貸し剥がしとは?銀行から貸し剥がしに合わないために

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「貸し剥がしにあって会社が倒産した」このような話をバブル崩壊期に耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

実際にバブル崩壊期には銀行の貸し剥がしによって資金繰りが厳しくなって倒産したという企業も多くありました。

2000年代後半から2010年代前半まで銀行員をしていた筆者はバブル崩壊時に銀行から貸し剥がしを受け、苦しい思いをしたと恨み言を言う社長さんを何人も見てきました。

今は、業績の悪い企業から貸し剥がすような行為はほとんど行われていませんが、最近は地方銀行の中には利益を出すために貸し剥がしを行っている事例もあるようです。

そもそも貸し剥がしとはなぜ起こり、どのような手段によって行われるのでしょうか?

この記事では、貸し剥がしの対策とその概要について徹底解説を行っていきます。

貸し剥がしとは返済を迫られること

貸し剥がしとは、返済期限の前に銀行から「貸しているお金を返してくれ」と返済を迫られることです。

後述しますが、バブル崩壊などの社会的な不景気の際に、銀行は自社の債権が不良債権化する前に早めに回収したいと考えます。

そのため、期限よりも前に融資先企業に対してお金を返してもらうように依頼するのです。

返済の義務はない

貸し剥がしを銀行から依頼しされても、銀行は「貸しているお金を今すぐ返済せよ」と命じることはできません。

あくまでも返済期限前である以上、銀行から頼まれたからといっても銀行に返済の義務は必ずしもありません。

あくまでも銀行は返済のお願いという形で依頼をしてきます。

断っても良い

銀行から返済を依頼されても企業には返済の義務はないため、断っても全く問題はありません。

むしろ、期限前に返済することによって自社の資金繰りが苦しくなることが分かっている場合には、毅然とした態度で断るようにしましょう。

しかし、銀行も、行内で貸し剥がしの命令が発せられた時には必死になって何とか貸し剥がしを行おうとしてきます。

このため、自社が不利にならないように普段の返済に遅れないなどの十分な注意をしておくことが非常に重要になります。(後述)

無理に返済すると大変なことに

銀行からお願いされて、無理に返済してしまうと、後々自社の運転資金が枯渇して倒産してしまう可能性があります。

特に銀行が貸し剥がしを依頼してくるタイミングというのは社会全体の不景気時です。

このような時はいつ取引先が突然倒産しても全くおかしくはありません。

このため、できる限り社内には資金を潤沢に用意しておく必要があります。

無理に返済してしまい、結果的に資金ショートによって倒産してしまう企業はバブル崩壊時に何社も存在しましたので、無理に返済するということは避けてください。

貸し剥がしの方法

では、貸し剥がしはどのような方法で行われるのでしょうか?

方法といっても、企業にはお金を返済する義務はないため、基本的に銀行はお願いするだけになります。

貸し剥がしの方法はお願い

貸し剥がしの方法はお願いです。

銀行員は、銀行から貸し剥がしの命令が来ると銀行員1人単位や支店単位で「〇〇件」というノルマがきます。

銀行員にとってノルマは絶対です。

このため、今後、取引を切っても良さそうで、手元に資金がありそうな会社に狙いを定めたら、「返済してください」と頭を下げます。

このお願いを相手がイエスというまで何度も何度も繰り返し訪問します。

中には、貸し剥がしのために融資先に対して土下座をしたという銀行員がいたという話まで筆者は聞いたことがあります。

とにかく相手が金を返すまで繰り返し頭を下げ続けるというのが貸し剥がしの基本スタイルになります。

今後の融資取引を材料に使うことも

頭を下げても相手が「うん」と言わない場合には、「一度返済してくれたらすぐに融資を行う」「他の借入金も返済してもらわなければならない」など、あの手この手で何が何でも返済してもらうように求めてきます。

しかし、「一度返済すればすぐに融資を行う」などの保証は全くありません。

甘い言葉に乗せられて、会社に余裕がないにも関わらず返済をしてしまうということがないようにしてください。

期限の利益喪失事由を探す

お金を借りた人や企業は、返済期限が来るまでは返済する義務はありません。

これを期限の利益と言いますが、一度でも返済に遅れたりすると、この期限の利益は喪失する契約になっています。

期限の利益さえ喪失させることができれば、銀行には1度で回収できる権利が生じます。

このため、どうしても貸し剥がしに対して融資先企業が「うん」と言わないような場合には、過去の返済履歴を洗い直し、何とか期限の利益を喪失させることができないかと探すことも珍しくありません。

貸し剥がしは違法な行為?

