武富士の裁判はまだ続いているが過払い金は戻らない

既に終わったかと思われている武富士の過払い金請求絡みの裁判は2017年6月現在でも最高裁判所で審理が続いています。

正しくは武富士の創業家が保有している財産に対して、会社の資産を違法に個人資産へ転換した可能性があるための創業家に対する損害賠償請求訴訟です。

執筆者の情報
名前:梅星 飛雄馬(55歳)
職歴:地域密着の街金を30年経営
この記事はこんな方におすすめ

この記事は以下に該当する人におすすめです。

  • 以前武富士からお金を借りていた
  • そういえば今、武富士ってどうなっているの?と気になっている方
  • 武富士裁判が何なのか知りたい方

このような人には特に参考になります。

過払い金は本当に戻らないの?

「完済後10年以内であれば、過払い金請求ができる」というのが一般認識ですが、以前、武富士から借入れをしていた人が現時点(2019年8月)に、過払い金請求をしても、もう戻ってくることはありません。

武富士での過払い金最終請求期日が、2011年2月28日まででしたので、いくら過払い金があるとしても、もう戻ってくる合法的な手段がありません。

また後で詳しく話しますが、武富士自体なくなっていますので、過払い金が戻ってくる可能性は0だと言えるでしょう。

しかしネットを見ると「武富士から過払い金が戻ってきた」という声も散見されます。 一体どのようなことなのか下記で詳しく見てみましょう。

ネットには体験談もあるが

ややこしい話になるので、少し時系列を整理したいと思います。

長きに渡って消費者金融業をけん引していた武富士ですが、2006年のグレーゾーンの撤廃により多額の過払い金が請求されるようになりました。

これにより武富士は、資金繰りが悪化し2010年9月に会社再生法を適用しました。

実質ここで武富士という会社は倒産したのですが、その後TFK株式会社という社名に変更し、過払い金返還を含めた業務を取り扱っていましたが、それも2017年3月17日に法人が抹消になりました。

つまり「武富士から過払い金戻ってきたよ」「今手続きをすれば、3.3%の変換率で過払い金が戻ってくる」という情報は過去の情報なのです。

先述したようにTFK株式会社として業務は行っていましたが、すでになくなった会社ですし、何より「過払い金最終請求期日が、2011年2月28日」と決まっていたので、すでに期日を過ぎた現時点で武富士に対し、過払い金請求を行うすべがありません。

弁済金に納得がいかない場合

期日内に手続きを行い戻ってはきたものの、弁済金があまりにも低くて納得がいかないと言う人もいると思います。

その場合は創業家の次男である健晃氏へ損害賠償請求を行うことが可能です。

現在においても最高裁で審理が行われていますが、全国の高等裁判所で原告側が敗訴していることを考えると損害賠償金を勝ち取ることは難しいようです。

もちろんすでに過払い金債権届出はすることはできません。

あくまでも個人に対する損害賠償請求となりますので、どうしても行いたい人は武富士問題に強い弁護士や司法書士など法律の専門家に相談することになります。

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武富士の裁判

「武富士の弁済金に納得がいかなければ、創業家の次男である健晃氏へ損害賠償請求を」と先述しましたが、直接的な経営者でもない次男へなぜ損害賠償請求を?と、疑問に思う方も多いことでしょう。

これは、過去の裁判「武富士裁判」の歴史と流れをひも解いてみると、理由が明確になります。

それでは過去にどのような判例そして流れがあって、創業家の次男への請求となるのかを見てみましょう。

武富士会社更生法申請

2010年9月28日武富士は東京地方裁判所に対して、会社更生法手続き開始の申し立てを行いました。

貸金業法が完全施行されたのが2010年6月であることを考えると、素早い動きのように見えますね。

でもそうではないのですよ。

過払い金請求訴訟は2006年1月に最高裁判所において、旧貸金業法第43条のみなし弁済の要件を満たしていないとして最終的な判断がされてか、すでに全国的な過払い金請求訴訟問題へと発展しています。

