債務整理とは借金を合法的に減らす手段

債務整理とは、消費者金融業者(いわゆる「サラ金」)や信販会社(クレジットカードのショッピングやキャッシングなど)に対する借金を整理することです。

この借金の整理には、法的整理と私的整理の2種類があります。法的整理とは裁判所を利用するものであり、私的整理とは裁判所を利用しないものです。

法的整理の代表的なものは自己破産や個人再生であり、私的整理の代表的なものは任意整理となります。債務整理には、法的整理、私的整理を問わず、メリットとデメリットがあります。

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債務整理のメリット

債務整理の最大のメリットは、借金の金額が減るということです。 借金をすると、借りたお金(元金)に利息を上乗せして返済しなければなりません。

この利息金は一定の利率に基づいて計算されますが、その利率は基本的にはお金を貸す人と借りる人との間の合意(利息契約)で決まります。

ただし、この利息契約の利率が利息制限法という法律で定められた利率よりも高いと、利息制限法で定められた上限金利(これを「法定金利」といいます)まで強制的に下げられます(上限金利を超えた利息契約は、超えた限度で無効となります)。

ところが、利息制限法に違反しても、刑事罰が科せられるわけでも、貸金業の免許に影響するわけでもなかったことから、ほとんどすべての消費者金融業者や信販会社は、利息制限法に違反すると知りつつ、法定金利を超える高い利率による貸付けを行ってきました。

2010年になり、刑事罰を科す出資法と免許に影響する貸金業法が改正されたことで、法定金利を超える利率で貸付けをする貸金業者はなくなりましたが、それまでの貸付けはそのほぼ全てが利息制限法に違反していましたので、法定金利に基づいて計算し直すと、まず利息が減ることになります。

そして、払い過ぎた利息金(利息契約に従って支払ってしまった利息金と法定利息金との差額)は法律上当然に元金に充当されますので、払い過ぎた利息金が多額であればあるほど元金が減っていくことになります。

このように債務整理をするときは、まずは、お金を貸す人と借りる人との間の利息契約に基づいて計算された借金(元金と利息金の合計額)について、法定金利に基づいて計算し直し(これを「引き直し計算」といいます)、法律上本当に支払う義務のある元金と利息金の額を計算することになりますので、借金(元金と利息金の合計額)の金額が減ることになります。

ただし、前述したとおり、2010年以降の新規借入れ分からは、法定金利を超える貸付けをすると重大なぺナルティを受けることから、約定利率は、通常、法定金利を下回ることになりますので、再計算をしても借金は減りません。
そして、このようにして計算した法律上支払義務のある元金と利息金について、さらに減額した上で支払いをするのが任意整理と個人再生、全て踏み倒すのが自己破産になります。

債務整理のデメリット

債務整理の最大のデメリットは、今後はもう借金をすることができなくなるということです。

法律上当然の権利とはいえ、お金を借りた時に約束した利息の支払いを拒否することになりますので、消費者金融業者や信販会社(これらを「貸金業者」といいます)との今後の関係は確実に悪化します。

債務整理の対象にした貸金業者からは、以後、お金を借りることはできないと思った方がよいでしょう。 また、債務整理をすると、貸金業者がお金を貸すときに確認するデータベース(いわゆる「ブラックリスト」)にその事実が掲載されます。

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このデータベースを運用する団体は3種類(JICC,CIC,KSC)あり、それぞれによって若干の差異はありますが、掲載期間はおおむね5年から7年です。

つまり、債務整理をして少なくとも5年間は、債務整理の対象にしていない貸金業者からも借金の申込みやクレジットカードの作成などを断られる可能性があります。

このように、債務整理をすると以後の借金ができなくなるデメリットはありますが、借金と縁を切って自分の収入の範囲内で生活できるようにすることが債務整理の目的である以上、債務整理が成功すれば借金をする必要はなくなりますので、債務整理のデメリットというほどのことでもないでしょう。

