税金の滞納があれば銀行融資は受けられないの?

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納税は国民の義務で、これは個人であっても企業であっても同じです。

しかし、全ての企業が毎年キッチリとすべての税金を納めているわけではないのが実情です。

特に中小企業や個人事業主など、会社規模が小さくなるほどの傾向は強くなり、意図的なものでないものを含めればその数はきりがないでしょう。

経営者の中にはちょっとくらいの税金滞納くらいと軽く考えている方も多いようですが、本来支払うべきものを支払っていないのですから、いざという時に税金滞納の事実が企業の足を大きく引っ張ることにもなりかねません。

その1つが銀行融資です。

企業は事業資金の融資なくして、安定した企業経営を継続していくことはできません。

しかし、この税金滞納が原因となって融資NGとなることも少なくないのです。

執筆者の情報
名前:馬井実
年齢:49歳
性別:男性
職歴:1992年~2008年まで地方銀行で貸付業務に従事
この記事はこんなひとにおすすめ

・税金滞納中だが融資を受けられるのか知りたい人 ・資金繰りが厳しく税金の支払いが困難な企業

法人の税金滞納は融資に不利!

企業においては個人よりも下記のように納税科目が多くなる上、企業差はありますが高額になることも珍しくありません。

・法人税
・消費税
・源泉税
・社会保険料

しかし、これら税金を毎年キチンと納税している企業ばかりでないのが実情です。

それでは、税金を滞納しているとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

税金滞納は融資審査のマイナス要因

納税が遅れると税務署等からの支払い督促が行われますが、それでも何度目かの督促でやっと支払っているところは珍しくないばかりか、その督促さえ無視してそのままというところも少なくないようです。

こういった企業は、得てして資金繰りに困っているところが多いのですが、よく肝に銘じておかなければならないのは、税金滞納は融資審査では融資NGともなりかねない大きなマイナス要因となってくるのです。

銀行は融資実行において企業の財務状況を一番重要視します。

融資審査の合否の80%が決算書の数値要因で決まると言われていることからも、この点はよく理解してもらえるでしょう。

しかし、ここで問題なしと判断されても、必ず融資実行となるわけではありません。

経営者の信用度にも悪影響

合否を決定する残りの20%は返済実績や経営者の資質などの定性的要因であり、経営者の人格を含めた信用度が大きく影響してくるのです。

いくら十分返済できるだけの財務状況であったとしても、経営者にその気がなければ堅実な返済は行われません。

よって、財務状況もさることながら、経営者に信用度と返済能力があるという確証がなければ融資実行は行われないのです。

とすれば経営者が税金を滞納していたらどうでしょう?

いくら財務状況のいい企業でも、本当に返済してもらえるのか不安になってきますよね。

経営者に対しての信用度は下がり、返済能力なしと判断されてしまうのです。

税金滞納がある企業が銀行融資を受けるには

銀行は、基本的に税金滞納がある企業に対して融資実行は行いません。

となれば税金滞納がある企業が銀行融資を受けるにはどうすればいいのでしょうか?

この答えは簡単です。

銀行以外からその資金の都合を付ければいいのです。

信用保証協会のセーフティネット保証を利用

セーフティネット保証制度とは、 1号:連鎖倒産防止 2号:取引先企業のリストラなど事業活動の制限 3号:突発的災害(事故等) 4号:突発的災害(事前災害等) 5号:業況の悪化している業種(全国的) 6号:取引金融機関の破綻 7号:金融機関の経営の相当程度の合理化に伴う金融取引の調整 8号:金融機関の整理回収機構に対する貸付債権の譲渡 のいずれかに該当する中小企業が、定められた範囲内の保証を受けられると言う制度となっています。 なお、保証額については、普通保証が2億円以内、無担保保証が8000万円以内、無担保無保証人保証が1250万円となっていますので、銀行からの融資を検討する前にセーフティネットに利用条件を満たしているか確認してみましょう。

