自己破産しました
約25年前のことです。
以前、働いていたコンビニの店長をやめる際の清算、友人と会社を興す資金で消費者金融に借金を作ってしまい、債務が約500万円に膨らみ、支払い不能に陥り、取り立てから逃れるために、定職につけず、逃亡者みたいな生活を続けていました。
それでも縁あって建設会社に勤めたのですが、どうしても車の免許が必要になり、それまで消滅していた住民票を復活させた途端消費者金融からの取り立てが再開しました。
そして一番恐れていた差し押さえが会社宛に届き、社長と相談した結果、いつまでも逃げていても何の解決にもならないから自己破産することを決めました。
- 執筆者の情報
- 名前:森下 匠馬(たくま)(仮名)
年齢:54歳
性別:男性
経歴:消費者金融での借金をきっかけに自己破産。その後闇金融の利用者になる
目次
自己破産とは?
自己破産とは簡単に言えば、多額の借金を抱えにっちもさっちもいかなくなった人が、自分の財産を全てなげうってでも借金をチャラにする究極的な方法です。
正しくは自己破産によって借金をチャラにするには、免責許可決定を受けなければなりません。したがって自己破産=借金がチャラ、と考えるのはいささか早合点すぎますね。
自己破産は破産手続きのひとつで、破産開始と免責許可の手続きにわかれます。
ですから自己破産する際に一定以上の資産がある場合、資産を売却しそれを借金返済に充当します。借金を充当しても借金が完済できなかった場合、初めて免責許可され、ようやく借金がチャラとなるわけです。
しかし一般的に、個人が自己破産する場合は資産と呼べるものがなく、あったとしても20万円未満である場合がほとんどです。
ですから自己破産=借金がチャラ、と考えてもおかしくはありません。
それは20万円未満の資産は処分しなくてもよいとされているからです。
自己破産をすれば借金を返す必要はなくなる?
一般に自己破産すれば借金を返す必要なくなると思われているようですね。
しかし自己破産だけで借金返済義務がなくなるわけではありません。
借金返済しなくても良くなるのは免責が認められた場合です。
ですから自己破産をして免責が認められれば借金を返す必要はなくなる、のが正解です。
そもそも自己破産とは多くの借金を抱えて返済する見込みが全くない。
借金から逃れるには一家心中するしかない、という極限の状態までに追い込まれた債務者を救済する目的でできた制度です。
最近では浪費によって借金返済できなくなった若者が、自己破産すれば借金がチャラになる、などとうそぶいているようです。
しかしそれは大きな間違いです。
自己破産は上記の通り、やむなく借金を抱えてしまい生活が立ち行かなくなった人をなんとか救済しようとするのが目的で、遊び半分でお金を使い無駄に浪費をした人を助けるものではありません。
自己破産をした方がいい人とは?
なお自己破産に向いている人は、
- 借金が多額すぎて返済が追いつかない
- 収入が減ってしまい借金も滞納している
- 会社が倒産したりリストラされてしまい、到底借金返済ができない
以上のようなことに陥ってしまった場合は、任意整理を行っても結局は返済ができずに、自己破産に頼らざるを得ない場合がほとんどです。
自己破産悪いイメージで捉えている人もいますが、 自己破産は人生の再チャレンジだと思えば将来は明るいです。
自己破産の記録が信用情報に載っている期間は長くても10年です。
10年間借金返済することがなければ、自然にお金が貯まっていくでしょう。そしてその間は現金主義を行うことで、借金とは無縁の生活を送ることも可能です。
何かと自己破産は暗いイメージがつきまといますが、決してそんなことはないと思ってください。
破産手続きについて
自己破産の流れとして自分で裁判所に申し立て出る方法と、弁護士や司法書士といった法律の専門家に依頼する方法があります。
自分で自己破産手続きすることは法律知識がなくても可能です。
ですからわざわざ費用をかけてまで法律の専門家に頼む必要もありません。
しかし自己破産手続きするために書類を準備することが面倒だ、という人や、裁判所に行くのも仕事が忙しくて行けない、という人は法律の専門家に依頼すれば良いでしょう。
ちなみに自己破産にかかる費用の違いを見てください。
・自分で自己破産手続きを行う:1万数千円
・法律の専門家に依頼する:30万円から50万円程度
お金がなくて自己破産するなら、自分で自己破産手続きをするのが普通ですよね。
