《特定調停》費用のかからない債務整理のススメ

債務整理の方法に特定調停を選択するのは悪い方法ではありません。できるだけ費用をかけずに借金の整理をしたい人向けです。

借金を整理する債務整理を弁護士や司法書士などに依頼するのは簡単です。しかし法律の専門家に依頼するにはそれなりの費用がかかってしまいます。

特定調停とは債務整理のひとつ

特定調停をひと言で表せば「簡易裁判所を通した任意整理」となります。

任意整理と聞くと弁護士や司法書士事務所など法律の専門家が行う方法では?と思うかもしれませんね。まさしくその通りで任意整理を裁判所で行うことはできません。

それなのにどうして特定調停が裁判所を通した任意整理と言えるのかというと、最終的に債務者にもたらす効果が同じだからです。

現在抱えている借金の軽減や、将来支払うべき利息のカットという点で任意整理と特定調停はよく似ています。

しかし任意整理は債務者の自由意志でいつでも法律の専門家に依頼することが可能ですが、特定調停はこのままでは債務者が借金を返済していくことが難しくなってしまうのではないかと裁判所側が判断した場合に初めて利用することができるのです。

民事調停の特例として特定調停は存在するため、債務者の生活を正常に立て直すことを目的としています。

借金の整理をしなければ生活していくことができない、しかし法律の専門家に依頼するほどお金を用意できないときもありますよね。

その場合特定調停であれば費用ほとんどかけることなく借金の整理をすることが可能です。

また弁護士や司法書士が行う債務整理を私的整理、裁判所が行う債務整理を法的整理と区別することがあります。

特定調停の内容

民事調停の特例として特定調停ができたのは比較的歴史が浅く、利用できるようになったのは2000年2月のことです。

借金の返済に困った債務者の経済的自立支援を促すことを目的に、裁判所が選任した調停委員2名が債務者と債権者の間に入り利害の調整を行います。

どちらかと言うと債務者の生活困窮ぶりを債権者に伝えることで借金の軽減や利息のカットを促すもので、特定調停がうまくいくかどうかは債権者がどのように判断するのかが重要なカギです。

しかしながら法律の専門家に依頼して任意整理するとしても、債務者の給料から生活に必要な経費を引くとこれしか残らず、このままでは自己破産しなければならないことを債権者に理解してもらう点でも、特定調停と変わるところはありません。

特定調停を成立させるためには債務者と債権者と双方の合意です。実際のところは合意と言いながらも、アナタに特別財産がない限り、裁判所側の強い申し出によって債権者は納得しなければならない状況になってしまうことが一般的です。

特定調停の目的が債権者の協力により軽減された借金を確実に返済していくことですから 、十分返済していくだけの返済能力と強い意思が必要となります。

よって将来においても安定継続して支払っていくことができなければ、特定調停を申し立てすることはできません。

なお債務者に法的な知識は必要ありません。裁判所の力を借りて話し合いを進めていくことが可能です。

申し立てする裁判所はどこ?

自己破産の申し立てをするには債務者の住所管轄する簡易裁判所で行うことができますが、特定調停は債権者との話し合いが必要になることから債権者の本店や営業所を管轄する簡易裁判所になります。

借金をしている相手方の住所によっては遠方まで出かけなければならないこともあります。

お金を借りたのが遠方の貸金業者で、アナタの住所に営業所がなければかなり苦労を強いられることになります。

なお相手方が大手消費者金融業者であれば無人契約機が営業所として機能しているため、地方都市に住んでいる人でも地元の裁判所で申し立てすることができます。

複数借金がある場合は一箇所の裁判所で他の債権者を扱うことができますので、債権者ごとに会員裁判所に申し立てることはありません。

費用はいくらかかるのか

特定調停にかかる費用は裁判所への申し立て手数料として印紙代かかります。

その他にも裁判所から債権者へ書類を送るために必要な切手代や、申立人に書類を送る切手代が最低限必要です。

・印紙代500円
・切手代

切手代はそれほど心配する必要はなく、書類のやり取りを2、3回行うだけですから債権者1件につき数百円程度あれば間に合うでしょう。印紙代も債権者1 件につき500円かかりますので、印紙代と切手代を合わせて1,000円もあれば十分です。

債権者数が2件であれば2,000円、3件であれば3,000円程度で間に合います。

任意整理として法律の専門家に依頼してしまうと、債権者数が3件なら20万円から30万円程度かかってしまうことを思えばかなり安いですね。

なお切手代は手続きの進行度合いによって追加で求められることもありますが、1,000円程度用意しておけば問題はありません。

特定調停のメリット

特定調停の申し立てを行えば速やかに裁判所から債権者側へ申立受理通知書の発送を行います。

任意調停における受任通知と効果は一緒ですので、申立人が抱えている借金の返済を一時的にストップすることができます。

仮に支払期限が到来している借金があったとしても、裁判所に特定調停を申し立てることで返済をする必要はありません。

裁判所から債権者側へ申立受理通知書が届くまでに数日間かかりますから、返済に遅れていることを債権者側から督促されてしまうことがあります。

その場合は裁判所に特定調停を申し出たことを伝えれば、督促担当者から電話連絡が入ることはありません。

ここで一度特定調停のメリットをまとめてみます。

・法的知識を必要としない
・費用が格段に安い
・利息制限法によって引き直し計算される
・特定調停中は借金の返済をしなくても良い
・債務者が債権者と交渉する必要はない
・比較的解決までの時間が短い
※裁判所によって期間は異なります。早ければ1か月程度、遅くても6か月程度で話し合いをまとめることができます。

