総量規制対象外となる不動産担保ローンの有効な活用方法

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執筆者の情報
名前:馬沢結愛(30歳)
職歴:平成18年4月より信用金庫勤務

不動産担保ローンとは

不動産担保ローンとは、所有している不動産(土地や建物)を担保にして借入するローンのことであり、わかりやすいものだと住宅ローンが代表的な不動産担保ローンです。

不動産担保ローンを利用することのメリットは、

  • 高額な資金を借りることができる
  • 長期の返済が可能
  • 低金利で借りることができる

ということが挙げられます。

不動産担保ローンを借りることができるのは、銀行、消費者金融、事業者金融などであり、それぞれ借入条件が異なります。

抵当権が設定される

不動産を担保にすると、銀行などでは「抵当権」を設定します。

抵当権を設定すると、他の債権があったとしても、優先して債権に充当することができ、競売などで資金化をして弁済します。

また、抵当権には設定した順に第一順位、第二順位となり、先に設定した債権者から再建に充当することができます。

ですので、不動産担保ローンで返済ができなくなった場合には、その不動産を手放さなければならないというデメリットがあります。

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不動産担保ローンは総量規制除外借入

総量規制とは、消費者金融などの貸金業者に適用される貸金業法によって定められている規制です。

これにより、個人が貸金業者から借入できる金額は「年収の1/3」が上限となり、これを超える借入は法的に禁止されています。

しかし、総量規制には「除外」と「例外」があり、不動産担保ローンは除外に該当する借入となります。

従って、不動産担保ローンは年収の1/3を超える場合でも借りることができ、年収と同額やそれ以上の金額の借入も可能となります。

総量規制の除外と例外の違いは、除外は規制の借入金額にカウントされず、例外は規制の借入金額にカウントはするが、例外的に規制の対象外となります。

総量規制の除外となる借入

不動産担保ローン以外にも、総量規制の除外となる借入があります。

  • 不動産購入または不動産に改良のための借入(つなぎ融資も含む)
  • 自動車購入時の自動車担保
  • 高額療養費の借入
  • 有価証券担保
  • 売却予定不動産の売却代金により返済できる借入
  • 手形の割引

自動車を購入する際に利用するディーラーローンは、貸金業者である信販会社から借入しますが、購入する車を担保にしています。

自動車を担保にする借入は総量規制の除外借入となりますので、これによって年収の1/3を超える借入も可能となっています。

自宅担保の場合は要注意!

冒頭でも申しましたが基本的に不動産担保ローンは総量規制の対象外となります。

基本的に総量規制の対象外となるものは、その借入によって利用者が有利な条件となる場合や、生命維持や生活維持に必要な場合など、総量規制の縛りによって借入できないことで国民の利益を損なう、もしくは日常生活を維持するのに妨げとなるケースです。

本来、総量規制が施行されたのは貸金業者の過剰融資で多重債務者の増加にともない、自己破産しなければならない人が続出したことが原因でした。

総量規制によって借りすぎ、貸しすぎを未然に防ぎ、国民の生活を守ろうという意義の元に施行されたという背景があるため、総量規制が国民生活の妨げになるケースでは本末転倒となってしまうため、いくつかのケースを想定して除外・例外といった形で対象外としています。

そして不動産担保ローンは総量規制の除外とされています。

しかし、ここで注意しなければならないのが、その対象不動産が自宅以外に限定されている点です。

なんで自宅はダメなの?