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債務整理の流れ

債務整理の流れは、(1)弁護士に相談する、(2)あとは相談した弁護士の指示に従うということだけです。

弁護士を探す方法

弁護士に相談すると言われても、ほとんどの人には弁護士の知り合いなどいないでしょうし、もし仕事上で付き合いのある弁護士がいたとしても借金の相談はしにくいでしょう。

その場合は、自宅のある地域の弁護士会か法テラスに電話すれば、弁護士会か法テラスが主催する弁護士相談の予約を入れてくれます。

その地域の弁護士会や法テラスによって異なりますが、大抵は1週間に複数の相談日が設定されていますので、弁護士会や法テラスの事務局に相談して、自分に都合のよい日時を予約してください。

弁護士費用の相場

弁護士を探す方法は分かったものの、相談料がいくらになるのかが心配になるかもしれません。

弁護士会の相談でも法テラスの相談でも、債務整理の初回相談は無料であることがほとんどですので安心してください。一応念のため、電話した際に事務局に確認してください。

また、相談料は無料であるとしても、依頼料(依頼料は着手金と報酬の2種類であり、着手金と報酬をまとめて「弁護士費用」といいます)が払えるかどうかが心配になるかもしれません。

債務整理の弁護士費用はその弁護士によって異なりますが、トータルで税別20万円から50万円であり、おおむね税別30万円程度の弁護士費用と数万円の実費というケースが一般的です。

なお、法テラスを利用したいのであれば、最初から法テラスに電話して、法テラスが定める資力要件を満たすかどうかを確認すべきです。

法テラスを利用すると、弁護士費用が半額から3分の1程度(トータルで十数万円)に激減し、しかも、激減した弁護士費用について分割払い(毎月5000円から1万円程度)をすることができます。

ならば法テラスを利用できるのであれば利用した方が得ではないかと思うかもしれませんが、そう単純な話ではありません。

1皿100円の回転寿司店で一般の寿司店と同じ水準の寿司を提供すると赤字になるように、弁護士が法テラスの事件で一般の事件と同じだけの時間を掛けると赤字になるからです。

とはいえ、法テラスを利用したとしても、必要最小限度の法的サービスを受けることはできますし、依頼者が金をケチりたいからという理由で法テラスの利用を希望したのではなく、正規の弁護士費用を払いたいのにどうしても払える金銭的余裕がないという理由で法テラスを利用したのであれば、相当数の弁護士は必要以上に頑張ってくれるでしょう。

弁護士に相談に行く前の準備

弁護士相談の時間は、その地域や主催者によって異なりますが、おおむね20分から30分です。

この30分は相談者が話す時間ではなく、弁護士が相談者から相談内容を聞き取り、弁護士が事件処理の見通しを検討し、相談者に分かりやすく説明するまでの全ての時間です。

弁護士会や法テラスが主催する弁護士相談では、弁護士の相談ブースに20分から30分刻みで相談者が送り込まれてくることが多いため、相談時間を延長することはできません。

相談時間はわずか30分しかなく延長することはできませんので、漫然と相談を受けたのでは、あっという間に時間切れになってしまい、知りたいことが聞けなかったという残念な事態になりかねません。

そこで、事前にプレゼンシートを作ることをお勧めします。枚数はA4(37字26行)で1枚か多くて2枚にしてください。

細かい字でびっしり何枚もの書面を用意しても弁護士が見る時間がありませんので、多くても2枚以内にすべきです。 プレゼンシートには、まずは財産と借金の明細を書き、その後に弁護士に聞きたいことを書いてください。

弁護士に聞きたいことの欄には、最初に質問事項を書き、その後になぜそれを知りたいか(困っていることや心配なこと)を分けて書くと、弁護士から効率的なアドバイスを受けることができます。