書類を揃えるのが面倒だとか、裁判所に行くのが面倒だとかと言って法律の専門家に依頼するのもどういうものでしょうか。
自己破産の手続きについて簡単にご説明したいと思います。
まず裁判所に自己破産申立を行います。
自己破産申し立てには債権者の目録や自己破産申立書、切手類などが必要です。
一般的に自己破産すると財産を全て没収されると言われていますが、現在では当面暮らせる軍の生活費として99万円までなら現金を残しておくことが可能です。
ただし預金はダメです。
生命保険の解約返戻金もダメです。
その他資産となるような不動産や、自動車、宝飾品や書画骨とう類などは、自己破産申立書にある財産目録に記載しなければならないため、隠蔽することはできません。
裁判所に自己破産を申請すると、概ね1カ月程度で自己破産の審尋が行われます。
自己破産申立書に従って裁判官が、なぜ自己破産をするまでに借金を重ねてしまったのか、直接面談して説明する必要があります。
この段階で自己破産は管財人事件となるのか、 それとも自己破産を取り止める同時廃止事件とするのかが決まります。
冒頭でもご説明したとおり、最近の個人の自己破産はほとんどの場合同時廃止事件です。
同時廃止事件とは破産手続きを廃止し、免責の審尋を行うことを言います。
管財人事件とは資産が十分にあり、借金を返済できないにしても、資産を処分することによって債権者に配当できる破産事件のことを言います。
管財人には裁判所が任命した弁護士がなり、破産申立人の借金や資産を管理し、債権者集会までにどのくらい借金返済ができるのかなどの計画書を裁判所に提出します。
ですから自己破産するにあたって、十分な資産がないと判断される場合は、すぐに同時廃止事件となり、世間一般でいうところの借金をチャラにする手続きに移行していきます。
破産法とは?
借金が返せないなら放置してしまえ、では世の中通りませんよね。
逆に借金が返せないなら家財道具を持ち出して売却してしまおう、と勝手に債権者が行うこともできません。
つまり破産法とは借金を返せない個人や法人に対して、きちんとした手続きを踏んで行う規則を設けた法律のことを言います。
当然ながら破産法には法人が会社清算するような、清算型と会社再建を目指す再建型があります。
そもそも破産法は清算型の法律であるともいえ。破産手続きをするための法的手順を条文化したものということもできます。
破産法の目的は借金を返せないで困っている債務者の財産を、適正に調査士、債権者に公平に分け与えることです。
もっと簡単に言えば破産法は個人の生命や財産を守るのではなく、お金を貸した債権者を守るための法律であると考えて差し支えありません。
もちろん破産法には再建することも含まれますので、借金が返せなくて死ぬしかないと考えている債務者の再生も含まれています。
今回ご紹介する記事は個人向けの自己破産ですから、法人の破産と違い会社を清算することや、再建することではなく、債務者の経済的困窮を救うという目的と考えても良いわけです。
自己破産後の任意返済について
自己破産によって、返済義務が全くなくなったからといっても、気になるのが連帯保証人になってもらっている人や、親族、および友人・知人からの借金です。
今後の付き合いを継続する上で、そのまま放っておくことができないという人は少なくないでしょう。
金融機関からの借り入れならば気にする必要はないでしょうが、借りたのが下記の場合には、そのまま知らん顔はできませんよね。
- 仕事の関係者
- 友人
- 婚約者、または夫などの配偶者
- 両親(父や母)
一部の債務者だけに返済することを偏頗行為と言い、これは他の債権者から見れば、得られるはずの返済を得られなかったことになり、他の債権者の権利を害する行為とされれるのです。
自己破産時には所有している財産を、公表・平等に債権者へ返済することが義務付けられているので、当たり前の話ですよね。
そして、これを知った債権者から否認権が行使されれば、一部の債権者に返金したお金は返還請求されるなど、大事になるので注意が必要です。
良かれと思った任意返済が、却って大事になる可能性があるので、仮に返済するとしてもバレないように、表立った行動は控える必要があるでしょう。
自己破産のメリット
自己破産のメリットは何と言っても免責決定され、全ての借金の返済義務が免除されることです。
免責決定こそが自己破産の目的なのですから、免責決定されない自己破産ははっきり言っても意味でしょう。
