自営業・個人事業主の「節税」と「手取りUP」の方法を公開!
自営業・個人事業主が、節税と手取りアップができる方法をお伝えしていきたいと思います。
ところで、これを読んでいあるあなたは、自営業・個人事業主が4,056,000円は自ら経費または所得控除に計上して、節税できることをご存知でしょうか?
節税して手取りアップに役立てる方法をこれからお話していきたいと思います。
今回は4,056,000円×税率分を節税する方法として、3つの方法をお伝えしたいと思います。
この3つの方法をフル活用しますと、「4,056,000円×税率」分、つまり、税率が20%として計算しますと、
4,056,000円×20%=811,200円
811,200円の節税が可能な方法です。しかも、手元にお金を残す事が可能になる方法です。
では、1つずつ解説していきたいと思います。
『小規模企業共済等掛金控除』で節税する
小規模企業共済等掛金控除は「所得から差し引くことができる金額」の1つでです。
その中身は、「小規模企業共済」と「個人型・確定拠出年金」の掛金に対するもので、掛け金そのものが「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。
「小規模企業共済」とは中小機構が運営する官製共済で個人事業主や小規模企業の役員が加入できる「退職金制度」です。
「個人型・確定拠出年金」は個人事業主や企業年金のない第2号被保険者(厚生年金)が加入できる「年金制度」です。この制度を活用して節税することができます。
①小規模企業共済
「小規模企業共済」は従業員が20人(卸売業・小売業・サービス業では5人〈宿泊業、娯楽業を除く〉)以下の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員などが加入できます。
掛金は毎月1,000円から7万円まで自由に設定できます。また、途中で掛金を増減させることも可能です。掛金全額を所得から控除できるのです。
その結果、以下のような節税効果を発揮します。
【掛金の全額所得控除による節税額】
つまり、掛け金×税率=節税額となります。
仮に月7万円で1年間掛け金を拠出すると、年間合計84万円です。
仮に税率が20%で計算すると、
840,000円×20%=168,000円
168,000円です。84万円の掛け金で168,000円の節税ですので、672,000円で84万円を積み立てたことになります。
では、加入し続けると、いくら戻って来るのか?
共済金の受け取り方法は「一括受取り」「分割受取り」「一括受取りと分割受取りの併用」の3種類があります。受取額は“脱退事由”によって変わって来ます。
受取額は多い順に、【共済金A】>【共済金B】>【準共済金】>【解約手当金】となります。それぞれの共済金の説明は以下のとおりです。
「小規模企業共済」は掛金を12ヶ月以上払い込めばいつでも解約可能です。
ただし、「共済金A」「共済金B」「準共済金」は5年で払込掛金総額を上回りますが、「解約手当金」は20年以上でないと掛金払込総額を下回ります。
この点においてよく誤解されていることがあります。「解約手当金」の“20年以上”という期間が独り歩きしているのです。
たしかに、「解約手当金」は20年以上経過しないと掛金払込総額を下回ります。
しかし、それ以外の「共済金A」「共済金B」「準共済金」は5年で元が取れるわけです。すなわち、社長が退職するケースでは“その限りではない”ということです。
【掛金を月額1万円の請求事由別・受け取り額】
いずれにしても、「小規模企業共済」は、節税効果がとても期待できる方法です。
しかし、業種によって加入要件が異なりますので確認は必要ですが、加入後に要件から該当しなくなっても引き続き加入は認められます。
ちなみに、掛金は月額1,000円からOKです。
②個人型・確定拠出年金
「個人型・確定拠出年金」の掛金も小規模企業共済「等」掛金控除に含まれます。毎月の掛金があらかじめ確定する一方、将来の年金受取額が運用次第で変わります。
自営業者は掛金上限は月額68,000円、年間816,000円となり、税金面で次の3つのメリットがあります。
- 掛金は全額所得控除の対象になる
- 運用中の運用益は非課税になる
- 受取年金は退職所得扱いなる
しかし、最低60歳まで「キャッシュが固定化してしまう」「運用リスクがある」「管理コストがかかる」などのデメリットもあります。以下、「小規模企業共済」との比較です。
受取開始や貸付制度という点で、いざというときの自由度は「小規模企業共済」の方が優位に立ちます。よって、「小規模企業共済」に満額加入して、それでもさらに余裕がある場合は「個人型・確定拠出年金」に加入するのが良いと思います。
ちなみに、両方とも満額加入すれば年間1,656,000円の所得控除を利用できます。 これらの制度はとても効果が高い制度と言えます。
また次に解説します、「経営セーフティ共済」を導入することで、更に節税効果が期待できます。
③経営セーフティ共済(必要経費で節税する)
経営セーフティ共済は所得控除にはありません。必要経費です。
ですので、備品等を購入する経費と同じ、という扱いです。小規模企業共済のところで少し話しましたので、こちらでご紹介しておきたいと思います。
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
それだけではなく、「解約金」を受け取ることができます。自己都合の解約であっても、掛金を12か月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40か月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12か月未満は掛け捨てとなります)。節税と将来の手取りアップが同時に実現できる方法となります。
ちなみに、小規模企業共済等掛金控除と同じように経営セーフティ共済に関しても掛け金の全額が経費となります。
経営セーフティ共済には掛け金総額の上限はありますが、小規模企業共済・個人型確定拠出年金・経営セーフティ共済を合わせますと、掛け金の上限は年間4,056,000円です。
しかしながら、これらの方法は、流動性という面では少しデメリットとも言えます。節税できるからと言って、手元に現金がなくなってしまうことは、事業を行う上ではリスクを伴います。
当たり前のお話ですが、すぐに引き出せるお金を確保しつつ、分散を図ることも不可欠と言えるでしょう。優先順位をつけて活用してみてはいかがでしょうか?
ぜひ参考にしていただければ幸いです。ここまでお読みいただき誠にありがとうございました。
あくつFP事務所 代表
ファイナンシャル・アドバイザー
阿久津和宏
・2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
・トータルライフコンサルタント(生命保険協会認定)
・DCマイスター(DCマイスター協会認定)
栃木県生まれ、埼玉県在住、妻、子供2人の4人家族。
群馬県の高崎経済大学を卒業後、株式会社セブン-イレブン・ジャパンに入社。 直営店店長を経て、店舗経営指導員として9店舗を担当。 『お店の売上・利益の向上』と『加盟店オーナーの手取り向上』を目的とした、カウンセリング業務を担当。
「評論家でなく実務家たれ」との会社のモットーを今も受け継ぎ、理念としている。
『売上が上がっても手取りが思い通りに増えない』加盟店オーナーの方々の役に立てないか!?という想いをきっかけに、ファイナンシャルプランナーの資格取得に着手、在籍時にFP3級を受験。
その後、国内大手金融機関に転職し、金融業界を経験し、独立。
独立系ファイナンシャルプランナーとして、中小企業経営者・相続対策・会社員のライフプラン向けの『手元に着実にお金を残す方法』に特化したアドバイスが好評。