銀行から借入:手形貸付、証書貸付、割引手形、当座貸越

銀行から借入を受ける!融資科目による違い

一口に「銀行からお金を借りる」と言っても融資の方法は、実は様々な方法があります。

特に企業が銀行から融資を受ける際には、業態によってお金が必要なタイミングや売上の入金の方法は様々ですので、融資の方法もそれによって異なります。

企業が借りる融資の方法は、一般的に個人が「借りたお金を毎月返済していく」という方法の他にも様々な方法があります。

手形貸付

手形貸付とは「借りたお金を期日までに一括で返済する」という融資の方法です。

建設業や不動産業のように、売上金の入金が工事完成後や不動産販売後などに一括で入ってくるような場合に、その間の運転資金や仕入れ資金を融資するために使用されることの多い融資の形態です。

個人でも住宅新築の際には、

  1. 土地購入時
  2. ハウスメーカーとの契約時
  3. 棟上げ時
  4. 建物完成時

などの住宅新築の進捗具合に応じて支払いを行っていくような場合には、

1~3までのタイミングで手形貸付にて融資を行い、4の建物完成時に1~4までの合計金額を毎月返済の証書貸付で融資を行い、1~3までの手形貸付を証書貸付にて回収するという融資の方法が採られることがあります。

手形貸付は1年以内の融資

手形貸付は短期貸付金とも言い、期日は1年以内の融資です。

①利息
手形貸付において利息は一般的に借入時に借入元本から差し引かれます。

例えば1,000万円を1年後の期日で、金利1%で借りた際には、1,000万円×1%=10万円の利息が発生します。

このため借入時に入金となってくる金額は1,000万円-10万円=990万円となります。

仮に期日前に手形貸付で融資を受けた金額を全額返済した場合には「戻し利息」と言って、払いすぎた利息が戻ってきます。

上記の手形を期日の1ヶ月前に返済した場合には、1ヶ月分(31日分)の利息を払いすぎていることになるため1,000万円×1%×31日÷365日=8,493円の利息が戻ってくることになります。

②返済方法

原則的に手形の期日までに一括で返済します。

手形の内入れと言って、分割で返済を行うことにも銀行が応じてくれる場合もあります。

例えば1,000万円の手形を毎月100万円ずつ10ヵ月で返済していくという方法も可能です。

証書貸付

証書貸付のことを銀行は長期貸付金とも言います。通常は、1年以上の長期間にわたって融資金を分割で返済していくという方法です。

一般的に貸付と言えば証書貸付を行います。

飲食業などのサービス業などの売上が毎日毎日、毎月毎月コツコツと入ってくる業種や、設立後間もない会社が創業資金を借りる場合、大型の設備を導入するために融資を受ける場合などに証書貸付を行います。

1年以上かけて分割で返済しないと「数ヵ月後に一括でまとめて返済する」という手形貸付のような方法で融資を受けても返済に困ることになってしまいます。

このため、建設業や不動産業のように、一時期に売上がドカっと入ってくる業種以外には手形貸付を行わず、通常は借りたお金を少しずつ時間をかけて返済していく証書貸付にて融資を行います

手形貸付と証書貸付の違い

個人の住宅ローンや自動車ローンのように、一括で借りたお金を分割で毎月返済していくという普段我々が一般的にイメージする貸付と手形貸付は全く異なる貸付です。

では、どのような点が異なるのでしょうか?

手形貸付のメリットとデメリット

手形貸付のメリットとデメリットは以下の通りです。

手形貸付のメリット

手形貸付のメリットは、期日になるまでの毎月返済がないという点です。

例えば不動産のディベロッパーA社が2,000万円の土地を購入して、分譲して3,000万円の売上を見込んでいるような場合です。

A社は3,000万円の売上が入ってくるまで他の収入が無ければ毎月返済に困ることになります。

このため、毎月返済がなく、期日に一括返済を行うことができる手形貸付でないと、証書貸付では毎月の返済に困ってしまうことになります。

A社は3,000万円の売上が入ってきた時点で2,000万円の手形貸付を返済すればよいことになります。

手形貸付のデメリット

手形貸付のデメリットは期日に思い通りの売上が入ってこないと、返済ができないという点です。

先ほどのA社の事例で言えば、手形貸付にて2,000万円で購入した土地が計画通りに売却することができなかった場合には売上金の入金よりも先に手形貸付の期日が到来してしまうことになります。