また自己破産手続き開始した後は、債権者からの強制執行を免れることができます。借金を返さないからと言って財産を差し押さえされることも、 給料差し押さえされることもありません。
もちろん仕事も辞める必要はありませんので、今まで通りの生活をしていれば良いのです。
自己破産のデメリット
自己破産をすると資格制限されます。
仕事内容によっては一時的に規制されてしまいますので、仕事につけないといった事態も起こり得ることです。
出来なくなる仕事はある意味限定的です。
仕業と言われる、弁護士や弁理士、公認会計士、税理士。行政書士などにはなれません。またお金を扱う保険外交員の仕事もできません。
及び人の生命や財産を扱う警備員の仕事もできません。
ただしこれらの仕事はあくまでも一時的で、自己破産をしたからといって一生涯できないわけではないのです。
もっと簡単に言えば仕事が制限されるのは自己破産手続き中だけであり、免責決定してしまえば制限された仕事に就くことが可能です。
概ね自己破産の申し立てから免責決定まで3カ月程度です。
その間じっと我慢していれば良いだけですね。
しかし唯一デメリットが当分の間続くとすれば、それは自己破産したことによって官報に掲載されてしまうことでしょう。
一般の人が官報を読むことはないにしても、銀行関係者だと官報の情報を集めている部署があるため、たとえ銀行からの借り入れがなかったとしても、自己破産によって銀行が利用する全国銀行個人信用情報センターに登録されてしまうことが厄介ですね。
債権者目録になかった金融機関からの借入も当然だからできません。
自己破産の情報は10年にわたって掲載されることになりますので、その間住宅ローンや自動車ローン、カードローンやクレジットカードの契約もできなくなります。
つまりブラックリスト入りするわけですね。
自己破産をした後、生活はどうなる?
自己破産しても特に生活に変わったことはありません。
前項でもご説明したとおり、自己破産した情報が一般にもれることは、銀行関係を除いてほぼないと考えてよいです。
ですから会社にばれることもなければ、世間一般にばれることもありません。
仕事は今まで通り勤務していて構いません。
給料も今まで通り貰っていて構いません。
ただし免責決定するまでの間は、給与振込の口座は変更しておいた方が無難です。
借金で生活苦でも税金は免除されないの?本気で払えないときは?
財産は没収される
普通自己破産と言うと、全ての財産が没収されると言われているようです。
しかし既にご説明の通り99万円の現金は所有して構わないのです。
ただしあくまで現金に限ることに注意してください。
現金以外の資産は全て没収されると考えてよいでしょう。
もちろん自動車もローン残債がなければ、資産として計上しなければなりませんが、6年以上乗っている自動車はほぼ資産価値はゼロです。
没収される財産としては、不動産の他に預金、有価証券、高価な美術品などです。
官報に情報が記録される
自己破産を申し立てると官報に住所と氏名が掲載されます。
掲載されるタイミングとしては自己破産を申し立てた時、それと免責決定された時です。
どちらにしても銀行関係者以外はほとんど見ない情報ですから、個人が自己破産する上ではあまり気にする必要はないでしょう。
信用情報機関にもブラックリストとして登録される
自己破産は立派な金融事故情報です。
銀行からの借り入れや消費者金融、クレジットカード、自動車ローンなどの借金があれば、それらは全て債権者目録に登録し、免責が決定すればその情報は各金融機関に渡ります。
当然ながら各金融機関が加盟している信用情報機関に登録されることになります。
金融ブラックとして最高で10年間はお金に関する契約はできないと考えておきましょう。
自己破産をしただけでは借金はゼロにならない
自己破産は同時廃止事件になるのか、それとも管財人事件となるのかに分かれますので、自己破産をしただけでは借金はゼロにはなりません。
返済義務の解消には免責手続きが必要
借金を返済しないでも良いようになるためには、免責決定を受けなければなりません。
特に処分するような財産がなければ、自己破産手続きは同時廃止事件となりすぐに免責決定審尋に移動します。
免責決定の手続きは特に必要はありません。
裁判所側が勝手に行ってくれますので、申し立てる必要はありません。
自己破産に借金総額や返済残額などの条件はあるのか