そうなることを見越してすでに武富士側は裏で動いていたのではないでしょうか。

なんとか自力再建の道を模索するも、2007年に発生したアメリカでのサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機によって、新しいスポンサーを見いだすことが不可能でした。

第43条の否定は本来であれば、金融庁のガイドラインに基づいて営業を行っていたはずの武富士を含めた貸金業者にとって信じられない判決だったと思ったことでしょう。

最高裁判所で判断が出てから、当時各都道府県にあった貸金業協会は一斉に契約書の書き換えを行なったものの、その徒労は虚しいものでした。

なぜならみなし弁済が否定されたのは仕方ないとしても、裁判上類を見ない法的効力が過去に遡及する内容だったからです。

武富士が抱えていた過払い債権者は把握しているだけで200万名を超え、過払い金の総額は2兆4,000億円という莫大な金額です。

会社更生法を申請する直前の武富士の総資産は連結で約6,900億円しかなく、とても過払い金総額賄うだけの資力がありませんでした。

当時の保全管理人として小畑弁護士を起用し、調査委員として須藤弁護士を選任しています。

その結果として、全国で1万7,000件を超える過払い金返還請求訴訟、及び800件の武富士に対する強制執行事件が申し立てられていることが判明しました。

会社更生法手続きが妥当であるとの判断から、保全管理人として弁護士19人を選任し、それに会計士を加えた保全管理団体を組織したのです。

営業貸付残高の激減

武富士の資産保全管理団体による利息制限法に基づいた引き直し計算の結果、営業貸付残高は5,100億円あったものが750億円まで激減します。

同時に引き直し計算の結果、借入残高が残るかどうかはっきりしない顧客に対しては、自発的な回収行為を行うことなく一旦取りやめることと決めました。

参考までにご説明すると、2017年6月現在で消費者金融最大手と言われるアコムの営業貸付残高は約1,280億円。

そのことを考えると、いかに武富士の5,100億円という営業貸付残高が多いのかお分かりになると思います。

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会社更生手続開始決定

保全管理団体が提出した資料によって引き直しの計算方法が妥当であり、現在の武富士の資力ではすべての過払い金を支払うことは不可能であるとの報告が認められました。

2011年10月31日に東京地方裁判所は会社更生手続開始決定を下しています。

有人店舗を大幅に削減、及び武富士が持っている不動産や美術品及び有価証券の売却をはかるものの、到底過払い金請求を満額で変換するには至らず、過払い金返還請求訴訟については引き続き継続するとしながら、返還請求金額の減縮及び750億円に上る貸付金の回収にも動き始めています。

過払い金債権届出提出期限

会社更生法手続き開始決定から、武富士はテレビや新聞など各種メディアを利用した方法で武富士に対して過払い金請求権を持っている人へ債権届出の提出を求める他、武富士皮が自発的に債権者へ電話及び圧着ハガキ、ATM画面および利用明細による告知を行い債権提出期限を2011年7月23日で閉め切ることとなりました。

その間提出された過払い金債権届出の総額は1兆3,800億円。

2012年の調査によると、請求金額に対して支払われた過払い金はおよそ455億円、返還率にしてわずか3.3%という数字に終わります。

不足分については創業家に対する配当金20億円、盗聴事件に関しての訴訟費用と和解金を含めて1億6,400万円、その他訴訟費用の立替払いが8,000万円、創業家が配当金を受け取った金額の返還を求めることで第2回弁済の原資とすることを決定しています。

しかしながらそれら全部含めても30億円未満であって、とても債権届出された1兆3,800億円には遠く及ばないものです。

今からでは過払い金債権届出は提出できない

民法上、過払い金は武富士の利用者が持っている武富士に対する債権であるため、過払い金債権届出は2021年まで有効のはずです。

つまり最後の取引から10年間は債権が有効であるという判断に基づきます。

しかし会社更生法第139条第4項によって、裁判所が認めた会社更生計画案に対し妥当であるとの決定が出ているため、2011年7月23日以降において債権届出をすることはできません。