一括返済ということは毎月の返済がないという点がメリットではありますが、お金が用意できない場合には倒産のリスクを負うことになるというリスクがあります。

証書貸付のメリットとデメリット

証書貸付のメリットとデメリットは以下の通りです。

証書貸付のメリット

証書貸付のメリットとしては、借りたお金を返すまでの時間的猶予があるという点です。

創業資金を借りた際には、創業まもなく事業が軌道に乗らなくても、返済は分割で済むため、事業が軌道に乗るまでの時間的猶予を与えられることになります。

一括返済は期日までに融資金額全額を用意しなければなりませんが、証書貸付は毎月の返済日に分割での返済金額を用意すればよいだけですので、一括返済よりも借りたお金を返せなくなるリスクは低いと言えるでしょう。

証書貸付のデメリット

証書貸付のデメリットとしては、返済期間が長期間にわたるため、手形貸付よりも利息の負担が大きくなるという点です。

また、運転資金を借りた場合には本当に必要もない金額まで融資金から使ってしまうこともあるため、資金管理には事業に必要な金額を一括で返済する手形貸付よりもいっそうの注意が必要になります。

割引手形

割引手形とは企業が持っている取引先の受取手形を資金化することです。通常、受取手形は支払期日が数ヵ月後であることが一般的です。

そのため、手形を受け取った企業は手形の支払期日までに売上金が入金されないことになってしまいます。

手元に現金がある企業であればそれで構わないかもしれませんが、現金が乏しい企業は、手形の期日になるまで売上金が入金とならないため、当面の運転資金に困ってしまうことになります。

割引手形とは、この手形を担保として、手形の額面金額を、利息を払って融資を受けることです。

手形を受け取った時点で、銀行で手形を割り引けば、手形の支払期日前にも売上金を手にすることができるため、企業とすれば運転資金を確保することができるという点が最大のメリットです。

①利息
割引手形の利息は手形貸付と同じく先払いで、融資金から差し引かれます。

例えば額面1,000万円で期日が3ヵ月後(91日)の手形を金利1%で割り引いた場合

利息=1,000万円×1%÷365日×91日=24,932円の利息が手形の額面金額から差し引かれるため、口座へ入金となってくる金額は10,000,000円-24,932円=9,975,068円となります。

②返済
返済は銀行が担保にとった手形を直接手形振出先の銀行へ取り立てを行います。

割引時に利息の清算は終わっているため、正常に手形が決済されるのであれば割引後は何もする必要はありません。

③注意点
借入期間中に手形振出人の企業が倒産した、手形の取り立てができずに手形が不渡りになってしまったような場合には、手形の額面金額の返済義務が生じてしまいます。

もちろん銀行も手形割引の申し込みを受けた際には、申込企業のみならず、手形振出人企業の審査も行いますが、可能性としてリスクもあることは承知しておきましょう。

当座貸越

当座貸越とは事前に「借りることができる枠」を作成しておき、その後は審査なしで枠の範囲内で自由に融資を受けることができるという借入方法です。

本来、銀行から融資を受けようと思ったらその都度審査を受ける必要があります。

しかし、審査には時間がかかるものです。

そのため、事前に「いくらまでなら借りることができる」という枠を作成するための審査を受けておき、いざ急にお金が必要になった時にはその枠の範囲内ですぐにお金借りることができるというものです。

企業経営をしていると時として突然支払いの必要がある場合もありますが、当座貸越枠を作成しておくと、随時審査なしでお金を借りることができるため安心です。

①利息
当座貸越は毎月利息だけを支払っていくという契約です。

200万円の当座貸越枠を金利3%で作成して200万円を借りた場合の1ヶ月(31日)分の利息

200万円×3%÷365日×31日=5,096円

この場合には、毎月銀行口座から5,096円を支払っていくということになります。

②返済方法
返済方法は期日に一括で元本を支払います。当座貸越契約には契約期限というものが設けられており、通常は1年~3年程度です。

契約期限ごとに定められた期限に借りているお金を一括で返済します。

ただし、契約期限は業況が悪化していなければ通常は継続していきますので、個人のカードローンのように借りてから数年間とか10数年間借りっぱなしというケースも十二分にあります。

