借入金で税金の節約ができる?借入金の有効活用方法を解説

「税金対策のために借金をする」というようなことを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

いったいなぜ借金が税金対策のなるのでしょう?

今回は税金と借金の関係についてご説明します。

借入金を返済しても節税にはならない

よく勘違いされている方がいらっしゃいますが、借金の返済自体には全く節税効果はありません。

借入金は負債になります。借入を行い負債を背負うことによって、現金という資産を手に入れています。

返済時には、資産である現金から負債を現象させていくだけとなります。

バランスシート上で借方と貸方が動くだけですので、借金をしても、借金を返済しても費用にはならないため、税金を節税するために利益を圧縮するという効果は全くありません。

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個人事業主の確定申告

個人事業主は毎年3月15日までに確定申告を行わなければなりません。
この最には、借金がいくらあるかないかで、税金の額が変わるようなことは全くありません。

あくまでも、所得に対して税金が決定します。
個人の所得税の税率は累進課税という所得に比例して税率が上がっていく仕組みで、以下のようになっています。

195万円以下:税率5% 控除額0円
195万円超330万円以下:税率10% 控除額97,500円
330万円超695万円以下:税率20% 控除額427,500円
695万円超900万円以下:税率23% 控除額636,000円
900万円超1,800万円以下:税率33% 控除額1,536,000円
1,800万円超4,000万円以下:税率40% 控除額2,796,000円
4,000万円超:税率45% 控除額4,796,000円
所得が200万円であれば200万円×10%-97,500=102,500円が納税額となります。

この所得の計算に必要なのは、売上と経費を計上した損益計算書だけで、資産や負債を計上した貸借対照表は必ずしも必要ありせん。

青色申告で借入金を計上

青色申告は複式簿記によって毎日の取引を記録し、それに基づいて確定申告を行う制度です。税務署の承認を受ける必要がありますが、税務署のホームページなどで確定申告を行う場合には青色申告書を作成するのは非常に簡単です。

青色申告には特別控除というメリットがあります、資産と負債を計上した貸借対照表(バランスシート)の作成があれば65万円が、損益計算書だけであれば10万円が所得から差し引かれます。

先ほどの事例で貸借対照表ありで青色申告を行った場合には、(200万円-65万円)×10%-97,500円=37,500円となり、6万円以上の節税効果があります。

貸借対照表には借入金も記載されますが、ここに借入金があるかどうか、いくらあるかでは納税額は全く変わりません。

法人税率

ちなみに法人の場合には税率は個人と異なり、所得によって税率が段階的に変動することはありません。

法人税は法人所得税、法人住民税、法人事業税という3つの税率がありますが、これらの実質的な負担税率を法人実効税率と言います。

現在の法人実効税率は34.62%となっています。

所得税だけで見ると所得が800万円以下で15.0%、800万円超の中小法人が23.4%、それ以外の法人は23.4%となっています。

利益が一定以上出てくると税率は個人の所得税よりも法人税のほうが低くなるため、ある程度事業が軌道に乗った個人事業主は法人成りするのです。

ここでも、借入金があるかないかでは所得は変動しませんし、借入金の返済を経費に算入することもできません。

経費には参入できない

ここまで説明したように、税金は所得に対して発生するものです。このため、節税を行うのであれば、所得を少なくするのが最も基本的な考え方です。

借入金はあくまでも借りたときはバランスシートが借方も貸方も同時に増加する、返済したときにはバランスシートが貸借双方とも減少するだけです。資産と負債が動くだけですので、損益には全く影響しません。

借入金の返済を行う人は現金が実際に出ていってしまうため費用のように感じてしまいますが、これはあくまでも借りたお金を返しているだけです。

借入金の返済そのものは人件費や光熱費のように、経費に算入して利益を圧縮できるものではありません。

借入金に関する仕訳

ちなみに借入金に関する仕訳は以下のようになっています。

100万円を借りたとき
借方 貸方
現金100万円(資産の増加) 借入金100万円(負債の増加)

100万円を返済したとき
借方 貸方
借入金100万円(負債の減少) 現金100万円(資産の減少)

このように、お金を借りても返しても、動くのは資産と負債だけです。

では利息をつけて返済した場合はどうなるでしょうか?