貸し剥がしを行うと、ただでさえ不景気の最中に企業から現金を取り上げるのですから、企業の倒産が早まってしまうことになります、

この1点だけでも貸し剥がしが良い行為のはずがないのですが、貸し剥がしという行為そのものは違法なのでしょうか?

残念ながら貸し剥がしは違法ではありません。

考えてみれば、貸しているお金を「返済してください」とお願いしているだけですので、お願いは違法にはならないのです。

しかし、結果的に違法行為になってしまうこともありますし、金融庁も銀行がこのような行為を行わないようにしっかりとチェックしています。

貸し剥がしが原因で倒産したら違法

破産法という法律には貸し剥がしに関連することとして以下のように規定されています。

破産法第375条の三『「破産の原因たる事実あることを知るに拘らず或債権者に特別の利益を与ふる目的を以て為したる担保の供与又は債務の消滅に関する行為にして債務者の義務に属せす又はその方法若しくは時期か債務者の義務に属せざるもの」の行為を為しその(破産)宣告確定したるときは、5年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す。

つまり、貸し剥がしによって、債務者が破産した場合には5年以下の懲役または30万円以下の罰金になるということが規定されています。

貸し剥がしを行うという行為そのものは違法ではありません。

しかし、貸し剥がしを原因として破産してしまった場合には違法となりますので、銀行がしつこく貸し剥がしを依頼してきた場合には「これで倒産したら銀行が違法となりますよ」という旨を伝えた方がよいかもしれません。

金融庁も厳しくチェックしている

金融庁は貸し渋り・貸しはがしの相談を受け付けるために貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を開設し、その窓口は今も「金融サービス利用者相談室」で受け付けています。

債務者側の相談内容によっては銀行に対して指導を行っています。

また、定期的に銀行へ金融庁検査を行っていますが、その際にも貸し渋りや貸し剥がしがないかということをしっかりとチェックしています。

貸しはがしにあったらまずは金融庁へ相談するようにしましょう。

電話、FAX、郵送、WEBなどの方法で相談をすることができます。

電話0570-016811 (平日10時〜17時)
FAX03-3506-6699
郵送〒100-8967 東京都千代田区霞が関3-2-1 中央合同庁舎第7号館 金融庁 金融サービス利用者相談室
ウェブサイト金融サービス利用者相談室 ウェブサイト受付窓口

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貸し剥がしが行われる理由

銀行にとって融資とは、銀行の利益を確保するための収益の源泉です。

普段は融資のノルマに追われ苦労して獲得した融資をなぜ貸し剥がすようなことをするのでしょうか?

答えは銀行の損失を防ぐためです。

さらに最近では、銀行の収益を確保するために貸し剥がしをするという新たな理由も登場しています。

銀行の損失を防ぐため

企業に貸しているお金は企業が健全であるからこそ返済できるものです。

ところが、バブル崩壊時のような社会全体の大不況時には、融資先企業がいつ倒産してしまうか分かりません。

仮に企業が倒産してしまったら、銀行が企業に貸しているお金は損失になり銀行の経営自体も危うくなります。

実際にバブル崩壊期は多くの銀行が不良債権の拡大によって倒産に追い込まれました。

このような銀行の損失を予防するためには、企業に返済能力がある間に融資金を回収しておいた方が銀行にとっては安全です。

このため、融資先企業が潰れる前に銀行のリスクをなくすことが貸し剥がしの主な理由です。

最近は銀行の利益確保のため

銀行の損失を防ぐためだけに貸し剥がしをするようなことは最近は行われていません。

社会の目も金融庁の監督も厳しくなっているためです。

しかし最近は、経営が厳しくなっている地方銀行の収益を確保することを目的として行われる新たなケースがあるようです。

銀行は融資先が突然倒産しても大きな損失とならないように、融資額に応じた貸倒引当金を計上しています。

貸倒引当金は正常な企業であれば融資額の5%程度ですが、債務超過の企業などには融資額の50%程度の引当金を計上します。

貸倒引当金は融資先が倒産しても大きな損失とならないことを目的として行われるため、融資金が返済された場合には取り崩すことができ、これは銀行にとって収益となります。

近年の銀行業界全体の不況によって利息確保が難しい地方銀行は、貸倒引当金の積立が多い、債務超過企業などから貸し剥がしを行い、貸倒引当金の戻し分でなんとか利益を確保している動きがあります。