そこで疑問となってくるのが、なぜ自宅は対象外とされているのかという点です。

自宅以外の不動産を所有している方はそう多くはないため、不動産担保ローンを利用しようという方はその担保には自宅をあてにすることでしょう。

そうなると総量規制の除外とならないなら、貸金業者からの借入はできないという方も少なからず出てくることが想定されます。

これは利用者にとっても大きな痛手になってきますよね。

実は自宅が担保物権から除外されているのは「生計を維持するために不可欠なもの」という定義が大きく関係しています。

不動産担保ローンが無担保ローンよりも借入しやすいのは、返済不能となった場合、その不動産を転売して返済残債に充てることができるからです。

自宅以外の不動産投資物件(アパートやマンションなど)や別荘、土地ならば仮に返済不能となり転売されても住むところに困ることにはなりませんが、これが自宅だとそうはいきません。

生活の拠点を失ってしまい、生計を維持することができなくなってしまいます。

よって、融資実行される可能性の高い不動産担保ローンでは、従来の国民生活を守るという総量規制の考えから自宅は担保物権として認められていないというわけです。

ならば貸金業者以外の銀行で不動産担保ローンを組めばいいだろうと考える方も少なくないでしょう。

しかし、実際に融資を受けるには銀行の審査基準をクリアしなければなりません。

いくら不動産を担保にするといっても、返済不能となることが端から分かっている相手に融資を実行してくれる銀行はそうそうないでしょう。

仮に融資が通ったとしても、返済不能となれば自宅を失う事になるので、借入に対する返済見通しが立っているかどうかを必ず慎重に検討する必要が出てきます。

借りられればいいというその場凌ぎの考えでは、全てを失ってしまう可能性が高くなることをシッカリと理解しておきましょう。

不動産担保ローンを総量規制の除外とするには

総量規制の除外に当たる貸付は下記の条件をクリアした場合です。

  • 不動産購入や不動産リフォームのための貸付け(支払い時のつなぎ融資も含む)
  • 自動車購入時の自動車担保貸付(自動車ローン)
  • 高額療養費支払いのための貸付け
  • 有価証券担保貸付
  • 不動産担保貸付
  • 売却予定不動産で返済できる貸付
  • 手形割引(融通手形を除く)
  • 金融商品取引業者による500万円超の貸付
  • 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介

不動産担保ローンはこの中の不動産担保貸付にあたりますが、先程説明したように総量規制の除外に該当するためには担保とする不動産が自宅以外であることが条件となってきます。

不動産担保ローンで総量規制とするための必須条件となってくるので、この点はシッカリと忘れないようにしてください。

また総量規制の除外による貸付は総量規制の対象とならない上、その金額は総量規制の残高として数えられません。

年収が900万円で総量規制の対象となる借入が200万円あり、不動産担保ローンで500万円の借入をしても200万円に加算されることがないので、総量規制の観点からはまだ100万円の借入ができる状態にあります。

この点は次に説明する総量規制の例外と大きく違う点ですので、忘れないようにしてください。

不動産担保ローンを総量規制の例外とするには

総量規制の例外に当たる貸付は下記の条件をクリアした場合です。

  • 借り手にとって一方的に有利となる借り換え
  • 緊急医療費の貸付
  • 社会通念上、緊急と認められる支払い資金の貸付
  • 配偶者の年収合算の3分の1以下の貸付
  • 事業性資金の貸付
  • 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでのつなぎ資金としての貸付

基本的に不動産担保ローンと言えば、そう名を打ったローン商品が思い浮かびますが、その他の借入でも不動産を担保にして借入するケースも少なくありません。

不動産を担保にすることで無担保の個人保証では受けられない融資が通るケースもありますし、高額な借入をするために不動産を担保にするケースが想定されます。

よって、通常の不動産担保ローンでは自宅を担保にすることで総量規制の除外に該当しなくなるケースでも、その借入目的が上記の総量規制の例外に当たる場合は総量規制の対象外の借入とすることが可能になってきます。

自宅の不動産担保貸付は抵当権がカギ!

