お得な資産運用『確定拠出年金』って誰でもできるの?
確定拠出年金がお得らしい、やったほうがいいのか?気になっている人もいるかと思います。
確定拠出年金は多くの方が加入できる制度ですが、そもそも加入できないこともあるのです。自分が加入できるのか?確認していきましょう。
記事の目次
確定拠出年金とは?
確定拠出年金は老後に受け取る公的年金制度の一つです。公的年金といえば、国民年金や厚生年金はご存じかと思います。
国民年金は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満であれば誰もが加入しなければなりません。そして会社員や公務員は、会社を通して厚生年金・国民年金に加入することになります。
人生100年時代と言われるようになりましたが、国民年金・厚生年金だけで老後の生活費を賄うのは厳しいと言われています。というのも、65歳以上の家計は、公的年金の収入では毎月赤字になっていることが総務省の家計調査からも明らかだからです。
そこで注目を集めているのが、従来の公的年金に上乗せをする確定拠出年金なのです。
確定拠出年金については、基本的にはオプション(任意加入)です。個人で老後の備えが必要と思っている人が加入する制度であり、個人型確定拠出年金(イデコ、iDeCo)と言います。
「基本的にはオプション」と言ったのには理由があり、少々分かりにくいかもしれませんが確定拠出年金には個人型以外にも企業型があるのです。
確定拠出年金は2種類ある
確定拠出年金には企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(イデコ、iDeCo)の2種類があります。
加入者数は2018年3月末時点で企業型は約650万人、個人型は約87万人です。企業型の加入者数は個人型の7倍以上になっています。
企業型と個人型の違いは?
企業型と個人型の基本的な違いを挙げてみました。主なポイントは、誰が掛金を負担するのか?掛金の税制上メリットがあるのか?というところです。
企業型確定拠出年金 | 個人型確定拠出年金 | |
---|---|---|
掛金の拠出 | 会社 (※一部で個人の場合あり) | 個人 |
掛金の税制メリット | なし (※一部で個人拠出の場合、あり) |
|
企業型確定拠出年金に加入できる人は?
上の表からわかるように、企業型は会社が決まったルールに基づいて従業員のために掛金を拠出します。
ただし、取り決めたルールによっては従業員個人が上乗せ負担をして掛金を増額できる場合があり、このことをマッチング拠出制度と言います。マッチング拠出制度についての説明はここでは割愛させていただきます。
つまり企業型確定拠出年金は、個人が加入したいと希望しても加入することはできません。会社に勤めている人だけが加入できる制度なのです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる人は?
個人型の場合は、20歳以上60歳未満で、原則として国民年金や厚生年金などの公的年金に加入している人であれば加入することができます。雇用形態による条件はないので、派遣社員の方も、パート・アルバイトの方や専業主婦など無職の方にも加入資格があります。
個人型確定拠出年金に加入できないのはこんな人
●国民年金保険料を払っていない
国民年金保険料を未納している、全額または一部を免除されている、大学生など学生納付特例制度を利用し猶予されている場合には加入できません。
●60歳以上
加入資格は20歳以上60歳未満のため加入資格がありません。
例えば59歳での加入は可能ですが、その場合に掛金は60歳まで1年間のみの拠出となります。加入期間が短期になるので受け取りは65歳からになり、70歳まで運用を続けることもできます。
●一部の会社員
会社に企業年金があり、企業年金規約でiDeCoの加入を認めていない場合には加入できません。不明な場合には、会社の担当部署に確認をしましょう。
●海外に住んでいる
iDeCoは日本国内に住んでいる人が加入できる制度ですので、海外に住んでいる場合には加入資格がありません。
海外赴任の場合はどうなるの?
iDeCo加入者の会社員が海外転勤になった場合は加入を継続することはできないのでしょうか?それについては、海外に住んでいる=「非居住者」に該当するかどうかが判断の分かれ目になります。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
上記をカンタンに説明すると、「住所」は住民票の登録をしている場所、「居所」は住民票の登録はないけれど現実に居住している場所になります。つまり1年以上、住民票の登録がなかったり、実際に住んでいなかったりする場合には非居住者とみなされます。
ただし、海外赴任の場合、以下の条件を満たしていれば非居住者になってもiDeCoを継続することができます。
- 厚生年金に加入している
- 郵送物(年一回のお知らせ)が届く住所が国内にあること
自営業の場合は、国民年金のみの加入となり上記の条件を満たさないため、iDeCoの加入資格を失います。
実際のところ、iDeCoに加入している金融機関によっては対応が異なることもあるようですが、上記2つの条件を満たしていれば原則として継続加入できることは覚えておきたいところです。
残念ながら条件を満たしていない場合には、加入資格がなくなり運用指図者になります。運用指図者とは、掛金の拠出は行わずに運用のみを行う人のことを言います。
また、帰国後は所定の手続きをすれば加入資格を復活することができます。
結局、加入できるなら加入した方がいいの?
確定拠出年金は2種類あり、企業型の加入は強制的に決まっています。ですから加入するのか迷われるのはiDeCo(個人型確定拠出年金)へ加入するかどうかでしょう。
iDeCo最大のメリットは、税制優遇があることです。資産形成する上でこれほどの税制優遇制度は他にはないのが現状です。60歳まで引き出すことができないなど、特に若い方にとってはデメリットと思える部分もあります。
しかし、若い方でも老後資金に備える必要はでてくるため最低金額(月5,000円)でスタートしておくなど長期視点で考えていただきたいと思います。
ファイナンシャルプランナー
三原 由紀
「無知はリスク(知らない=損をしていることもわからない)」を実感して、自らの家計を再生。
40代・50代に向け、プレ定年夫婦専門FPとして「お金で揉めない夫婦関係を構築」「50代からでも間に合う家計立て直し」を提案・実行支援する。保険や金融商品を売らない独立系FPとして活動中。