保険の見直しを正しく行うには?保険を売らないFPが解説
保険に加入しているけど、本当に必要なのだろうか?
保険料が高額になってしまって、今の生活費が苦しい。
そんな方は、保険の見直しをする余地があります。
今回は、保険を販売しない中立な立場で保険の見直し相談を行っている筆者が、必要な保障を残して不要な保険だけをカットするポイントをお伝えします。
保険は最終手段と考える
保険の見直しを正しく行うためには、保険に対する正しい考え方を理解する必要があります。
あなたは、なぜ生命保険や医療保険に加入していますか?
「知り合いに勧められたから」
「結婚したから必要だと思った」
「入っておかないと不安」
おそらく、多くの方が上記のような理由で保険に加入されていると思います。
保険は、万が一のときに備えるためのものであり、勧められたから、結婚したから、不安だから「なんとなく」加入するものではありません。
万が一のときに「経済的に困る部分をカバーする分だけ加入する」ことが本来の保険の意義です。
言い換えると、万が一のときに「経済的に困るのはいくらか」を知ることで、保険を正しく見直すことができます。
万が一のときに負担する費用
万が一のとき、具体的にどれくらいの経済的負担がかかるかをご存知ですか?
ご自身が亡くなったとき、ケガや病気をしたときのケースを確認しましょう。
ご自身が亡くなったとき
ご自身が亡くなることにより、扶養していた遺族にかかる経済的負担を計算します。
独身で扶養していた親や兄弟姉妹などがいらっしゃらない方は、あえて身近な方にお金を遺したいという意向がなければ、生命保険でお金を残す必要はない場合がほとんどです。
住宅
生計を一にしていた遺族の住まいにかかる生涯費用を計算します。
賃貸の場合は、住んでいる期間の家賃と更新料、火災保険料等を合計します。
持ち家の場合で、団体信用生命保険に加入していれば住宅ローン残額は返済不要になりますので、火災保険料や修繕費のみとなります。
教育費
お子さまがいらっしゃる場合は、お子さまの希望進路に係る教育費を累計します。
「小学校から私立に通わせたい」のか、「高校まで公立に通わせたい」のかによって教育費は大きく変わってきます。
お子さまがある程度のご年齢であれば、お子さまの意向も汲んであげましょう。
老後資金
平成28年度 生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によると、老後の最低日常生活費の平均は月額22万円、娯楽を楽しんだり、孫のためにお金を使ったりできるような、経済的にゆとりのある生活のために必要な生活費は月額34.9万円という統計が出ています。
その他に、万が一介護が必要になったときに必要な資金や、死後の整理資金がかかってきます。
ケガや病気をしたとき
ケガや病気をして、特に経済的な負担がかかってくるのが入院や手術をしたときです。
生命保険文化センターの調査では、治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費や衣類、日用品費を含めた1日あたりの自己負担費用の平均は19,835円というデータが出ています。
治療費については、健康保険の「高額療養費制度」が適用されますので、実際の負担はもっと軽くなります。
また、2017年の厚生労働省「患者調査」によると、入院の日数はがん全体で平均16.1日。
入院全体でも68.2%が14日以内に退院しています。
保険見直しのポイント
以上から、万が一のときに必要な金額がわかりました。
しかし、この金額すべてを保険で対策する必要があるわけではありません。
保険をかける前にできる対策や、利用できる制度があります。
では、具体的にどのような対策があるのか、保険の整理でチェックするポイントをご紹介します。
1.お持ちの資産をチェック
まずは、お持ちの預貯金などの資産をチェックします。
すでにまとまった預貯金があれば、保険は不要な場合が多いです。
2.公的保障をチェック
万が一の時、あなたが加入している国民年金や厚生年金から遺族年金や障害年金が支給されます。
受取金額は年金制度に加入している期間や月収などによって異なります。
3.社内制度をチェック
あなたがお勤めの会社に死亡退職金や弔慰金の規定があれば、万が一の時に会社からお金が支払われます。
中小企業の場合でも、福利厚生サービスに加入している可能性があります。
お勤めの会社から支給される金額をチェックしましょう。
4.その他生活費や住まいなどの状況をチェック
万が一のとき、生活費や住居費はどれくらい減少しますか?
お住まいが持ち家で、亡くなった方が団体信用生命保険に加入していれば、万が一の際には住居にかかる負担は維持費のみになる可能性があります。
賃貸の場合でも、今より家賃の低い物件に引っ越しをしたり、実家住まいにしたりするなどで、家賃を抑えられれば、その分だけ万が一の時に必要な支出が抑えられるかもしれません。
これらのチェックポイントを確認し、現在加入されている保険が過剰であれば、その保険を解約することで保険料を節約することができます。
考えるべき部分が多いと感じられるかもしれませんが、月1万円保険料の支払いを下げることで、年間12万円もの削減になります。
さらに、保険は長期に渡って加入するものですので、保険の見直しによる節約効果は極めて大きなものになります。
ぜひ、取り組んでみてください。
ファイナンシャル・プランナー(CFP®認定者)/
FPサテライト株式会社 代表取締役
町田 萌
現在は、相談業務、Webメディアの執筆、セミナー講師等、FPとして幅広く活動を行なう他、社内に所属するFPの教育、マネジメントにも従事。
また、税理士法人勤務の経験から、中小企業向けの経理業務支援や、経営革新等支援機関業務も行っている。
お客様の立場に立った中立的な相談、幅広い分野からの問題解決をモットーとしている。
保有資格はCFP®、宅地建物取引士、証券外務員一種、日商簿記2級など。