不動産担保ローンに限らず、不動産を担保にして借入を行う際にはその担保物権に抵当権が設定されるのですが、この抵当権は先に設定したほど返済不能となり、売却された際の取り分が優先して配分されることになります。

そこで問題となってくるのが、自宅を担保とした際の借入です。

基本的に自宅を担保とする場合にはローン完済している状態以外、住宅ローンの借入先金融機関の抵当権が設定されているので、その状態で自宅を担保とする際には住宅ローン借入先に次ぐ第二抵当権の設定となってしまいます。

売却時には第一抵当権へ債務の全額返済となるため、第二抵当権では債務の返済が行われない場合もあるので、銀行の不動産担保貸付は第一抵当権が設定できない不動産は担保として認めてもらえないことが一般的です。

総量規制の問題で貸金業者ではなく、自宅を抵当に銀行から融資を受けるのは事実上不可能といってもいいでしょう。

しかし、貸金業者ならば第二抵当権でもOKというところはいくつも見られます。

借入できる額は不動産価値とローン残債が影響してきますが、高額な借り入れ希望でなければ借入可能となるケースも出てくるでしょう。

ですがここでネックとなってくるのが総量規制の問題なのですが、先に申しましたように借入目的が総量規制の例外に当たるものであれば、総量規制を気にせず借入することが可能になってきます。

基本的には貸金業者から自宅を担保にして借入を行う際は総量規制が適用されますが、考え方次第ではこういった借入方法をとることもできるというわけです。

ですが先程も申しましたように、高額な借入は期待できません。

この点はよく理解して、返済不能となるような借入だけはしないように心がけましょう。

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総量規制対象外となる不動産担保ローンの有効な活用方法

執筆者の情報 名前:馬沢結愛(30歳) 職歴:平成18年4月より信用金庫勤務 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンとは、所有している不動産(土地や建物)を担保にして借入す...

無担保ローンよりも審査は通りやすい

物件に抵当権を設定する不動産担保ローンは、融資をする側にしてみると、万が一返済できなくなったとしても回収しやすいです。

ですので、担保を取らずに融資をする無担保ローンよりも審査は通りやすくなります。

例えば、無担保ローンで審査に通らなかった人でも、不動産担保ローンでは審査に通ることもあり、担保を入れることの影響力は大きいです。

不動産を有効に活用するのであれば、担保にしてお金を借りることも方法の1つだといえます。

ただし、審査に通りやすくなるのは、これから解説する「担保物件の評価額」の範囲内で借入する場合となりますので、注意が必要です。

担保物件の評価額が重要

不動産担保ローンを借りるために重要となるのは、担保となる物件の評価額です。

担保物件の評価額は、

  • 土地の場合:路線価、固定資産税評価額などの公的な基準価格
  • 建物の場合:再調達価格

によって求められます。

土地の評価額で主に使用されるのは路線価であり、国税庁のホームページでも確認できる「相続税路線価」を使用して計算されます。

建物の再調達価格とは、同じ建物をもう一度建てる時にかかる費用のことをいい、ここから経過年数などを考慮した価格が建物の評価額となります。

しかし、実際の融資では、「土地や建物の評価額=融資可能額」とはならず、銀行や消費者金融などで異なる「掛目」を評価額に掛けて融資可能額を算出します。

この掛目は70%~100%が一般的であり、例えば土地の評価額が1,000万円の場合、融資可能額は700万円~1,000万円となります。

基本的な信用も大事

不動産担保ローンを借りる場合にも、基本的な信用も大事となります。

担保によっていくら回収がしやすくなるといっても、融資をする側は不良債権を増やしたくありません。

ですので、銀行などは年収や勤続年数、他の借入やクレジットカードの利用状況などを総合的に判断し、きちんと返済することができる人でなければ不動産担保ローンを融資することはできません。

