生活保護受給者でもお金を借りる方法

生活保護の人でも、まとまったお金が必要になるケースも存在します。財布を無くして現金を紛失した。生活に必要な物資であるエアコンや冷蔵庫が壊れてしまったなどの場合が考えられます。

生活保護受給者はまとまったお金が必要になった場合にどのようにすべきでしょうか?また、借金はできるのでしょうか?

執筆者の情報
名前:手塚 龍馬(仮名)
年齢:33歳
性別:男性
職歴:2007年~2014年地方銀行の貸付業務に従事

生活保護とは

生活保護とは日本国憲法第25条に定められている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という生存権に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な生活費の給付を行い、国民の最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的とした制度となっています。

この生活保護法に基づき支給する生活費を生活保護費と言います。

生活保護には審査がある

生活保護は資産や能力や他のどの法律を活用してもなお、最低限の生活の維持が不可能な人に対して適用されます。

したがって、原則的に資産がある人に生活保護費は支給されません。

そのため、生活保護の支給には審査があり、ケースワーカーが収入や資産状況についてチェックを行い、最低限度の生活が困難であると認められた場合のみ生活保護費が支給されます。

具体的には以下のようなケースに該当すると支給されない可能性が高くなります。

  • 10万円以上のお金を持っている
  • 雇用保険や年金なの公的制度の給付が受けられる
  • 不動産や自動車といった売却できる財産がある
  • 家族・親族からの援助が見込める人
  • 借金がある
  • 働ける状態にある

資産や家族親戚からの援助で生活が成り立つ人、他からの公的扶助で生活の維持が困難な人は生活保護の審査に落ちてしまうことが多くなるようです。

借金がある人は生活保護の前に自己破産をすすめられるケースが多いようです。

生活保護者は借金が可能か?

それでは、生活保護受給者がまとまったお金が必要になった場合には借金をすることが可能なのでしょうか?

借金をしてはいけない規則はない

まず、生活保護を規定する法律の中に生活保護受給中に借金をしてはいけないという決まりはありません。

このため、法的には借金をすることが可能です。

しかし、生活保護費の定義から考えると、生活保護者が借金をするということはあまり現実的であるとは言えません。

生活に必要な資金しか支給されない

生活保護費というのは、国民としての最低限の生活を営むために必要なお金を支給するためにあるものです。

当たり前ですが、最低限の生活を営むために必要なお金というのは借金返済のためのお金には該当しません。

先ほど述べたように、生活保護審査の際に借金があることが判明した場合には、ケースワーカーから自己破産をすすめられ、その後に生活保護を受給する手続きとなることが一般的です。

様々な事情から裁判所に自己破産が認められない場合には例外的に借金がある状態でも生活保護の支給を認められるケースもあるようです。

このため、法律の条文はないものの、生活保護費から借金の返済を行うことができない以上は現実的に生活保護受給中に新たに借入を行うということは困難であるというのが大原則で、本文の大前提でもあります。

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生活保護者が借金をするリスク

現実的に生活保護受給者が借金をすることは困難であるとは述べましたが、法的に「生活保護受給者が借金をすることはできない」という決まりがない以上、借金をすることは決して不可能ではありません。

このことに関しては後述します。しかし、生活保護受給者が借金をすることにはそれなりのリスクが伴います。

もしも、どうしても金融機関や貸金業者からの借金を検討しているとすれば、リスクだけは承知しておいてください。

借金中は自己破産を勧められる

先ほど述べたように、生活保護を受給しなければならないほど生活に困窮しているのですから、借金を返済することすら困難になっている人がほとんどです。

このような人は生活保護支給の前に自己破産を勧められます。

生活保護費というのは最低限の生活水準を維持するためのお金で、借金を返済するためのお金ではありません。

借金返済という生活保護費からの支出が認められず、収入からの返済も困難ですので、まず自己破産という対応は当然と言えば当然です。

借金返済という支出をなくしたうえで初めて生活保護の受給を認められるようになることが多くなるようです。では、生活保護費受給中に借金をしたことがばれてしまったらどのような対応になるのでしょうか?

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借金は収入とみなされる

生活保護を支給する側から見れば、借金をして得たお金というものは、原則的に収入とみなされます。10万円を借りたのであれば、その人は10万円の収入があったと見なされてしまいます。

一見、返済義務のある借入金が収入とみなされるのは不自然に感じる方が多いと思いますが、この理由は後程説明します。いずれにせよ、借金をすると借りた金額が収入とみなされる可能性が高いということは理解しておきましょう。

借入金が収入とみなされてしまうと、どのような対処となるのでしょうか?