これから自己破産を考えている人にとって、自分が自己破産できるかどうか悩んでいる人も多いことでしょう。
よく借金額が少なすぎると自己破産ができないとか、借金滞納が多いと自己破産ができないなどと言われています。
結論から行くと自己破産するにあたって借金総額や、返済についての条件はありません。
自己破産するための条件は、唯一、
借金返済が不能になったとき
です。
つまりいくら年収が多くて、またいくら年収が少なくて、そして借金額が多くても少なくても、借金の支払いができない状態になったときに、自己破産することが可能なのです。
ですから極端なことを言うと、たとえ借金が100万円でも、年収が少なく借金返済が到底不可能である場合は、当然のことながら自己破産が可能です。
もちろん何らかの理由で仕事ができない状態で、今後に至っても無収入が続く場合は、借金が50万円でも自己破産の条件に当てはまります。
よって世間一般で言われてるように、自己破産するには借金額が少ないと言われ、自己破産直前に金融機関から借り入れをしてしまうと逆に、自己破産しても免責許可決定が出ない場合があります。
自己破産の目的はあくまでも免責許可決定です。
いくら自己破産しても借金返済の義務を免れなければ、自己破産をする意味がないと言っても良いくらいですね。
現在の収入と借金額を比べ、当然生活費のことを考えながらも、どのようにやりくりしても借金返済の目処が立たないと判断した場合は、すぐに自己破産の手続きを行うことを考えても悪くはないのです。
免責とは
免責とは、自己破産の手続きの一つです。 自己破産の手続きには、破産開始決定と免責決定の2種類があります。破産開始決定とは破産手続きを法的に開始する旨の裁判所の決定であり、財産よりも借金の方が多ければ発令されます。
これに対し、破産者に破産法が定める問題点がなければ、免責決定によって借金がゼロになり、法的には破産者ではなくなります。
免責不許可事由
個人が自己破産する上で免責が認められないケースというのはほとんどありません。
しかしもあれ借金の免責が認められない場合もありますので、念のために覚えておくと良いでしょう。
免責不許可事由になる例として最も多いのが、債権者のうち、ある特定の債権者だけに借金を返済してしまった場合です。
ですから例え家族や友人からの借金だとしても借金返済はいけないのです。
また株式投資やFX、ギャンブルと言った借金の場合も免責が認められない可能性があります。しかし最近の流れとしては裁判官の裁量で免責が認められ、よほどのことがない限り免責不許可事由となるケースはありません。
裁量免責とは
裁量免責とは裁判官が免責不許可事由に当たる事案があったとしても、裁判官の判断で免責許可を与えることを言います。
そのため、ほとんどの事件で担当裁判官は、免責不許可事由があったとしても弁明書と疎明資料の提出で済ませますし、かなりの問題性があったとしても少額管財人を選任して少額管財人に免責相当意見を出させ、少額管財人の免責相当意見を根拠として免責決定を発令します。
したがって、実際の実務では、かなり悪質なことをしていない限り、免責は許可され、免責不許可決定が発令されることはほとんどありません。
免債される?3つのケースを確認
自己破産ですべての借金を免責することができないとなれば、気になる債務がある人は、多いのではないでしょうか。
ここでは読者のみなさんが気になるであろう債務を挙げて、免責できるかどうかを言及し、免責対象とする際の注意点を説明していくことにします。
奨学金
奨学金は自己破産に伴い、免責できます。
しかし、奨学金を免責する場合に、一点だけ注意して欲しいのが、連帯保証人です。
奨学金の場合、連帯保証人を付けるのが一般的で、通常は両親、それ以外なら兄弟や親せきが連帯保証人となっています。
自己破産して奨学金の免責を受けることはできますが、その後の請求は連帯保証人に行くことになるので、自己破産時には注意しなければなりません。
まずは連帯保証人へ相談する必要があるでしょう。
事業資金
経営者にとって会社が破産した場合、気になってくるのが、代表者としての債務が免責されるかという点でしょう。
法人、個人事業主にかかわらず、事業性資金の融資では、経営者が契約にかかわっているのが一般的です。
法人なら連帯保証人として、個人事業主ならば代表者として、契約に名を連ねています。
よって、この債務が免責されるかどうかは、今後の生活にも大きく影響してくるので心配なところです。
