ゼロから始める住宅ローン生活
こんにちは、こんばんは、そしておはようございます。
1級FP技能士の花房尚作と申します。
ではでは、私がこれまでハウスメーカーで働いてきた経験を基にして、家づくりにまつわる様々な事柄についてお話をさせて頂きます。
今回は住宅ローンの頭金についてお話をいたします。
なんとなく家が欲しいな~と思い、なんとなく家づくりを考えるにあたって、いろいろな疑問が浮かんできます。
その中の一つとして「住宅ローンの頭金ってどれくらい必要なのだろうか」といった疑問があります。
住宅ローンの頭金ってどれくらい必要なの?
ずばり申し上げます。0円で結構です。
私がこれまでつくってきた家のほとんどの住宅ローンは頭金0円です。
余程お金が有り余っていない限り、頭金0円をお勧めしています。
その理由は以下の三つです。
①低金利の活用 ②繰り上げ返済の活用 ③住宅ローン控除の活用
低金利の活用
長期金利が歴史的な低金利水準で推移していることはご存知かと思います。
平成18年~平成20にかけては、サブプライムローンからリーマンショックにつながる百年に一度の金融危機があり、先行きが不透明ななかで若干金利が上昇しましたが、それも2年程ですんなり収束しました。
ここ10年程はネット銀行が次々に住宅ローンに参入し、各金融機関の競争は益々激しくなっています。
実際のところ、キャンペーン金利という形で、基準金利から更に優遇金利を割り引いて金利の設定が行われています。
顧客を増やす目的から損益分岐点を下回る形で金利を設定している金融機関もあります。
仮に、年利1%(元利均等返済)の35年ローンで100万円を借りたとして、月々の支払いは2,823円です。
35年間の返済総額の利息部分は185,600円になります。
クレジットカード金利や自動車ローンなどと比べて、あり得ない程の低金利です。
その程度の支払額なら、100万円が手元に残っているという、精神的なゆとりを選択するべきです。
繰り上げ返済の活用
住宅ローンが始まり、もしも生活に余裕があるようでしたら、繰り上げ返済を行ってください。
繰り上げ返済とは、「収入が増えた」、「臨時収入があった」、「余剰資金が増えた」といったときに、毎月決められたローンの返済額とは別に、一時的な返済を行うことです。
元金部分のみに返済が充当されるため利息軽減効果が大きく、『期間短縮型』を選ぶことで、返済期間も短くなります。
『期間短縮型(元利均等返済)』
それでは、頭金を100万円入れた場合と、繰り上げ返済を100万円した場合と、どちらがお得か試算してみましょう。
仮に、年利1%(元利均等返済)で3000万円を借りたとして、35年間の利息は5,567,998円です。
同じ条件で2900万円を借りたとして、35年間の利息は5,382,398円です。
その差は先ほど申し上げたように185,600円です。
繰り上げ返済の手数料は各金融機関によって異なりますが、返済2年目に100万円を繰り上げ返済すると、396,713円の利息軽減効果があります。
頭金100万円を入れた利息軽減効果は185,600円ですから、繰り上げ返済を100万円した方が、211,113円もお得なのです。
ここが住宅ローンの面白くもおかしな所です。
ほとんどの場合、住宅ローンは数千万円といった高額な借り入れになります。
その高額な借り入れを、元利均等返済という月々一定の金額で返済する場合、当初数年間は返済額の四割程が利息の支払いに充てられます。
それゆえに繰り上げ返済の方が、利息軽減効果が大きくなるのです。
住宅ローンならではのゆがみといったものでしょうか。
住宅ローン控除の活用
ではでは、これまでと同じ条件で、返済10年目に100万円を繰り上げ返済した場合はどうでしょうか。……利息軽減効果は292,102円になります。
2年目の繰り上げ返済と比べると、104,611円も利息軽減効果が減ります。
やはり利息割合の高い早い時期に繰り上げ返済した方がお得です。
ただし、ただしです。
住宅ローンを組むと、住宅ローン控除という税制上の特典がついてきます。
住宅ローン控除とは、新築物件や中古物件の戸建てやマンションといったマイホーム購入の際にローンを組んだ場合、年末時点のローン残高に応じて税金が返還される税制上の制度です。
所得税と、翌年の住民税の一部から、最大で年末の住宅ローン残高の1%が戻ってきます。
控除期間は消費税8%契約時に10年間、10%契約時で13年間です。
仮に、年利1%(元利均等返済)で3000万円を1月に借りたとして、1年目の年末の残高は29,220,194円です。
控除額は1%の292,202円になります。
年収が400万円だと、所得税7万円程、住民税10万円程で、計17万円程が還付されます。
これくらいの年収であれば問題ありませんが、年収が500万円だと、所得税31万円程、住民税15万円程で、計46万円程が控除の対象となります。
しかし還付されるのは年末のローン残高の1%になるため、29万円程になります。
つまり頭金を100万円入れてしまうと、毎年1万円程も控除額が少なくなり、13年間で13万円程も損をしてしまいます。
住宅ローン控除との兼ね合いを考えつつ、繰り上げ返済の時期を見極めましょう。
ゼロから始める住宅ローン生活
住宅金融支援機構(フラット35)のように、一定の自己資金を用意することで金利の優遇が受けられる場合もあります。
だからといって、家賃を払い続けながら頭金を貯めるのは、はっきり申し上げて無駄です。
たとえ自己資金が無くても、売買価格を水増しすることで、ある程度は対処できるので、一度ハウスメーカーの営業担当に相談してみてください。
正式な請負契約書や売買契約書とは別に、ローン用の請負契約書や売買契約書をつくってくれます。
そのような裏技?や抜け道?といったものを使って、私がこれまでつくってきた家のほとんどの住宅ローンは頭金0円です。
家づくりには引っ越し代や家具代といった住宅ローンの対象にならない出費もたくさんでてきます。
家計に負担をかけることなく、余裕のある形でゼロから始める住宅ローン生活を送ってください。
ファイナンシャルプランナー
花房尚作(はなふさしょうさく)
1級FP技能士、CFP(FP協会)、宅地建物取引士、管理業務主任者、マンション管理士。
山崎銀之丞に師事し、舞台を中心にCMナレーション及び、CM出演の仕事をはじめる。
その後、ボストンに渡米。帰国後、SHOSAKU事務所を設立し、戯曲やシナリオを執筆、 東京都新宿区にて定期公演を行う。
これまで役者、演出家、劇作家として舞台興業200本以上、ナレーターとしてCMナレーション400本以上。
大企業から中小企業まで50をこえる企業での就業経験がある。
バックパッカーとして海外40カ国180都市を周遊。いろいろやっていてまとまりがないのが売りです!