生活保護費から借入金は控除される

生活保護費というのは、国民としての最低水準の生活を営むために必要なお金を支給するものです。この必要なお金は最低生活費と呼ばれ、最低生活費は自治体、家族構成、家族や本人の年齢などによって異なります。

例えば、東京23区内の30歳の男性1人の最低生活費は13万円強となっています。この男性が5万円の給与所得がある場合には13万円-5万円=8万円が支給されます。収入がなければ丸々13万円支給されます。

では、この人が生活保護費受給中に10万円の借入を行ったことが発覚した場合はどのようになるのでしょうか?先ほどから述べているように、借金は収入とみなされます。

このため、ケースワーカーの判断で、この人の収入は以下のようになる可能性があります。

(給与所得)5万円+(借入金)10万円=(総収入)15万円

総収入15万円>最低生活費13万円となりますので、この人は自信の収入だけで、最低水準の生活を営むことができるという解釈となってしまいます。

2万円の借金をした場合には給与所得5万円と合わせて収入は7万円となります。最低生活費13万円-総収入7万円=6万円が支給されることになります。

いずれにせよ、借金で借りたお金は収入とみなされますので、その分は生活保護支給額から控除される可能性が高くなります。

ただし、借入金を収入とみなすかどうかはあくまでもケースワーカーが個別の事例ごとに判断するため、実際に必ず、支給が停止や減額になるとは限りません。

年に数回ケースワーカーがチェック

では、実際に生活保護受給者が借金をしているということが行政にばれてしまう可能性はあるのでしょうか?結論的に言えば、ばれてしまう可能性はかなり高いといえます。

生活保護受給者には年に数回ケースワーカーが最低限度の生活を送ることができているか、自立に向けての動きはどうかなどをチェックするために自宅を訪問します。

この際に、前回訪問時にはなかったテレビやパソコンなどが新たに設置されていたら、その費用はどこからねん出したのかという話になり、借金がばれてしまうかもしれません。

また、そもそもそのような動産が売却可能であれば、売却して生活に充てるのが生活保護の原則です。さらに、口座から借金の返済をしていた場合には口座の動きをチェックされて借入金があるということも分かってしまいます。

ケースワーカーは生活保護受給者の資産状況や収入状況のチェックを行い、チェックの結果、引き続き生活保護費なしには生活の維持が困難であると判断するからこそ、生活保護の支給を継続するのです。

このため、ケースワーカーに借金の存在を知られてしまう可能性は高いといえます。

生活保護差し止めの可能性も

生活保護受給中に新規の借入を行ったことが発覚した場合にはどのようになるのでしょう?

あくまでも個別のケースバイケースでの判断とはなりますが、生活の維持に不要な借金返済を生活保護費から行っていた場合にはその分は生活保護の支給額から削減される可能性もあります。

また、場合によっては一時的に生活保護費の支給を全額止められてしまう可能性もあります。

いずれにせよ、ケースワーカーに秘密で借金をするということは、生活の維持に必要不可欠な生活保護費の支給が止まってしまうというリスクが非常に高い行為であると理解しておきましょう。

なぜ借入金が収入なのか

ではなぜ、返済義務のある借入金が収入とみなされるのでしょうか?

生活保護費からの返済は不可

先ほどから繰り返し述べていますが、大前提として、生活保護費は国民としての最低限の生活を維持していくために必要なお金を支給するためのものですので、借入金の返済には認められません。

このことは社会通念上認知されていることであるため、当然ながらローンの審査担当者も理解しているという前提で融資の審査が行われているものであると行政は判断します。

返済原資=収入とみなされる

例えば生活保護受給者が10万円の借金をしたと考えてみましょう。

この生活保護受給者が10万円を借りることができたということは、審査担当者が生活保護費以外にも10万円の収入があると判断したからこそ10万円の借金を行うことができたという判断を行政は行います。

行政から見れば、生活保護費は返済金に充てることができないということは審査担当者も当然認知していると考えるため、この解釈は当然と言えば当然です。

そのため、10万円の借入ができた=10万円を返済するお金が生活保護費以外にも存在するという解釈となり、借入金=収入とみなされるのです。

生活保護受給者でも借金は可能か

それでは具体的に生活保護受給者でも銀行や民間貸金業者から借金を行うことはできるのでしょうか?