プレゼンシートが完成したら、それを2部(自分用と弁護士用)用意し、当日に持参してください。

録音は嫌がってもメモを嫌がる弁護士はいませんので、弁護士のアドバイスを忘れないように、メモ用紙と筆記具は必ず用意すべきです。

また、貸金業者から受け取った全ての書類(契約書、キャッシュカード、ATMから出てきた領収書、連絡文書など)を集めて貸金業者ごとに時系列に従って分類し、できたら相談時に持参してください。

なぜなら、弁護士に依頼する場合には、これらの書類は全て弁護士に渡さなければなりませんし、相談時にそれらの書類があるとより具体的なアドバイスを受けられることがあるからです。

●相談日当日

法律相談は、その弁護士に依頼するかどうかを決める大切な機会です。弁護士に依頼するということは自分の人生を託すことに他なりません。疑問点があれば遠慮なく質問し、頼むに足りる弁護士かどうかを見極めてください。

そして、そのためには、事前にプレゼンシートを準備しておくことが大切です。十分な準備をしておけば、当日は余裕をもって法律相談に臨むことができます。

●依頼をした後の流れ

相談した弁護士に依頼することになれば、あとはあなたの弁護士の指示に従うだけですが、大まかな流れを記載しておきます。

まず、依頼の当日には、委任状、委任契約書を作成します。弁護士が用意した書式に住所、氏名を手書きし、判子を押します。判子は認印(シャチハタなどのスタンプ式は駄目です)で構いません。

その後、弁護士は、すぐに取引のあった全ての貸金業者に対し、弁護士が受任した旨の通知(これを「受任通知」といいます)を送付します。

慣れている弁護士であれば、受任通知はFAXで貸金業者各社に一斉送信しますので、即座に貸金業者各社からの取立てはストップします(弁護士の受任通知には、貸金業者各社の電話、手紙、訪問をシャットアウトする効果があります)。

弁護士が送付する受任通知には、定型文言として、取引履歴(最初から最後までの借入れ及び返済の全てが記録されたもの)の送付を求める記載がありますので、受任通知を送付して10日から2週間程度で、貸金業者から取引履歴が弁護士の事務所に届きます(悪質な貸金業者になると取引履歴を隠す場合がありますので、その場合は再度の通知を送り、全ての取引履歴の開示を求めることになります)。

弁護士は、届いた取引履歴を利息制限法で定められた上限金利に従って再計算し(実際の計算は弁護士の事務職員がやります)、貸金業者が主張する借金の額ではなく、法律的に認められる借金の額を確定します。

また、過払金(「かばらいきん」と読みます。過払金のところで説明します)があれば、過払金を回収します。そして、この時点で、通常であれば弁護士から連絡があり、具体的にどのような手続を使って借金の整理をするのかを決めることになります。

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債務整理の手続の種類

債務整理の手続には、任意整理、自己破産、個人再生の3種類があります。

このほか特定調停(簡易裁判所に間に入ってもらって、貸金業者に対して借金の減額をお願いするもの)という制度もありますが、弁護士に依頼したときに特定調停を利用することは通常ありません。

任意整理とは

任意整理とは、裁判所の力を借りず、依頼した弁護士が貸金業者と交渉し、利息や元金の一部をカットしてもらい、残りの借金を一括ないし分割で支払う和解をまとめることです。

なお、分割払いは36か月払いが一般的であり、60か月を超えることは通常ありません。 前述したとおり、依頼を受けた弁護士は、依頼者が法律的に支払わなければならない借金の総額を計算します。

その上で、依頼者にその借金を支払うことができるか経済的な能力があるかどうかを検討します。依頼者に借金を支払う経済的な能力があれば任意整理を選択しますし、なければ自己破産や個人再生(これらについては後述します)を選択します。

依頼者に法律上の支払義務がある借金(元金+利息金)のうち、利息の減免交渉は比較的容易です。貸金業者によりますが、一般的に、利息の全額免除(元金全額の36か月払いとか60か月払い)までであれば、和解をまとめるのにそれほど苦労はしません。