しかし、心配はいりません。
法人、個人事業主ともに、事業性資金の債務は特に問題とされず、免責対象となり、免責決定が下されるのが一般的です。
携帯電話料金
自己破産の申し立てで一番注意して欲しい借金が「携帯電話料金の未納」です。
携帯電話料金で滞納している分があれば、自己破産で免責される対象になります。
しかし、未納の携帯電話料金が自己破産で免責されると、その後、免責された携帯電話会社だけでなく、他の携帯電話会社でも契約できなくなる可能性があるのです。
金融機関の個人信用情報のように、携帯電話会社間でも利用者の通話料金の支払い状況を共有しています。
そのため、特定の携帯電話会社に対して、電話料金の支払いを延滞したり、自己破産で免責されると、その情報は他の携帯会社でも共有され、以降は他の携帯電話会社とも契約できなくなってしまうのです。
必ずしもというわけではありませんが、その可能性が生じることは覚えておきましょう。
免責までの手続きの流れ
免責が決定されるまでの流れとしては、
①自己破産を申し立てる
②破産手続き方法が決定される
③財産があれば管財人事件
➃財産がなければ同時廃止事件
⑤管財人事件でも同時廃止事件でも、債権者に配当するだけのお金がなければ免責手続き
⑥免責の審尋
⑦免責決定
ざっとこんな感じです。
破産申立から免責決定までおよそ3カ月程度です。
その債権者から督促を受けることもなければ、借金返済する必要もありません。
お金に関する契約ができないなど不便な面もありますが、全て現金主義とするか、ローンを組む場合は家族名義で行うなど対処の方法もありますね。
自己破産の弁護士費用
弁護士費用は個々の弁護士が定めますが、全国的な相場は30万円と消費税です。
分割払いは可能か
大抵の弁護士は分割払いを認めますが、実際に申立書を作成したり、作成した申立書を裁判所に提出したりするのは、弁護士費用と実費の積立てが終わってからであるのが通常です。
法テラスを利用した場合の費用
法テラスを利用すると、弁護士費用及び実費の合計額はおよそ15万円程度となります。また、毎月5000円の分割払いも認めてくれます。
自己破産手続きに必要な書類
各地の裁判所によって異なります。最寄りの地方裁判所に行けば、申立書の書き方や必要書類の種類が記載された説明文書を無料でもらえますので、自分で申立てを検討している人はまずは最寄りの裁判所に行ってください。
なお、自己破産は大量の事件を迅速に処理しなければならない裁判所の都合で、申立書や必要書類の様式は厳密に固定されています。
また、ほとんどの人には何らかの免責不許可事由が存在しますので、代理人弁護士を頼んで申立てをすれば弁明書や疎明資料の提出だけで済んだものが、自分で申立てをしたために少額管財人が選任されてしまい、かえって高くつくこともあります。
どうしても弁護士に依頼するお金がなければ、法テラスに頼めば非常に安い費用で弁護士を紹介してくれます。
また、万が一少額管財人が選任されたとしても、法テラスが管財人報酬を立て替えてくれます(少額管財事件になったときは、約20万円の管財人報酬を裁判所に一括して納めないと破産申立てが却下されます)。
しかも、法テラスに対する返済は毎月5000円からで済みます。したがって、お金をケチって自分で申立てをするのは避けるべきです。
非免責債権は自己破産をしても免除されない
繰り返すようですが自己破産の目的はあくまでも免責許可決定です。
免責が認められないと分かっていて自己破産する人はいません。
しかし免責が認められても、ある一定の債権については免責されないことがあります。
つまり返済しなければならない借金があるということです。
これを非免責債権といい、自己破産をして免責が認められても返済義務から逃れられないのです。
非免責債権の種類
非免責債権の種類としては主に以下のものがあります。
・不払いの税金
・罰金
・交通事故などの損害賠償
・子供の養育費
・慰謝料など
以上の債権については自己破産して免責が認められても、返済義務から逃れることはできません。
免責までの期間
免責決定は、破産開始決定の発令後、一定の調査を経て、破産法が定める特定の問題点が存在しないことが判明した時点で発令されます。
通常の事件では、破産開始決定から数か月(3カ月から4カ月)程度で発令されます。
お役立ち情報:自己破産をした相手にも請求できるケースはある?
