自己破産とは

自己破産とは、借金がある人が裁判所に申し立てをすることで、その人の借金をゼロにするという制度です。

我が国は資本主義を採用しています。そして、資本主義社会においては全ての人は経済的リスクを背負いながら生活をしています。その結果、経済的に成功する人が発生する反面、経済的に失敗する人も発生します。

経済的に失敗した人に対し、経済的に立ちなおすチャンスを与えなければ、社会が不安定になり、治安が乱れ、社会全体が損失を受けることになります。

たとえば、親の借金は子が背負い、払いきれなければ身売りをしてでも払わなければならない社会を想像してください。一生のうちに返すことができる借金の額には限界があります。

その限界を超えた借金を背負ってしまった人は、自暴自棄になり、犯罪に手を染めてしまうかもしれませんし、弱い立場の人をだまして金もうけをしようとたくらむかもしれません。

このように、経済的に失敗する人が発生することは資本主義のもとでは避けることができないことですから、社会全体にとってもっとも負担のない形で処理しなければなりません。その方法が自己破産となります。

自己破産のメリット

自己破産のメリットは、借金がゼロになることです。どれほど多額の借金があったとしても、税金などの一部の例外を除き、原則として全ての借金がゼロになります。

借金がゼロになることで、死ぬまで借金のために働かずに済みますし、娘を売り払う必要もなくなります。新たな気持ちで建設的に人生をやり直すことができるのです。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットは、実際には存在しません。

たしかに、自己破産をすると信用情報機関の信用情報(いわゆる「ブラックリスト」)に載ってしまうことから、ブラックリストに掲載されている一定期間、借金をすることが事実上できなくなります

(ここで「事実上」と書いたのは、金融業者はお金を貸す前に借主候補者の信用情報をチェックすることから、自己破産をした人にお金を貸そうと思う業者はほぼ存在しないという意味です)。

とはいえ、自己破産をする人は、既に多額の借金があり、これ以上の支払ができないことから自己破産をするわけですから、もし自己破産をしていなかったとしても、払いきれない借金を抱えている人にお金を貸す業者はいません。

したがって、新たな借金が事実上できないという状態は、自己破産をしてもしなくても変わりませんから、自己破産をしたことによるデメリットとは言えません。

また、自己破産は資本主義社会を健全に維持するための安全弁ですので、戸籍や住民票に記載されたり、破産者名簿に載ってしまったりすると、なんとか自己破産を避けようとして無駄にあがき、より多くの人に迷惑をかけたり、違法な方法で返済資金を稼ごうとする人が出てきたりする可能性があります。

そのため、政策的に、自己破産には特筆すべきデメリットが存在しないように制度設計されています。もちろん破産をするわけですから、原則として全ての財産を失うことにはなります。

もっとも、文字どおり一文無しになってしまうと生きていくことができないため、99万円までの財産であれば手元に残したまま破産することができます。

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免責とは

免責とは、自己破産の手続きの一つです。 自己破産の手続きには、破産開始決定と免責決定の2種類があります。破産開始決定とは破産手続きを法的に開始する旨の裁判所の決定であり、財産よりも借金の方が多ければ発令されます。

これに対し、破産者に破産法が定める問題点がなければ、免責決定によって借金がゼロになり、法的には破産者ではなくなります。

免責までの期間

免責決定は、破産開始決定の発令後、一定の調査を経て、破産法が定める特定の問題点が存在しないことが判明した時点で発令されます。

通常の事件では、破産開始決定から数か月程度で発令されます。

自己破産の申立て~免責までの流れ

破産手続きは、まず申立書と必要書類(以下「一件書類」といいます)を裁判所に提出することから始まります。

一件書類は、まずは裁判所書記官がチェックし、つぎに担当裁判官がチェックします。その上で不備がないと判断されれば破産開始決定が発令されます。

破産開始決定発令後、免責に関する調査が行われます。破産法が定める問題点のうち、ある程度までであれば申立人代理人(弁護士)が裁判所に弁明書(破産者の言い分や代理人としての見解を示したもの。弁明書と言うと感じが悪いため、誰も弁明書とは呼びせんが、実質的には弁明書そのものです)や疎明資料(弁明書の記載事項を証明する資料)を提出するだけで済みます。

その際、裁判官から、数か月間の家計簿をつけて提出することを求められたり、自筆の反省文を提出することを求められたりすることもあります。

これに対し、申立人本人や代理人弁護士の努力ではどうにもならないほど問題点が大きいときは、裁判所が少額管財人を任命し、少額管財人に調査を命じることもあります。

ここでなぜ「少額」管財人と呼ばれるのかというと、通常の管財人報酬は100万円前後ですが、個人の破産者にはそれだけの費用を支払える人はいないため、管財人に頼んで管財人報酬を20万円程度の「少額」にまけてもらったという意味です。
このような調査を経て、最終的に、担当裁判官が「免責してもよい」との判断に至った時点で免責決定が発令されます。

自己破産しても免責にならないケース

破産法252条は、免責にならないケース(これを「免責不許可事由」といいます)を列記しています。

具体的には、破産をする際に財産を隠したり、破産申立てをする前にクレジットカードでショッピングをしてそれを換金したり、特定の人に対する借金だけを優先的に支払ったり、借金の原因がギャンブルや浪費であったり、信用状態を偽って借金をしたり、破産手続きで不誠実なことをしたりしたケースです。