理論的には可能

結論的に言えば理論的には生活保護受給者でも勤務先に「生活保護」と記入しない限りはお金を借りることは可能です。キャッシングの審査は①スコアリング審査②在籍確認です。

このうち、スコアリング審査とは信用情報、勤務先、年収、勤続年数などの情報を点数化して審査通過基準点以上となった人のみを審査に通過させる審査となっています。

このうち、審査のウェイトの大部分を占めるのが信用情報です。信用情報にさえ問題なければ10万円程度の少額借入であれば審査通過は決して難しくないのがキャッシング審査です。

過去に自己破産や債務整理などの金融事故を全く起こしたことがなく、生活保護となった人であれば、理論的には審査に通過することが可能です。

在籍確認の必要

審査の際には上記②の在籍確認という審査があります。これは申込時に申告した勤務先に本当に勤務しているかどうかを確認する審査です。

収入欄に生活保護費の受給額を記載し、勤務先は適当な会社を申告した人が審査に通過することは不可能です。なぜなら、在籍確認ができないためです。このような人は審査に通過することができません。

しかし、アルバイト収入が5万円、生活保護費が8万円などと言う人は、勤務先が存在していますので、アルバイト先名と電話番号を申告すれば在籍確認まで可能になります。

生活保護受給者でも勤務先が存在する人は理論的にはすべての審査をクリアできることになりますので、理論的には生活保護受給者が金融機関や貸金業者からお金を借りることは可能です。

決しておすすめはしませんが、生活保護受給者でも審査をクリアする可能性があるのは事実です。

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収入証明書を提出したら難しい

キャッシングによっては収入証明書の提出を要求される可能性があります。

この際に、生活保護を受給しているということが発覚してしまえば審査には通過できませんし、給与所得のみで申込を行っても収入が少なすぎて審査に落ちてしまう可能性もあります。

収入証明書の提出が必要になるローンでは生活保護受給者のキャッシングは現実的に不可能です。

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事実発覚後にリスクがある

もしも、キャッシングの後に生活保護を受給していることが債権者にばれてしまった場合にはリスクもあることを承知しておいてください。

債権者も生活保護費は返済に充てることはできないということを理解し、返済に充てることができる収入があると判断したからこそ審査に通しているのです。

このため、お金を借りた後に生活保護受給者であると発覚した場合には免責に該当する可能性が高くなります。

つまり、貸しているお金を1度にすべて返済してくださいという法的な手続きを取られてしまう可能性があるという点だけは注意しておきましょう。

どうしてもお金に困ったら

生活保護受給者でもまとまったお金が必要になるケースも想定されます。しかし、お金を借りることにはリスクも伴うということをここまで説明してきました。

では、本当にお金が必要になった場合にはどのようにすべきでしょうか?

まずはケースワーカーに相談を

まとまったお金がないと生活が維持できないような場合にはケースワーカーに相談することをお勧めします。

ケースワーカーがお金を貸してくれるようなことはありませんが、必要最低水準の生活を維持していくためにどうしてもまとまったお金が必要な場合には借金を認めてくれるケースもあるようです。

闇金には注意

ケースワーカーに相談を行わずに、自分で「生活保護者でもキャッシング可能」などと謳っている業者からお金を借りようとすることはやめておきましょう。

生活保護者にお金を貸すなどと謳っている業者は闇金であると考えましょう。特に、自己破産を経て生活保護となっている人は闇金の恰好のターゲットです。

1度自己破産をするとその後一定期間は再度の自己破産が認められるのは非常に難しくなります。

闇金業者から見ると自己破産経験者は再度自己破産によって借金をチャラにすることが難しいため、延々と返済を続けさせることができる格好のターゲットです。

生活保護受給者はお金を借りにくいですが、だからと言って簡単にお金を貸してくれる怪しい業者と取引を行うことは絶対に避けましょう。

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公的な融資制度も存在

生活保護受給者がまとまったお金がどうしても必要になった場合のため「生活福祉資金制度」という公的な融資制度が用意されています。ケースワーカーに相談するとこちらの制度を紹介されることが多いようです。

この制度は低所得者世帯、高齢世帯、障害者世帯などの民間金融機関からお金を借りることが困難な人に対して融資を行う制度です。

融資の制度には様々な資金がありますが、生活費を借りるのであれば単身世帯であれば月15万円まで借りることが可能です。

保証人ありであれば無利息、保証人がいない場合には1.5%の低利で融資を受けることが可能です。

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まとめ

生活保護受給者も理論上は銀行などの民間金融機関や消費者金融などからキャッシングを受けることが可能です。

しかし、この事実がばれてしまうことは、生活保護費の減額や停止、借りているお金の期限の利益喪失といったリスクも伴いますので、おすすめは決してできません。

どうしてもお金に困ってしまったらケースワーカーにまずは相談しましょう。最低限の生活を維持するために本当にまとまったお金が必要になるのであれば、ケースワーカーもそのための相談には親身にのってくれます。

また、生活保護受給者は闇金に狙われやすい属性です。お金に困ったからと言って、闇金からお金を借りてしまうことにはくれぐれも注意しましょう。