特定調停を進める上で必要なのは債権者が持っている債権額の確定です。債権額を確定するには利息制限法に基づいて再計算を行います。

2010年6月に貸金業法が改正になってからは利息制限法によって貸金業者は金利を適用していますから、 債権額が大幅に引き下がるのはそれ以前の契約でなければなりません。

特定調停で注意したいこと

特定調停は債務者本人が借金を安定継続的に返済することを前提として話し合いを進めていますので、債権者と話し合いの結果出来上がった合意文書(正式には調停調書)通りに返済していかなければなりません。

合意文書は確定判決となんら変わりがなく、法的効力も認められています。

簡単に言えば調停が成立したのに約束通りに支払わなければ強制執行を受けてしまうということです。

具体的には財産の差し押さえや給料の差し押さえがありますので、約束した以上は最後まできちんと支払うことを心がけておかなければなりません。

なお返済期間は軽減された借金を通常で36回払い、長くても60回で返済しなければなりません。2回以上連続して返済を滞納してしまうといつ差し押さえされても文句は言えません。

特定調停のデメリット

特定調停は任意整理と同じように債務整理のひとつの形態ですから信用情報機関に登録されてしまいます。

・信用ブラックとなってしまう
・債権者ごとに手続きが進む
・必ず特定調停が合意できるとは限らない

信用情報機関に最低でも5年間は特定調停の情報が金融事故情報として登録されてしまいます。

なお5年間というのはあくまでも最低であって、実際は返済が終わってから5年間となることに注意です。

例えば36回払いで借金を完済したとすれば、その時点から5年間です。つまり申し立てから8年間は信用ブラックとしてお金に関する契約を結ぶことは限りなく難しくなってしまいます。

また特定調停は自己破産のように一括して処理することができません。

債権者ごとに合意しなければならないため、手間がかかってしまいます。債権者1件につき最低でも2回裁判所に出頭しなければなりません。

債権者が3件なら最低でも6回は裁判所に足を運ぶことになります。

裁判所に行くたびに仕事を休まなければならないと言う人にとっては会社に迷惑をかけてしまうことにもなってしまうでしょう。特定調停の費用が安い代わりに債務者本人が努力をしなければならないということですね。

なお必ずしも特定調停が合意できるとは限らないのも大きなデメリットです。これについては次項でご説明します。

民事調停法17条決定とは

調停委員がいくら頑張っても債権者側がどうしても納得いかない、など話し合いがうまく進めることができず、調停期日までに和解が成立しなければ特定調停は不成立に終わってしまいます。

しかし合意には至らなくてもある程度話し合いが出来ているのであれば、裁判所の職権を利用して民事調停法17条に基づき強引に特定調停を合意したことにすることができます。これを17条決定と言います。

特定調停を決定した告知を受けた債権者側から2週間以内に異議申し立てがなされなければそのまま調停調書が作成されます。

しかし異議申し立てをされてしまうと今までの話し合いはすべて無効となってしまいます。

過払い金請求は別途行う

任意整理は過払い金請求も同時並行して行うことができます。しかし特定調停はあくまでも借金を軽減することを目的としているため、過払い金請求をすることはできません。

債権額を確定するには利息制限法に基づいて引き直し計算しますので、もし過払い金があったとするとそもそも特定調停をする必要はありません。債務者の借金額はゼロなのですから調停しようにも方法がありませんね。

調停委員から債権額を引き直し計算してみたら借金はありませんでした、と言われたならそれは間違いなく過払い金があったことを示しています。

過払い金返還請求訴訟として裁判所で手続きを行うこともできますが、訴訟には法的知識が必要です。

また債権者から取引履歴を取り寄せることや、利息制限法により再計算するなど面倒な手続きとなります。その場合は弁護士や司法書士などに依頼した方がいいかもしれません。

特定調停に必要な書類

簡易裁判所に特定調停を申し立てることで申立書をもらうことができます。申立書自体はとくに難しくはありません。

・特定調停したい債権者名
・家計の収支決算表
・特定調停をしない債権者名

特定調停は任意整理と同じように相手を選んで行うことが出来ます。消費者金融のカードローンの特定調停はするけれど、自動車ローンは特定調停から外すということも可能です。

