老後破産しないための7つのポイント

「老後破産」は、離婚や死亡、病気、リストラ、自然災害など、万が一の事態が起こったときだけの問題ではありません。

現在、30歳代~50歳代で平均以上の収入を得ていて、経済的に不自由のない暮らしをしている人の中にも「このままいったら老後に破産しかねない」という方が相当数いらっしゃいます。

「老後破産」するかもしれないチェックリスト

まず、下の項目を見て、あてはまるものにチェックを入れてみてください。

1つでもチェックが入れば、将来老後破産をする可能性があります。

リタイアしたあとになって対策を打とうにも手遅れです。そうならないための備えは、現役時代の今から行っておかなければなりません。

【「老後破産」するかもしれないチェックリスト】

1、退職金や企業年金がない会社で、定年時に住宅ローンが残る
2、賃貸住宅で暮らしているのに貯蓄がない
3、晩婚で子供ができたのが遅かった
4、背伸びして高い住宅を購入してしまった
5、子供を中学から私立学校に通わせようと思っている
6、今も贅沢をしているとは思わず、リタイア後に生活費の削減ができそうにない
7、脱サラして独立してみたもののなかなか収入が増えない
8、住宅ローン以外にも、ローンがある。

項目ごとに状況は異なるものの、老後破産を回避するためにあらかじめ準備すべき事項には共通する内容があります。

【ポイント1】将来の大きな支出と収入を「見える化」する

リタイア後の生活を具体的にイメージするためには、将来の大きな支出と収入を「見える化」することが効果的です。

現在、老後を不安視している人も、逆に楽観している人も、「よくわからないから不安」、「考えないようにしているから安心」なのではないでしょうか。

「見える化」して将来の家計を具体的にイメージできれば、一生お金に困らない生活をするために“今から何をすればよいのか”、“何ができるのか”を考えることができます。

「見える化」するとは、今後の大きなライフイベントの予定(回数、期間)と立てて、それぞれの予算を見積もることです。

代表的な大きな支出、収入と予算額の入手先などは以下の通りです。

項目

金額のおもな入集先等

支出 子供の教育費 文部科学省「子供の学習費調査」

生命保険文化センター

住宅取得費 ※地域、住居の形態、間取り等による
住宅ローン返済 ※金融機関等のサイトでシミュレーションが可能
住宅のリフォーム ※リフォーム会社のサイトなど
自動車 ※欲しい自動車による
支出 退職金・企業年金 会社の退職金規定や規約
公的年金 「ねんきん定期便」、「ねんきんネット」など
個人年金保険 保険証書

たとえば、勤務先に退職金や企業年金の制度がないにも関わらず、住宅ローンの返済終了が定年後になっている場合、定年後のローン返済をどうするかという問題があります。

その頃の乏しい収入の中から返済ができそうにないなら、今からできるだけ繰上返済をして定年までに完済するようにする必要があります。

退職金があるにしても、退職金の一部を住宅ローンの繰上返済に充てた場合、老後資金としてはいくら残るのでしょうか。

残る退職金が少ないようなら、やっぱり今から繰上返済をして退職金にはなるべく手をつけないようにしたほうがいいでしょう。

子供の教育費も同じです。晩婚などのために子供の大学卒業年齢が定年を過ぎる場合、その後の教育費をどこから捻出するかという問題があります。定年後の収入が少ないならば、それまでに教育費を蓄えておかねばなりません。

【ポイント2】貯蓄目標額を作る

貯蓄目標額を設定することはとても重要です。目標があると暮らしの中でのお金の使い方が変わります。支出をするときに一瞬立ち止まって「これは必要な支出なのか?」と考えるようになり、ムダがなくなります。

貯蓄の目的は、ライフイベントの実現です。教育費や自動車の購入費用、住宅ローンの繰上返済原資作り、また、老後の資金準備などです。それぞれの必要資金を「何年後に○○○万円」と設定します。

貯蓄目標額作りのポイントは、”長期目標を短期目標に落とし込んでいくこと”です。たとえば、「10年後に教育資金として200万円」という長期目標を立てた場合、それを1年単位の目標に具体化すること。この場合だと「1年に20万円ずつの貯蓄を10年間続ける」というふうに。