不動産担保ローンの活用方法

不動産担保ローンの利用を考える人は、個人の中でも事業を営んでいる個人事業主がほとんどだと思います。

しかし、総量規制の観点からいうと、個人事業主の借入は規制の「例外」となりますので、不動産担保ローンでなくても年収の1/3を超える借入が可能です。

総量規制を気にするのは会社員などの個人ですので、個人が不動産を有効に活用する方法について紹介していきます。

その方法とは、規制の対象となる借入を、不動産担保ローンで借り換えすることです。

つまり、総量規制の例外となる「おまとめローン」を不動産担保で行うということです。

これにより、おまとめローンよりも低金利で借り換えすることができ、新たに必要な資金も併せて借りることができます。

不動産担保による借り換えの具体例

ここで、不動産担保を活用した借り換えの具体例を挙げていきます。

まず、年収が600万円の人が貸金業者から借入できるのは、200万円までとなります。

例えば、A消費者金融から100万円、B消費者金融から70万円、C消費者金融から30万円借りているとします。

それぞれのローンを完済まで返済していった場合、利息の合計と総返済額はこのようになります。

消費者金融ABC
金 利15%17%18%
返済期間4年5ヶ月4年8ヶ月3年0ヶ月
支払利息合計371,743円324,345円88,683円
総返済額1,371,743円1,024,345円388,683円
3社合計の支払利息784,771円
3社合計の総返済額2,784,771円

これを不動産担保ローン金利2%、毎月返済額4万円で返済すると、以下のようになります。

返済期間4年6ヶ月
支払利息合計140,173円
総返済額2,140,173円

3社合計の利息負担額と比べると、不動産担保ローンの方がおよそ65万円も少なくなります。

おすすめの不動産担保ローン

不動産ローンは主に銀行などの金融機関、消費者金融、事業者金融で提供しています。

しかし、個人が不動産担保ローンを借りることができるのは、銀行などの金融機関であり、消費者金融や事業者金融は事業性の不動産担保ローンを提供していますので、個人事業主しか借りることができません。

個人が不動産担保ローンを借りる際におすすめなのは、楽天銀行です。

楽天銀行の不動産担保ローンは、2.97%~9.57%という低金利も魅力ですが、基本的に本人所有の不動産しか認められない担保物件を、親族が所有する不動産も担保とすることができます。

融資金額も最高で1億円であり、さまざまなニーズに対応することができます。

個人事業主が不動産担保ローンを借りる際におすすめなのは、事業者金融のビジネクストです。

ビジネクストの不動産担保ローンは、5.0%~15.0%と金利は高いのですが、赤字でも借りることが可能です。

事業資金を専門とする事業者金融だからこそ柔軟な審査をすることができ、契約実績10万件以上のビジネクストは安心して借りることができます。

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不動産融資総量規制とは?

不動産融資の総量規制については冒頭でも少し触れましたが、今回の話をよく理解してもらうためにも、もう少し詳しく説明しておきましょう。

なぜ、不動産融資の総量規制が行われたのか、それは好景気に沸いたバブルが大きく関係しています。

バブル期に起きた不動産の異常な価値高騰を止める手段として実施したのが、不動産融資の総量規制で、不動産向け融資額の伸び率を前年度の貸出残高全体の伸び率を下回るよう金融機関全体に自主規制を促しました。