まず自己破産をしても非免責債権については支払い義務が残ります。
ですからよくあるような離婚訴訟による慰謝料の請求や、子供の養育費は当然ながら相手に請求して OK です。
次のようなケースでも自己破産後に相手から借金を取り返すことが可能です。
・債権者目録に載っていなかった
自己破産する時には誰からいくらいつ借りたのか、必ず債権者目録と言われる債権者一覧表提出しなければなりません。
しかし債権者名簿に個人的にお金を貸したことが載っていなかった、のであればその借金は免責許可の対象になっていないわけですから請求できるのです。
自分の名前が債権者名簿に載っているかどうか、個人的に情報開示請求するのは難しいかもしれません。その場合は弁護士や司法書士と相談し、いくらかしているのかなども含めて対処方法を考えてみましょう。
借金返済や自己破産に関するみんなの口コミ
自己破産に関するみんなの口コミを Twitter などから集めてみました。皆さんどんな感じで自己破産をとらえているのでしょうか。
そうですね確かに借金に過払い金があったら自己破産せずに済むかもしれませんね。
概ね2000年頃からお金を借りているのであれば、過払い金がある可能性がありますので、法律の専門家に相談するのも良いですね。
このように切実に借金問題に苦しんでいて、自己破産のおかげで人生ラクになったと考えている人もいるのです。
自己所有の家があって自己破産が出来ないっていう人もいますね。
そういう人たちのために個人再生があります。
個人再生は借金の額によって、従来の借金を1/5から1/10まで減らすことが可能です。
どうしても自己破産ができないという場合は、個人再生で借金減額を狙ってみましょう。
【体験談】自己破産はこのような方法で行われる
サイトを調べてみると自己破産の方法や、自己破産のメリットやデメリット、について調べることができますね。
しかしこれから自己破産しようと考えている人にとっては、実際に自己破産とはどのような手続きなのかイメージすることが難しいですね。
そこで番外編として、実際に自己破産した体験談をお届けしたいと思います。
内容読んでもらえればそれほど難しい手続きではないことがお分かりだと思います。
自己破産して免責をもらうまでの具体的な日数などの、貴重な情報が詰まっていますので参考にしてください。
番外編1:弁護士会での無料相談
自己破産することを決めましたが、法律の知識も無い一般人には個人で手続きをするのは、無理です。そこで色々と調べて、まずは弁護士会主催の無料法律相談を受けることにしました。
弁護士会に電話して、相談日時の予約をします。その時の指示で当日相談内容を簡潔にまとめ、借金問題であれば、わかる範囲で債権者と債務額を調べて来るようにと言われました。
予約当日、会場に出かけました。会場の広さは学校の教室より少し広めだったと記憶しています。長机が3列×5・6列位並んでいました。それぞれの机に担当の弁護士が就いています。
相談の順番は来場順でした。2~30分待って、私の番になります。指示された席に座り、相談が始まります。担当の弁護士に相談内容(借金問題)と債権者・債務額を伝えます。
それから弁護士から解決方法をいくつか示されました。方法として自己破産・任意整理・調停と他に2・3示されたと思います。
解決方法につきましては、ずいぶん以前のことですので自己破産以外は記憶があやふやですが、複数の方法を示されました。相談時間は30分くらいだったと思います。時間内で結論は出ませんでした。
相談時間が終了し、帰り際に、弁護士から相談を継続するかの確認がありました。相談を継続する意思を伝え、当日は帰宅しました。
番外編2:自己破産にむけて
弁護士会での無料相談を終えて、相談を継続することにした私は、担当の弁護士の事務所へ訪問しました。弁護士会のシステム上、無料相談時の担当だった弁護士に依頼することになります。
電話で相談の予約を取り、向かいました。先日の無料相談で概要は伝えていますので、相談はスムーズに進みます。解決策としては、自己破産が最も適しているとの弁護士の判断で決定しました。
このまま、継続して相談を続けられればいいのですが、一番の問題である費用の件を決めなければなりません。費用は10万円とのことでした。当時の私に、費用を調達することは不可能です。
そこで紹介されたのが『法テラス』(現在は名称が変わっているかもしれません)です。ここは、弁護士費用が用意できない人に向けて、ある程度の審査は必要ですが、無利子で弁護士費用を融資してもらえます。
早速申し込むことにして必要書類をそろえることにした、2回目の相談は終了です。
番外編3:法テラス
申込に必要な書類をそろえて早速申し込みます。必要書類は身分証明書・住民票・・連絡先(家族等)と申込書くらいだったと思います。法テラスの事務所へ出向き申込です。
窓口で必要書類を手渡します。それから個室で、返済方法などの説明を受けます。この時担当弁護士から受諾の連絡が先方に届いていたため、申込はスムーズに進みました。返済方法は解決後に毎月1万円×10回での返済でした。
申し込み後、審査結果は1週間程で届きました。
番外編4:本格的な相談開始
弁護士費用の問題も解決して、これからが自己破産にむけての本格的な相談です。弁護士の方で私の債務状況を調べてくれていました。