その他に必要な書類として次のものがあります。

・特定調停する債権者の取引履歴
・給与明細書や源泉徴収票
・住民票
・預金残高証明書または預金通帳
・生命保険証書や車の任意保険証書
・電気ガス水道などの公共料金の明細書

必要な書類は裁判所によって多少違いがあります。

申し立てた時点で何を用意しなければならないのか指示がありますので、申し立てするまでに用意しておきましょう。

最も重要なのは家計の収支決算表ですね。毎月の収入と生活費など借金返済を除いた全ての支出額を書出さなければなりません。

その結果いくら残ったのか、によってどの程度返済能力があるのか裁判所側が判断します。

そのための証拠書類として公共料金の明細書や領収書、保険に加入しているのであれば保険証書が必要となります。

また収入を証明する書類として給与明細書や源泉徴収票も提出することになります。

債権者と顔を合わせるのは一回だけ

特定調停をする上に置いて債権者と顔を合わせるのは最終的に合意出来た時になります。

調停委員立会いのもと、合意内容についての再確認になります。

債権者と顔を合わせるのは嫌な部分もありますが、これだけは避けて通ることはできません。調停委員がしっかり司会進行役を行いますのでそれほど気にする必要はありません。

なお債権者が遠方の場合は出席することなく、その場で調停員が債権者側に連絡し電話で確認作業します。

手続きが終わった後

債権者との話し合いも順調に進み全て手続きが終われば、調停終了として裁判所が分から決定書が送られてきます。

いつから支払うのか、いくら支払うのかなど書いてありますので必ず確認するようにしましょう。

ここで金額が違っていたとしても2週間以内に異議申し立てしなければそのまま決定してしまいます。

返済開始となるのは決定日から1カ月後の期日となることが多いです。

万が一にでも忘れないように返済しなければなりませんよ。通常2回連続して返済を滞納してしまうと差し押さえが待っています。

特定調停後でも自己破産することができる

特定調停を合意したにも関わらずどうしても返済することができない、というときはアナタの財産状況によっては自己破産することも可能です。

とりあえず毎月の借金返済から逃れたい手段として特定調停を挟むことができます。

特定調停したからといって必ず最後まで返済しなければならないということは実はありません。

何かの事情で返済することが不可能になった場合は自己破産を行いましょう。自己破産もアナタに財産的なものが何もなければ個人で行うことも十分に可能です。

必要な手数料も1万数千円あれば十分でしょう。

特定調停によってすでに金融事故として信用情報機関に登録されているわけですから、自己破産したからといって気にする必要もありませんね。

当然ながら特定調停を申し出ても調停委員がアナタの家計収支状況を調査し、将来にわたって返済していくことが難しいと判断すれば自己破産を勧められることになります。

どちらにしても特定調停をするということは、それだけアナタに財産がないことを示していますので、調停委員が自己破産を勧めてくるのであれば意見にしたがうことも人生をやり直す上では必要なことです。

関連記事をチェック!

借金を返せない、そんなときはどうすればいいの?

どうしても借金を返せない。 あてにしていたお金が入らなかった、給料が少なかった。そのために返済することができない、となったときどうすればいいのでしょうか。 カードローンやクレジットカードな...

coffee-time-1984046_640
サブコンテンツ

皆に選ばれているカードローン

おすすめ記事

  1. IMG_2796

    どうも馬太郎です。どうしても借りたい!となった際、複数社へ申し込みを同時に行う、という考えが頭をよぎります。 しかしこの方法は、ネット上でいう「複数同時申し込み」という手法で、信用情報上良くないというのが定説です。 複数・・・

  2. 2

    最近は回りで耳にする「個人間融資」を御存じでしょうか。 私もこの歳になるまでに昔のサラ金、消費者金融、果てはヤミ金まで経験が有りましたが、この「個人間融資」だけはさしもの経験がなく、丁度資金に困っていましたので個人間融資・・・

  3. img_2411

    どうも馬太郎です。私は以前プロミスを契約、借入しており、プロミスのローンカードを所有しております。 またジャパンネット銀行の口座も、一定金額以上の入出金の場合、手数料が無料になるということで2か月ほど前に契約しておりまし・・・

  4. matome

    「また審査に通らなかった」 「別のカードローンだったら借り入れできるかな?」 と考えているあなた。確かに保証会社の違うカードローン会社へ申し込む、というのも一つの手だと思います。 一方、なぜ借り入れ審査に落ちてしまったの・・・

  5. 1

    むじんくんで借り入れを行う前に、事前にネット申込を行っております。(これが借り入れの最短方法) 仕事が終わった夕食を食べた後、アコムの無人契約機「むじんくん」へいくことにしました。19時すぎです。 今回は、千葉駅前支店で・・・

  6. sinsa

    私は近年アコムに数年ほど務めておりました。 ウェブで検索してみると、むじんくんでのカードローンの申し込みなどの記事が多く見受けられますが、 審査担当者側から執筆されている【むじんくんの裏側】に関して記述されているものは皆・・・

このページの先頭へ