これが不動産融資の総量規制と呼ばれるものです。

打たれた手はこの不動産融資の総量規制だけではなく、他にも公定歩合を引き上げることで貸付金利の引き上げが行われました。

バブル経済が起こってから崩壊するまで

1987年ごろから日本はバブル時代と呼ばれる「金融バブル」が発生して、景気が著しく向上しました。

当時は好景気の上に、金融緩和政策による低金利が影響して市場には多くの資金が溢れた状態で、その余ったお金が流れ込んだのが株式や不動産への投資でした。

その結果、株価は実際の価値を上回るほど異常に値上がりし、1989年12月の日経平均株価は史上最高値の38,957円を記録します。

2018年5月時点の日経平均株価が22,201円ですから、この株価がいかに高値なのかお分かりいただけるでしょう。

また株価とともに高騰したのがもうひとつの投資先である不動産で、東京23区の土地代を合わせるとアメリカ全土の土地代と同じとなるまで値上がりしたのです。

日本全土の土地代を合わせるとアメリカ全土の3つ分と同じ値段となっていたことからも、東京だけでなく日本全土の土地が高騰したことがうかがえます。

当時は土地神話という言葉が生まれたくらいで、土地の価格は絶対に下がらないと考えられていました。

不動産の地価が跳ね上がっていたため、物件や土地を所有しているオーナーは担保価値が上がったことにより、一時的に莫大な利益を手に入れたのです。

逆に、この土地の高騰により平均的な年収ではマイホームを購入できなくなり、多くの国民から行政に対する不満が大きくなっていきます。

そして、その状況を深刻に捉えた大蔵省(現在の財務省)は、不動産の高騰を増長させている不動産融資を抑えて、土地の高騰を抑制しようとしたのです。

この結果として不動産融資に対して総量規制を行い、景気を安定化させようとしますが、金融機関は不動産に対しての融資を渋る流れとなってしまいました。

このような状況で金融機関からの融資が受けられなくなり、株式や不動産への投資が急激に減少し、それまで高騰していいた株価と不動産価値は一気に転がり落ちるように暴落します。

当時の内閣総理大臣である宮澤喜一は、公的資金を投入して不良債権の処理をすすめるなど、景気の暴落を止めようとしましたが全く止まる気配もなく、長期に渡る不景気につながります。

これが世に言われるバブルの崩壊です。

つまり、当時行われた不動産融資の総量規制がバブル崩壊を招いた一番の大きな原因だったというわけです。

バブル期以上の不動産投資ブーム

それでは何故、当時のように好景気でもなければ株価や不動産が高騰しているわけでもない今、再び不動産融資の総量規制が行われると噂されているのでしょうか?

それは近年の不動産投資ブームが大きく影響しています。

事実、2017年に金融庁が銀行に対して融資引き締めを促す通告をだしたのも、現状の不動産融資の過熱ぶりに危険性を感じている証でしょう。

この通告で6年ぶりに不動産の新規融資額が減少したことが日銀から発表されましたが、その額は11兆7143億円とまだまだ不動産融資が下火になったとは言えません。

それでは近年の不動産融資状況を見ていきながら、なぜ総量規制の必要性が噂されることになったのかを見ていきましょう。

不動産投資がブームとなった理由

近年の不動産投資ブームの引き金となった原因としてまず挙げられるのは、政府によるマイナス金利政策です。

通常は銀行にお金を預けておくと金利による利息が付きますが、マイナス金利になれば逆に利子分の利息を銀行に支払うことになります。

今回のマイナス金利は日銀と銀行の2者間でのことですから我々国民には影響ありませんが、日銀にお金を預けている銀行にとっては一大事です。

以前の日銀は各銀行が日銀口座に必ず預けなければならない金額を超えた分に対して0.1%の金利をつけていましたが、マイナス金利導入に伴いその分に-0.1%の金利が課せられるようになりました。

つまり各銀行が日銀に0.1%の金利に当たる利息を支払うことになったのです。

そこで利息を支払うことになんてできない各銀行は日銀からお金を引き出し、それを融資や投資に回すしかなくなくなりました。

そしてここに近年の貸付金利の低さが大きく影響してきます。

銀行はできるだけ貸付を行いたい、そして借手は低金利で借りやすい、融資拡大にはもってこいとも言える下記のような状況ができ上がったのです。

  • 融資割合の高さ
  • 融資対象者の引き下げ

通常銀行は自己資金を用意させて安全性を高めたいという考えがありますが、それも必要なくオーバーローンやフルローンが可能となり、資産家や地主、上場企業や公務員勤務といった高いハードルが大きく引き下げられることで、今までは融資を受けられなかった層でも簡単に融資が受けられるようになりました。

そこでこれら多くの投資家が注目したのが不動産で、投資用不動産を購入して不動産経営をしたいという人が増え、サラリーマン投資家という造語が誕生したほどになったのです。