しかし、元金の一部カットの和解は一部の腕のいい弁護士にしかできません。貸金業者が元金の一部カットに応じることを実体験として知らない弁護士も存在するくらいです。

任意整理では、通常は分割払いの和解をすることになりますが、過払金(後述します)を回収したり、親族が弁済資金を用意してくれたりするなどして、一括弁済の資金が用意できる場合もあります。

この場合は、分割払いよりも有利な条件で貸金業者と交渉することができます。もちろん、一括払いでなければ、元金の一部カットは通常できません。

任意整理のメリット

任意整理のメリットは、自己破産や個人再生のように、裁判所の力を借りることがないため、裁判所に提出する書類を集めたり作成したりする手間が要らなくなること、裁判所に出頭する必要がないことです。

任意整理のデメリット

任意整理のデメリットは、裁判所の力を借りて法的に借金をカットするわけではなく、依頼した弁護士が貸金業者と1対1で交渉することで借金をカットするため、その弁護士の腕(交渉力)に大きく左右されることです。

貸金業者は、提訴すれば利息金を含めて1円残らず請求することができますので、法的な正当性はこちらではなく貸金業者にあります。

つまり、任意整理における弁護士の交渉とは、弁護士が日常的にやっているような法的な根拠に基づくものではなく、「提訴すれば勝てるでしょうが、金と時間を掛けて勝訴判決を得たとしても、こちらには取られるものは何もないから、やるだけ無駄だと思いますよ。

提訴したければ提訴してもいいですが、和解に応じた方がまだ得だと思いますよ」ということを貸金業者に納得させることができるかどうかになりますので、交渉の成果は弁護士の腕に大きく左右されます。

なぜ弁護士の腕に大きく左右されることがデメリットなのかといえば、腕のいい弁護士に頼むことができるかどうかは運次第だからです。そのような弁護士に頼みたいと思っても、依頼者の側ではどうすることもできません。

そのため、通常は、前述したとおり、利息金をカットする交渉は比較的容易にまとまりますが、元金の一部までカットする交渉は難航しますし、1年近くかかっても結局まとまらなかったということもあります。

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個人再生とは

これに対し、個人再生とは、裁判所の力を借りて、元金を含む借金を大幅カットする手続のことです。

個人再生のメリット

個人再生の一番のメリットは、裁判所の力を借りて強制的に借金を減らすことができるため、弁護士の腕にそれほど左右されないことです。

もし依頼した弁護士の能力が多少低くても、個人再生手続を進行させ、最終的に手続を開始する決定をするのは裁判所ですので、依頼者に落ち度がなければ裁判所がある程度フォローしてくれます。

また、任意整理とは異なり、個人再生には法的な強制力がありますので、一般的に任意整理よりも大幅な値引きが可能です。具体的には、借金の5分の1か100万円の多い方を36か月の分割払いをして支払うことになります。

さらに、住宅ローン付きの自宅があるときは、自己破産では自宅を失いますが、個人再生では住宅ローンを支払い続けることができますので、自宅を守ることができます。

ただし、この場合は、住宅ローン以外の通常の支払い(住宅ローンを除く借金の5分の1か100万円の多い方の36か月払い)に上乗せして、これまで支払っていたのと同じ条件による住宅ローンの支払いもしなければなりませんので、毎月の支払いがとても大変になります。

個人再生のデメリット

個人再生では、過半数の債権者が反対すれば個人再生は認められませんが、反対する債権者は通常いませんので、デメリットというほどではありません。

また、自己破産と異なり、ある程度の支払いをしなければなりませんが、法律上の支払義務のある借金を大幅カットしてもらったわけですから、デメリットというほどのことではないでしょうし、もしこれをデメリットだと感じるのであれば自己破産を選択すればいいことです。

私が考える個人再生の一番のデメリットは、途中で支払いが滞ると、結局は自己破産に移行しなければならなくなるということです。

特に住宅ローン付きの自宅を守るためにあえて個人再生を選択したケースに多いのですが、自宅を守るためにはこれまでと変わらない額の住宅ローンを支払い続けなければならないため、無理をして個人再生を選択したものの、1年とか2年後にやっぱり無理だとして自己破産になると、最初から自己破産をしたときと比べて支払った分のお金を損することになります。そのため、どうせ破産になるのであれば、最初から破産をした方が得です。