また、税金滞納があれば銀行によるプロパー融資は受けられませんが、信用保証協会の保証付き融資ならば可能性がないわけではありません。

もちろん保証付き融資の場合も税金滞納は融資NGの立派な要因となるのですが、信用保証協会はプロパー融資を受けにくい中小企業への融資促進を目的としています。

したがって、銀行主導のプロパー融資のように杓子定規な判断はしません。

もちろん悪質な税金滞納の場合は話になりませんが、下記の条件ならば十分に融資実行となる可能性はあるでしょう。

  • 滞納が累積していない
  • 比較的滞納額が少額
  • 向こう一年で税金が完済できる

実際、税金は税務署や初回保険事務所に申請すれば、分割返済が認められています。

したがって、まずは経営者による無理のない現実的な返済計画の提出が必要です。

中には毎月の納税額を月商の7~8割に設定して短期間での返済計画を出す人もいますが、このような現実味のない返済計画では何の意味もありません。

完納までに一年以上の月日が必要だとしても、まずは現実的な返済計画を立てるようにしましょう。

その計画ですぐに融資実行とならないかも知れませんが、その計画通り返済をすすめていけば信用保証協会に対する信用度も高まります。

都合のいい次期を見計らって、再度銀行の方から打診してもらえばOKとなるケースは珍しい話ではありません。

税金の滞納は銀行の心象を悪くするため融資実行は難しいのが実情ですが、初めから無理だと諦める必要はないのです。

まずは現状をよく把握し、見識の高い人や担当営業に相談して、融資実行が可能となる道を模索するようにしましょう。

可能ならば役員借入で返済を

経営者の個人資産に余裕があれば役員借入とし、それを税金支払いに利用するのもひとつの手です。

経営者による役員借り入れで処理すれば、毎月の返済に追われることもありません。

しかも、融資審査時に銀行は借り入れ(負債)と言う認識ではなく、純資産と言う見方をする傾向があるので、財務状況へもプラス評価となる可能性があります。

当期純利益にプラスされることになるので赤字が黒字になることもありますし、確実に純利益を増やせます。

他所から借りたお金で税金を支払う

税金滞納があり銀行融資を受けられない場合、その企業が融資実行を受けるためには下記の手順をとるのが一番の近道でしょう。

  1. ノンバンクや親戚・知人といった貸してくれそうな人から、滞納額を返済するためのお金を借ります
  2. その借りたお金で滞納した税金を返済します
  3. 返済完了後、納税証明書を取得し、銀行に返済の事実を明らかにして融資を申し込みます
  4. そして融資が実行されたら、融資額で借金を返済します

銀行からの融資は無理でも、審査基準の低いノンバンクならば融資可能なところも少なくありません。

借入金利は高くなりますが、一番確実な方法です。

また、知人から借金できるのであれば、個人情報に融資事実も残りませんから、よりベターな方法と言えるでしょう。

しかし、この方法には問題が…

しかし、この方法で税金を全額納税したとしても、その後、確実に銀行融資を受けられると言う保証はありません。

銀行融資の審査は企業の財務状況(返済原資の有無)と経営者の信用度のふたつに問題なしと判断されて初めて融資実行となります。

したがって、経営者の信用度問題をクリアしたとしても、財務状況に問題があれば融資実行は見送られます。

また、資金使途の問題も大きく影響してきます。

融資額で納税のために借りた額を返すと言うことは、借金返済のために融資を受けると判断される可能性があります。

全額を借金返済に充てるつもりではないでしょうが、事業の再編や再生による収益アップ目的ではなく、借金返済のための資金使途は大きなマイナス要因となります。

銀行は、基本的にこういった後ろ向きな資金使途のために融資は行わないからです。

したがって、これが原因で融資NGとならないよう、この方法をとる場合には事前に担当営業へよく相談するようにしましょう。

税金滞納中に資金調達をする方法

基本的には税金の滞納があれば、銀行融資はまず実行されることはないでしょう。

しかし、これはあくまでも「基本的に」と言う前置きが付いた話です。

税金の滞納があっても、絶対に融資を受けられないわけではありません。

それでは、税金滞納中でも資金調達ができる方法を具体的に紹介していきます。

ファクタリングの利用

これは融資とは別の資金繰り方法となるのですが、借り入れと言う科目に当たらず、短期間で資金を調達する方法としてファクタリングが挙げられます。

ファクタリングとは専門業者にまだ現金化していない売掛債権を買い取ってもらい、現金を入手する方法です。

ファクタリングのメリットとしては、現金化できなかったと言うリスクを回避できるだけでなく、短期間で現金調達できる上、会計上では借り入れの科目になりません。

したがって、金融機関からの借り入れのように負債額を増やすことなく、資金を調達できます。

しかし、買い取り歩合は業者によって異なります。

できるだけ歩合が高く、信用度の高い業者を選んで取り引きするようにしましょう。

カードローンの利用

事業者向けのカードローンを利用することもおすすめの方法です。 カードローンの審査項目には税金を滞納しているかどうかは含まれていませんから、業況次第では審査に通過できるでしょう。 たたし、カードローンの金利は銀行融資と比べると高いため、できるだけ早めに完済することをおすすめします。 なお、経営者が個人的に契約しているカードローンは一般的には事業資金に使えません。 事業性資金として利用できないカードローンの利用は契約違反となり、強制解約や一括返済の原因となるので注意してください。