今もなおインターネットでは「年収300万円でマンション投資」、「0円で始めて安定した家賃収入を」といったキャッチコピーで不動産購入を煽る文言が数多く見られます。

また購入したいという人が増えれば自ずと物件価格は高くなるので、今が売り時と所有物件を売却する人が増え、新築・中古にかかわらず不動産売買は盛況になりました。

バブル期とは違う懸念で総量規制が必要になるかも

バブル時に不動産融資の総量規制が実行されたのは、当時の日本経済で起こっていた不動産投資の過熱から土地高騰を招いたことが原因ですが、今回、再び不動産融資の総量規制が必要とされている原因は当時とは全く違った懸念からです。

それは当時と現状の不動産投資の目的が下記のように全く違うことが関係しています。

  • バブル期 土地購入への不動産融資が過熱
  • 現状   賃貸物件への不動産融資が過熱

土地購入から賃貸物件への不動産融資に移行している現状を詳しく見て行きましょう。

不動産投資の目的は賃貸収入へシフトか

バブル期に不動産投資が加熱したのは高騰を続ける不動産を転売目的で購入する投資家が大部分を占めました。

安く仕入れて高く売るといった、転売時の売却差額を目的とした不動産投資です。

また、高騰する不動産の価値を利用して、担保物件として融資を受けることにも活用されていました。

しかし、現在は転売目的ではなく、賃貸収入を目的とした不動産投資が大部分を占めています。

2017年1月31日に国土交通省が発表した2016年建築着工統計調査によると、賃貸目的のアパートやマンションとなる貸家の着工数は41万8543戸で、その前年比はなんと10.5%増という驚きの数値を記録しています。

空家が増加し続けていることが問題視されるにもかかわらず、アパートやマンションといった賃貸物件の新築数は依然として衰えを知らない状況からも、賃貸物件を購入する不動産投資家がいかに多いかお分かりいただけるでしょう。

確かに賃貸不動産の投資には下記のようなメリットがあるので、有効な投資先であることに違いはありません。

  • 相続税で大きな節税効果が得られる
  • 将来的なインフレ化に対応できる

しかし、これもちゃんと賃貸収入が得られる安定した不動産経営が継続できている人に限っての話であり、全国には賃貸収入を得られていないアパート所有者が山ほどいます。

2016年に国土交通省が発表したデータによれば総世帯数が約5250万戸に対して、住宅ストック数は約6060万戸と空家の数は約820万戸、全体の13.5%にも上ります。

ここで注目してもらいたいのは空家の内訳は依然持ち家の一軒家が多いものの、2015年を境にしてアパートなどの賃貸物件の空室率が上昇し続けている点です。

賃貸物件の空室率が増加し続けている原因としては下記の3つが挙げられます。

  • 過剰な新築継続による供給過多
  • 人口減少に伴う需要減少
  • 満足な空室対策を行っていないことによる空室放置

今の賃貸物件への不動産投資には、先に話したサラリーマン投資家をはじめとする投資初心者が数多くいます。

これは低金利な上、自己資金無しでフルローンが組める借りやすさが影響してのことですが、空家の増加が深刻化しているのは周知の事実です。

しかし、上記のように現状の賃貸物件への不動産投資は、行えば必ず成功するというものではありません。

投資物件を選別する目も必要ですし、購入後も入居率を上げるための経営戦略が必要になってくるので、投資ブームに乗って手を出す投資初心者の方は入居率がなかなか上がらず、上手く収益を上げられないというケースも出ているのです。

通常は銀行が融資審査で不動産物件の収益性を詳しく調査するのですが、フルローンが組めることからも分かるように近年の審査難易度は決して厳しいものではありません。

このことから、預金や頭金が十分に用意できない投資初心者でも、ある程度簡単にアパートローンが組めるようになったのです。

また、「空いた土地を利用して資産運用はいかかがですか?」と不動産会社にうまく乗せられて相続目的でアパート経営を行う人が増えていることも事実で、そのため安易な考えで投資を始める投資初心者を増加させ、失敗するケースも多く見られるようになりました。

今、不動産融資に以前のような総量規制が必要だという声が上がっているのも、投資に失敗して多くの借金を抱えることになる投資家たちを、救済する必要があると考えられるからです。