私が申告していたのが4・5社で約500万円でしたが、信用情報を照会した結果、6社で利息含めて約800万円位だったと記憶しています。
その債務に加えて携帯電話の未払いの料金なども一緒に自己破産することにしました。
余談ですがその後、携帯電話を契約する際に未払い分を支払わないと契約できないことになってしまいました。 弁護士から債権者へ着手した旨の通知を郵送してもらいます。
これで、それまでしつこかった取り立ても完全に無くなりました。 弁護士からの通知が届くと、債権者は直接債権者へ連絡を取れなくなるそうで、このことが、最も自己破産に向けて進みだしたことを実感できました。
それまで家に帰るのも怖かった状況が一転して、おびえる必要がなくなって、このことだけでも、自己破産を選んで良かったと思いました。
番外編5:裁判所への自己破産申請
弁護士との面談は最初の無料相談を含めると、4・5回だったと思います。手続きは進み、いよいよ裁判所へ自己破産申請です。申請用紙に債務状況を記載。これは弁護士が一覧表をを作成して添付したと思います。
私が記載したのは、債務超過に陥った経緯・今後の展望みたいなものだったと思います。記事の冒頭のような内容を詳しく記載しました。その他に私の資産内容を記述した用紙を提出しました。
今後の展望とは、今回自己破産が認められたら、今後無駄な借り入れはせず暮らします。といった感じの宣誓みたいなものでした。申請書の内容で裁判所で審議されます。
番外編6:裁判所での面談
申請書を提出して、数日後に、裁判所から面談日の通知が届きます。 面談での回答は私自身がするのですが、面談日当日は、弁護士も同伴していたように、記憶しています。
申請書の内容の確認があります。 申請書に書いた通り、債務超過に至った経緯、今後の展望を答えます。 それから、裁判官から自己破産について簡単な説明がありました。
自己破産をしてだけでは、債務がなくなるわけではなく、同時に免責を受けなければならないことや、自己破産をした場合のメリット・デメリットの説明がありました。 面談の時間は、10分か15分程度だったと思います。
この時点で自己破産手続開始が決定され、同時廃止も決定されました。 この後、債権者に自己破産開始決定・同時廃止決定の通知が裁判所から送付されて、同時に官報にも記載されます。
決定から1・2か月債権者からの異議の申し立て期間が設けられて、その間に申し立てがない場合、手続きは進みます。
番外編7:免責決定
免責の決定は裁判所に出廷して、数人が同じ法廷で決定が告げられたと思います。 この時債権者にも通知が届き、不服がある場合、その場で発言できるので、債権者も出廷する場合があると思います。
ここで免責が決定して、晴れて債務がなくなりました。 ここまでが私が記憶している自己破産。免責の流れです。 なにぶんにも15年位前のことで記憶が薄れていて、実際の流れと多少異なるところがあるかもしれません。
番外編8:自己破産を経験して
きっかけは、仕事が原因の債務だったかも知れませんが、結局は、自分の考えの甘さが招いた結果です。
その後は買いたいものがあっても、金額が高いものは我慢してお金を貯めて買うようにしたり、まとまったお金が必要になっても用意できなかったり多少の不便を感じることは、ありましたが、どうにか生活は改善できました。
自己破産の決定は官報に記載されるのですが、当時は多分住所・氏名も記載されていたと思います。 というのは、自己破産後しばらくして、名前も知らない金融会社から融資の案内のハガキが頻繁に届くようになったからです。
中には露骨に『自己破産OK』などと書かれた物もありました。 借金することのハードルが低くなっている人間には誘惑される文字が踊っています。
一度、どうせ借りられないと思いつつも連絡を取ったことがありますが、詐欺でした。 お金は貸せるけど、融資する前にいくらかの金額を支払って返済能力を確かめるみたいな内容で、どう考えても変ですよね。
冷静に考えれば、詐欺だとわかる内容ですが、切羽詰まった人は騙されるのでしょうね。 ちなみに私はまだ冷静さを保っていましたので、断りました。
番外編10:後日談
自己破産した頃勤めていた会社は日雇い労働者の派遣もしていましたので、中には債務超過に陥って返済が滞っている人もいます。
そういった人の中で会社として働き続けてもらいたい人間には、社長が相談に乗って自己破産を進めた人が4・5人いました。 その時、私が弁護士の無料相談に付き添うよう言われ、一緒に行き手助けをしました。
最初の無料相談だけ付き合って、のちに経過を聞くだけでした。 私の時は、弁護士が債務状況を調べてくれましたが、本人に調べさせた弁護士もいました。
その時、個人でも信用情報を調べることができることを初めて知りました。一度、自分の信用情報を見てみたい気はしますが、今のところ実行していません。 興味がある方は「個人信用情報」などといったキーワードで検索すれば、簡単に検索できます。
自己破産に関する7つのQ&A
ここでは自己破産に関して、実際に手続きを行う前に知っておきたいことについてご説明していきたいと思います。
自己破産を行ってから、こんなはずではなかったと後悔しないためにも、ぜひ覚えておくと良いでしょう。
①破産者本人は裁判所に行く必要があるのか?
