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電子記録債権とは?通常の売上債権とどう違う?

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近年よく耳にするようになった電子記録債権ですが、そのネーミングから従来の売掛金や受取手形といった売上債権が電子化されたものと理解している方も多いようですが、これは大きな誤解です。

電子記録債権は従来の売上債権を電子化したものではなく、全く違った新たに誕生した金銭債権となります。

この電子記録債権では従来の売上債権に挙げられるデメリットや問題点が改善されており、安全でスピーディーな取引をこうなうことができます。

そこで今回はこの電子記録債権と従来の売上債権との違いを説明していきながら、電子記録債権とはどのような金銭債権なのかを見ていくことにしましょう。

電子記録債権は新しく生まれた売上債権!

電子記録債権は売上債権の発生や譲渡を、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録することで取引を行います。

よって、電子記録債権を利用するには取引に当たっては、債権者となる譲受人と債務者となる譲渡人の両者が電子債権記録機関に発生記録を請求する必要があります。

それでは実際にどのような取引になるのか、その流れを追っていきながら電子記録債権とはどのようなものかを見ていくことにしましょう。

電子記録債権の取引の流れ

電子記録債権を利用した取引の大まかな流れは下記のとおりです。

  1. 電子記録債権の発生
  2. 電子記録債権の譲渡
  3. 電子記録債権の消滅

それではこれら各取引を詳しく説明していきます。

①電子記録債権の発生

電子記録債権の取引を行う際には債務者が債務の発生記録を、そして債権者が債権の発生記録を電子債務記録機関に請求します。

これによって電子債務記録機関の記録原簿に電子債務が発生します。

②電子記録債権の譲渡

電子債務の決済期日前に資金化等の理由から第三者に電子債権を譲渡する場合には、現在の債権者である譲渡人と新しく債権者となる譲受人の両者が、電子債権記録機関に譲渡記録の請求を行う必要があります。

そして電子債務記録機関は両者から譲渡記録の請求を受けると、記録原簿にある電子債務に譲渡記録が行われ、電子債務の譲渡が完了します。

③電子記録債権の消滅

また電子債務の決済日に伴い、債務者から債権者へ支払が行われると、金融機関から電子債務記録機関へその通知が行われます。

そして通知を受けた電子債務記録期間は記録原簿にある対象の電子債権に支払い記録が行われ、その電子債権が消滅します。

電子記録債権が誕生した理由

電子記録債権が誕生した理由には売掛金や受取手形といった、既存の売上債権が抱える問題点の改善もありますが、一番の理由は中小企業が抱える問題の1つである資金調達の円滑化にあります。

中小企業が資金繰りに苦しむ理由の1つが、売上債権の流動性の低さにあります。

売掛を主とする企業間取引においては、売上計上と売上の回収にズレが生じ、売掛金を回収するまでに1ヶ月から2ヶ月を要するのが一般的です。

よって、運転資金に窮する事態を引き起こし、その資金繰りに奔走する経営者は少なくありません。

特にこの傾向は中小企業や零細企業に多く、資金調達できずに黒字倒産となるところも見られます。

そこで資金調達手段として注目されるようになったのが、下記のような売上債務流動化の方法です。

  • ファクタリング
  • 売上債権担保融資
  • 手形割引

しかし、売掛金や受取手形といった売上債権はその存在や内容確認に費用と労力がかかる上、二重譲渡といった信用性に問題があるため流動性に乏しく、資金調達手段としてそれほど機能していないのが実情です。

そこでその問題を改善して、売上債権の流動性を高めるために誕生したのが電子記録債権というわけです。

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電子記録債権を管理する電子債権記録機関とは?