実際に見られる投資被害

近年の賃貸物件への投資で多くの被害者を出しているのが、サブリース契約を前提とした不動産投資です。

サブリースとは投資オーナーが建設した物件を一括借り上げして、入居者状況に関係なく毎月一定の家賃収入を保証したものです。

投資オーナーは賃貸物件管理で必要となる下記のような面倒な作業を行うことなく、物件を建設するだけで確実に家賃収入を確保できるという図式になっています。

  • 賃貸契約の手続き
  • 家賃の回収
  • 入居者募集の宣伝

こうしてみると賃貸物件への不動産投資をするならば、サブリースはとてもメリットの高い契約のように見えますし、実際にサブリースを取り扱う不動産業者も「30年の家賃保証で空室リスクが避けられ、ローン返済も心配いりません」といった謳い文句で申込者を募っています。

投資初心者からすると、ローン返済を含めた資金計画や不動産経営の事業計画を立てることは難しく、サブリース契約によって安定した収入が得られるのは非常に助かるでしょう。

しかし、30年変わらない家賃保証なんてできるわけがありません。

周りの家賃相場の変化にも対応しなければなりませんし、物件年数が長くなれば家賃引き下げの必要が出てくるのは賃貸経営では当たり前の話です。

それを無視した賃貸経営なんてできるはずがないのです。

事実、サブリースの契約条項には必ず賃料見直しの条項が含まれており、賃料見直しが行われる周期が記載されています。

そしてその家賃見直しに同意できなければ契約解除となるといった条項も含まれているので、契約途中で契約解除となる可能性も出てきます。

こういった理由から安易に家賃保証を信じて契約しても、入居者の低さから賃料を大きく引き下げられ、ローン返済額にも満たない家賃収入となり、契約を解除するしかなくなったという話は珍しいものではないのです。

そうなると十分な入居者が得られないローン残債だけが残った物件を抱え、最終的には自己破産するしかないという状況に追い込まれる人も大勢発生します。

賃貸物件の経営スキルのない投資初心者が多く、融資難易度が低かったことから返済に充てる資産を充分に持たない投資家が多いことからも、最悪な状況に追い込まれる人がいることが予測されます。

となればこういった被害者を増加させないためにも、不動産融資への総量規制が必要であることは簡単に理解いただけますよね。

日銀が不動産融資に警鐘

日銀が2017年4月に出した日銀レポートには超低金利を背景に地方銀行の不動産融資額が急増していると分析しており、その中でも下記のように一部の地域では不動産融資残高が適正水準を大幅に上回っていると指摘しています。

  • 九州沖縄地方 18%余り
  • 中国地方   11%余り
  • 東北地方   10%余り

またこれら地域では実際に空室率が高いところもあることから、特に賃貸物件への不動産融資に対する審査では市場動向を十分に注意する必要があると警鐘を鳴らしています。

日銀が過剰な不動産融資に警鐘を鳴らしたことで、2007年度は4月頃から徐々に融資審査が厳しくなり、以前のようなフルローンでの不動産融資は控えられるようになりました。

しかし、すべての銀行において融資引き締めが行われているわけではなく、「まだまだ融資します」といった銀行と、「本部方針でこれ以上の融資はできません」といった2極化状態にある状況です。

よって、今後も賃貸物件への融資数が一気に減少することはないことからも、借り手は安易な融資申込を避け、将来を見据えた投資戦略を立てることが求められます。

不動産投資ブームに載せられて、簡単に借りて簡単に経営できるなどと考えず、慎重な投資を行う必要があるでしょう。

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まとめ

不動産担保ローンは総量規制の「除外」に該当しますので、年収の1/3を超える借入も可能です。

ですので、事業資金だけでなく、個人が不動産を有効に活用することができ、おまとめローンとしても利用することができます。

しかし、いくらメリットの多い不動産担保ローンでも、借り過ぎは禁物であり、計画的に借りるようにしましょう。

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