もっとも、大半の破産事件には多かれ少なかれ免責不許可事由が存在します。パチンコをするためにキャッシングをすれば、それだけで破産法の定める免責不許可事由にあたってしまいます。

そのため、ほとんどの事件で担当裁判官は、免責不許可事由があったとしても弁明書と疎明資料の提出で済ませますし、かなりの問題性があったとしても少額管財人を選任して少額管財人に免責相当意見を出させ、少額管財人の免責相当意見を根拠として免責決定を発令します。

したがって、実際の実務では、かなり悪質なことをしていない限り、免責は許可され、免責不許可決定が発令されることはありません。

自己破産の弁護士費用

弁護士費用は個々の弁護士が定めますが、全国的な相場は30万円と消費税です。

分割払いは可能か

大抵の弁護士は分割払いを認めますが、実際に申立書を作成したり、作成した申立書を裁判所に提出したりするのは、弁護士費用と実費の積立てが終わってからであるのが通常です。

法テラスを利用した場合の費用

法テラスを利用すると、弁護士費用及び実費の合計額はおよそ15万円程度となります。また、毎月5000円の分割払いも認めてくれます。

自己破産手続きに必要な書類

各地の裁判所によって異なります。最寄りの地方裁判所に行けば、申立書の書き方や必要書類の種類が記載された説明文書を無料でもらえますので、自分で申立てを検討している人はまずは最寄りの裁判所に行ってください。

なお、自己破産は大量の事件を迅速に処理しなければならない裁判所の都合で、申立書や必要書類の様式は厳密に固定されています。

また、ほとんどの人には何らかの免責不許可事由が存在しますので、代理人弁護士を頼んで申立てをすれば弁明書や疎明資料の提出だけで済んだものが、自分で申立てをしたために少額管財人が選任されてしまい、かえって高くつくこともあります。

どうしても弁護士に依頼するお金がなければ、法テラスに頼めば非常に安い費用で弁護士を紹介してくれます。

また、万が一少額管財人が選任されたとしても、法テラスが管財人報酬を立て替えてくれます(少額管財事件になったときは、約20万円の管財人報酬を裁判所に一括して納めないと破産申立てが却下されます)。

しかも、法テラスに対する返済は毎月5000円からで済みます。したがって、お金をケチって自分で申立てをするのは避けるべきです。

自己破産した場合の家族への影響

家族名義の財産への影響は原則としてありません。

もっとも、法律上では、財産の所有者は名義人ではなく出捐者(「しゅつえんしゃ」と読みます。実際にお金を出した人のことです)となりますので、破産者が家族名義で財産を保有していたときは、その財産は当然に失われることになります。

自己破産Q&A

ここからはいくつかの質問に具体的にお答えしていきます。

●破産者本人は裁判所に行く必要がありますか?

あります。通常は同時期に申し立てをした他の破産者と一緒に会議室に集められて、担当裁判官による一般的な説明を聞くだけです(これは「集団面接」と呼ばれています)。

特に問題がある人だけ個別に呼ばれ、担当裁判官から家計簿や反省文の作成を命じられることもあります。

大抵は1回ですが、特に問題性が大きく少額管財人が任命された事件などでは、毎月1回のペースで1年ほど裁判所に通わなければならないケースもあります。

自己破産してもクレジットカードは作成できますか?

自己破産すると、一定期間はブラックリストに掲載されますので、その期間中にクレジットカードを申し込んだとしても発行を拒否されるでしょう。

免責決定後、5年から7年程度はクレジットカードの新規発行は諦めてください。

ただし、免責決定から5年から7年が過ぎ、ブラックリストから情報が消えたとしても、新規発行は難しいかもしれません。

なぜなら、新規発行の申込みを受けたクレジット会社が信用情報を見ると、5年から7年程度の全くの空白期間があることに簡単に気付き、自己破産をしたのではないかとの疑いを抱くからです。

したがって、キャッシング残高もショッピング残高もゼロであるクレジットカードがあれば大事に温存し(代理人弁護士にはあらかじめ相談してください。破産申立後にばれると面倒なことになります)、免責決定後に利用し、ある程度の利用実績を作っておくべきです。

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自己破産しても車のローンは通りますか?

ブラックリストに掲載される5年から7年間は諦めてください。その後は各信販会社の経営判断によりますが、自己破産したときの債権者になっていた信販会社は今後二度と取引をしてくれないでしょう。

自己破産をすると勤務先にばれますか?

ばれません。ただし、自己破産をした事実は官報(国が発行する新聞)には掲載されます。

そのため、保険の外交員や警備員など、破産者がつくことができない職種の場合は、勤務先が官報をチェックしているケースがありますので、ばれる可能性があります。

破産者がつくことができない職種であるのに、破産したことを勤務先に隠すと、場合によっては懲戒解雇される可能性もありますので、そのような職種についている人は、自己破産ではなく個人再生等の手続きを選択すべきです。

自己破産をすると保証人はどうなりますか?

保証人自身が自己破産等をしない限り、借金の全額について容赦なく請求されます。保証人とはまさにこういう場合に備えたものですので、仕方がないことです。

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