さらにそれを実行プランに落とし込みます。たとえば「毎月1万円ずつ給与天引で積み立て、ボーナスからは1回で4万円積み立てる」などとします。

ただし、非現実的な高い目標額を設定しても意味がありません。収入から貯蓄できる額には限度があります。生活を圧迫しかねない目標を立てて実行しようとすると、足下の暮らしに潤いや楽しみがなくなります。

その場合は、ライフイベントや予算額を見直して目標を引き下げたほうがいいでしょう。

目標は”頑張れば手が届く”程度が適当です。小刻みな達成感を味わいつつ、ライフイベントの実現が徐々に近づいてくる楽しみを感じながら進めていくことができればいいですね。

なお、老後の資金は「投資」で準備してもいいでしょう。

値動きがあり元本保証ではありませんが、長期的に運用をすることができれば、低コストの投資信託を活用して、毎月コツコツ積み立てながら運用していってはどうでしょうか。元本保証のある預金は、減らないかわりに増えません。

効率的に財産形成をするために多少はリスクをとることも必要でしょう。

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【ポイント3】日々の支出を記録して定期的に分析する

ムダな支出をなくすためには、家計簿をつける必要があります。ただ、つけるだけでは意味がありません。

1ヶ月ごとや半年ごとに分析して、自分の家計のクセを把握することが重要です。

まずは数ヶ月家計簿をつけてみて、月に1度振り返ってひとつひとつの支出を「必要・不要」に分けましょう。そして、次月はできるだけ「不要」な支出をしないように心がけるのです。

これを数ヶ月繰り返していくと、生活習慣が変化するはずです。ムダな支出が少なくなるはずです。

1年程度経つと、季節も一巡するので、普通の暮らしにおおよそいくらのお金が必要なのかの見当がつきます。水道光熱費の季節差も把握できます。

1年間で家電や家具や洋服にいくら程度使うかもわかります。

なお、家計簿をつけるいちばんの目的は、貯蓄目標の達成に向けて貯蓄余力をつけるためです。

誰しも収入を増やすのはたいへんですが、支出を削るのは自分が頑張ればいいので達成しやすい面があります。

家計簿をつけることが長期的に習慣化できていけば、リタイア後の生活費の削減方法も具体的に考えやすく、実行もしやすいでしょう。

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【ポイント4】収入を増やすために共働き、転職、会社員になる

収入を増やす方法として最も効果的なのは、妻が働いていない場合にパート社員でよいので働きはじめることです。

年収100万円くらいまでは比較的簡単に増やすことができます。

年収100万円だとしても10年間働けば1,000万円、20年間では2,000万円の収入アップにつながります。1,000万円といえば、子供1幼稚園に入ってから大学卒業までの教育費の合計額にも相当します。

現在の職場で一定以上のスキルを身につけ、転職することで収入がアップする見込みがある方は、積極的に転職すればいいでしょう。

脱サラして自営業として独立したものの、なかなか売上が確保できないときは、撤退ラインを設定したほうがいいでしょう。諦めきれずにズルズル続けると家計に多大なマイナスの影響を与えかねません。

「金融資産が○○○万円未満になった時点で撤退して、会社員として職探しをする!」などと数字で撤退ラインを決めて家族にも公言するようにしましょう。

自営業は成功すれば収入も多くなり、仕事も楽しくなります。しかし、セーフティネットの仕組みは会社員に比べると大きく見劣りします。

自営業者は、会社員と違って退職金がありません。また、原則65歳以降に支給される厚生年金もありません。

病気やけがで働けず収入がなくなった場合に健康保険から約1年半に渡って支給される傷病手当金もありません。

もちろん失業手当も、労災もありません。自営業者は会社員と比べていろんな面で保障が小さいのです。

60歳で定年退職したあとも、できるだけ長く働いて収入を得るようにしましょう。

少なくとも厚生年金が支給され始める65歳までは、働かなければ急速に貯蓄が生活費で消えていきます。

現在勤務している会社にも65歳までは希望すれば働ける仕組みがあるはずです。

【ポイント5】借金を整理する

複数の借金がある人は、早期に少しでも返済をして借金体質を改善しましょう。

借金は、ないことが理想ですが、あるにしても”住宅ローンだけ”が望ましい。住宅ローン以外にも、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど複数のローンを抱え込んでしまうと借金に追われてしまいます。