そのほか、単に借金をゼロにする自己破産とは異なり、個人再生は36か月払いをしていくことになりますので、本当に完済できるかどうかについて、裁判所から厳しくチェックをされます。

そのため、自己破産よりも多くの書類を提出しなければなりませんし、時間もかかります。裁判所に出頭する回数も自己破産よりも多くなります(自己破産は通常1回だけです)。

依頼した弁護士に支払う費用も、自己破産よりも多くなります(自己破産の弁護士費用は税別30万円程度であるのに対し、個人再生の弁護士費用は税別40万円程度であることが多いでしょう)。

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自己破産とは

任意整理と個人再生は法律上の支払義務のある借金を支払っていく手続でしたが、自己破産は法律上の支払義務のある借金をゼロにする手続です。

自己破産のメリット

自己破産の最大のメリットは、全ての借金がゼロになるということです。ただし、全ての借金と言っても税金関係は除きます。

自己破産は、日本国の力で借金をゼロにすることから、国などに支払わなければならない税金関係は、自己破産してもそのまま残るようになっています。

とはいえ、いかに多額の借金があったとしても、それらが全てゼロになるわけですから、債務整理手続を依頼された弁護士としては真っ先に検討すべき選択肢になります。

自己破産のデメリット

戦前はかなり過酷なデメリットがありましたが、現在では自己破産をしたとしてもデメリットというデメリットはありません。

まず、戸籍や住民票には記載されません。市町村には身分証明書というものがあり、本来であればここに自己破産をした旨が記載されるはずですが、そもそも、裁判所は現状では市町村に対して自己破産した事実を通知していないため、市町村が自己破産の事実を知る方法はなく、身分証明書に自己破産をした旨が記載されることはありません。

また、選挙権や運転免許証には影響しませんが、人の生命や財産を預かる資格(弁護士など)や仕事(保険の外交員、警備員など)にはつけなくなります。

そのため、これらの仕事をしている人は、自己破産ではなく個人再生を選択しなければなりません(正確に説明すると、保険の外交員や警備員の仕事ができないのは「破産をして復権していない人」です。

そして、自己破産手続は破産開始決定と免責決定の2つから構成されますが、免責決定が出ると借金がゼロになり、かつ、破産者は復権します。

破産開始決定から免責決定までの時間は数か月程度ですので、破産開始決定時に保険の外交員や警備員の仕事をしていたとしても、そのまま仕事を続け、会社にばれないまま免責決定によって復権できる可能性はそれなりにあります。

とはいえ、もしそのことが会社にばれると懲戒解雇されるリスクがありますので、通常は自己破産ではなく個人再生を選択することになります)。

なお、通常の破産者の類型から外れた異常なケース(極めて多額の浪費をしたり、人をだましてお金を借りたりしたケースなど)では、せっかく破産をしたのに免責決定が下りないという場合があります。

前述したとおり、免責決定が下りないと借金はゼロになりません。免責決定が下りない原因は破産法で類型化されており、「免責不許可事由」と呼ばれていますが、犯罪に近い非常に悪質なケースだけですので、通常は免責が不許可になることを心配する必要はありません。

免責が認められるかどうか怪しいケースでは、最初から自己破産ではなく個人再生を選択することもありますが、非常に悪質なケースでは過半数の債権者が反対票を投じることがあり、個人再生も認められない結果になることもあります。

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特定調停のメリット

簡易裁判所が間に入るため、よほど悪質な貸金業者でない限り、話し合いのテーブルには乗ってくれるのがメリットと言えばメリットでしょうか。

しかし、任意整理であっても弁護士からの連絡を無視する貸金業者はいませんので、弁護士を依頼するケースでは特定調停を選択するメリットはないことから、ほとんどの弁護士は特定調停をした経験はないはずです。

