでいるということは、毎月家賃を支払っていることを証明していることにもなりますね。
在籍確認ができること
カードローンで借りるには本当に仕事をしているのか確認するために、勤務先へ消費者金融の担当者が電話をかけます。
勤務先へ電話をかけることで働いていることがわかれば在籍確認はOKです。消費者金融が勤務先に電話をかけてきてもお金を借りることがバレることはありません。
個人名で電話をかけてきて、「〇〇さんはいますでしょうか?」と勤務先の人に話し、勤務先の人が「〇〇さんは今日は休みですよ」でも大丈夫です。
しかし勤務先の人が名前をしっかり覚えていないと「そんな人いたかな?」となってしまいます。
在籍確認が終わらなければ審査が終わりません。
スムーズに審査を進めるためにも勤務先で電話を受け取る部署の人に、「自分宛に電話がかかってくるかもしれないのでよろしくお願いします」のように伝えておくようにしましょう。
収入証明書を提出できること
在籍確認によって仕事をしていることが確認できても、どの程度収入があるのか調査するために収入証明書を提出してくださいと言われる場合があります。
日本人が借りる場合も借入希望金額が50万円を超える場合や、他社からの借入との合計が100万円を超える場合は収入証明書を提出することが義務付けられています。
外国人の場合は借入金額に関係なく、収入証明書の提出を求められることがありますので、源泉徴収票や給与明細書を3カ月分くらい用意しておきましょう。
必要最低限のローン申込条件は日本語の読み書き
この記事を読んでいる段階で日本語の読み書きはできると思いますが、消費者金融の借入申し込みは日本語でしかできません。
WEBから申し込む場合でも申込フォームは日本語でできており、外国人向けの外国語の申込フォームはありません。
自動契約機から申し込む場合も同じです。銀行ATMのように外国語に対応していません。
貸付条件や返済方法、契約書や信用情報に関わる同意事項もすべて日本語です。
何かわからないことがあってオペレーターに相談する場合も、通訳を介して相談できませんので、日本語を話すだけでなく読むチカラ、理解する能力が必要です。
その他のローン申込みに必要な条件
その他ローン申込みに必要な条件として挙げるとすれば、日本に長く住んでいること、及びこれからも住み続けることが条件です。
最低でも1年以上の在留期間が残っていることが審査には有利ですね。
もうすぐ在留資格を失ってしまう外国人にお金を貸しても、帰国されてしまっては母国まで借金回収しに行くことができません。
在留期間が残り数カ月しかないという場合は、更新手続きを行ってからカードローンに申し込みましょう。
ローン申込みの必要書類
消費者金融からお金を借りるには次の必要書類を用意しましょう。
・在留カード
・パスポート
本人確認書類として以上2点が必要です。それぞれ本物を用意しWEBアップロードや、自動契約機でスキャンさせて書類を提出します。
スマホから申し込む場合はスマホのカメラで書類を撮影しますので、画像が鮮明であること、ブレていないことを確認してください。
在留カードは顔写真がついている面と裏面の両方が必要です。パスポートは顔写真のページと住所氏名が書いてある所持人記入欄ページの2ページ分必要です。
また在留カードの顔写真とパスポートの顔写真があまりにも違っていると偽造の可能性や、なりすましの可能性を疑われてしまうため、誰が見ても同一人物だとわかる写真であることが望ましいです。
外国人でも住宅ローンの借入は可能?
長く住んでいくと家賃がもったいないと考えたり、家族が増えたりの理由により日本で住宅ローンを組もうと検討する外国人も増えてきています。
銀行のカードローンですら審査が厳しいのに、それよりも融資額が大きくなる住宅ローンなんて組むことが可能なのか見ていきましょう。
外国人だって住宅ローンは組める
結論から先に述べると、住宅ローンを借りることができます。細かなことをいうと条件を幾つかクリアすることで、審査に回してもらえることができます。
そこは日本人でも外国人でも同じです。審査に通しても結果は銀行判断ですので、審査に回ったからといって必ず住宅ローンが組めるということではありません。
まずカードローンと同様に永住権が求められます。何千万円という高額な融資となりますので、やはり「間違いなく日本に住みますよ」という公的な物証がないと難しいです。
旅行ビザで「〇千万円貸してください」といったところで、「はい分かりました」と承諾なんてできないのは理屈として分かるでしょう。万が一「返済されずに母国に戻られたら…」と考えると永住権が必須なのも分かります。
20%程度の頭金が必要
人によっては頭金ナシの全額住宅ローンで、家を購入する人が増えてきていますが、外国人が住宅ローンを組む場合には頭金を準備しておく必要があります。
目安としては購入を検討している家の20%程度の頭金です。仮に購入金額が1,000万円であれば200万円の頭金という計算です。
残りの800万円を住宅ローンとして申し込むという流れになります。やはりこれも万が一に備えてという概念からですね。
頭金20%という数字は各銀行によって数字は異なる場合もありますが、一般的に20%程度準備していれば審査は受けやすいかと思います。
日本人と結婚して7年以上たっていること
日本人の妻、もしくは夫との婚姻が、7年以上たっていることも条件にあげられます。この場合は、日本人妻もしくは、夫を連帯保証人とするという条件付融資になる可能性が高いです。
しかし日本人なら無条件にOKということはなく、勤務状況や収入などに応じて審査に通る通らないは判定されます。信用情報機関にブラックとして載っている方はもちろん難しいです。
勤務年数や属性も確認される
勤務年数や属性は国籍が関係なく確認されるところです。どんなに大企業に勤務していたとしても、やはり最低2年は勤務実績があった方が安心です。特に社会保障のある会社に3年以上勤務していた方が望ましいでしょう。
また国籍は変更しないと必ずしもダメだということではありません。国籍も日本にしていたり、帰化していたりする方が印象は良いでしょう。そのぐらいのレベルですので、余り国籍は気にしなくても大丈夫です。
母国が本店の銀行を探す
永住権ももっていない、勤務年数が短い、頭金が準備できない。このような事情で住宅ローンの申し込みそのものが厳しいけれども、ローンを組む必要が生じた場合は、母国に本店の銀行でお願いしてみるのもひとつの方法です。
日本での窓口は東京都にしかありませんが、気になるなら一度電話相談だけでもする価値はありそうです。
「アメリカ合衆国」「イタリア」「インド」「インドネシア」「イギリス」「オーストラリア」「オランダ」「カナダ」「シンガポール」「スイス」「スペイン」「タイ」「韓国」「台湾」「中国」「ドイツ」「パキスタン」「フィリピン」「ブラジル」「フランス」「香港」の21か国の主要銀行が外国銀行の支店として日本に存在します。
まとめ
外国人でも銀行での借入は条件さえ満たせばOKです。ただし借入を申し込みするまでのプロセスは、日本人が申込をするときと比較すると格段に難しくはなります。
これからも徐々に増えていくと推測できる外国人の借入問題ですので、銀行側も少しずつですが間口を広くしようとしています。最初からダメだと諦めず交渉していくことで開けてくる可能性も期待できるのではないでしょうか。
タグ:お金の知識