企業のカードローン?当座貸越の魅力

当座貸越とは、「いくらまで借りることができる」という枠を事前に作成しておき、お金が必要な時に必要なだけ借りるという融資です。

突然にお金が必要になった時には便利な借入方法ですが、必要もないお金を、審査を受けずに借りることができるため、厳格に管理しないとよくわからないままに借金が増えていくという点に注意が必要です。

また、随時に借りることができる分だけ金利も証書貸付や手形貸付よりも高くなる傾向にあります。

消費者金融などは「自営業者専用カードローン」なども出しており、個人向けカードローン並みの、18%程度の高金利の商品もあります。

専用当座貸越と一般当座貸越

当座貸越には専用当座貸越と一般当座貸越がありますが、それぞれの違いはどのようなものなのでしょうか?

一般当座貸越

専用当座貸越とは、当座預金の不足分を自動的に融資するという方法です。

小切手や手形などを当座預金から引き落とす際に、当座預金の残高がなかったら、不渡りとなってしまいます。

そのようなことがないように、一定の金額の範囲内で貸越ができる枠を設け、自動的に不足分の融資を行うという融資方法です。

例えば当座預金に1,000万円の当座貸越枠を設けた状態の当座預金の残高が200万円の場合に1,000万円の小切手の取り立てがあった場合には不足分の800万円を銀行が自動的に融資を行うというような方法です。

決済には便利ですが、一般当座貸越がついているからと言って資金管理に甘くなると、知らない間に借金ができており、利息負担が増えてしまうというデメリットがあります。

専用当座貸越

専用当座貸越でイメージしやすいのがカードローンです。

事前に「いくらまで借りることができる」という枠を作るための審査を受けておき、その後は枠の範囲内で自由にお金を借りることができます。

一般的に銀行が当座貸越という時にはこちらの専用当座貸越です。

最近では個人のカードローンのように、企業向けの当座貸越枠にカードを発行して、ATMから随時に借入を行うことができるようになっている商品も数多く登場しています。

銀行融資の中では最難関

枠の中なら何度でも利用でき、返済日が決まっていない当座貸越は銀行からの融資の中でももっとも難度が高いと言われています。

基本的には利益が出ている企業にしか融資を行っていません。

ただし、最近では金利の高いパッケージ商品も登場しており、金利が10%以上の商品であればビジネスカードローンのような商品も利用することが可能になってきました。

銀行は融資量を伸ばすために、業況のよい会社に当座貸越枠を作り、月末の何日間だけお金を借りてもらうようなことも行っていますが、そのような業況のよい企業の当座貸越枠の金利は1%を切るような場合もあります。

ただし、このような金利が適用されるのは、本来であれば融資の必要性がない優良企業だけです。

新規の取引で金利に低い当座貸越枠を作成するのはほぼ不可能です。

審査に必要な書類

審査に必要な書類は銀行の審査や借入の種類によって異なりますが、凡そ必要な書類は以下の通りです。

共通する必要書類は決算書や確定申告書を3期分、商業登記簿謄本、営業許可証、代表者の運転免許証などです。

手形貸付の場合には受注状況が分かる書類等や、購入する不動産の登記簿謄本等

割引手形の場合には受取手形や、当該取引先との取引実績が分かる書類等

その他資金繰り表や過去の売上と仕入れの実績が分かる書類などの提出を求められる場合もあります。

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まとめ

企業が受けることができる融資の種類は証書貸付、手形貸付、手形割引、当座貸越などがあります。

これらは融資の形態や借入期間等が明確に異なり、どの融資にするかは銀行とのヒアリングの結果によって銀行との相談になることがほとんどです。

まずは自社の業態や資金繰りのなどを自分で把握してから、銀行と最適な融資の方法を模索してみましょう。

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