会社設立とお金のはなし~退職後の起業は法人がおすすめ~

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社会保険料額が思いのほか高い!

会社を辞めると、それまで加入していた健康保険と厚生年金保険の代わりに、国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的だと思われます。

国民年金保険料額については、月額1万6,410円(令和元年度)です。

(日本年金機構):国民年金の保険料

一方、国民健康保険料(税)額については、前年収入や所有する資産を基に、個人別に決定されます。

国民健康保険料額については、「国民健康保険計算機」というサイトで目安を調べることができます。(ご利用にあたっては、自己責任でお願いします。)

ちなみに、同サイトで本人年齢40歳以上64歳以下、前年の給与収入500万円、固定資産なしの単身世帯(以下、試算にあたって同条件とします。)、埼玉県川越市という条件で試算してみると、国民健康保険税額は年37万9,935円(月額3万1,661円)と算出されます。

ただし、健康保険については、①資格喪失日の前日までに継続して2か月以上被保険者期間があり、②被保険者資格喪失から20日以内に手続をすることを要件として、それまで加入していた保険者において健康保険に加入し続けることもできます(以下、「任意継続」といいます。)が、それまで会社と被保険者本人とで折半だった健康保険料について、被保険者本人が保険料全額を負担することとなります。

退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合、標準報酬月額は30万円として保険料は算出されるものの、いずれにせよ保険料額は最大で月額3万4,560円となり、これは任意継続被保険者でなくなるときまで変わりません。

いかがでしょうか。

年収500万円の人が会社を辞めると、国民年金保険料1万6,410円と、国民健康保険料(税)3万1,661円又は健康保険料(任意継続)3万4,560円の合計約5万円を毎月自分で納付していかなければならないのです。

思いのほか高いと感じませんか。

社会保険料額、個人事業のほうが高い?

会社を辞めた後、自分で商売を始めようとするとき、個人事業として行うか、法人を設立して行うか、必ず検討すると思います。

よく言われるのが、節税の観点から、個人事業主として年商1,000万円超、所得税率30%超であれば、法人を設立したほうが「得」というものです。

ところで、社会保険の分野において、商売を個人でやるか法人でやるかによって、何か違いがあるのでしょうか。

実は、大きな違いがあります。

①個人事業主(本人)は健康保険・厚生年金保険に加入できない(つまり、国民健康保険・国民年金に加入)、②法人は(社員が代表一人であっても)健康保険・厚生年金保険に必ず加入(強制加入)ということです。

先ほど、「年収500万円の人が会社を辞めると、月に約5万円の社会保険料を自分で納付していかなければならない」というお話をしました。

つまり、年収500万円の人が会社を辞めた後に個人事業として商売を始めると、事業経費や生活費のほかに、月に約5万円の社会保険料を自分で納付していかなければならないことになります。

一方、会社を設立した場合はどうでしょうか。

結論から言いますと、「年収500万円の人が会社を辞めた後」であっても、社会保険料は会社負担分・本人負担分をあわせて月額2万6,575円~(平成31年4月以降、埼玉県の場合。子ども子育て拠出金を含む。)となります。本人負担分だけなら1万3,121円~です。

(協会けんぽ):平成31年度保険料額表「被保険者の方の健康保険料額(平成31年3月~)」

どうしてこんなに違いが生じるのでしょうか。

健康保険・厚生年金保険の保険料額は、被保険者の標準報酬月額(月給)により決定されます。

月給が多ければ保険料も高くなるのですが、月給が低ければ保険料は安くなります。

上記の月額2万6,575円という保険料額は、月給が9万8,000円の場合です。

会社設立直後から役員報酬として月額50万円とるんだ!ということですと、標準報酬月額も50万円ということになり、社会保険料額は会社負担分・本人負担分をあわせて15万800円となりますが、個人事業であれ会社であれ、起業直後は自己資金の持ち出しが一般的かと思われます。

月給がたとえ1円であっても、標準報酬月額は9万8,000円とされますので、保険料額は上記のとおりとなります。

つまり、会社を辞めた後、特に「直後」に商売を始めるなら、会社を設立したほうが「得」だと思われます。

会社設立と維持に最低限必要な費用は?