それでは電子記録債権の根幹を司る電子債権記録機関について説明します。

電子記録債権は2008年12月に施行された電子記録債権法によって権利内容が定められています。

その法律によれば電子記録債権の取引においては、電子記録債権機関が管理、運営する記録原簿に電子記録を行うことで、電子記録債権としての効力が発生するとされています。

それだけに電子債権記録機関の担う役割は重要と言えるでしょう。

その電子債権記録機関の業務は下記のとおりです。

  • 記録原簿を備える
  • 電子記録債権ごとの債権記録の作成
  • 債権者と債務者の双方から請求を受けて電子記録を行う
  • 債権決済に基づく支払いの電子記録を行う

電子債権記録機関となるための条件

電子債権記録機関となるためには法務大臣と内閣総理大臣の指定が必要となり、電子記録債権法によって下記条件と要件が求められます。

(条件)

  • 取締役員と監査役員(または委員会)、会計監査人をおく株式会社であること
  • 資本金5億円以上
  • 純資産額5億円以上
  • 主務大臣への事業年度毎の業務、財政に関する報告書の提出

(要件)

  • 公正性と中立性、他業からの影響排除に専業すること
  • 健全な業務運営に必要な財産的基礎を有すること
  • 業務によって得た情報の秘密保持
  • 本人認証や秘密保持、情報セキュリティ確保のために万全な対応を行うこと
  • 二重払いや受取不能を防ぐ安全な決済システムの構築

電子債務記録機関は複数社設立されることが前提とされていますが、設立するための要件が厳しいこともあり、現在日本に存在するのは下記5社のみです。

  • 株式会社全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット) 親会社:全国銀行協会
  • 日本電子債権機構株式会社 親会社:三菱東京UFJ銀行
  • SMBC電子債権記録株式会社 親会社:三井住友銀行
  • みずほ電子債権記録株式会社 親会社:みずほ銀行
  • Tranzax電子債権株式 親会社:Tranzax株式会社

通常の売上債権との違い

商取引において発生する売上債権は下記の2つに分類できます。

  • 指名債権
  • 手形債権

指名債権とは債権者が特定されている債権で商取引における売掛金を指します。

そしてそれを証文化したものが手形債権です。

ここではこの2つの売上債権と電子記録債権には、どのような違いがあるのかを見ていくことにします。

電子記録債権と指名債権の違い

電子記録債権が指名債権と大きく違うのは下記の3点です。

  • 二重譲渡を防げる
  • 譲渡時に債務者への通知が必要ない
  • 債権の譲受人が支払い拒否されない

売掛金をはじめとする指名債権は、民法において債権者と債務者同士の合意があれば譲渡することができることが認められています。

しかし、この譲渡には譲渡後に債権者がほかの第三者に二重譲渡する可能性があり、債権の譲受人が現金を手にできなくなるというリスクが生じます。

ですが電子記録債権は譲渡されたことが電子記録されるので、譲渡されたことがデータ上で確認できるため二重譲渡を防ぐことが可能です。

また先に申しましたように債権者が第三者に指名債権を譲渡するには債務者の合意が必要となりますが、その合意は債務者への通知、または承諾によって成立します。

民法において両者の合意が必要とされているのは、債務者が知らない間に債権者が変わってしまい、不特定多数の債権者から請求を受けることを防ぐことが一番の目的です。

しかし、電子記録債権であればデータ上から指名債権の帰属先を確認することができ、明確化されているためその心配がいらないことから、電子記録債権は債務者への通知や承諾を必要としません。

そして指名債権は人的抗弁によって、売買契約の不成立といったような問題が生じた場合、債務者は支払いを拒否することが可能ですが、電子記録債権の場合にはこの人的抗弁が切断されているので、債権者は債務者から支払い拒否をされることはありません。

電子記録債権と手形債権の違い

次は商取引において発生するもう1つの売上債権である手形債権との違いを見ていきます。

電子記録債権が手形債権と大きく違うのは下記の3点です。

  • 書面での作成、交付、保管の必要がない
  • 記載事項を詳しく記録できる
  • 債権分割ができる

手形債権は紙媒体での交付となるため書面発行にコストが発生していましたが、電子記録債権ではそのコストが削減できます。

また手形債権の交付では郵送の必要がある上、受け取った後は決済期日まで保管しておく必要がああるため、紛失や盗難のリスクが生じますが、電子記録債権はデータ管理となるためそのようなリスクが一切生じません。

そして手形債権はご存知のとおり紙幣ほどの大きさですから、手形債権に記載できる記録事項は限られています.