ノンバンクのローンを利用

銀行以外の金融機関に融資を申し込むことも手段のひとつです。 信用情報には税金を滞納しているかどうかは記載されていませんから、税金を滞納しているかどうかを審査で問われることはないでしょう。 ノンバンクの場合は、銀行よりも審査スピードが速いと言うメリットもあるので、緊急性のある場合には、銀行よりも使いやすいと考えられます。 ただし、カードローンと同様に、銀行と比べると金利が高いことはデメリットです。 しかし、銀行は業歴が短い企業の融資には積極的ではないので、起業して間もない場合には最初からノンバンクに融資を申し込む方が良いとも言えます。

リスケで支払いに猶予

借入金の返済が苦しい場合には、借入先に相談してリスケを行うことも検討すべきです。 本来的には、返済期日を守ることが重要ですから、なんとかして返済日に間に合わせようとするでしょう。 しかし、借金返済のために借金をするようになってしまえば、いずれは返済不可能となり倒産してしまうでしょう。 お金を貸している金融機関からすれば、貸したお金を回収できなくなることが最悪のケースです。 したがって、リスケに応じることで確実に資金を回収しようと考える可能性は十分にあります。 リスケなら、新たに借り入れする必要もありませんので、まずは金融機関に相談してみてましょう。

税金滞納や追徴課税が銀行にバレる理由

しかし、税金の滞納があるとして、銀行はどうやってその事実を知るのでしょうか?

税金を滞納している企業が公表されているわけではないので、これは実に興味の湧くところです。

それでは、銀行がどうやって税金滞納を知るのかを説明していきましょう。

1.融資申込時

企業が銀行に融資を申し込むときには本人確認書類とは別に、下記のように多くの書類提出が求められます。

  • 税務申告書(直近2期分、別表も含む)
  • 決算書
  • 勘定科目内訳明細
  • 商業登記謄本または、全部履歴事項証明書
  • 納税証明書

注目してもらいたいのがこの中の納税証明書です。

銀行プロパー融資の場合は提出が求められない場合もあるようですが、下記の融資申し込みでは必ず納税証明書の提出が求められます。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 地方自治体の制度融資
  • 銀行保証付き融資
  • 銀行ビジネスローン

納税証明書の中に本来納税しているはずの証明書がなければ、税金を滞納していることがバレてしまいます。

また必ず提出が求められる決算書に含まれる下記書類を見ても、税金の滞納は明らかです。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • キャッシュフロー計算書

つまり、銀行融資を申し込めば、必ず税金滞納は露見すると言うわけなのです。

2.税務署からの銀行への確認

また、企業の税金滞納が長引けば、税務署から取引先銀行へ取り引き状況の確認が行われます。

これは明らかに納税に何かしら問題があることを意味します。

これによって銀行独自の調査が始まり、経営者へのヒアリング調査などが行われることで税金滞納事実がバレてしまいます。

こうなると、いくらメインバンクだとしても以降の追加融資は難しくなり、企業は資金繰りに苦しむ状況へと追い込まれることになるのです。

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税金滞納には思いもよらない大きなリスクが

銀行に税金滞納は隠せませんし、それが原因で追加融資や新規融資が受けられなくなることは理解できるでしょう。

これだけでも企業にとっては大きな痛手になりますが、実は税金滞納が及ぼすリスクはこれだけではありません。

税金滞納を軽く考えている経営者は少なくないでしょうが、実は税金という性質から、滞納すればとんでもないリスクを背負うことにもなるのです。

借金ならば債務整理で返済額を減らす、または全額免除することも可能です。

しかし、税金の場合は全く勝手が違ってきます。

1.時効

税金の時効は下記のとおりとなっています。

  • 税金の時効 5年
  • 悪質な脱税の時効 7年
  • 税金滞納の時効 事実上なし

つまり、税金を滞納し続けても時効がないため、永遠に支払い義務は継続し続けることになります。

2.利子

また、税金滞納には納期限から2月を越えた場合は年14.6%もしくは、「特別基準割合+7.3%」の低い方が延滞金利子としてかかってきます。 なお、2月を越えない場合は、7.3%もしくは、「特別基準割合+1%」の低い方です。