借入金100万円を利息2万円とともに返済した。
借方 貸方
借入金100万円(負債の減少)
支払利息2万円(費用) 現金102万円(資産の減少)

支払利息は費用として損金算入できる項目です。ここで初めて2万円分だけを経費として所得を圧縮できることとなりました。

このように、借入金において所得を圧縮する効果があるのは支払利息だけで、利息部分に関しては節税効果があります。

借入金で税金対策ってどういうこと?

では、借入金で税金対策を行うとはどういうことなのでしょうか?

相続税を節約できる

借入金によって税金対策を行うケースとして最も多いのが相続税です。

相続の際には資産と負債の両方を相続します。この際、例えば資産が1億円、借入金が5,000万円あった場合には、相続税の課税対象となるのは1億円-5,000万円=5,000万円となります。

これが借入金による最も大きな税金対策です。

債務控除できる借入金には以下のような借入金があります。
・住宅ローンの借入金
・事業の売掛金
・金融機関からの借入金
・事業の未払金
・医療費の未払金
・アパートローンの借入金

大地主の高齢者が借金をしてアパートを建設する場合がよくあります。現在、社会問題化していますが、これはまさに債務控除により税金対策を行う目的から行われています。

さらに家賃収入から借入金の返済可能という甘い言葉に乗って大変な思いをしている地主さんも少なくないようですが、いずれにせよ、アパートローンの借入金は債務控除の対象となります。

ただし、注意しなければならないのは、建築したアパートも資産としてカウントされてしまうということです。

借金をした金額が○○債務控除できるわけではなく、債務控除できるのはあくまでも借入金-建築によって増加した資産の差額だけですので注意してください。

現在相続税は以下の基礎控除額を超えた分だけは課税対象となります。
基礎控除額=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
子供が2人、配偶者が1人いる場合には3,000万円+600万円×3=4,800万円
この場合には4,800万円を超える部分だけが相続税の課税対象になります。
仮に、資産が5,000万円あった場合には200万円だけ債務控除を行うだけで、すべての相続税は非課税となります。

利息部分を損金算入できる

さきほど仕訳の際に説明したように、借入金の返済金そのものは費用ではないため、所得の圧縮効果も節税効果も全くありません。

経費に算入できるのは支払利息だけです。

高金利の借入を行って多くの利息を払ったほうが当然ながら節税効果は大きいですが、この場合には一般的には納税額のほうが大きくなります。

ポイントとなるのは所得によって税率が変わる境目です。
個人事業主であれば所得900万円と901万円で税率が10%も異なります。

法人も所得800万円以下と800万円超で税率8%以上も変わります。

このため、借入金の支払利息を経費計上することで、税率が低くなる所得の範囲内に抑えることができれば節税効果があります。

住宅ローン減税

住宅ローンを組むと、住宅ローンの残高に応じた所得税の控除を受けることができます。

借入金で減税を行う方法として個人に最も身近な減税がこの住宅ローン減税です。

住宅ローン減税は住宅ローンの年末残高の1%を所得税から税額控除を受けることができるという制度です。

例えば住宅ローンの年末残高が3,000万円であれば1%の30万円を所得税から控除できます。

所得からの控除ではなく、税額からの控除ですので、他の税金対策よりも大きな節税効果があります。

住宅ローン控除を受けるためには最初の年だけは自分で税務署に行って確定申告を受ける必要があります。

2年目以降は銀行から送付されてくる住宅ローンの年末残高証明書を年末調整時に会社に提出することで、源泉徴収された所得税が還付されてくるという流れになります。

まとめ

借金で所得税、相続税などは節税することができます。

ただし、借金には利息がつきものです。税金対策と考えて借入を行ったけど、実際には利息の負担のほうがが大きくなってしまったというような可能性も排除できません。

このため、借金で税金対策を考える場合には、税理士などへ相談をしたうえで、借金をすることが得なのか損なのかをよくよく勘案したうえで判断するようにしましょう。

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