武富士裁判が一斉に始まる

過払い金の債権届出を出さなかった人、及び請求額に対して3.3%しか過払い金を返還しなかったことに不満を持った2,800人のうち、400人に対する集団訴訟の判決が2014年3月14日に東京地方裁判所で下されます。

内容的には法人である武富士に過払い金を返還する資力がないのであれば、創業者の次男である健晃氏には違法な経営によって会社を倒産させた責任がある。

しかも創業家一族は倒産するまでの間、過払い金が膨大なことに驚き、不正に個人資産へと転換したことを理由に、今まで創業家が蓄積してきた膨大な私財から返還するべきであるとの出張を行ったわけです。

しかし判決内容は原告側の敗訴に終わります。

その理由を要約すると次のようになります。

  • 過払い金債権を持つ債権者が200万人に及ぶ
  • 個別に過払い金を算出することは困難であった
  • 武富士は過払い金計算義務を負っていない
  • 健晃氏に会社が倒産に及んだ重大な過失はなかった
  • 各事件による訴訟の損害が経営破綻の影響とは認められない

したがって創業家一族に武富士を倒産させたこと、及び過払い金の返還請求に対して応じることが出来なかったとまでは言えないというものでした。

この判決に関しては原告側及び被告側のそれぞれの言い分が異なることから、現在においても最高裁で心理が行われている状況です。

請求総額は約64億円。

全国の地方裁判所や高等裁判所で裁判が行われてきましたが、今までのところ原告側が勝訴した例は1件もありません。

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2006年の最高裁判決ではどうだったのか

2006年の最高裁判決では、あくまでも旧貸金業法の第43条に正当性があるのかどうかということが焦点になったわけです。

最終的にみなし弁済が認められなかったのは、契約書書面に記載されていた期限の利益喪失約款によって、必ずしも資金需要者が任意に利息を支払ったとは言えないとの判断です。

第43条は利息の支払いに任意性がなければ、出資法に基づいて受け取った利息は不当利得である。

不当利得は返還するか、または元本に充当しなければならないと定めた利息制限法を担保するものでした。

ただし返還しなければならないとしたものの、自主的に返還しなければならないとまでは判断しませんでした。

東京地裁の判決は最高裁の判断を踏襲したまでで、武富士側に過払い金額の計算をしなければならないと言う義務はないのです。

もし東京地裁の判決が原告勝訴であった場合は、全国にある貸金業者は自主的に過払い金額の計算と返還をしなければならないことになってしまうでしょう。

原告側は武富士の借金や暴力的な取り立てによって自殺に追い込まれた、または生活が破綻してしまったのは、単にお金の問題ではなく人の生命が軽んじられるのではないかと心配しているようです。

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大阪地方裁判所で一部勝訴

2015年5月に創業家の次男である健晃氏に、武富士を倒産に追いやってしまった責任(債務残高が変動する告知義務違反)があるとして、損害賠償約330万円(原告5人)の損害賠償を支払うことを命じましたが、武富士側弁護団は直ちに控訴しています。