とはいえ、弁護士を頼まず自分で交渉するときには、直接電話したり手紙を送ったりしてもあまり効果はありませんので、この特定調停しか選択肢はないと言ってよいでしょう。

特定調停のデメリット

簡易裁判所が間に入るとは言っても、特定調停の受諾を強制する力まではありませんので、特定調停が成立するまでの間に相手が嫌だと言えばそれで終わってしまいます。

とはいえ、簡易裁判所もかなり頑張ってはくれるようです。利息金を全額カットした上での60か月払いも夢ではないかもしれません。

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過払金(かばらいきん)請求とは

冒頭で説明したとおり、利息制限法が定める法定金利に基づいて計算し直すと、まず支払うべきだった利息の金額が減ります。

そうすると、払い過ぎた利息金(利息契約に従って支払ってしまった利息金と法定利息金との差額)が発生しますが、この払い過ぎた利息金は法律上当然に元金に充当されることから、払い過ぎた利息金が多額であればあるほど元金が減っていきます。

さらに、払い過ぎた利息金が多すぎると、元金がゼロになってもなお充当できない利息金が残ってしまうことがあります。これを「過払金(かばらいきん)」と呼びます。

過払金請求とは、貸金業者に対し、この過払金の返還を求めることを言います。

なお、前述したとおり、2010年からは法定金利を超える利息で貸付けをすると刑事罰が科せられ、貸金業の免許に影響することから、法定金利を超える利率で貸付けをする貸金業者はなくなりました。

そのため、過払金が発生する可能性があるのは2010年以前の借入れ分までであり、2010年以降の新規借入れ分からは原則として過払金は発生しません。

過払金請求のメリット

過払金請求のメリットは、貸金業者からお金が返ってくることです。返ってきたお金は弁護士費用や返済資金にすることができます。また、自己破産や民事再生をしたとしても、99万円までであれば手元に残しておくことができます。

これを使った裏技としては、99万円の過払金を回収したものの借金が500万円残ってしまったときは、手元に99万円を残したまま個人再生を申し立て、100万円の36か月払いの支払計画が認められた時点で、その直後に99万円の過払金に1万円を足して100万円にし、一括で支払って個人再生を直ちに終わりにするというものがあります。

過払金請求のデメリット

過払金請求にはデメリットはありません。

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会社の債務整理は存在する?

これまで説明してきたのは個人の債務整理でしたが、もちろん会社の債務整理も存在します。個人と同様に、任意整理、破産、民事再生の各手続もありますし、更に会社更生という特別の手続もあります。

とはいえ、会社の債務整理の場合は、個人とは異なり、多額のお金が必要です。個人の場合は、お金がなくても法テラスが弁護士費用を無利子で貸してくれますが、会社は法テラスを利用できませんので、弁護士費用は全額事前に用意する必要があります。

そして、会社の債務整理の場合は、個人の債務整理よりも、金額も債権者も段違いに多く、手間と時間がはるかにかかるため、弁護士費用も多額になります。

さらに、会社が破産や民事再生などの裁判所の手続を利用すると、裁判所は必ず管財人を選任します。

裁判所がチェックするのは大変ですので、管財人を選任して代わりにチェックさせるわけですが、この管財人の費用も負担しなければなりません。

つまり、会社が法的な債務整理をしたい場合には、弁護士費用が数百円の単位になり、かつ、弁護士費用と同額の管財人費用を用意しなければならないことになります。

なお、会社の代表者が自己破産をすると、裁判所は、通常、会社の破産も一緒に申し立てるように強く指導しますので、会社の破産資金を用意しないと代表者の破産ができないという事態になりかねません。

なぜなら、会社の代表者が破産してしまうと、取締役の欠格事由となるため、会社の代表者がいなくなり、会社の債権者が非常に困ることになり、ひいては社会不安につながるからです。

債務整理Q&A

債務整理は周りにバレるの?