まずは、複数のいくつかのローンをまとめて1本のローンに借り換えて、借金をできるだけシンプルな形にします。幸いマイナス金利政策のおかげもあって、金利水準は従来より低下しています。

低金利のローンに借り換えれば、それだけで利息の負担を軽くすることができます。

その後は、貯蓄計画を立てて繰上返済の原資を蓄えます。ある程度貯まった時点で繰上返済をしてもいいし、毎月行ってもいいでしょう。繰上返済は早くすればするほど利息負担を軽減することができます。

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【ポイント6】万が一に備えて最低限の保険に加入する

保険料の支払いを惜しんで、保険に入りたがらない人がいますが、最低限の保険には加入しておいたほうがいい。なぜなら万が一のことが起こった場合に大きな支出が発生して家計が破綻してしまいかねないからです。

その時はなんとか貯蓄でカバーできたとしても、その影響で老後資金が不足して老後破産に陥るかもしれません。

最低限の保険とは、生命保険では子供のための「死亡保険」。死亡保険金でカバーする金額は、子供が自立するまでの生活費と教育費の合計額程度です。

子供の数にもよりますが、下の子供が自立するまでの期間で3,000万円~5,000万円の保険に入っておいたほうがいいでしょう。

損害保険の領域では、火災保険です。マイホームの場合は建物と家財、賃貸住宅の場合は家財のみ。

隣家からの類焼で自分の家が焼けて損害を被った場合、隣家から補償されることはなく、自分が加入した火災保険からしか補償を受けることができません。

自分の生活を守るためにも火災保険には、必要最低限の補償をつけておく必要があります。必要最低限とは「損害を被る前の家を建て直すことができる、家財を買い直すことができる補償額」です。

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【ポイント7】家族でしっかりコミュニケーションをとる

老後になって破産をしないためには、老後に至るまでの長期に及ぶ取り組みが必要です。それだけに、家族の協力は欠かせません。特に配偶者とは一緒に取り組まなければ効果がありません。

ライフイベントの予定や予算作りは夫婦で一緒に考え、貯蓄目標額も共有化しておきたいものです。夫婦それぞれの貯蓄目標額も個別に決めて、定期的に確認し合うようにしましょう。

また、必要に応じて家計費の削減に協力して取り組み、収入が足りない場合はお互いが納得するまでじっくり話し合って就職や転職を決める必要があります。

仕事は、家計の問題であるとともに生きがいの問題でもあるだけに、うまく両立できる道を探す必要があります。

子供の教育については、子供がどうしたいのかを確認したり協力を仰いだりする必要が出てくる場合もあります。教育費に大金をつぎ込んだために、夫婦の老後生活が厳しくなり子供の支援を仰ぐ事態を招くのは避けたいところです。

老後の暮らしは夫婦の関係が軸になります。それだけに、今から家族とコミュニケーションを取りつつ、問題・課題の共有化、目標の設定、実行プラン作り、定期的な確認を行って、互いに協力し合って家計の運営にあたるようにしましょう。

以上、「老後破産しないための7つのポイント」について解説をしました。

少子高齢化が進むなかで、将来的に公的年金の支給水準は今よりも確実に低くなる見込みです。それだけに、私たちは、自分たちの親世代以上に、自分の老後資金準備のことを自分自身で考え、実行していく必要があります。

「7つポイント」を参考にしながら、老後の備えに取り組んでいただければ幸いです。

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ファイナンシャルプランナー
中村宏

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。2003年にFPオフィス ワーク・ワークスを設立。「お客様の『お金の心配』を自信と希望にかえる!」をモットーに、顧客の立場に立った個人相談やコンサルティングを行っているほか、セミナー講師、雑誌取材、執筆・寄稿などで生活のお金に関する情報や知識、ノウハウを発信。
著作:『自分のお金の育て方』(祥伝社)
『老後に破産する人、しない人』(KADOKAWA中経出版)メルマガ「生活マネー ミニ講座」
http://www.mag2.com/m/0000113875.html>FPオフィス ワーク・ワークスのHP
http://www.e-workworks.com/
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