税金には時効がないため、支払うのが遅れれば遅れるほど利子はかさばり、支払額は大きくなってくるのです。

3.自己破産でも税金滞納の免責はない

先ほども説明したように、債務整理を行えば借金は減額などの免責が受けられますが、税金は免責されません。

つまり、自己破産を行っても基本的に税金の支払い義務は消えることはないのです。

しかも先ほど説明した延滞利息も発生するわけですから、高額な税金支払いが必要となる業種の個人事業主は注意が必要です。

不動産業のように多額の固定資産税が発生する業種の場合には、融資返済額と相まって問題が深刻化することも少なくありません。

まずは滞納している税金を返済するのがベスト

企業の場合、金融機関への借り入れ返済を取り沙汰するケースが多いようですが、実はその
借り入れ返済よりも面倒なことになりかねないのが税金滞納なのです。

税金滞納には下記のようなリスクが生じます。

  • 税金滞納に時効はない
  • 税金の延滞金利子は最高で年14.6%と高い
  • 自己破産しても税金は免責にならない
  • 資産が差し押さえになることも
  • 税金滞納があっては融資が受けられない

納税義務からは逃れられず、全てを納税しなければ銀行融資も受けられない。

となれば事業資金の融資なしに順調な経営をすすめていけない企業は、まずは滞納している税金すべてを納税しなければどうにもならないと言うわけなのです。

納税したくても資金がない、資金を都合するにも融資先が見当たらない、という 状況になると、企業経営は立ち行かなくなってしまいます。

そうならないためにも、普段から税金の納税はちゃんと行うべきであり、滞納がある場合は返済できる方法があるうちに完済する方法を模索するべきなのです。

税金滞納に関するQ&A

税金の滞納が非常にリスクの高いことであることは十分に伝わったでしょうか。 最後に税金滞納に関する質問に回答していきますので、悩みの解決に役立ててください。

①住民税を滞納していると創業融資は受けられない?

住民税、つまり、市都民税や市県民税を対応している場合は、創業融資を受けられません。 また、市民税と同様に所得税を滞納している場合も、日本政策金融公庫の審査に影響が出るので注意しましょう。 ただし、国民健康保険や国民年金に関しては現段階では調査されないようです。 なお、創業融資を受けるためには、自己資金の準備と創業計画書の作成が必要になることも覚えておきましょう。

②過去の税金滞納は融資審査に影響がある?

まず法人の場合ですが、融資審査に影響がないとは言い切れませんが、あまり気にするほどのことではないでしょう。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12135702952?__ysp=6YGO5Y6744CA56iO6YeR5rue57SN44CA6J6N6LOH 次に個人の税金滞納が融資に影響するかどうかですが、完済していればこちらも問題はありません。 遅れずに支払う方が良いことには間違いはありませんが、神経質になるほどでもないでしょう。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14113148949?__ysp=6YGO5Y6744CA56iO6YeR5rue57SN44CA6J6N6LOH44CA5YCL5Lq6

③国金(日本政策金融公庫)は税金滞納していても融資してくれる?

税金を滞納している間は融資を受けられません。 国金は国が100%出資しています。 つまり、税金を使って融資しているわけですから、支払うべき税金を払っていない人が融資を受けられないのは道理と考えましょう。

④税金滞納が続くと個人財産も差し押さえられる?

個人事業者であれば、もちろん個人の財産は差し押さえられます。 また、法人の場合でも連帯保証人や抵当権などに入っている個人の資産は差し押さえされるので注意してください。 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14100459284?__ysp=5rOV5Lq656iO5rue57SN44CA5YCL5Lq66LOH55Sj

⑤税金を滞納した延滞税はいくら?

延滞税は滞納している期間と年によって税率が変わります。 なお、平成30年に関しては、納期限から2月を越えない場合には2.6%、2月を越えた場合には8.9%となっています。

まとめ

税金を滞納している場合には、銀行や日本政策金融公庫から融資を受けられません。 黙っていればバレないだろうと考えるかも知れませんが、納税証明書の提出などを求められるため、滞納している事実を隠し通すことは不可能です。 しかし、税金滞納中でもファクタリングやノンバンクからの融資なら検討できるでしょう。 ただし、税金には時効がなく、放置しておくと延滞税が発生して、どんどん金額が膨らんでいきます。 借金の返済よりも、税金の支払いを優先しなければいつかは首が回らない状況になる可能性が高いので、十分に注意してください。