大阪高等裁判所で請求棄却

しかし2016年1月大阪高等裁判所では一審判決を棄却しています。

この結果原告側は損害賠償金を受け取ることが出来なくなったのです。

武富士の過払い金請求額が膨大になることは予想することができず、ましてその金額を告知する義務はないとしたものです。

2016年6月第2回目弁済

第1回目の過払い金債権提出に届出を出した約91万人に対して、第2回目の弁済が2016年6月に行われています。

しかし弁済率は第1回目よりもはるかに低い0.9368%です。

第1回目の弁済で455億円が支払われていますから、返済された金額は約140億円です。

過払い金の債権届出金額を91万人で割ると、1人当たりの過払い金額は約151万円です。

しかし最終的に支払われたのは1人当たり約6万5,000円という結果です。

第2回目弁済において旧武富士から最終弁済のお知らせが2016年7月に発送してあります。弁済が行われるのは2016年11月中旬以降となっていました。

もし第1回目の弁済を受け取って第2回目の弁済を受け取っていない人は、供託金が法務局預けられていますので、法務局の供託所へ請求書を提出するようにしてください。

第2回弁済金は相続の対象である

なお第2回弁済金は相続の対象となりますので、第1回目を受け取った後に本人が亡くなった場合は戸籍謄本などを用意して法務局の供託所へ連絡するようにしましょう。

なお現在では旧武富士のコールセンターは閉鎖しています。

万が一第2回目弁済金の請求書が届かなかったという人も、弁済金が供託されている可能性がありますので同じように法務局の供託所へ連絡を行いましょう。

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参考までに

武富士創業家の長男である俊樹氏に対し、元社長である保雄氏からの生前贈与として受け取った海外資産の贈与税1,330億円を課税され納付しました。

その後の裁判によって国が敗訴し贈与税と延滞税を含め2,000億円が還付されています。

武富士とはどんな会社だった?

アラフォー以上になると、利用の有無を問わず「武富士=消費者金融」という印象は強く残っています。

ネームバリューがあったのはもちろんのことですが、その他CM内容やスキャンダルなどでも世間を騒がせてきたので、記憶に残りやすかった企業の1つとも言えます。

しかしそれを知らないという世代が大半を占めるようになってきたので、ここで改めて武富士とはどのような会社だったのかを振り返ってみたいと思います。

有名な消費者金融

消費者金融と言えば武富士というほどに、大手であったのが武富士です。

今はアコムやアイフル、プロミスが消費者金融の代名詞となっていますが、それらの企業をおさえ長年トップの座にいたのが、武富士です。

今まで消費者金融からお金を借りる方法と言えば、対面形式が主流だった時代に自動契約機を出したり、今や当たり前の目的別ローンを展開したりと、今の消費者金融サービスの魁ともいえる斬新さで、どんどん利益を増やしていきました。

独特のCMも話題に

武富士と言えばすぐに思い出すのが、黒いレオタードを着た複数の女性がひたすら笑顔で踊るという独特のCMという人も少なくありません。

一見すると何のCMなのか、一体どのような商品を伝えたいのか全く分からず、画面に引き込まれ最後に「武富士」というロゴマークが出て終わるという斬新さがうけていました。

また小さい子も覚えやすいダンスだったので、最後に座って天を仰ぐポーズでマネをする子も多かったものです。

武富士のスキャンダルや事件

時はバブル、利益も右肩上がりで大手消費者金融トップの座に君臨していた武富士ですが、強引な取り立て行為を行っていたのも有名でした。

その闇を暴こうとしたジャーナリストの自宅に盗聴器をしかけたことで、社長が逮捕され、その後青森県弘前市でおきた武富士放火事件では、従業員が5人亡くなっています。

そこから「武富士の取り立ては厳しい」「あのような取り立てなら追い込まれても仕方ない」という世論も後押しし、今までアヤフヤだった貸金業者への規制の線引きが始まったのです。

その後、グレーゾーン撤廃の流れを受け、多額の過払い金請求がきたことによる業績悪化で2010年に武富士は、債権譲渡し会社再生法を適用しました。

武富士の今

先述したように、2010年の会社再生法手続き後から、債権譲渡を日本保証に行い、社名を新たに更生会社TFK株式会社とし、過払い金返還事業を行っていました。

2017年3月に清算をし、現在武富士は法人が抹消されています。

もちろんまだ武富士時代の借金返済が残っている、という人は債権譲渡先で返済を行わなくてはいけません。

過払い金請求は難しいのですが、返済がどうしても厳しいということであれば、債務整理も視野にいれておくといいでしょう。

まとめ

武富士といえば、かつては誰もが知る消費者金融でしたが、今では武富士という会社はなくなりました。

また、武富士の過払い金最終請求期日も2011年2月28日まででしたので、2019年の現在では過払い金請求をすることはできません。

自分の場合はどうなのか知りたい、過払い金について相談したいことがあるという人は、一度弁護士などの専門家に相談してみることをおすすめします。