あります。
まずは本人が自己破産申し立てに裁判所に行かなければならないことです。
その際 、同時期に申し立てをした他の破産者と一緒に会議室に集められて、担当裁判官による一般的な説明を聞くこともよくあります(これは「集団面接」と呼ばれています)。
特に問題がある人だけ個別に呼ばれ、担当裁判官から家計簿や反省文の作成を命じられることもありますね。
大抵は1回ですが、特に問題性が大きく、少額管財人が任命された事件などでは、毎月1回のペースで1年ほど裁判所に通わなければならないケースもあります。
②自己破産してもクレジットカードは作成できるのか?
自己破産すると、一定期間はブラックリストに掲載されますので、その期間中にクレジットカードを申し込んだとしても発行を拒否されるでしょう。
免責決定後、5年から7年程度はクレジットカードの新規発行は諦めてください。
ただし、免責決定から5年から7年が過ぎ、ブラックリストから情報が消えたとしても、新規発行は難しいかもしれません。
なぜなら、新規発行の申込みを受けたクレジット会社が信用情報を見ると、5年から7年程度の全くの空白期間があることに簡単に気付き、自己破産(債務整理)をしたのではないかとの疑いを抱くからです。
したがって、運よくキャッシング残高もショッピング残高もゼロであるクレジットカードがあれば、大事に温存し(代理人弁護士にはあらかじめ相談してください。破産申立後にばれると面倒なことになります)、免責決定後に利用し、ある程度の利用実績を作っておくべきです。
③自己破産しても車のローンは通るのか?
ブラックリストに掲載される5年から7年間は諦めてください。
その後は各信販会社の経営判断によりますが、自己破産したときの債権者になっていた信販会社は今後二度と取引をしてくれないでしょう。
どうしても自動車ローンを組みたい場合は、家族名義で申し込むと良いでしょう。
➃自己破産をすると勤務先にばれるのか?
ばれません。
ただし、自己破産をした事実は官報(国が発行する新聞)には掲載されます。
そのため、保険の外交員や警備員など、破産者が就くことができない職種の場合は、勤務先が官報をチェックしているケースがありますので、ばれる可能性があります。
破産者がつくことができない職種であるのに、破産したことを勤務先に隠すと、場合によっては懲戒解雇される可能性もありますので、そのような職種についている人は、自己破産ではなく個人再生等の手続きを選択すべきです。
しかし免責が決定されると、復権されるため触手の制限はなくなります。
自己破産を申し立ててから免責決定されるまで、およそ3カ月から4カ月程度です。
新規に資格を取得するのでなければ、自己破産したことがばれないかもしれません。
⑤自己破産をすると保証人はどうなるのか?
保証人自身が自己破産等をしない限り、借金の全額について容赦なく請求されます。
保証人とはまさにこういう場合に備えたものですので、仕方がないことです。
⑥自己破産すると家や自動車を手放さなないといけないのか?
自己破産をする場合は基本的に資産を売却するのが条件です。
手元に置いておくことができる財産は、現金に限り99万円までです。
自己所有の家や自動車は手放さなければならないことを覚悟しましょう。
ただし自動車については登録から6年が過ぎると資産価値がないとみなされることが多く、処分しなくても良い場合があります。
また自己破産した金額と、処分する資産に大きな開きがあり、借金を支払っても売却したお金が残る場合は当然ながら返還されます。
⑦ブラックリストって何だろう?
よく自己破産をすると、ブラックリストに載ると言われていますね。
実際のところブラックリストというのは存在しないのですが、ブラックリストに相当するのが、信用情報機関に登録される異動情報、いわゆる金融事故情報です。
各種ローンの審査は信用情報機関はしません。審査を行うのはあくまでも信用情報を取得した金融機関です。
ですからブラックリストに載ったからといって、必ず審査に落ちるとは限りません。
ただし信用力や返済能力がないとみなされることが多く、ほとんどの場合審査に通ることはないでしょう。
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