埼玉県川越市で、資本金等1千万円以下の代表取締役一人の株式会社又は代表社員一人の合同会社(以下「一人会社」といいます。)を、完全オンライン申請にて設立する場合を考えてみます。

完全オンライン申請は、法務省にマニュアルが開示されていますので、関心がある方は参考とされてください。

なお、会社設立時の登録免許税については、本店所在地とする市町村により、半額(株式会社の場合7万5,000円、合同会社の場合3万円)となる場合もあります。

埼玉県川越市の場合は、次のページを参照してください。

川越市公式サイト:「産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画について」

■設立費用

  • 登録免許税 株式会社15万円(合同会社6万円)
    ※電子申請では定款の印紙代4万円が不要です。
  • 印鑑作成費用 約5,000円
  • 印鑑証明(個人) 200円
  • 登記簿交付手数料 600円(1通)
  • 印鑑証明書交付手数料 450円(1通)
  • 切手代 84円

-合計-
株式会社:15万6,334円~
合同会社:6万6,334円~

※登記簿については、労働保険・社会保険の手続き、税務に関する手続きともに、その写しを提出すれば足りますので、設立時に取得する登記簿は1通で良いと思われます。

■維持費用

法人住民税(均等割) 合計7万円 ※2万円(埼玉県)、5万円(川越市)

埼玉県公式サイト:「法人県民税」
川越市公式サイト:「法人市民税の税率」

助成金とは

助成金とは、雇用保険を財源とするもので、支給要件を満たした事業主の申請により、厚生労働省(労働局等)から事業主に対して支給されるものです。

金融機関による融資とは異なり返済不要ですが、「既に支払い済みの費用の一部が後から払い戻される」ものであることに留意してください。

つまり、事業開始前に交付されるものではなく、事業開始後、何らかの費用を支払った後に、支給要件を満たす範囲でその一部が支給(助成)されるということです。

ここでは、会社設立(新規創業)にあたって活用できそうな助成金を2つご紹介します。

■中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)

中高年齢者(40歳以上)の方が起業し、中高年齢者等の雇入れを行う際に要した費用(募集・採用や教育訓練の実施)の一部が助成されます。

助成額(上限)は200万円又は150万円、助成率は2/3又は1/2です。

まず、起業から11か月以内に「生涯現役起業支援助成金 雇用創出措置に係る計画書」を労働局に提出する必要があります。

(厚生労働省):中途採用等支援助成金(生涯現役起業支援コース)

■キャリアアップ助成金

非正規雇用の労働者(契約社員、パート社員等)について、正社員転換制度を設けて正社員登用を行ったり、雇入時や定期の健康診断を実施したりした事業主に助成されます。

いろいろなコースがありますので、関心がある方は参考とされてください。

(厚生労働省):キャリアアップ助成金

上記いずれの助成金も、いきなり支給申請するのではなく、まず「計画書」を労働局へ提出し、労働局長の認定を受ける必要があります。

その後に、助成金ごとに定められる取組み(求人、正社員化等)を実施し、それに要する費用や給与を支払った後、支給申請という流れになります。

なお、助成金の支給申請は、法令により社会保険労務士又は弁護士のみ代行することができ、コンサルタント会社等が代行することはできません。

労災特別加入

個人事業主も会社の代表取締役も、事業主は労働者ではありませんから、雇用保険に加入することはできません。

一方、労働者災害補償保険(労災)については、原則として労災保険の給付対象者となりませんが、事業主であっても労働保険事務組合等を通じて特別加入することができます。

仕事が原因で怪我をしたり熱中症などの病気になったりすると、事業主の場合、原則として健康保険(国民健康保険)を使うことができず、医療費は全額自己負担となります。

しかし、労災に特別加入しておけば、労災保険から保険給付されるので安心です。

労災保険の医療費に係る保険給付を「療養(補償)給付」というのですが、これは健康保険と異なり自己負担(3割又は2割)がなく、治療に要する費用が全額給付されます。

保険料も比較的安価なので、事業主といっても業務の実態が労働者と変わらないのであれば、労災保険に特別加入しておくと良いでしょう。

まとめ

「会社設立とお金のはなし」、いかがでしたか。

事業を始まるにあたって、いきなり会社を設立するのではなく、まずは個人事業として…という考え方が節税の観点では優勢かも知れませんが、上記のとおり、人によってご事情は異なります。

迷われたら、まずは社会保険労務士や税理士などの専門家に相談されると良いと思います。

社会保険労務士
宮原 聡

宮原社労士事務所代表。
平成20年1月開業、平成21年4月特定社会保険労務士の付記。起業から成長期までの中小企業に係る労務管理を主にサポート。

労働・社会保険に関する手続、給与計算、助成金支給申請、就業規則の作成、労災保険特別加入等を行っている。
ジョブカンなどITを用いた勤怠管理の導入も積極的に支援。

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