これは手形債権を取り交わす際に守らなければならない手形法で規制されており、手形債権に記載できる内容や文言は手形要件として定められています。

商取引で取り扱われる約束手形においては9項目が手形要件とされており、それ以外の記載を行うと手形効力が無効となってしまいます。

しかし電子記録債権では法律上で必ず記載しなければならない必要的記載事項が8つありますが、この他に任意で記録できる任意的記載事項として16まで認められています。

よって、電子記録債権は手形債権では難しい詳細事項を記録することが可能です。

最後の債権分割は手形債権と比較して電子記録債権の一番大きなメリットと言えるでしょう。

手形債権を手形割引する際にはその額面をそっくりそのまま利用することになりますが、電子記録債権は分割利用が可能です。

100万円の手形があるとすれば、20万円を手形割引、30万円を第三者に譲渡、残りは決済期日まで待つといったような利用ができるので、必要になる資金分だけを現金化することで、余分な手数料支払いを避けて損の少ない資金調達が可能となってきます。

これは手形債権だけでなく、指名債権においても言えることですから、電子記録債権の大きな特徴といえるでしょう。

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電子記録債権のメリット・デメリット

それでは最後に電子記録債権のメリット・デメリットについて簡単にまとめておきましょう。

電子記録債権の取引率は決して高いとは言えません。

これからの普及に期待がかかる取引手段と言えるので、導入の検討を考える経営者の方は電子記録債権の持つメリット・デメリットをしっかりと理解しておいてください。

電子記録債権のメリット

電子記録債権のメリットは下記のとおりです。

  • 紛失、盗難のリスク回避
  • 分割譲渡が可能
  • 取立て手続きが不要
  • 領収書が不要
  • コスト削減
  • 事務負担の軽減

この中でも資金調達時に一番のメリットとなるのが、「通常の売上債権との違い」で説明した分割譲渡ができる点です。

しかし、電子記録債権は資金調達面だけでなく、労力や経費の削減や軽減ができる点も見逃せません。

手形発行や領収書発行の作業が省かれるだけでなく、その際に発生する収入印紙が必要ありません。

高額な取引になればなるほど収入印紙代も高くなるので、高額取引では大きなコスト削減となってきます。

また取立てや、入金チェック等の事務手続きが必要なくなるので、営業や事務の負担を軽減でき、社内労力をほかに活かすことが可能になります。

電子記録債権のデメリット

電子記録債権のデメリットは下記のとおりです。

  • 会計処理が変更になる
  • 取引先の承諾が必要
  • 利用手数料が発生する
  • 各電子債権記録機関の電子記録債権には互換性がない

事務負担は軽減できますが、その代わり会計処理が変更となるので、導入当初は惑われるかもしれません。

また電子記録債権の取引は相手の承諾があってこそ成立します。

よって、全ての取引を電子記録債権に変更することは難しく、新旧入り混じった会計処理が必要になるのも難点でしょう。

そして電子記録債権で取引する際に忘れてはならないのが、各電子債権記録機関が発行する電子記録債権には互換性がないことと、利用時には手数料が発生する点です。

しかも、その手数料は下記のように金融機関によって違いがあります。

三菱東京UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行
発生記録請求
(自行宛)
432円432円432円
発生記録請求
(他行宛)
864円756円864円
譲渡記録請求
(自行宛)
216円324円432円
譲渡記録請求
(他行宛)
648円540円864円
支払等記録手数料216円216円216円
決済手数料1,080円432円648円

※でんさいネット利用時

先程説明した収入印紙代カットで生まれる経費削減メリットがないところでは、逆にこの手数料が発生することがデメリットとなるケースも出てきます。

またせっかく電子記録債権を導入していても各電子債権記録機関は互換性がないため、取引先が違うところを利用していれば、それに合わせる、または合わせてもらう必要が出てきます。

この点は改善されて互換性が生まれる可能性も考えられますが、現時点においては使い勝手の悪さを感じることになるでしょう。

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