ただでさえ債務超過なのに、このような企業から融資金を回収してしまったら経営がさらに苦しくなることは目に見えています。

金融庁もこのようなケースについて目を光らせてはいるものの、地方銀行の中にはこのような手段によってなんとか利益を確保しようという動きがあるようです。

保証協会付融資では貸し剥がしはない

バブル崩壊以降、中小企業向けのほとんどの融資は信用保証協会の保証をつけて行われています。

信用保証協会の保証がついていれば、仮に企業が倒産したとしても銀行は信用保証協会から融資金の返済してもらえるためリスクはありません。

そのため信用保証協会の保証付融資は貸し剥がしにあうようなことはないでしょう。

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貸し剥がしの対策

今は貸し剥がしはほとんど行われていませんが、もしも貸し剥がしにあってしまった時の対策を一応頭に入れておきましょう。

また、貸し剥がしにあわないためには事前に注意が必要になります。

普段から銀行とコミュニケーションをとる

普段から銀行とコミュニケーションをとり、担当者や支店長と人間関係を作っておきましょう。

貸し剥がしは銀行員もノルマで行っているだけですので本意ではありません。

このため、人間関係がしっかりと構築できている人のところには、これまでの人間関係を全てぶち壊す貸し剥がしが行いにくいものです。

用がなくても銀行に顔を出し、コミュニケーションをとっておく、銀行が依頼する資料などは可及的速やかに提出する、講演会の参加などの銀行の些細なお願いはできる限り快く聞いてあげるなどによって人間関係に構築に努めれば貸し剥がしにあう可能性も排除できますし、自社がお金に困っている時にむしろ融資で助けてくれる可能性が高くなります。

保証協会付融資を受ける

先ほど述べたように信用保証協会の保証付融資は銀行にリスクがないため貸し剥がしにあう可能性がありません。

保証をつけないプロパー融資こそ企業の誇りと考えている古い経営者の方も少なくありませんが、プロパー融資は企業の業況が悪い時にはもろに銀行がリスクを被るため、貸し剥がしにあう可能性も高いということは認識しておいた方がよいでしょう。

毅然とした態度で断る

もしも「お金を返してください」と銀行がお願いしてきた場合には、毅然とした態度で断ることが重要です。

世の中に金融機関はたくさんありますし、金融機関はお金の貸付先がなくて困っている完全に売り手市場なのが今の金融業界です。

このため、銀行との関係を重視して銀行の頼みを聞くメリットはありません。

無理して返済をするくらいであれば、その銀行との関係を終了させる覚悟を持って毅然とした態度で断るようにしましょう。

自社が不利な立場にならないように注意

貸し剥がしは借りている企業の方が立場が上です。

お金を借りている側には期限の利益があるためです。

しかし、期限の利益を喪失してしまうと一気に立場は逆転し、銀行は正当性を持って「一括返済せよ」と迫ることができます。

以下の2つのいずれかに該当すると、期限の利益喪失事由に該当してしまうため、このようなことにならないように、普段の返済には遅れがないようにするなどの注意が必要になります。

①延滞は絶対にしない

②契約時に嘘はつかない

貸し剥がしの事例

最後に貸し剥がしが具体的にどのように行われるのかについて説明して行きます。

バブル崩壊時

バブル崩壊期は、どの企業がいつ倒産してもおかしくないという状況でしたので、手当たり次第にお金がありそうな企業に頭を下げて「返済してくれ」と依頼するのが普通でした。

銀行員はノルマ達成のために1日に何度も訪問し、返済を迫ります。

中には土下座してお願いし、「返してくれるまで帰れない」と不退去する銀行員もいました。

ついに根負けして返済した結果として資金繰りが厳しくなり、銀行へ支援を依頼しても銀行は対応してくれないなどという事例は決して珍しくありませんでした。

本当に支援を必要としているこの不景気時にお金を貸さないばかりか、お金を回収していたのですから、バブル崩壊期の銀行のこの姿勢が不景気をさらに拡大したと言われています。

最近多い事例

先ほど述べたように、最近多いのが貸倒引当金の取崩益を目的とした貸し剥がしです。

ただでさえ経営不振の企業から銀行の収益確保を狙って貸し剥がしを行うのですから企業の倒産は早くなります。

本来であれば経営再建に力を貸し、正常先に戻した上で積み立てすぎた引当金を取り戻すというのが正しいのでしょう。

わずかですが、地方銀行の一部に経営不振先から貸し剥がしを行うという事例があるようです。

まとめ

貸し剥がしとは、返済期限の前に銀行が融資金の回収を求めることで、銀行の損失を防ぐため、銀行の収益を確保するために行われます。

しかし、債務者は期限の利益に守られている以上、お金を返済する義務はありません。

お金を借りているとどうしても立場が弱くなってしまいがちですが、利息を払って毎月返済している以上は貸し剥がしに応じる必要はありません。

毅然とした態度で断りましょう。

どうしても返済の依頼が断れない場合にはまず金融庁へ相談を行いましょう。

なお、期限の利益を喪失させられるようなことがないように、日頃から返済期日だけは守るということは徹底してください。

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