自分で言わない限り、バレることはありません。ただし、自己破産すると、「官報」という国が定期的に出している新聞には載ります(一般紙には載りません)。普通の人は「官報」を見ることはありませんが、信用金庫等では、官報のチェック係を置き、顧客の中で破産した者がいないかどうかをチェックしているところもあると聞いたことがあります。

また、最近では「官報」の電子データ版もあり、これがグーグル等のキャッシュに残る場合があります。

残ったキャッシュの部分が自己破産者の欄で、かつ、ちょうど自分の名前の箇所だったりすると残念なことになりますが、そのような確率は非常に低いため、あまり事前に気にする必要はないと考えます。

債務整理にかかる費用はいくら?

自己破産で30数万円(弁護士費用が税別30万円+実費が2万円前後)、個人再生で40数万円(弁護士費用が税別40万円+実費が2万円前後)です。任意整理は債権者の数によって異なりますが、おおむね20数万円から30数万円ほどです。これに対し、会社の場合は前述したとおり桁が違います。債権者数や負債総額によって増減しますが、弁護士費用だけで数百万円になることも珍しくありません。

債務整理の期間はどれくらい?

 自己破産を例にすると、取引履歴の入手に1か月程度、申立書の作成や必要な書類の入手に2~3か月程度、申し立ててから免責決定が下りるまでに4~5か月程度といったところでしょうか。個人再生は自己破産の倍以上は掛かるものと思ってください。任意整理は交渉事ですので、相手によりますが、最低でも3~4か月はかかるでしょうし、1年以上かかるときもあります。

また、過払金請求をすると、上記とは別に、過払金を回収するまでの時間(半年から1年ほど)が余分にかかります。

債務整理中や債務整理後の生活はどうなるの?

 債務整理が終われば、これまでと全く同じように生活することができます。ただし、ブラックリストに載ってしまっていますので、7年程度はクレジットカードを作りにくくなることがあるかもしれません。 債務整理中も、基本的にはこれまでと同じように生活することができますが、クレジットカードは利用できませんので、全て現金払いとなります。また、法的整理手続を選択したときは、裁判所に何度か出頭しなければなりません。

借金のおまとめと債務整理の線引きは?

 借金のおまとめとは、新たな貸金業者から返済資金を借りて、これまでの借金を貸金業者の言い値で支払うことです。新たな貸主を探すことを含め、全て自分だけでやります。これに対し、債務整理とは、法定金利に基づく引き直した計算を行って法律上支払義務のある借金を確定した上で、その借金の支払方法について、弁護士の助言を受けて決めていく手続になります。

債務整理後、いつぐらいからクレジットカードやキャッシング利用できるの?

ケースバイケースです。最終的にはその貸金業者の経営判断となりますので、一概には言えません。 少なくとも、債務整理の対象にした貸金業者からは、これから一生、取引することはできないと思ってください。債務整理の対象にしなかった貸金業者との間でも、5年から7年程度、ブラックリストに載ってしまいますので、その間はクレジットカードの作成自体は非常に難しくなるでしょう。

債務整理しても住宅ローンは組める?

金融機関の経営判断次第であり、全くのケースバイケースになりますが、あまり期待はしないことです。もし住宅ローンを組む可能性を残しておきたいのであれば、地元の地方銀行や信用金庫に口座を開き、定額積立てを毎月欠かさずすることです。ずっと続ければ、それがあなたにとっての一番の信用となるでしょう。

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    むじんくんで借り入れを行う前に、事前にネット申込を行っております。(これが借り入れの最短方法) 仕事が終わった夕食を食べた後、アコムの無人契約機「むじんくん」へいくことにしました。19時すぎです。 今回は、千葉駅前支店で・・・

  7. sinsa

    私は近年アコムに数年ほど務めておりました。 ウェブで検索してみると、むじんくんでのカードローンの申し込みなどの記事が多く見受けられますが、 審査担当者側から執筆されている【むじんくんの裏側】に関して記述されているものは皆・・・